各国の哨戒機が日本で大集合、理由は「瀬取り」 対潜水艦戦闘用の航空機がなぜ?
稲葉義泰(軍事ライター)2018.10.08
2018年9月、実は日本へ数か国の対潜哨戒機がぞくぞくと集結してきていました。
わざわざ海を越えてやってきた理由は北朝鮮による「瀬取り」の監視ですが、なぜ対潜水艦戦闘用の航空機が、洋上の監視にあてがわれたのでしょうか。
各国のP-3が日本に大集結
防衛省は2018年9月、沖縄県の嘉手納基地にオーストラリア、ニュージーランド、カナダがそれぞれ対潜哨戒機を一時的に派遣してくることを発表しました。
派遣されてくるのは、オーストラリア空軍からAP-3C、ニュージーランド空軍からP-3K2、カナダ空軍からCP-140です。
Large 180928 p3c 01
ニュージーランド空軍のP-3K2(画像:ニュージーランド空軍)。
一見、それぞれ違う機種の対潜哨戒機を派遣してくるように思えますが、実はこれらの機体は全てアメリカのロッキード(当時。現ロッキード・マーチン)が開発した対潜哨戒機P-3「オライオン」をベースとする機体です。
P-3は、1960年代にアメリカ海軍での運用が開始されて以来、全世界で採用されているまさにベストセラー対潜哨戒機で、日本でも海上自衛隊がP-3Cという名称で運用しています。
つまり、今回沖縄の嘉手納基地には各国のP-3、言い換えればP-3一家の親戚同士が一堂に会するということになります。
しかし、ひと口に日本へ航空機を派遣するといっても、日本とオーストラリア、ニュージーランド、カナダとの距離はそれぞれ非常に離れています。
たとえば、この3か国のなかで日本との距離が最も離れているニュージーランドからだと、日本までおよそ9000kmにもなります。
では、そこまでの道のりを飛び越えてまで今回こうして各国の対潜哨戒機が日本に集結する理由とは、いったいなんでしょうか。
それは、北朝鮮が行っている洋上での違法な物資のやり取りである「瀬取り」の監視や取り締まりを行うためです。