政府税制調査会(首相の諮問機関)は26日、総会を開き、来年度税制改正に向けた議論を本格化した。柱になるテーマがICT(情報通信技術)を使った納税環境の整備。インターネットで納税や申告の手続きを完結できるようにして納税者の利便を高める。「民泊」など新たなビジネス形態や働き方の多様化に応じた税制のあり方も検討していく。
政府税調は11月にも意見をとりまとめて、公表する。与党が12月に決める税制改正大綱への反映をめざす。
26日の会合では主に電子納税やマイナンバー制度の現状について議論した。経済のICT化が進み、海外ではエストニアやスウェーデンなどがスマートフォンでの申告を可能にするなどICTを活用した申告・納税が普及している。
日本は電子申告・納税サイト「e―Tax」の利用率は法人税の申告で75%。個人の所得税申告では52%にとどまる。自宅のパソコンで電子納税する個人は少数とみられる。会合では年末調整の電子化を求める声や、マイナンバー制度の仕組みを活用するよう促す意見が出た。
電子納税への期待は企業にも高い。経団連の調査によると、負担に感じる手続きのうち「従業員の納税に関する事務」は46.7%。電子納税が進めば利便性が高まり、事務手続きが効率化できる。政府の規制改革推進会議は行政手続きコストの削減を掲げている。
背景には拡大するシェア経済への対応もある。民泊やフリマアプリ、配車仲介など個人間でモノやサービスをやりとりするシェア経済は取引状況を税務当局が捕捉しにくい。ネット上で仕事を登録した個人に発注する「クラウドワーキング」の普及で副業を抱える給与所得者やフリーランスも増加。現状の仕組みでは所得の把握が難しくなり課税漏れが起きる可能性があるとの危機感が税務当局にある。
企業に雇用される給与所得者から、副業やフリーランスに働き方が多様化すればこれまでの給与所得者中心の税制を見直す必要が出てくる。中里実政府税調会長は「個人所得課税は再分配や働き方の多様化に対応して議論する」と話した。
所得税の抜本改革の議論は停滞気味だ。中里会長は安倍首相が25日に表明した消費税の使途見直しについて「政治的な場で決める話で、政治の場で様々な議論を行ってもらってしかるべき方向に決まる話だ」と述べるにとどめた。今年の政府税調では基幹税を大きく見直す議論は素通りする公算が大きくなっている。
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO21571850W7A920C1EE8000/
政府税調は11月にも意見をとりまとめて、公表する。与党が12月に決める税制改正大綱への反映をめざす。
26日の会合では主に電子納税やマイナンバー制度の現状について議論した。経済のICT化が進み、海外ではエストニアやスウェーデンなどがスマートフォンでの申告を可能にするなどICTを活用した申告・納税が普及している。
日本は電子申告・納税サイト「e―Tax」の利用率は法人税の申告で75%。個人の所得税申告では52%にとどまる。自宅のパソコンで電子納税する個人は少数とみられる。会合では年末調整の電子化を求める声や、マイナンバー制度の仕組みを活用するよう促す意見が出た。
電子納税への期待は企業にも高い。経団連の調査によると、負担に感じる手続きのうち「従業員の納税に関する事務」は46.7%。電子納税が進めば利便性が高まり、事務手続きが効率化できる。政府の規制改革推進会議は行政手続きコストの削減を掲げている。
背景には拡大するシェア経済への対応もある。民泊やフリマアプリ、配車仲介など個人間でモノやサービスをやりとりするシェア経済は取引状況を税務当局が捕捉しにくい。ネット上で仕事を登録した個人に発注する「クラウドワーキング」の普及で副業を抱える給与所得者やフリーランスも増加。現状の仕組みでは所得の把握が難しくなり課税漏れが起きる可能性があるとの危機感が税務当局にある。
企業に雇用される給与所得者から、副業やフリーランスに働き方が多様化すればこれまでの給与所得者中心の税制を見直す必要が出てくる。中里実政府税調会長は「個人所得課税は再分配や働き方の多様化に対応して議論する」と話した。
所得税の抜本改革の議論は停滞気味だ。中里会長は安倍首相が25日に表明した消費税の使途見直しについて「政治的な場で決める話で、政治の場で様々な議論を行ってもらってしかるべき方向に決まる話だ」と述べるにとどめた。今年の政府税調では基幹税を大きく見直す議論は素通りする公算が大きくなっている。
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