[ソウル 26日 ロイター] - 韓国のサムスン電子(005930.KS)が発表した第1・四半期決算は、営業利益が前年同期比58%増加し、過去最高益となった。メモリーチップへの堅調な需要がけん引した。
ただ、世界のスマートフォン(スマホ)市場の弱さが利益の伸び鈍化につながるとの見通しを示した。
スマホ向け有機EL(OLED)パネルの需要低下が第2・四半期の課題になるとも指摘した。
サムスン電子は発表文書で「ディスプレーパネル分野が弱いほか、ハイエンド向け市場の競争激化でモバイル事業の利益率が低下しており、会社全体で利益を伸ばすのは難しい課題となる」としている。
同社の株価は昨年11月に付けた過去最高値を約12%下回る水準で、年初来ではわずか1.1%高。モバイル市場を巡る懸念などが株価を圧迫している。
第1・四半期の営業利益は15兆6000億ウォン(144億ドル)で、同社が発表していた見通しと一致した。
売上高は19.8%増の60兆6000億ウォン。こちらも自社見通しとほぼ一致した。
3月半ばに発売されたスマホの旗艦機「ギャラクシーS9」の出荷台数は約1000万台となった。アナリストらはこれについて堅調な数字だと指摘した。
モバイル部門の利益は3兆8000億ウォンと前年同期比82%増加した。
半導体事業の営業利益は、メモリーチップの好調に陰りの兆しが見られるにもかかわらず、11兆6000億ウォンと前期の10兆9000億ウォンから増加し過去最高を記録した。
NAND型フラッシュメモリー(電気的に一括消去・再書き込み可能なメモリー)チップ価格が予想以上に落ち込んだが、DRAM(記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリー)チップの好調な販売が補った。
決算を受けサムスン電子の株価は約3%上昇。スマホ市場に巡る懸念は材料視されず、メモリーチップの堅調な見通しに反応している。
HMCインベストメント・アンド・セキュリティーズのアナリスト、グレッグ・ロー氏は「メモリーチップ事業の見通しが他社よりも明るく、株価が上昇している」と指摘した。
ライバルのSKハイニックス(000660.KS)や台湾積体電路製造(TSMC)(2330.TW)は今月スマホ用半導体の伸び鈍化に警戒感を示しており、TSMCは売上高目標を下方修正した。
これに対してサムスンは、サーバーDRAMだけでなくモバイルDRAMでも販売好調が続くとの見通しを示した。
メモリーチップ部門のシニア・バイスプレジデントSewon Chun氏は、メモリーチップの高密度化は今年、モバイル用DRAMやNANDフラッシュメモリーの需要を下支えするとの見方を示した。
またサムスン電子は、米政府が中国の通信機器大手の中興通訊(ZTE)(000063.SZ)(0763.HK)と米企業の取引を禁止したことが、業績押し上げ要因になる可能性を示唆した。
米政府の禁止措置によりZTEが米クアルコム(QCOM.O)からモバイル端末向け半導体を調達することができなくなれば、他の調達先を探す必要がある。
クアルコムと競合する事業、システム・LSI部門の幹部は、米国の措置がサムスンの中国での半導体売り上げを後押しするかとのアナリストの質問に対し、新たな顧客に「積極的に対応する」と語った。
https://jp.reuters.com/article/samsung-elec-results-idJPKBN1HX031