スーパーなどで売られる刺し身用蒸しダコの原料となる
アフリカ産冷凍タコ(主にマダコ)の輸入価格が過去最高値(円換算)を更新し、業界や食卓を揺るがしている。
日本のタコ輸入量の約7割はアフリカのモロッコとモーリタニアの2カ国産で賄われているが、モーリタニア産は、
漁獲量減少と昨年夏頃からのスペインの“爆買い”というダブルパンチに見舞われている。
店頭価格も高騰し、「庶民の味」として親しまれたタコは「高級食材」に変貌しつつある。
伝統食材を守ろうと、官民で資源保護や輸入先を新たに開拓する動きも始まった。
日本では年間約8万4000トンが流通し、このうち国産は約3万7000トン前後。
輸入タコの多くはモロッコとモーリタニアから輸入されるが、
2カ国からの輸入量は平成28年の3万2000トンから29年に2万9000トンへ減少し、
中でもモーリタニア産は大きく減っている。
輸入関係者によると、スペイン勢の買いの理由は2つという。相次ぐ中東のテロや緊迫化で、
トルコ、エジプトなどへの旅行が敬遠される一方、スペイン観光の人気が高まり、
パエリアやオリーブ煮に欠かせないタコの需要が旺盛になっているという。
さらに、スペイン向けのメキシコ産タコが不漁となり、今回の高騰劇の引き金となった。
不漁はメキシコだけではない。モーリタニアの漁獲量も減少しており、資源の枯渇も懸念されている。
加えて、別の輸入関係者によると、最大のタコ加工輸入国の中国で、加工に加えて国内消費も増えたことから、
中国船団がアフリカで乱獲しているとの見方もある。
輸入量の減少で、3月のモーリタニア産(800〜1200グラム品)の平均輸入価格は
前年同月比1.6倍の1トン約1万1600ドル(約120万円)と過去最高値を更新。
輸入タコを蒸してスーパーに卸す九州の加工業者が昨年11月、輸入価格の高騰に対応できずに倒産した。
業界関係者は
「平常だと100グラム当たり198円だった店頭価格も最近は248円に値上がりし、消費も減っている」と嘆く。
「たこ焼き」の値上がりも懸念される。
こうした中、新たな調達先を開拓しようと立ち上がった会社もある。
国内最大のタコ加工業者の集積地である茨城県ひたちなか市の「あ印」だ。
タコ加工業が衰退しかねないとの危機感を抱き、国際協力機構(JICA)の支援を受け、
インドネシアの国営水産物加工会社に冷凍や衛生管理の技術を供与。昨年5月からシマダコの輸入を始めた。
画像:モーリタニア産冷凍タコの輸入価格推移
産経ニュース
https://www.sankei.com/economy/news/180427/ecn1804270002-n1.html