【上海=張勇祥】電子機器の受託製造最大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の中核子会社が8日、上海市場に株式を上場する。子会社の売上高は2017年12月期で3545億元(約6兆円)と、中国に株式を公開するIT(情報技術)関連の製造業では最大規模になる。中国は台湾の有力企業を取り込む足がかりを得る。
上場するのは広東省深?に本社を置く「フォックスコン・インダストリアル・インターネット(FII)」。公募増資で271億元を調達、中国内での生産設備の高度化に大半をあてる。ロボットを使った生産ラインの無人化や、物流設備の自動化などをすすめる。
FIIは18年2月に上場を申請したばかり。3月に中国当局が上場を承認するなど、申請から上場まで1〜2年かかる中国では異例の早さになった。台湾を代表する有力企業を囲い込み、台湾経済の空洞化につなげたい中国の思惑が透ける。
上場誘致だけでなく、台湾の一部ハイテク企業に軽減税率を適用するなど中国は優遇策を相次ぎ打ち出している。ドミニカ共和国やブルキナファソが相次ぎ台湾と断交、中国と国交を結ぶなど外交面でも切り崩しをすすめている。
FIIの上場を国内証券市場の活性化に向けた起爆剤にしたいとのねらいもある。中国本土の株式は15年高値から4割ほど低い水準で推移する。電子商取引のアリババ集団や検索大手の百度(バイドゥ)など、海外に上場する中国企業の誘致にも取り組む。
2018/6/8 8:35
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31528150Y8A600C1EAF000/