エーザイは6日、開発中のアルツハイマー型認知症治療薬について、症状の進行を抑える効果が第2相臨床試験(治験)の大規模試験で確認できたと発表した。認知症の原因物質とみられるたんぱく質「アミロイドベータ(Aβ)」が脳内で減ることも示した。
新薬は米製薬企業バイオジェンと共同開発する抗体医薬品「BAN2401(開発名)」。Aβが脳に沈着する前段階の集合体に結合して除去する。20年代早期の発売を目指している。
第2相治験は2012年〜18年に日米欧などで856人を対象に実施。投与18カ月間の解析で、症状の評価指標に基づく悪化の抑制と、陽電子放射断層撮影装置(PET)による脳内のAβ蓄積量減少を確かめた。
Aβは脳に蓄積すると神経細胞が機能障害を起こし、細胞死をもたらすとされる。エーザイはこれまでも認知症の症状悪化を遅らせる薬を販売してきた。新薬ではAβを減らすことで、認知症を根本から治療することを目指している。
世界の製薬大手がAβを標的とする薬の開発に取り組んでいるが、実用化された例はない。6月には米イーライ・リリーと英アストラゼネカが、共同開発した「ラナベセスタット」が、最終段階の第3相治験で十分な治療効果を証明できないとして中止を発表した。
エーザイは現在、Aβを標的にした薬を3品目開発している。BAN2401のほか、Aβの発生段階を狙う「エレンベセスタット」と、沈着する直前や沈着後を狙う「アデュカヌマブ」で、いずれも第3相治験に入っている。
2018/7/6 14:45
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32697240W8A700C1XB0000/