2018年の暗号資産(仮想通貨)相場は低迷の1年だった。18年1月のコインチェック・ショックで仮想通貨バブルがはじけた後は主要通貨の価格が急落するとともに取引量も急減。仮想通貨取引所に対する規制強化の影響もあり、ビットコイン(BTC)価格は18年の1年間で76%も下落した。足元では5月末に一時100万円の大台に接近するなど回復の兆しが出ているが、市場参加者はどう変わったのか。
日経マネーが毎年実施している「個人投資家調査」の18年調査と19年(今回)調査の結果を比較すると、幾つか大きな変化がある。まず、個人投資家の数が急減したことだ。今回調査で仮想通貨に投資していると答えたのは1407人(回答者全体の11.1%)。18年調査では2260人(同17%)が仮想通貨投資を行っていたと答えており、3割以上減少した計算になる。バブル崩壊に伴う損失で退場を迫られた投資家が多かったことがうかがえる。
それに伴い、投資家像にも変化が出てきた。仮想通貨の投資家に投資歴を聞いたところ、最も多かったのが10年以上(仮想通貨投資家の25.2%)だった。前年調査では1年未満が最も多く、26.5%を占めていた。
18年調査ではバブルの中、若い投資初心者が仮想通貨投資に手を出し損失を被ったという構図があった。相場低迷によりこうした初心者の一部が退場。代わりに相場で存在感を増したのは、変動率の大きい相場を経験しているベテラン投資家だ。彼らの中には、FX(外国為替証拠金)取引やシステムトレード、テクニカル取引など短期取引をもともと行っていた人が少なくない。
投資家層が変化したことで、元手にも前年調査と大きな違いが出てきた。仮想通貨投資の元手として最も多かったのは1000万円以上。元手について答えている154人のうち約半数がこのように回答した。18年調査では元手100万円以下が70%以上を占めており、4分の1が10万円未満と答えていた。
仮想通貨バブルが発生した17年後半は、初心者が少額の元手で大勝ちできる相場だった。しかし、18年は長期にわたり価格が低迷。一部のアルトコインに対する規制も厳しくなる中、仮想通貨を安値で長期に持ち急騰を待つ「ガチホ」戦略は機能しなくなったと言える。短期取引に長けたベテランでないと十分なリターンが出なかった相場環境だったわけだ。
とはいえ、18年はベテランでも勝ちにくい状況だったようだ。今回調査での仮想通貨取引の勝率は30.5%と、前回調査(39.5%)から悪化。1億円以上の利益を上げた人はわずか1人(前回調査では12人)にとどまった。1000万円以上の損失を出した人も18.2%と、決して少なくはない。
株式市場が低迷する中、仮想通貨は景気変動に左右されにくい代替資産として再び脚光を浴びつつある。ただ、今や市場参加者の多くはヘッジファンドなどのプロで、値動きも単純ではなくなっている。相場が回復したからといって、以前のように初心者でも勝てると考えるのは早計だろう。
以下ソース
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190824-00000002-nikkeisty-bus_all