【上海=張勇祥】26日の上海外国為替市場で中国人民元相場が1ドル=7.1元台に下落し、約11年半ぶりの安値をつけた。中国人民銀行(中央銀行)は取引の基準となる「基準値」を小幅高で設定したものの、米中対立の激化懸念から元売り圧力が強まった。アジア株式相場も軒並み下落して取引が始まった。香港のハンセン指数が一時3%下落したほか、上海や韓国、シンガポール株の下落率は1%を超えた。
人民元は海外市場で一時1ドル=7.16元台に下落した。人民銀は基準値を前週末比で小幅高となる7.0570元に設定した。前週末の中国本土では7.08元台で取引を終えており、急激な元安進行に歯止めをかけたい当局の意向を反映したとの受け止めが多い。中国景気の減速懸念から市場の元売り圧力は強く、本土の取引でも海外市場に接近する形で一時7.14元台をつけた。
香港では主力の騰訊控股(テンセント)や通信機器の中興通訊(ZTE)などが下落し、相場全体の下落につながった。「テンセントは外国人の保有も多く、リスクを避ける売りが出た」(地場証券)という。他のアジア株では台湾の下げも目立つ。韓国と並びハイテク関連株の相場への影響が大きいだけに、米中貿易戦争はより強い売り材料となりやすい。
2019/8/26 11:13
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48988860W9A820C1EAF000/