韓国建設大手のHDC現代産業開発は27日、国内航空2位のアシアナ航空の買収で、同社の親会社の錦湖(クムホ)産業と最終合意したと発表した。アシアナ株の取得と増資の引き受けで、買収総額は2兆5000億ウォン(約2370億円)となる。ホテルや免税店を運営する現代産業開発は航空大手を傘下に収め、事業拡大を急ぐ。
現代産業開発は2020年4月までに錦湖が保有するアシアナ航空株の31%を取得し、さらに第三者割当増資の引き受けで結果的に61.5%を持つ親会社となる。現代産業開発とコンソーシアム(共同事業体)を組んだ証券大手の未来アセット大宇は15%を保有する。
アシアナ買収は現代産業開発の鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長が主導した。同氏の父親は現代グループの中核の現代自動車を30年間率いた故鄭世永(セヨン)氏。夢奎氏自身も現代自の会長を一時務めていたが、1999年にグループ創業者の意向によって現代自から追い出される形で中堅の現代産業開発のトップに就いた経緯がある。
「モビリティー(移動関連)事業の拡大」を掲げてアシアナ買収に突き進んだ夢奎氏には、現代産業開発の規模を拡大し、自身がかつて経営を担っていた現代自への対抗心もあったようだ。
ただ赤字体質のアシアナ航空の経営改革は容易ではない。国内景気の低迷や日韓対立に伴う日本便の不振で営業赤字が続く。さらに5月に続いて12月にも早期退職の募集を始めたものの、組合側が反発しており、コスト削減が順調に進むとは限らない。夢奎氏は難しいかじ取りを迫られる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53904060X21C19A2FFE000/