日産自動車は15日、普通社債の発行条件を決めた。総額700億円で、期限は1.5年、3年、5年の3本。同社の社債発行は4年ぶり。新型コロナウイルス影響の長期化などを見据え、手元資金を拡充する。同社は過去の拡大路線の失敗で業績が悪化している。利率は5年債で年1.9%などと高水準になった。
金額は1.5年債が290億円、3年債が300億円、5年債が110億円。利率はそれぞれ年1%、1.4%、1.9%となる。払込期日は7月22日。主幹事は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、メリルリンチ日本証券が務める。
日産自は過去の拡大路線の失敗とコロナの影響で経営が悪化し、構造改革を進めている。構造改革費用や減損損失がかさんで2020年3月期の連結最終損益は6712億円の赤字に転落した。
同社の格付けを巡っては、投資適格の最低水準に引き下げる動きが相次ぐ。3日にS&Pグローバルが長期格付けを1段階引き下げて「トリプルBマイナス」とした。ムーディーズ・ジャパンも3月に長期格付けを「Baa3(トリプルBマイナスに相当)」に下げた。こうした背景などから今回の利率は軒並み高水準だった。5年債で年1.9%の利率は13年7月以来の高水準だ。
日産自が社債を発行するのは16年以来、4年ぶり。19年9月に2500億円の社債の発行を予定していたが、その直前に西川広人前社長の不正報酬受領の問題が明らかになり発行を延期した。今年5月には最大5000億円の社債発行枠を登録し、6月に社債発行を準備していたが、投資家の需要を調べたうえでいったん見送っていた。
2020/7/15 14:10
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61533430V10C20A7000000/