Bluetooth SIG, Inc. マーケットデベロップメント シニア・ディレクターのチャック・セイビン氏
Bluetooth SIG(Bluetooth Special Interest Group)は8月25日、自動車業界におけるBluetoothの市場動向や、キーレスエントリーシステムをはじめとした位置情報システムの活用などについて会見を行なった。
Bluetooth SIG マーケットデベロップメント シニア・ディレクターのチャック・セイビン氏は、「自動車業界がBluetoothを選択する理由は、消費者からの知名度と信頼性があり、共通技術として利用され、実装しやすく、ローコストだという点にある。また、自動車業界に向けて技術ロードマップを提供している点も、自動車のOEMメーカーからの信頼を得ている理由の1つである」などと述べた。
Bluetooth SIGは、3万6000社以上の企業が参加するグローバルコミュニティであり、Bluetoothに関する新たな機能の仕様策定、相互運用性のためのツールと認証プロセスの提供、加盟企業と連携したプロモーションといった活動を行なっている。
Bluetooth SIGが発表したBluetooth市場動向予測では、2020年には46億台のBluetoothデバイスの出荷が見込まれ、今後5年間は年平均成長率8%で市場が拡大。2024年には、年間に62億台のBluetoothデバイスが出荷されると見込まれている。
「オーディオストリーミング、データ転送、位置情報サービス、デバイスネットワークといった領域において、ソリューション指向型で市場を拡大させており、IoTデバイスの活用においても、Bluetoothがもっと普及している技術になっている」とする。
一方、自動車業界におけるBluetoothの広がりについても、数値の面から示してみせる。
ABI Researchによると、Bluetooth搭載自動車関連デバイスは、2024年には年間1億900万台が出荷され、世界中のすべての自動車の3分の2にBluetoothが搭載されると予測しているという。
現時点でも、乗用車、トラック、SUVなどの新車の87%にBluetoothが搭載され、スマートフォンを活用したカーオーディオ接続にとどまらず、キーレスエントリーシステムでの採用や、IoTデバイス接続による運転手の健康状態の確認、タイヤの空気圧のモニタリングなど、活用範囲は多岐に渡っているという。
「2019年には全世界で7500万台の自動車が出荷されたが、Bluetoothは自動車業界向けに8900万台が出荷された。自動車の台数を上まわっている。将来的には新車の100%にBluetoothが標準採用される時がくるだろう」と予測した。
2024年には、スマホをキーの代わりに利用するケースが増加し、キーフォブやアクセサリーで1300万台のBluetoothが利用されると見込まれており、今後はキーレスエントリーの標準規格になるとの見通しも出ている。
また、自動車業界が積極的にBluetoothを採用している理由についても自ら分析してみせた。
「Bluetoothは、コンシューマ市場からの高い認知度があり、信頼性があるほか、さまざまなユースケースに対応できること、相互運用性を実現していること、単一ベンダーの技術ではなく、多くの企業がコラボレーションをしながら技術を進化させていること、日本のJASPARや欧州のCE4Aなど、さまざまな関連団体と連携していることなどが、自動車業界から高い評価を得ている理由である」とした。
ここで挙げた相互運用性では、所有している1つのスマホを利用しながら、クルマを乗り換えても、さまざまなメーカーの自動車にキーレスエントリーができるという点などを指している。
>>2 へ続く
□関連リンク
Bluetooth SIG
https://www.bluetooth.com/ja-jp/
Imecの取り組み
https://vimeo.com/434337926
アルプスアルパイン株式会社
https://www.alpsalpine.com/j/
2020年8月26日 13:01
Car Watch
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1272951.html