楽天グループの2024年1-3月(第1四半期)の純損益は424億円の赤字となった。モバイル事業での苦戦が続き、損失計上は15四半期連続。ブルームバーグが集計したアナリスト6人の予想平均は328億円の赤字だった。
発表資料によると、モバイル事業における売上収益は前年同期比3.6%増の998億円だったが、セグメント損失は719億円(前年同期は1027億円の損失)となった。
モバイル事業への本格参入から4年、楽天Gは2月に5期連続の通期赤字を発表、資金流出を避ける必要から無配の方針を示した。同社は楽天銀行を軸にしたフィンテック事業の組織再編を検討していて、再編を通じて来年までに償還を迎える巨額の社債をカバーする調達につなげることができるのかが焦点だ。
14日午後、決算説明会に出席した三木谷浩史社長は、フィンテック事業の組織再編に関して、「統合していく計画だ」と述べ、進捗(しんちょく)についての説明はなかった。「金融事業はシナジーが高い。一塊にするということは事業戦略上、より垣根がなくなっていいだろう」と述べるにとどめた。
楽天Gの3月末時点の契約回線数(MNO)は633万と、12月末の590万から7.3%増加、解約率は1.54%に1.7%から下落した。三木谷社長は回線数の増加について、24年中に「800万-1000万まで頑張る」と述べた。
モバイル事業の黒字化に加え、楽天Gにとっては社債の償還が喫緊の課題だ。ブルームバーグの集計によると、24年に2203億円、25年に4300億円の社債の償還を控える。
同社は今年、ドル建て社債を2度発行し計38億ドル(6000億円)を調達、4月には海外市場で円建て私募債500億円を発行すると発表した。いずれも利率が高く、円安が進む中、外貨建ての利払い負担は増加する公算だ。
(第4段落に三木谷社長のコメントを追加しました)
Bloomberg 2024年5月14日 15:05 JST
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-05-14/SDGH3KT0G1KW00?srnd=cojp-v2