→金融緩和の調整のタイミングは先行きの経済・物価・金融情勢次第
→米国はじめ海外経済や市場動向含め、さまざまなリスク十分注視必要
日本銀行の植田和男総裁は18日、金融緩和の度合いを少しずつ調整していくことは、「物価安定の目標」を持続的・安定的に実現していくことに資するとの見解を示した。名古屋市内での講演で語った。
植田総裁は、「金融緩和の度合いの調整を実際にどのようなタイミングで進めていくかは、 あくまで、先行きの経済・物価・金融情勢次第だ」と語った。米国をはじめ海外経済の展開や金融資本市場の動向を含め、さまざまなリスク要因を十分注視する必要があるとも指摘。その上で、「経済・物価の見通しやリスク、見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要がある」とした。
米国経済については、「景気の大幅な減速を避けつつインフレ率が2%に向けて低下していくソフトランディング・シナリオが実現する可能性は高まる」とする一方で、今後の景気展開や政策運営次第で「インフレが再燃する逆方向のリスクも否定できない」とも述べた。
その上で、毎回の金融政策決定会合で、「利用可能なデータや情報などから、経済・物価の現状評価や 見通しをアップデートしながら、政策判断を行っていく」との考えを示した。
植田総裁の講演後、円は対ドルで一時、155円台に下落した。
□他の発言
●金融緩和の度合い、むしろ強まっていると評価できる
●経済・物価見通し実現していけば、政策金利引き上げ
●今後の労使交渉の展開、賃金の物価への波及に注目していく
□【挨拶】植田総裁「最近の金融経済情勢と金融政策運営」(名古屋) : 日本銀行 Bank of Japan
https://www.boj.or.jp/about/press/koen_2024/ko241118a.htm
日銀は10月31日の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度で維持することを決めた。植田総裁は記者会見で、政策判断に「時間的な余裕はある」との表現を今後は使わないとし、経済・物価情勢を踏まえて予断を持たずに判断していく姿勢を強調した。トランプ米次期大統領のインフレ的な政策への思惑からドル高・円安が進行しており、市場には年内を含めた早期の追加利上げ観測が強まっている。
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2024年11月18日 10:18 JST
更新日時 2024年11月18日 10:39 JST
Bloomberg
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-11-18/SMXIDDT0AFB400