https://www.tokyo-sports.co.jp/race/horse/805504/
GI5勝を誇るキタサンブラック
【天皇賞・秋(日曜ー29日、東京芝2000メートル)】GI馬8頭を含む超豪華メンバーでの古馬頂上決戦――。第156回天皇賞・秋が日曜の東京競馬場で行われる。話題の中心はもちろん、暮れの有馬記念で引退するGI・5勝馬キタサンブラック(牡5・清水久詞厩舎)だ。大阪杯で中距離を制圧、春の天皇賞連覇で長丁場での強さを改めて証明した現役最強馬だが、前走の宝塚記念では目を疑うような失速で9着…。秋初戦からエンジン全開は可能なのだろうか?
「競馬は難しいですね」
清水久調教師のこの言葉に集約されているように、宝塚記念でキタサンブラックは抜群の手応えで4角を回りながら直線はバッタリ。圧倒的人気を背負っての9着惨敗に「疲れているようには見えなかったけど、賢い馬で自分の体が壊れる前にやめたのかもしれません」。同師はタフな競馬となったGI・2戦(大阪杯→天皇賞・春)で思った以上に疲労が蓄積していたことを敗因に挙げた。
視野に入れていた10・1凱旋門賞遠征を自重し、秋は国内一本(天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念)に切り替えた。9月16日に栗東トレセンに帰厩してから先週までに併せ馬を7本消化。「やるごとに馬体の張り、ツヤが変わってきました。間が空いても走れる馬。スピードがあるので距離も問題ありません。いい夏休みになったと思うし、今のところ欠点らしい欠点はない。もちろん叩き台の意識もありません」と同師は天皇賞・春、秋連覇へ自信を見せる。
調教パートナーを務める黒岩は宝塚記念の直前、同馬の異変を感じていたようで「いつも全力で走るので、さすがにGIを2戦した後は消耗していました」。帰厩後は順調そのもので「やるごとに馬体が絞れて反応も良くなっている。1週前も前の馬を捕まえに行こうとしていた。やめることを覚えると良くないと思ったけど、大丈夫だった。少し気が入り過ぎているのであとはテンションを維持できれば」。デビュー時から調教を任されているだけあって仕上げ方は心得ている。担当の辻田厩務員も「宝塚記念の時は、稽古に乗ってくれている黒岩君が『反応が鈍かった』と言ってましたからね。今は馬体がしっかりしてリフレッシュできています」。
陣営の3者はいずれも「万全」を強調する。ところが、その一方で栗東トレセン関係者の間では今春の天皇賞出走馬の“その後”から不安を口にする声がよく聞かれる。
キタサンブラックが驚異的なレコードで圧勝した春の天皇賞で3着のサトノダイヤモンドはフォワ賞(4着)、凱旋門賞(15着)と大敗。池江調教師が喘鳴症の可能性を示唆していたほどで、心身ともに春の疲労が残っていた可能性もある。4着アドマイヤデウスはオーストラリア移籍後に故障で、6着ディーマジェスティは休養中。7着ゴールドアクターは宝塚記念こそ2着に好走したが、体調が伴わずオールカマーを回避した。2着シュヴァルグラン(京都大賞典3着で次走はジャパンC)以外の上位馬はこの秋、苦境に陥っている。
「宝塚記念は馬なりで4角を回ってきたのに、すごい止まり方だったので鼻出血かノドかと思った」と話す関係者は多い。春2戦で別次元の強さを見せたが、他馬のその後の戦況を見ると同馬にも相当なダメージが残ったのは想像に難くない。
20日、清水久調教師から年内3戦での引退→来春から社台スタリオンステーションでの種牡馬入りが発表された。タフな馬でこれまで一度のアクシデントもなく競走生活を送ってきただけに、深刻にとらえる関係者の不安は杞憂に終わるかもしれないが…。天皇賞・春組が軌道に乗れない状況下だけに、キタサンブラックの秋3戦も決して楽観はできない。
2017年10月24日 21時32分
GI5勝を誇るキタサンブラック
【天皇賞・秋(日曜ー29日、東京芝2000メートル)】GI馬8頭を含む超豪華メンバーでの古馬頂上決戦――。第156回天皇賞・秋が日曜の東京競馬場で行われる。話題の中心はもちろん、暮れの有馬記念で引退するGI・5勝馬キタサンブラック(牡5・清水久詞厩舎)だ。大阪杯で中距離を制圧、春の天皇賞連覇で長丁場での強さを改めて証明した現役最強馬だが、前走の宝塚記念では目を疑うような失速で9着…。秋初戦からエンジン全開は可能なのだろうか?
「競馬は難しいですね」
清水久調教師のこの言葉に集約されているように、宝塚記念でキタサンブラックは抜群の手応えで4角を回りながら直線はバッタリ。圧倒的人気を背負っての9着惨敗に「疲れているようには見えなかったけど、賢い馬で自分の体が壊れる前にやめたのかもしれません」。同師はタフな競馬となったGI・2戦(大阪杯→天皇賞・春)で思った以上に疲労が蓄積していたことを敗因に挙げた。
視野に入れていた10・1凱旋門賞遠征を自重し、秋は国内一本(天皇賞・秋→ジャパンC→有馬記念)に切り替えた。9月16日に栗東トレセンに帰厩してから先週までに併せ馬を7本消化。「やるごとに馬体の張り、ツヤが変わってきました。間が空いても走れる馬。スピードがあるので距離も問題ありません。いい夏休みになったと思うし、今のところ欠点らしい欠点はない。もちろん叩き台の意識もありません」と同師は天皇賞・春、秋連覇へ自信を見せる。
調教パートナーを務める黒岩は宝塚記念の直前、同馬の異変を感じていたようで「いつも全力で走るので、さすがにGIを2戦した後は消耗していました」。帰厩後は順調そのもので「やるごとに馬体が絞れて反応も良くなっている。1週前も前の馬を捕まえに行こうとしていた。やめることを覚えると良くないと思ったけど、大丈夫だった。少し気が入り過ぎているのであとはテンションを維持できれば」。デビュー時から調教を任されているだけあって仕上げ方は心得ている。担当の辻田厩務員も「宝塚記念の時は、稽古に乗ってくれている黒岩君が『反応が鈍かった』と言ってましたからね。今は馬体がしっかりしてリフレッシュできています」。
陣営の3者はいずれも「万全」を強調する。ところが、その一方で栗東トレセン関係者の間では今春の天皇賞出走馬の“その後”から不安を口にする声がよく聞かれる。
キタサンブラックが驚異的なレコードで圧勝した春の天皇賞で3着のサトノダイヤモンドはフォワ賞(4着)、凱旋門賞(15着)と大敗。池江調教師が喘鳴症の可能性を示唆していたほどで、心身ともに春の疲労が残っていた可能性もある。4着アドマイヤデウスはオーストラリア移籍後に故障で、6着ディーマジェスティは休養中。7着ゴールドアクターは宝塚記念こそ2着に好走したが、体調が伴わずオールカマーを回避した。2着シュヴァルグラン(京都大賞典3着で次走はジャパンC)以外の上位馬はこの秋、苦境に陥っている。
「宝塚記念は馬なりで4角を回ってきたのに、すごい止まり方だったので鼻出血かノドかと思った」と話す関係者は多い。春2戦で別次元の強さを見せたが、他馬のその後の戦況を見ると同馬にも相当なダメージが残ったのは想像に難くない。
20日、清水久調教師から年内3戦での引退→来春から社台スタリオンステーションでの種牡馬入りが発表された。タフな馬でこれまで一度のアクシデントもなく競走生活を送ってきただけに、深刻にとらえる関係者の不安は杞憂に終わるかもしれないが…。天皇賞・春組が軌道に乗れない状況下だけに、キタサンブラックの秋3戦も決して楽観はできない。
2017年10月24日 21時32分