30代の夫婦と子供2人が京都市内で「普通の」生活を送るには、月に税や社会保険料込みで約48万円が必要−。
そんな試算が労働組合の京都総評(京都市)の調査で明らかになった。
会員制交流サイト(SNS)上ではさまざまな意見が飛び交ったが、
総評は「結婚や子供を持つハードルが高くなっている。非正規労働者にとって、家族を持つことはもはやステータスだ」と強調する。
(小川恵理子)
■「夫の飲み会は月1回4千円」
調査は平成30年11月から31年3月、組合員などにアンケートで生活実態や所持品をたずねた。
30代から321件▽40代から481件▽50代から563件−の回答を基に、
京都市内で子供を育てながら「普通の生活」を送る各世代の世帯モデルを作成。
30代は月約48万円(年額約584万円)、40代は同約54万円(同約660万円)、
50代だと同約70万円(同約850万円)が必要とする試算を出した。
いずれの世帯も、市内でも子育て環境が整っている京都市伏見区の
賃貸マンション(家賃6万1千円〜6万7千円、広さ43〜50平方メートル)に住み、子供は長男と長女の2人。
夫は正規雇用、非正規雇用の妻は40〜50代でパート勤務あるいは無職になる。
子供は私立幼稚園、公立の小中高を経て夫婦が50代になるころには長男が京都市内の私立大学に進学−という設定だ。
調査では各世代での「普通」を次のような内容とした。
1〜3カ月に1度の日帰りの行楽(1回あたり5千〜8千円)や年に1〜2度の旅行(同6万〜10万円)
▽数カ月に1度の理美容店の利用(同千〜1万2千円)▽中古の乗用車の所有(1カ月あたり維持費約3万7千円)
▽子供が1年間学習塾に通う(中学生1学年につき平均29万4千円)▽夫が月に1度飲み会に行く(1回あたり4千円)−など、
リアルな数字が並ぶ。
■教育費が家計を圧迫
こうした「普通」の生活を前提とした試算では、子供が成長するごとに教育費が家計を圧迫する実情が浮き彫りになった。
30代は月に2万8千円、40代では3万9千円だが、50代では13万円にも跳ね上がる。
うち約11万円は長男の大学進学に伴う費用だ。
調査を監修した静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授(社会保障論)は、
「親が学費をまかなえず、学生の2人に1人は奨学金を借りている。学費のためにアルバイトをしている学生も増えている」と指摘する。
各世帯でも必要な金額の満額を満たしているのは30〜40代で半分程度といい、
「逆にいえば半数は満たせていないし、50代ではそれが6割に上る」とする。
その背景には、平成以降、下がり続ける賃金とは対照的に
労働者全体のうち非正規雇用者の占める割合が増加し続けていることがあるという。
「非正規比率の上昇がさらに労働者全体の賃金水準を引き下げており、悪循環を生んでいる。
今の20代や30代が50代になっても、試算で出した50代の金額には届かないだろう」。
中澤准教授は厳しい見方を示す。
算出された世代ごとに必要な金額は、東京を除いて全国的に同水準といい、
「賃金の底上げに加え、老後の生活費や医療費、住宅ローンや教育費など
必要ながら家計を圧迫する社会保障費のサービスの充実が必要不可欠だ」と話した。
以下ソース:産経新聞 2020.1.6 09:00
https://www.sankei.com/west/news/200106/wst2001060001-n1.html
そんな試算が労働組合の京都総評(京都市)の調査で明らかになった。
会員制交流サイト(SNS)上ではさまざまな意見が飛び交ったが、
総評は「結婚や子供を持つハードルが高くなっている。非正規労働者にとって、家族を持つことはもはやステータスだ」と強調する。
(小川恵理子)
■「夫の飲み会は月1回4千円」
調査は平成30年11月から31年3月、組合員などにアンケートで生活実態や所持品をたずねた。
30代から321件▽40代から481件▽50代から563件−の回答を基に、
京都市内で子供を育てながら「普通の生活」を送る各世代の世帯モデルを作成。
30代は月約48万円(年額約584万円)、40代は同約54万円(同約660万円)、
50代だと同約70万円(同約850万円)が必要とする試算を出した。
いずれの世帯も、市内でも子育て環境が整っている京都市伏見区の
賃貸マンション(家賃6万1千円〜6万7千円、広さ43〜50平方メートル)に住み、子供は長男と長女の2人。
夫は正規雇用、非正規雇用の妻は40〜50代でパート勤務あるいは無職になる。
子供は私立幼稚園、公立の小中高を経て夫婦が50代になるころには長男が京都市内の私立大学に進学−という設定だ。
調査では各世代での「普通」を次のような内容とした。
1〜3カ月に1度の日帰りの行楽(1回あたり5千〜8千円)や年に1〜2度の旅行(同6万〜10万円)
▽数カ月に1度の理美容店の利用(同千〜1万2千円)▽中古の乗用車の所有(1カ月あたり維持費約3万7千円)
▽子供が1年間学習塾に通う(中学生1学年につき平均29万4千円)▽夫が月に1度飲み会に行く(1回あたり4千円)−など、
リアルな数字が並ぶ。
■教育費が家計を圧迫
こうした「普通」の生活を前提とした試算では、子供が成長するごとに教育費が家計を圧迫する実情が浮き彫りになった。
30代は月に2万8千円、40代では3万9千円だが、50代では13万円にも跳ね上がる。
うち約11万円は長男の大学進学に伴う費用だ。
調査を監修した静岡県立大学短期大学部の中澤秀一准教授(社会保障論)は、
「親が学費をまかなえず、学生の2人に1人は奨学金を借りている。学費のためにアルバイトをしている学生も増えている」と指摘する。
各世帯でも必要な金額の満額を満たしているのは30〜40代で半分程度といい、
「逆にいえば半数は満たせていないし、50代ではそれが6割に上る」とする。
その背景には、平成以降、下がり続ける賃金とは対照的に
労働者全体のうち非正規雇用者の占める割合が増加し続けていることがあるという。
「非正規比率の上昇がさらに労働者全体の賃金水準を引き下げており、悪循環を生んでいる。
今の20代や30代が50代になっても、試算で出した50代の金額には届かないだろう」。
中澤准教授は厳しい見方を示す。
算出された世代ごとに必要な金額は、東京を除いて全国的に同水準といい、
「賃金の底上げに加え、老後の生活費や医療費、住宅ローンや教育費など
必要ながら家計を圧迫する社会保障費のサービスの充実が必要不可欠だ」と話した。
以下ソース:産経新聞 2020.1.6 09:00
https://www.sankei.com/west/news/200106/wst2001060001-n1.html