https://mainichi.jp/articles/20201113/k00/00m/040/366000c
毎日新聞2020年11月14日 08時00分(最終更新 11月14日 08時00分)
海賊衆として来島村上氏の重臣を重視したことがうかがえる毛利元就の書状=個人蔵・愛媛県今治市村上海賊ミュージアム提供
瀬戸内海で活躍した村上海賊の主要家系の一つ・来島(くるしま)村上氏の重臣、村上吉郷(よしさと)(生没年不明)に、戦国武将・大名の毛利元就(1497〜1571年)が出した書状が確認され、14日から愛媛県今治市の村上海賊ミュージアムで初公開される。書状は古書目録に記されていたが、12日に専門家が花押(かおう)の形状、文書の内容などから元就の書状に間違いないと判断した。【松倉展人】
書状は「二月十日 元就(花押)」と記され、出された年は不明。年頭のあいさつを述べるとともに、太刀一腰(1本)と鳥目百疋(ひき)(銭1貫文)を贈ることがつづられている。形式的な内容だが、吉郷が元就と直接やりとりをしていたことが分かる唯一の資料とされる。
吉郷は来島村上氏の中で中心的な役割を果たしていたとみられ、中国地方の毛利氏や小早川氏と行動をともにすることが多かった。1582(天正10)年に当主が織田方に走った際も従わずに毛利方に残り、その後は小早川隆景の家臣となった。
企画展では「海賊」来島村上氏が「大名」久留島氏になるまでの関連資料を広く示す=愛媛県今治市宮窪町宮窪で2020年11月13日、松倉展人撮影
吉郷の子孫が細川家(熊本)に仕えたため、書状は元々、熊本県に伝わる「京極村上文書」にあったと考えられている。だが、別の文書と互いに貸借後、返されないままになっていたとみられ、現在の所有者(広島県呉市在住)が近年、古書目録を通じ入手していた。ミュージアムで来島村上家関連の企画展があることを知った所有者が10日ほど前に書状の存在を告げ、急ぎ貸し出しが決まった。
「瀬戸内の海賊」などの著書がある伊予史談会会長の山内譲・元松山大教授は実物を見たうえで、「吉郷が来島村上氏の重臣というだけでなく、ひとりの独立した海賊衆として元就から見られていたことが分かる。双方の関係を考えるうえで貴重な手がかりとなる」と評価している。
企画展「KURUSHIMA―『海賊』から『大名』へ」は14日から来年1月17日、愛媛県今治市宮窪町宮窪の村上海賊ミュージアム。観覧無料(常設展示は有料)。問い合わせは同ミュージアム(0897・74・****)。
毎日新聞2020年11月14日 08時00分(最終更新 11月14日 08時00分)
海賊衆として来島村上氏の重臣を重視したことがうかがえる毛利元就の書状=個人蔵・愛媛県今治市村上海賊ミュージアム提供
瀬戸内海で活躍した村上海賊の主要家系の一つ・来島(くるしま)村上氏の重臣、村上吉郷(よしさと)(生没年不明)に、戦国武将・大名の毛利元就(1497〜1571年)が出した書状が確認され、14日から愛媛県今治市の村上海賊ミュージアムで初公開される。書状は古書目録に記されていたが、12日に専門家が花押(かおう)の形状、文書の内容などから元就の書状に間違いないと判断した。【松倉展人】
書状は「二月十日 元就(花押)」と記され、出された年は不明。年頭のあいさつを述べるとともに、太刀一腰(1本)と鳥目百疋(ひき)(銭1貫文)を贈ることがつづられている。形式的な内容だが、吉郷が元就と直接やりとりをしていたことが分かる唯一の資料とされる。
吉郷は来島村上氏の中で中心的な役割を果たしていたとみられ、中国地方の毛利氏や小早川氏と行動をともにすることが多かった。1582(天正10)年に当主が織田方に走った際も従わずに毛利方に残り、その後は小早川隆景の家臣となった。
企画展では「海賊」来島村上氏が「大名」久留島氏になるまでの関連資料を広く示す=愛媛県今治市宮窪町宮窪で2020年11月13日、松倉展人撮影
吉郷の子孫が細川家(熊本)に仕えたため、書状は元々、熊本県に伝わる「京極村上文書」にあったと考えられている。だが、別の文書と互いに貸借後、返されないままになっていたとみられ、現在の所有者(広島県呉市在住)が近年、古書目録を通じ入手していた。ミュージアムで来島村上家関連の企画展があることを知った所有者が10日ほど前に書状の存在を告げ、急ぎ貸し出しが決まった。
「瀬戸内の海賊」などの著書がある伊予史談会会長の山内譲・元松山大教授は実物を見たうえで、「吉郷が来島村上氏の重臣というだけでなく、ひとりの独立した海賊衆として元就から見られていたことが分かる。双方の関係を考えるうえで貴重な手がかりとなる」と評価している。
企画展「KURUSHIMA―『海賊』から『大名』へ」は14日から来年1月17日、愛媛県今治市宮窪町宮窪の村上海賊ミュージアム。観覧無料(常設展示は有料)。問い合わせは同ミュージアム(0897・74・****)。