https://mainichi.jp/articles/20210104/k00/00m/040/274000c
毎日新聞2021年1月4日 20時37分(最終更新 1月4日 20時37分)
紫色のアジサイ(左)と色とりどりの細胞が集まった「がく片」の顕微鏡写真=吉田久美教授提供
赤や紫、青色にと変化し「移り気」の花言葉を持つアジサイ。名古屋大の吉田久美教授(天然物化学)らの研究チームは、アジサイの色は株単位や花びらのように見える「がく片」ごとに決まるのでなく、がく片を作る細胞ごとの色の違いが集まって全体の色を生み出していることを解明、色を決める複数の要素を明らかにした。英専門誌(電子版)に掲載された。
青色の品種のアジサイを中性の土壌で育てると花は紫色に、酸性の土壌では青色になる。アジサイの鉢植えを買って庭に植え替えると色が変わることがあるのはこのためだ。
吉田教授らは紫色のアジサイを顕微鏡で観察。青や赤、紫色の細胞がモザイク状に分布し、花全体の色を生み出していることが分かった。さらに細胞の成分を分析すると、青い細胞ほどアルミニウムイオンと、色素に関係する「5―アシル化キナ酸」という物質が多く、酸性度を示す水素イオン指数(pH)も高かった。試験管の中でこの3要素の値を変えると、色を変えることができたという。
吉田教授は「少なくとも三つの要素が複合的に組み合わさっているため、アジサイの色は移り変わりやすいことが分かった。同じ遺伝情報を持つ細胞でなぜ色が異なるのかは不明。今後解明したい」と話している。【川瀬慎一朗】
毎日新聞2021年1月4日 20時37分(最終更新 1月4日 20時37分)
紫色のアジサイ(左)と色とりどりの細胞が集まった「がく片」の顕微鏡写真=吉田久美教授提供
赤や紫、青色にと変化し「移り気」の花言葉を持つアジサイ。名古屋大の吉田久美教授(天然物化学)らの研究チームは、アジサイの色は株単位や花びらのように見える「がく片」ごとに決まるのでなく、がく片を作る細胞ごとの色の違いが集まって全体の色を生み出していることを解明、色を決める複数の要素を明らかにした。英専門誌(電子版)に掲載された。
青色の品種のアジサイを中性の土壌で育てると花は紫色に、酸性の土壌では青色になる。アジサイの鉢植えを買って庭に植え替えると色が変わることがあるのはこのためだ。
吉田教授らは紫色のアジサイを顕微鏡で観察。青や赤、紫色の細胞がモザイク状に分布し、花全体の色を生み出していることが分かった。さらに細胞の成分を分析すると、青い細胞ほどアルミニウムイオンと、色素に関係する「5―アシル化キナ酸」という物質が多く、酸性度を示す水素イオン指数(pH)も高かった。試験管の中でこの3要素の値を変えると、色を変えることができたという。
吉田教授は「少なくとも三つの要素が複合的に組み合わさっているため、アジサイの色は移り変わりやすいことが分かった。同じ遺伝情報を持つ細胞でなぜ色が異なるのかは不明。今後解明したい」と話している。【川瀬慎一朗】