https://www.jiji.com/jc/article?k=2021070300372
2021年07月04日07時15分
菅義偉首相(写真右)と中国の習近平国家主席(EPA時事)
日本政府は、中国の習近平国家主席が共産党創立100年の記念式典で打ち出した「強国」路線推進に警戒感を強めている。東・南シナ海での海洋進出など覇権主義的行動をさらに進めかねないからだ。2022年は日中国交正常化50年の節目で、延期となった習氏の国賓来日問題や同年2月の北京冬季五輪への対応などの懸案もあり、政府は対中外交で難しい判断を迫られそうだ。
加藤勝信官房長官は2日の記者会見で、中国公船が沖縄県・尖閣諸島周辺海域で繰り返している領海侵入などを念頭に「中国と率直な対話を行い、懸案を一つ一つ解決し、中国側の具体的な行動を強く求めていく」と強調した。一方、国賓来日については「具体的な日程調整をする段階にはない」と述べるにとどめた。
習氏は1日の記念式典での演説で、台湾統一を「歴史的任務」と強調。「中国人民は決して外国勢力の圧迫を許さない」と述べ、米国など民主主義陣営による対中包囲網の動きをけん制した。
習氏の対外強硬路線の背景には、4月の菅義偉首相とバイデン米大統領による日米首脳会談もありそうだ。日米首脳が発表した共同声明は「台湾海峡の平和及び安定の重要性」と52年ぶりに「台湾」に言及した。外務省幹部は「大国として自信をつけて聞く耳を持たない。今の中国は明らかに異常な国」と警戒感をあらわにする。
ただ、中国は日本にとって最大の貿易相手国で経済界からは関係改善を期待する声もある。菅首相も「中国は隣国で世界第2位の経済大国。安定的な関係にすることは極めて大事だ」と認める。北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題も、解決には中国の協力が不可欠だ。
今後、日本側が対応を迫られるのが、北京冬季五輪に政府要人を派遣するかどうかだ。新疆ウイグル自治区の人権問題を理由に米国内で「外交ボイコット論」が浮上した経緯もあり、日本政府関係者は米国次第で「首脳どころか閣僚も出せないだろう」との見方もある。
新型コロナウイルスの感染拡大を理由に延期した習氏の国賓来日も、感染状況が落ち着けば、国交正常化50年の来年に向け日程調整の再開が課題となる。外務省幹部は日本国内の対中感情を念頭に「習氏が国賓として来日しても、日中友好という状況にはならない」とみており、簡単に結論を出せる状況にはないようだ。
2021年07月04日07時15分
菅義偉首相(写真右)と中国の習近平国家主席(EPA時事)
日本政府は、中国の習近平国家主席が共産党創立100年の記念式典で打ち出した「強国」路線推進に警戒感を強めている。東・南シナ海での海洋進出など覇権主義的行動をさらに進めかねないからだ。2022年は日中国交正常化50年の節目で、延期となった習氏の国賓来日問題や同年2月の北京冬季五輪への対応などの懸案もあり、政府は対中外交で難しい判断を迫られそうだ。
加藤勝信官房長官は2日の記者会見で、中国公船が沖縄県・尖閣諸島周辺海域で繰り返している領海侵入などを念頭に「中国と率直な対話を行い、懸案を一つ一つ解決し、中国側の具体的な行動を強く求めていく」と強調した。一方、国賓来日については「具体的な日程調整をする段階にはない」と述べるにとどめた。
習氏は1日の記念式典での演説で、台湾統一を「歴史的任務」と強調。「中国人民は決して外国勢力の圧迫を許さない」と述べ、米国など民主主義陣営による対中包囲網の動きをけん制した。
習氏の対外強硬路線の背景には、4月の菅義偉首相とバイデン米大統領による日米首脳会談もありそうだ。日米首脳が発表した共同声明は「台湾海峡の平和及び安定の重要性」と52年ぶりに「台湾」に言及した。外務省幹部は「大国として自信をつけて聞く耳を持たない。今の中国は明らかに異常な国」と警戒感をあらわにする。
ただ、中国は日本にとって最大の貿易相手国で経済界からは関係改善を期待する声もある。菅首相も「中国は隣国で世界第2位の経済大国。安定的な関係にすることは極めて大事だ」と認める。北朝鮮の拉致・核・ミサイル問題も、解決には中国の協力が不可欠だ。
今後、日本側が対応を迫られるのが、北京冬季五輪に政府要人を派遣するかどうかだ。新疆ウイグル自治区の人権問題を理由に米国内で「外交ボイコット論」が浮上した経緯もあり、日本政府関係者は米国次第で「首脳どころか閣僚も出せないだろう」との見方もある。
新型コロナウイルスの感染拡大を理由に延期した習氏の国賓来日も、感染状況が落ち着けば、国交正常化50年の来年に向け日程調整の再開が課題となる。外務省幹部は日本国内の対中感情を念頭に「習氏が国賓として来日しても、日中友好という状況にはならない」とみており、簡単に結論を出せる状況にはないようだ。