https://mainichi.jp/articles/20210704/k00/00m/040/235000c
毎日新聞 2021/7/4 21:35(最終更新 7/4 22:22) 1140文字
大規模な土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山の現場=2021年7月4日午前11時42分、本社ヘリから
静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で3日午前に起きた土石流災害で、県は4日、建物の被害が少なくとも約130棟(127世帯215人)に上ることを明らかにした。発生した土石流の面積は東京ドーム約2・5個分に当たる約12万平方メートルに及ぶという。河口から約2キロさかのぼった山中で発生し、全長約1キロ、最大幅は約120メートルだった。行方が分からない安否不明者は依然として約20人に上る。
関係者によると、伊豆山地区に住む鈴木チヨセさん(82)の死亡が4日に確認された。自宅にいたところ土石流に巻き込まれたとみられる。土石流による死者は計3人となった。
この日は13人(重傷1人、無傷12人)が救助され、市などは建物の被害があった130棟の住民の安否についても避難所などで調べている。
地元消防、県警、自衛隊などは午前6時から1000人超の体制で救助活動を開始。海上保安庁は土石流が流れ込んだ海で捜索を行った。熱海市内は4日も天候が不安定で、現場の周辺で小規模な崩落が確認されたことから活動が複数回にわたって中断し、午後6時に終了した。県や市によると、3日の軽傷1人を含む10人と合わせて土石流に関連した救助者は計23人になった。5日も午前6時に活動を再開する。4日午後7時時点で551人が避難所に身を寄せているという。
熱海市の斉藤栄市長はこの日の対策本部会議後で、「2次災害を防がなければならないが、72時間が人命救助の一番大事な時間となる。情報収集、避難所対応など救助活動を支援するためにも持ち場の仕事に全力を挙げてほしい」と強調。熱海市役所で災害対応について協議した難波喬司副知事は土石流の発生と山林開発の関係に触れ、「(土石流と上流部の)開発の影響はあると思う。ただ、今やるべきは捜索活動の安全の確保で、原因究明はその次だ」との意向を示した。市は5日、現場がいずれも校区の市立伊豆山小を休校、熱海中を午前10時登校にする。また、ボランティアセンターを開設し、市や県社会福祉協議会のホームページで詳細を公開する。
一方、静岡県の川勝平太知事は4日にあった全国知事会の緊急広域災害対策本部会議後の記者会見で「崩落現場近くで宅地造成がらみで開発行為があった」と明らかにした。全国知事会の会議で「複数の方から今回の災害と開発行為が影響しているという意見があった。土石流と開発の因果関係は明確でないが、今後、検証したい」との方針を示した。また、「防災の専門家の意見も聞き、全国知事会として森林の乱開発にかかわる国への提言や都道府県と国が協議して対応強化が必要」とも述べた。県の調査によると、現場付近の開発行為による盛り土は土石流によってほとんどが崩落したという。【石川宏、山田英之】
毎日新聞 2021/7/4 21:35(最終更新 7/4 22:22) 1140文字
大規模な土石流が発生した静岡県熱海市伊豆山の現場=2021年7月4日午前11時42分、本社ヘリから
静岡県熱海市伊豆山(いずさん)地区で3日午前に起きた土石流災害で、県は4日、建物の被害が少なくとも約130棟(127世帯215人)に上ることを明らかにした。発生した土石流の面積は東京ドーム約2・5個分に当たる約12万平方メートルに及ぶという。河口から約2キロさかのぼった山中で発生し、全長約1キロ、最大幅は約120メートルだった。行方が分からない安否不明者は依然として約20人に上る。
関係者によると、伊豆山地区に住む鈴木チヨセさん(82)の死亡が4日に確認された。自宅にいたところ土石流に巻き込まれたとみられる。土石流による死者は計3人となった。
この日は13人(重傷1人、無傷12人)が救助され、市などは建物の被害があった130棟の住民の安否についても避難所などで調べている。
地元消防、県警、自衛隊などは午前6時から1000人超の体制で救助活動を開始。海上保安庁は土石流が流れ込んだ海で捜索を行った。熱海市内は4日も天候が不安定で、現場の周辺で小規模な崩落が確認されたことから活動が複数回にわたって中断し、午後6時に終了した。県や市によると、3日の軽傷1人を含む10人と合わせて土石流に関連した救助者は計23人になった。5日も午前6時に活動を再開する。4日午後7時時点で551人が避難所に身を寄せているという。
熱海市の斉藤栄市長はこの日の対策本部会議後で、「2次災害を防がなければならないが、72時間が人命救助の一番大事な時間となる。情報収集、避難所対応など救助活動を支援するためにも持ち場の仕事に全力を挙げてほしい」と強調。熱海市役所で災害対応について協議した難波喬司副知事は土石流の発生と山林開発の関係に触れ、「(土石流と上流部の)開発の影響はあると思う。ただ、今やるべきは捜索活動の安全の確保で、原因究明はその次だ」との意向を示した。市は5日、現場がいずれも校区の市立伊豆山小を休校、熱海中を午前10時登校にする。また、ボランティアセンターを開設し、市や県社会福祉協議会のホームページで詳細を公開する。
一方、静岡県の川勝平太知事は4日にあった全国知事会の緊急広域災害対策本部会議後の記者会見で「崩落現場近くで宅地造成がらみで開発行為があった」と明らかにした。全国知事会の会議で「複数の方から今回の災害と開発行為が影響しているという意見があった。土石流と開発の因果関係は明確でないが、今後、検証したい」との方針を示した。また、「防災の専門家の意見も聞き、全国知事会として森林の乱開発にかかわる国への提言や都道府県と国が協議して対応強化が必要」とも述べた。県の調査によると、現場付近の開発行為による盛り土は土石流によってほとんどが崩落したという。【石川宏、山田英之】