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毎日新聞 2021/11/17 04:46(最終更新 11/17 06:26) 810文字
自動運転でホームに入る上越新幹線の車両=新潟市中央区で2021年11月17日午前1時16分、小川昌宏撮影
新幹線のE7系車両を使ったJR東日本の自動運転試験が17日未明、報道各社に公開された。自動運転は在来線の一部ですでに実用化されているが、新幹線については開発段階にある。新幹線の営業用車両を使った自動運転の試験は全国初とみられる。実用化すれば、運転士不足の解消に役立つと期待されている。
自動運転の試験は16日の営業運転終了から、17日の営業運転が始まるまでの時間を利用して実施。自動列車運転装置(ATO)を搭載し、安全確認を済ませた回送車両が上越新幹線新潟駅―新潟新幹線車両センター間(約5キロ)を走行した。ATOは事前に設定された速度で車両を走行させるため、自動的に加速や減速を繰り返す機能を備えている。運転席には原則としてハンドルを操作しない前提で、不測の事態に備えて運転士が乗車した。
事前の計画によると、実験に使用する車両は12両で、約5キロの区間を3往復し、最高速度は110キロに達する。JR東の担当者は、決められた停止位置に停車できるかや、仮設の指令室からの遠隔操作により列車を緊急停止できるかなどを確認するとしていた。
JR東は将来的に労働力不足が見込まれることやヒューマンエラー(人為的な失敗)を抑制したいことから、運転士のいない状態で運行する「ドライバレス運転の実現」を目標として掲げる。ただ、新幹線の営業用車両を使った自動運転の実用化については、具体的な時期は固まっていない。今回の試験を実施する方針は、2020年11月の定例記者会見で深沢祐二社長が示していた。
JR東の在来線では、常磐線のE233系が綾瀬―取手間の各駅停車で今年3月から自動運転による営業運転を開始した。山手線でも18年12月〜19年1月に試験が実施されている。
新幹線の試験は複数回にわたり実施する予定。JR東は将来的な新幹線の自動運転の実用化に向け、試験の結果を分析し、ATOの改良などをする考えだ。【露木陽介、木下翔太郎】