https://mainichi.jp/articles/20211221/k00/00m/040/036000c
毎日新聞 2021/12/21 20:18(最終更新 12/21 22:07) 856文字
WEB1・海溝型地震のメカニズム.eps
北東北沖の日本海溝沿いとその北に連なる千島海溝沿いで起きる二つの巨大地震について、内閣府は21日、被害想定を発表した。
日本海溝と千島海溝は、太平洋プレートが日本列島を乗せた北米プレートの下に沈み込む所だ。沈み込んでひずみが蓄積されていくと、2枚のプレート間のずれによって、マグニチュード(M)9クラスの超巨大地震になりかねない「プレート間地震」が起きると考えられている。その際、大津波も発生する。
気象庁などによると、太平洋プレートが沈み込む速さは年間約8〜10センチ。駿河(するが)湾から日向(ひゅうが)灘までの海底に延びる南海トラフ(溝状の地形)では、フィリピン海プレートが年間3〜5センチの速さでユーラシアプレートに沈み込んでおり、太平洋プレートの動きがいかに速いかがうかがえる。日本海溝と千島海溝はプレートの境界面がくっつきやすいこともあり、地震の起こる頻度も高くなっている。
日本海溝は、青森県東方沖から房総沖まで続く。2011年の東日本大震災により、宮城県沖を中心に既にひずみが解消されたとみられていることから、今回想定された最大クラスの地震では、宮城県沖を震源域に含めなかった。
さらに、宮城県より南側も、評価できるほどの津波の堆積(たいせき)物がまだ見つかっていないことから、想定震源域から外された。もし、今回の想定より南側が震源になれば、福島県や茨城県、千葉県などでは今回の試算より大きな被害になる。
一方、日本海溝地震と千島海溝地震が連動して起きる可能性はあるのか。想定すべき最大クラスの地震と津波を検討してきた内閣府の有識者検討会は「(これまで起きたかについては)津波の堆積物の資料から、詳細な分析は困難」との見解を示している。このため内閣府は今回、連動した場合の被害を想定していない。
検討会の座長を務めた佐竹健治・東京大地震研究所長は「連動はありえるが、その被害は日本海溝地震と千島海溝地震の大きい方の想定とほぼ変わらないと考えられるので、巨大地震に備えることが大事だ」と指摘する。
毎日新聞 2021/12/21 20:18(最終更新 12/21 22:07) 856文字
WEB1・海溝型地震のメカニズム.eps
北東北沖の日本海溝沿いとその北に連なる千島海溝沿いで起きる二つの巨大地震について、内閣府は21日、被害想定を発表した。
日本海溝と千島海溝は、太平洋プレートが日本列島を乗せた北米プレートの下に沈み込む所だ。沈み込んでひずみが蓄積されていくと、2枚のプレート間のずれによって、マグニチュード(M)9クラスの超巨大地震になりかねない「プレート間地震」が起きると考えられている。その際、大津波も発生する。
気象庁などによると、太平洋プレートが沈み込む速さは年間約8〜10センチ。駿河(するが)湾から日向(ひゅうが)灘までの海底に延びる南海トラフ(溝状の地形)では、フィリピン海プレートが年間3〜5センチの速さでユーラシアプレートに沈み込んでおり、太平洋プレートの動きがいかに速いかがうかがえる。日本海溝と千島海溝はプレートの境界面がくっつきやすいこともあり、地震の起こる頻度も高くなっている。
日本海溝は、青森県東方沖から房総沖まで続く。2011年の東日本大震災により、宮城県沖を中心に既にひずみが解消されたとみられていることから、今回想定された最大クラスの地震では、宮城県沖を震源域に含めなかった。
さらに、宮城県より南側も、評価できるほどの津波の堆積(たいせき)物がまだ見つかっていないことから、想定震源域から外された。もし、今回の想定より南側が震源になれば、福島県や茨城県、千葉県などでは今回の試算より大きな被害になる。
一方、日本海溝地震と千島海溝地震が連動して起きる可能性はあるのか。想定すべき最大クラスの地震と津波を検討してきた内閣府の有識者検討会は「(これまで起きたかについては)津波の堆積物の資料から、詳細な分析は困難」との見解を示している。このため内閣府は今回、連動した場合の被害を想定していない。
検討会の座長を務めた佐竹健治・東京大地震研究所長は「連動はありえるが、その被害は日本海溝地震と千島海溝地震の大きい方の想定とほぼ変わらないと考えられるので、巨大地震に備えることが大事だ」と指摘する。