https://www.sponichi.co.jp/society/news/2022/01/19/kiji/20220118s00042000570000c.html
[ 2022年1月19日 05:30 ]
AIによる特殊詐欺対策装置の流れ
Photo By スポニチ
おいを装って東京都品川区の80代女性に電話し、現金をだまし取ろうとしたとして、警視庁荏原署は18日までに、詐欺未遂の疑いで中学3年の少年(14)=埼玉県草加市=を現行犯逮捕した。女性宅の電話に取り付けられた特殊詐欺対策装置の人工知能(AI)が通話内容を解析し、詐欺の可能性があると判断。区役所に連絡が行き、逮捕につながった。
品川区は詐欺に遭う可能性が高いと警察署が判断した65歳以上の人に装置の試験導入を進めている。女性は以前も詐欺未遂の被害に遭っており、署が設置を持ち掛けた。装置から通知が来た区役所の職員が女性に電話すると「おいからお金を用意してくれと言われた」と話したため、不審に思い、署に通報した。
“お手柄”となった装置は、NTT東日本などが開発したもの。縦22センチ、横15センチ、厚さ5センチの端末で、NTTの固定電話に取り付ける。端末が電話の音声を録音し、リアルタイムで特殊詐欺解析サーバーに転送。AIが言葉を解析し、詐欺電話の可能性が高いと判断すると、数分で登録してある本人や家族の連絡先にメールや自動音声電話などで注意喚起の連絡が入る。NTT東日本によると「NTTの特殊詐欺対策のAI解析装置で逮捕まで至ったのは初めて」という。
荏原署によると、逮捕された少年は特殊詐欺グループで被害者から現金などを受け取る「受け子」とみられ「インスタグラムで知り合った人に、捕まるリスクが低く、お金がもらえると誘われた」と供述している。警察が「だまされたふり作戦」で受け渡し場所で少年を取り押さえた。
逮捕容疑は何者かと共謀して6日、女性の家に電話を複数回かけ、品川区内の公園で現金を受け取ろうとした疑い。
今回の逮捕は区を通じて設置した装置だったが、後を絶たない高齢者を狙った特殊詐欺対策として、個人でも契約は可能。NTT東日本によると、工事費は設置状況によって変わり、最高8800円。月額使用料は440円だ。2020年11月からサービス提供を開始しており、現在約200件程度の利用があるという。同社広報担当者は「多くの方に導入していただき未然に防ぐことに一件でもお役に立てたら」と話した。
≪録音機を5000台無料貸与≫品川区ではほかにも特殊詐欺対策として自動通話録音機を高齢者世帯に無料貸与。5000台ほどを貸し出しているという。同区の生活安全担当課では「録音機があることを伝えるだけで、相手が電話を切るなど効果はある。AI解析の装置とともに効果を検証し、対策の一つとして活用したい」と話している。
≪「PCが感染」虚偽の警告 サポート詐欺全国初立件≫パソコンがウイルス感染したという虚偽の警告を表示させ、電話してきた女性から対策サポート費名目で約3万円をだまし取ったとして、警視庁サイバー犯罪対策課は18日までに、詐欺の疑いでフィリピン国籍の女と娘ら3人を逮捕した。同課によると「サポート詐欺」と呼ばれる手口で、立件は全国初。同課によると、3人は複数人と共謀して2018年10月〜19年7月、全国の400人以上から少なくとも計2000万円を詐取したとみられる。インターネットの広告機能を悪用し、パソコン画面上に「ウイルスに感染している」「5分以内に連絡をください」などと表示させていたとされる。
≪総額1億3800万円…医師が架空請求被害≫広島県警は18日、福山市の50代男性医師が「NTTファイナンス」のサポートセンターをかたる男らに有料サイトの未納料金を請求され、計約1億3800万円をだまし取られたと発表した。県内で起きた特殊詐欺事件として2013年以降、最多の被害額という。県警によると、昨年10月12日、男性の携帯電話に「未納料金が発生している」などの内容のショートメールが届き、電話で問い合わせると「情報管理関連の協会に調査させる」と協会職員を名乗る男を紹介され、支払いを求められた。