https://mainichi.jp/articles/20220202/k00/00m/040/058000c
毎日新聞 2022/2/2 11:00(最終更新 2/2 11:00) 1247文字
パワハラ防止措置の義務化について福岡労働局の担当者が説明したオンラインのセミナー=福岡市博多区の日本産業カウンセラー協会九州支部で2022年1月21日午後2時25分、蓬田正志撮影
改正された労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づき、大企業を対象に2020年6月から先行して義務化されたパワーハラスメント防止措置が、今年4月から中小企業でも義務化される。雇用契約を結んでいれば、NPO法人や労働組合も対象になる。国内の企業数は99・7%(16年)を中小が占めており、改正法への対応が急務となっている。【蓬田正志】
「労働者を1人しか雇っていない職場も対象になります。労働者は正規雇用だけでなくパートタイマー、契約社員も含みます」「職場とは事業所や出張先だけでなく、勤務時間外の懇親の場も含まれる場合があります」
1月21日、福岡県内の経済団体や労働団体でつくる「働き方改革推進協議会」主催のセミナー。福岡労働局の屋敷智子指導課長がオンラインなどで参加した経営者ら約50人に制度を説明した。受講した社会保険労務士の大城悦徳(おおぎえつのり)さん(61)は「規模が小さい事業所ではパワハラ対策の意識がまだ十分でない所もある。あらゆるハラスメントは職場環境を悪化させる要因になる。人材定着の観点からもアドバイスしていきたい」と話した。
同局が受けた、いじめや嫌がらせを含むパワハラ相談は▽18年度2136件▽19年度2682件▽20年度2733件――と増えており、全国的にも増加傾向だ。中小企業の社員が教育係の先輩から日常的に大声で怒鳴り散らされ、相談した上司が「聞き流せ」と対応しなかった、などの相談が寄せられ、同局が企業側に助言、指導する事例も増えているという。
パワハラ防止法に基づき厚生労働省が定めた指針では、事業主が必ず実施する措置として、▽ハラスメント行為への対処方針と対処内容を就業規則などの文書に規定▽相談窓口を設置して労働者に周知▽当事者らに事実関係を迅速に確認▽再発防止策の実施▽相談や事実確認に協力したことを理由に不利益な取り扱いをしないことを周知――など10項目を設けている。派遣労働者がいる職場では派遣元だけでなく派遣先も防止措置を取ることが必要。措置を怠り厚労省による再三の指導や勧告に応じなければ企業名が公表される場合もある。
同局によると、相談窓口は外部の顧問弁護士や社会保険労務士に委託することも可能。ただ屋敷指導課長は「窓口を置いただけでは意味がない。マニュアルを整備したり、担当者に研修を受けさせたりして、相談があれば対応できるよう備えておくことが重要だ」と指摘する。
男女雇用機会均等法などに基づき、07年から不必要な性的言動で苦痛を受けるセクシュアルハラスメント▽17年から妊娠や出産、育児休業を理由として不利益な取り扱いを受けるマタニティーハラスメント――について防止措置を取るよう全ての企業が義務づけられた。同局は「相談の中には複合的なハラスメント被害の訴えもある。事業所側が一元的に対応するのが望ましい」としている。
各都道府県にある労働局雇用環境・均等部(室)ではハラスメント防止措置について、企業からの相談も受け付けている。
毎日新聞 2022/2/2 11:00(最終更新 2/2 11:00) 1247文字
パワハラ防止措置の義務化について福岡労働局の担当者が説明したオンラインのセミナー=福岡市博多区の日本産業カウンセラー協会九州支部で2022年1月21日午後2時25分、蓬田正志撮影
改正された労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づき、大企業を対象に2020年6月から先行して義務化されたパワーハラスメント防止措置が、今年4月から中小企業でも義務化される。雇用契約を結んでいれば、NPO法人や労働組合も対象になる。国内の企業数は99・7%(16年)を中小が占めており、改正法への対応が急務となっている。【蓬田正志】
「労働者を1人しか雇っていない職場も対象になります。労働者は正規雇用だけでなくパートタイマー、契約社員も含みます」「職場とは事業所や出張先だけでなく、勤務時間外の懇親の場も含まれる場合があります」
1月21日、福岡県内の経済団体や労働団体でつくる「働き方改革推進協議会」主催のセミナー。福岡労働局の屋敷智子指導課長がオンラインなどで参加した経営者ら約50人に制度を説明した。受講した社会保険労務士の大城悦徳(おおぎえつのり)さん(61)は「規模が小さい事業所ではパワハラ対策の意識がまだ十分でない所もある。あらゆるハラスメントは職場環境を悪化させる要因になる。人材定着の観点からもアドバイスしていきたい」と話した。
同局が受けた、いじめや嫌がらせを含むパワハラ相談は▽18年度2136件▽19年度2682件▽20年度2733件――と増えており、全国的にも増加傾向だ。中小企業の社員が教育係の先輩から日常的に大声で怒鳴り散らされ、相談した上司が「聞き流せ」と対応しなかった、などの相談が寄せられ、同局が企業側に助言、指導する事例も増えているという。
パワハラ防止法に基づき厚生労働省が定めた指針では、事業主が必ず実施する措置として、▽ハラスメント行為への対処方針と対処内容を就業規則などの文書に規定▽相談窓口を設置して労働者に周知▽当事者らに事実関係を迅速に確認▽再発防止策の実施▽相談や事実確認に協力したことを理由に不利益な取り扱いをしないことを周知――など10項目を設けている。派遣労働者がいる職場では派遣元だけでなく派遣先も防止措置を取ることが必要。措置を怠り厚労省による再三の指導や勧告に応じなければ企業名が公表される場合もある。
同局によると、相談窓口は外部の顧問弁護士や社会保険労務士に委託することも可能。ただ屋敷指導課長は「窓口を置いただけでは意味がない。マニュアルを整備したり、担当者に研修を受けさせたりして、相談があれば対応できるよう備えておくことが重要だ」と指摘する。
男女雇用機会均等法などに基づき、07年から不必要な性的言動で苦痛を受けるセクシュアルハラスメント▽17年から妊娠や出産、育児休業を理由として不利益な取り扱いを受けるマタニティーハラスメント――について防止措置を取るよう全ての企業が義務づけられた。同局は「相談の中には複合的なハラスメント被害の訴えもある。事業所側が一元的に対応するのが望ましい」としている。
各都道府県にある労働局雇用環境・均等部(室)ではハラスメント防止措置について、企業からの相談も受け付けている。