韓国メディアは、日本アニメの予期せぬ快進撃を見守りながら、その理由を分析する一方で危機に陥った韓国映画界への懸念を示している。
・このままでは上映する韓国映画がなくなる
その一方で、日本アニメブームの背後にある最悪の不振に陥った韓国映画界への診断も出てきている。
代表的な映画雑誌の「シネ21」は、「今、日本アニメーション突風が特に目立って見える理由は、他の映画の不振のせいが大きい」と指摘した。
「韓国の今年3月までの劇場観客動員数は2514万人で、これはコロナパンデミック以前の2019年同期(5507万人)に比べて半分にも満たない水準だ。
特に問題視すべきは、韓国映画そのものへの不信が学習されているという点だ。
長く続いている市場の低迷、大作映画の相次ぐ失敗が重なり、今、劇場街で公開されている映画はいわゆる‘古い映画’ばかりだ。
公開タイミングを逃した作品はトレンドから遠ざかり、韓国映画の過去の悪習だけを繰り返している」
(「シネ21」電子版4月13日〈今の日本アニメブームを振り返るべき理由〉)
ー中略ー
・途方もない「赤字」と投資の減少
だが、これは映画界だけに限った話ではない。ドラマ制作会社の代表である筆者の知人は現在、韓国ドラマ界でも映画界と同じような低迷シグナルが出ていると懸念している。
「ドラマ界もここ数年、制作本数が目立って減っている。制作費は爆発的に増加する反面、OTTなどのプラットフォームが投資を減らしているためだ。
韓国ドラマの平均制作費はすでに1話当たり10億ウォン(約1億円)を超えている。
製作費を引き上げている最大の要因は俳優や作家などのギャラで、トップ俳優が出るとなれば、1話当たりの製作費が30億ウォンを超えるケースも珍しくない。
ところが放送局やOTT(オンライン動画配信サービス)は、制作投資金をますます減らし、今はかつての半分の水準にまで至っている。
膨大な赤字が明らかに見える状況でも製作を続けているのは、まるで時限爆弾を抱いて働く心境だ」
投資が減る理由は、途方もない「赤字」のためだ。
2022年、韓国の4大OTT企業の中で「TIVING(ティービング)と「Wavve(ウェーブ)」は、並んで1200億ウォンを超える赤字を記録し、
「watcha(ワッチャ)」はM&A市場に売り出されているが、買おうとする企業がない状態だ。一番遅くOTT市場に参戦した「coupang play(クーパンプレイ)」も赤字が予想される。
伸び悩んでいる利用者数に比べ、ドラマ制作費の暴騰にともなう諸費用の上昇で、赤字の規模が雪だるま式に増えているというのが業界の診断だ。
・あのネットフリックスまでもが…
放送局の事情も同じだ。「愛の不時着」などの話題作を最多く放映している韓流ドラマの代表的なプラットフォームである「CJ E&M」をはじめとする
すべての放送局が昨年からドラマの編成枠を減らしている。そのうち、何社かはリストラの嵐で社員たちが動揺しているという噂も業界から聞こえているそうだ。
韓国ドラマに攻撃的なまでの出資をしてきたネットフリックスでさえも、ここ最近、韓国ドラマへの投資を減らしているという。
「ネットフリックスの韓国コンテンツへの投資が、オリジナルドラマの制作から、韓国の放送局で放送されるドラマの海外版権だけを買う方式に旋回している。
ドラマ制作の10%程度の費用さえ持てば、海外版権が確保できるからだ。
いずれにせよ、韓国ドラマは日本をはじめとしたアジア市場や、中南米などの新興市場を狙ったコンテンツなので、
ネットフリックスとしてはオリジナルシリーズにこだわる必要がない」(ドラマ制作会社代表)
過去の栄光と人気に安住するコンテンツでは、絶えず新しさと楽しさを追求する大衆を満足させることができない。 金 敬哲(ジャーナリスト)
https://news.yahoo.co.jp/articles/220793af0cbd8642a87dc9442371967bb21d0378