桜を見る会の私物化問題で安倍首相への批判が強まると、ネットでは、国会で追及に立つ野党議員や、首相に批判的なテレビ番組を攻撃する書き込みが拡散している。
そうした安倍擁護のネット論調を主導するための組織が、「自民党ネットサポーターズクラブ」(J-NSC)だ。自民党が野党時代の2010年に設立したボランティア組織で、「ネトサポ」と呼ばれる。
ネットの政治情報に詳しいジャーナリスト・梶田陽介氏が語る。
「J-NSCはネットで自民党に有利な書き込みをする組織ですが、野党や批判勢力に対するネガティブキャンペーンの中心にはその会員がいるとみられている。
J-NSCが宣伝工作の実働隊とすれば、司令塔ともいえる組織が自民党のネット監視チーム「T2(Truth team)」である。
自民党は2013年のネット選挙解禁に合わせてこのチームを組織し、大手IT企業などと技術提携してソーシャルメディア投稿監視サービスなどを導入した。T2は自民党ネットメディア局の議員、
党職員やネット監視の専門業者のスタッフなどをメンバーとして24時間ネットを監視し、自民党に不利な書き込みを見つけるとただちにプロバイダーに削除を要求する活動を行なっている。
自民党がJ-NSCのボランティア会員をどのように指導しているかを物語る映像がある。前回の総選挙前(2017年10月6日)、自民党は党本部でJ-NSCの緊急集会を開き、ニコニコ生中継で中継された。
自民党にとってJ-NSCはネット選挙の重要な集票組織でもあり、緊急集会は会員に「選挙活動でやってはいけないこと」を解説する目的で開かれた。
その時のやりとりだ。
会員の1人は、自分が画像入りで「従軍慰安婦像の辻元清美」「やっぱり誹謗中傷になるでしょうか」と質問した。
すると当時の自民党ネットメディア局長の平将明・代議士は笑いながらこう語ったのだ。
「あの、個人のご判断だと思います、はい」
これでは、野党への誹謗中傷を煽っていると言われても仕方ないだろう。その日の緊急集会にはサプライズがあった。
街頭演説を切り上げ安倍首相が登場したのである。首相は「ウォー」という歓声の中で、「ネットサポーターズの皆様には、日頃、自民党をしっかりと支援をして頂いていますこと、
厚く御礼を申し上げたいと思います」と挨拶