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集団指導制の行方は内政の闘いに直結
苦境に追い込まれた中国が姿勢を抜本的に変える可能性はあるのか。あるとすれば、重要なのは、共産党政治局常務委員会だ。
意見が割れた場合、多数決方式の表決で物事が決まる。前段で触れたように一枚岩にみえる表向きと違って内部には様々な意見がある。
計7票の表決で賛成3、反対3に割れるなら、最後の1票が全てを決める。立ち位置を変える選択は理論上、ありうる。
それが、独裁を排する集団指導制の真骨頂だ。それでも方向転換は簡単ではない。最大の問題は、中ロ連携強化が、習の主導する路線であることだ。
「集中統一指導」の名の下、トップダウン決定を志向する習にとって、表決の結果、自らの思いとは違う路線に乗り換えるのは政治的な敗北に近い。
しかも、それはケ小平時代からの伝統である集団指導制への回帰を加速しかねない。
外交・安全保障問題で習が着々と築いてきた仕組みに穴があけば、経済を含めた他の重要事項でも習主導で決めてきた路線の変更が容易に起こりうる。
これは党大会に向けた極めて大きな内政上の闘いと無関係ではない。
北京冬季パラリンピックは4日に開幕する。その時、ウクライナはどうなっているのか。
ウクライナでの戦いは、結果的に北京冬季五輪が誘発した。
プーチンは、北京冬季五輪の開幕日の中ロ首脳会談で中国が離反できないよう布石を打ち、閉幕後、衆人環視のなかで侵攻に踏み切った。
ウクライナの首都キエフからの情報によると、ベラルーシで開かれたロシアとウクライナの両国代表団による停戦を巡る対話が終わった後、キエフ近郊への着弾とみられる大爆発音が響きわたった。
北京冬季パラリンピックが、しびれを切らしたロシア軍によるウクライナ市民への激烈な攻撃の中で開幕するなら悲劇である。
ロシアの蛮行を事実上、放置する中国、とりわけ習の責任は極めて重大だ。