素人レベルからでも投稿できる小説スレです
ただし投稿作品に対するすべての中傷は禁止です
投稿者は多大な時間と労力をかけて
作品を投稿していますのでご協力をよろしくお願いします
この度小説スレと原案ありスレを統合しました
以下は原案ありの簡単な説明です
インスパイア、オマージュ、パロディ、パクリ、何でも結構です。
その原案も小説、戯曲、映画、テレビドラマ、マンガ以外にも、ルポルタージュやテレビのドキュメンタリーとかでもかまいません。
テーマだけでもOK、冒頭だけでもOKです。
少しでもかすったから原案ありだと書いた当人が主張するのなら、そう見なしてあげましょう。
「『パクった』と言ってるけどさ、全然パクってなく、それはお前のオリジナルじゃん」という非難はやめましょう。
あとは作家さん各々の良心に従い思うままに書いてください
最後に、このスレの投稿される作品はすべてフィクションであり
実在する人物や団体や建物等との関係は一切ありません
VIPQ2_EXTDAT: checked:vvvv:1000:512:----: EXT was configured VIPQ2_EXTDAT: default:vvvvvv:1000:512:----: EXT was configured
これで良かったですかね?
一応前スレのまんまですが
【 】が片方抜けてました
すいませんm(_ _)m
ですが、よければここを……
>>4
ありがたく使わせていただきますm(__)m 【このスレにかかっている2つの呪い(笑)について】
◆文字数制限◆
スレの性質上、長文レスが多くなることが災いして、スレの途中から1レスあたりの文字数制限が発動します。
この制限はスレが進むにつれ更にどんどん厳しくなり、最終的には1レスあたり3〜5文字までになる予定(笑)
この呪いに対抗する術はありませんので、発動後は、長い作品の場合は適宜分割レスを活用してください。
また、この制限がある程度進んだところで次スレが立つかも。
◆埋め立てですか?◆
ある程度の長文のレスがいくつか続くと(目安としては4〜5レス程度)、このようなメッセージが出て次に長文レスが書き込めなくなる事態が出現します。
この場合は1回短いレスを挟むと、また書き込み可能になります。
自分自身で書き込んでもOKです。
「俺君、リサハオレノヨメの預託料が足らないって美浦の堀先生から電話あったよ」
1日の肉体労働を終えた俺とその他3人組
夕飯の準備をして待っててくれた三蔵法師こと徳誰の時の制服を着た理佐ちゃんがお出迎えだ
我々の関係性についてはチワンさんが貼ってくれた原案アリの過去スレを見てくれ
「いっけねえ、口座に金入れとくの忘れてた」
ってうっかり者な俺
リサハオレノヨメってのは俺が理佐ちゃんから譲り受けた父にディープインパクトを持つ良血馬だ
先日の共同通信杯をぶっこ抜いてクラシックの最有力候補に躍り出たばかりだ
「あとさ、生活費もなくなっちゃう」って理佐ちゃんが財布見せる
「なんか金儲け考えるか」ってひとりごちる俺
そんな俺を心配そうに見つめる理佐ちゃん
「理佐ちゃん、心配しなくてももう人を騙したりするようなことはしないよ」優しく語りかけ理佐ちゃんを安心させる俺
「うん、俺君のこと信じてるよ」って可愛くうなずく理佐ちゃん
そして翌朝
「みんな怪我だけは気をつけてね」
理佐ちゃんの優しさに送り出されて仕事に向かう俺とその他3人組
「俺君、いつまでお師匠様に黙ってるんですか?」手を振る理佐ちゃんが見えなくなるのを見計らって悟空が聞いてくる
「一生言わねえよ」って車を運転してる八戒の頭に足を乗せて体を伸ばす俺
「お前らも絶対理佐ちゃんに言わねえで墓まで持ってけよ」悟空、八戒、カッパの3人にクンロク入れる俺
天竺を目指す旅の途中で資金が底をついた三蔵一行
理佐ちゃんにひもじい思いをさせたくない、いやいやむしろ贅沢な旅をさせてあげたい
そんな理佐ちゃんファーストな俺はあっさりドロボウ稼業に転向したってわけだ
そして今日も街の外れから街の中枢にある銀行の金庫に向かって穴堀りしてる俺
「俺君いつまでこんなことするんですか?昔みたいに水商売したり弱者を食いもんにして稼ぎましょうよ」って性根の腐った八戒
「ダメだよ、理佐ちゃんと人を騙すような真似はしないって約束したから」理佐ちゃん絶対主義の俺はここらへんは絶対にぶれない
「ドロボウも詐欺と変わりまへんやろが」って嫌みを言うカッパ
「こらっ!お前一番の新参者が意見言ってんじゃねーぞ、この野郎、お前が理佐ちゃんの尻小玉抜いたの許したわけじゃねえぞ」って凄む俺
そんな俺のために理佐ちゃんが作ってくれたお弁当
蓋を開けると今日も海苔とおかずでハートマークと頑張って!
なんて書いてありそうだから好き
さっそく投稿させていただきましたm(__)m
原案ありスレで書いてた西遊記をベースにした「三蔵な理佐ちゃん」です
「ねぇ、帰ったら?顔色悪いよ?」
「すいません。」
今朝から妙に身体がだるかった。だけど、講義を休むわけにはいかない。うちの大学は欠席に厳しいのだ。それに、今日は同好会があった。尚更休めない。
僕は奈々未さんに頭を下げると部室を出た。しかし、どうしてだろう。身体が重たく、なかなか前に身体が進まない。
「送ってく。」
奈々未さんの声が後ろから響く。
そこから先は意識が朦朧としていたのでよく覚えていない。
タクシーのなか。奈々未さんに住所をぼそぼそと言って聞き返されたこと。アパートの鍵を開けてくれた奈々未さんの腕につけられた古い時計のこと。
ここしか覚えていない。
意識がはっきりとした頃。 僕はアパートの部屋にあるみなれたベットに寝ていた。
部屋は昏い。何時かはわからない。
「目、覚めた?」
傍らには奈々未さん。
「すいません。」
起き上がろうとした僕に寝てていいから。
と僕を寝かした。
「もう。あんまり無理するなよ。」
そう、微笑んでTシャツの袖を捲って台所へ向かった。
しばらくして出てきたのはたまごがゆだった。奈々未さん曰く、
「風邪の時はこれがいちばん」らしい。
なぜか。僕は風邪の時でも食欲はおちない。ものの数分で平らげてしまった。
食べたあとはすぐ眠くなりぼくはとろんと眠ってしまった。
朝。日差しが眩しくて目が覚めた。
奈々未さんは僕のベットに突っ伏して寝ていた。
その寝顔を、見ると改めて奈々未さんの整った顔立ちに気づく。しばらくずっと見ていると、背伸びをして奈々未さんが起きた。僕は慌てて寝たフリをした。
「体の具合どう?」
奈々未さんは額に手を当てる。
気がつけばすっかり体も楽になっている。
「うん、大丈夫だね。」
奈々未さんは頷く。
「じゃ、私かえるから。」
部屋の隅に置いたバックを持って出て行く奈々未さん。
「あ、あの。」
「ん?何?」
「あ、ありがとうございます。」
奈々未さんはニヤッと笑って去っていった
てち「さてさて。何度目の登場か?どうも平手友梨奈です。」
飛鳥「どうも。」
てち「はじめまして!モーニングムーンめっちゃ好きなんです!」
飛鳥「そっちのASKAじゃねーよ。というかみんな知らないでしょ。」
てち「ところでなぜここに飛鳥さんが?」
飛鳥「知らねーよ。こっちが聞きたいよ」
てち「一応カンペがありまして、どれどれ」(目を離す)
飛鳥「老眼かよ」
てち「そうなんです!この前も小学生に間違われちゃって」
飛鳥「童顔じゃないから」
AD、巻きの合図
飛鳥「ほら、早くして」
てち「えー。さて地平線の名前、どんどん物語は進んでいきますが、作者の千葉県が煮詰まったため物語が進みません。ですが、どうやら今後出てくる登場人物のメモはあるのでそれを紹介しよう!とのことです」
飛鳥「ていうかいいのそれ。」
てち「本人的にはいいらしいです。しかもメモ通りに物語が進んだ試しがないので構わないと。」
飛鳥「尚更だめじゃねーか。」
てち「ま、暇つぶしに紹介しましょー」
飛鳥「さて、さっき乃木坂から、俺の嫁ことななみんが登場しましたが、乃木坂のメンバーはまだまだ登場人物します。それは」
若月「はーい、若月佑美です」
飛鳥「若はどんな役なの?」
若月「それ、良いのいって?」
てち「それはしーっ!だそうで」
若月「ですよね。」
てち「あっ、ところではじめまして!ユーモアスピーチコンサルタントの」
若月「若林じゃないから。別に私若林受け継いだ訳じゃないから。」
てち「さて、欅ちゃんもどんどん登場しますよー、」
若月「無視かよ。」
てち「えっ、時間ない?」
飛鳥「ASKAのくだりがいらなかったんだよ」
てち「どこかでゆいぽんも登場しますお楽しみにー!」
「届きましたね」
トンネルの天井部分に手を伸ばして確認した悟空が報告する
同時に歓喜の凱歌をあげる俺と理佐ちゃん親衛隊の3人
この街にやって来てから3ヶ月
ついに銀行の金庫の真下にたどり着いた
「あとは夜中に来てお宝を頂戴するだけだな」って全員とハイタッチする俺
「あれ、どうしたのこんな時間に?」いつもより早い俺の帰宅にちょっと嬉しそうな理佐ちゃん
人見知りな理佐ちゃんが慣れない街で寂しい思いをしてることを知ってる俺だ
「段取りの都合で夜中まで待たなきゃいけないんだ」
「本当に?」やっぱり嬉しそうな理佐ちゃん
「みんなは?」
「どうせなら理佐ちゃん誘って食事会したいなんてあいつらが言いだしてさ、
俺が迎えに来たってわけ」なんて肩を竦める俺
「わあ、ありがとう」って喜ぶ理佐ちゃん
「じゃあさ、パレード見に行こうよ」なんて言い出す理佐ちゃん
「パレード?」
「うん、お姫様が宰相と婚約したからその記念パレード」なんてはしゃいでる理佐ちゃんには逆らえない俺
「まだ悟空ちゃんたち来てないみたいだよ」人混みに流されそうになりながらも悟空たちを探す理佐ちゃん
「しかし、凄い人だな」って苦笑いしながら人混みに流されてきそうな理佐ちゃんの手を握る俺
「仕方ないから2人でパレード見ようか?」
俺の提案に握った手に力を込めることで返事する理佐ちゃん
「俺君来たよ」お姫様クラリサと婚約者を乗せた車が近づいてくる
「理佐ちゃん・・・」お姫様のクラリサが愛しの理佐ちゃんそっくりで驚く俺
驚く俺の横で綺麗なんて呟くたまに天然の理佐ちゃん
しかし、クラリサは確か俺の理佐ちゃんと同じ年だからまだ18なんだよな
宰相はどう見ても50越えてたよな
なんだかきな臭いな、陰謀の匂いがぷんぷん漂ってるぜ
そんなこんなで悟空たちと合流した居酒屋
「私もあんなティアラ欲しいな」なんて呟く理佐ちゃん
「それよりお姫様の顔、理佐ちゃんそっくりだった」って直球な俺に
「お世辞言ってんじゃねーよ」ってドス効かせる理佐ちゃんだけど
お姫様とそっくりって言われて嬉しさ隠しきれてないから好き
>>12
ちょっとルパン三世のカリオストロの城を取り入れてますw >>11
煮詰まってる時って脳の無意識な部分が勝手に物語を作り始めてるから無意識に委ねてみるのも面白いかも
意識で書いてるとなかなか物語が動き出さないから袋小路に入ってしまう人が多いみたいです
出過ぎたこと言ってたらすいませんm(__)m 時計の針がコチコチと退屈そうに動く。ページをめくる乾いた音とエアコンの唸り声だけが響く。ブラインド越しの校庭を、眺める。サッカーボールを追いかける部活の生徒たち。
図書館のカウンター。図書委員の僕と由依。由依は髪を耳にかけながらまだバーコードを貼ってない新刊図書を読んでいる。まだ、誰も読んでいない新しい本を読めること。それが図書委員の醍醐味だ。僕も由依の横顔をちらっと見たあとカウンターに積まれた、本の1冊を手に取る。
フィルムコーティングされたばかりの表紙はまだ気泡が付いている。それを潰すと、パラパラとページをめくる。鼻腔に侵入する紙とインクの香り。
今年の夏、刊行された本。たしかこれ本屋大賞にノミネートされてたっけ。300ページはある。僕はちらりと時計を見る。まだ、時間はある。
「ねぇ、」
由依が僕の肩を叩く。
大げさにびっくりした僕に(昔からの悪いくせだ)、由依は口に手を当て、笑った。
「どうしたの?」
僕は由依に訊ねる。
「ん?この本面白いよ。」
由依は書店のカバーが掛かった文庫本を取り出した。気がつけば由依は別の本を読んでいた。
「その本、あげる。」
「いいの?」
「うん。誕生日でしょ?明日。」
「だけど、ほんとに」
「いいのいいの。」
「じゃあね。」
文庫本を押し付けるようにして出てった由依。扉の閉まる音。時計を見るとそろそろ閉館の時刻。僕はカウンターからまわりを見渡す。もう誰もいない。由依を追いかけるようにして僕は図書館を出た。
「ただいま。」
家に帰ると姉がクシャッとした笑顔でおかえりなさいと出迎えてくれる。料理が上手で、優しくて、だけどちょっとドジな姉。姉は周りから聖母と呼ばれている。
自分の部屋に行き制服を脱ぐ。するとすかさず姉から
「制服シワになるからちゃんとたたんでよー!」
と階下から聞こえる。
「わかったよー!」
僕はいう。
暫くしてから僕はベットに寝っ転がり、由依がくれた文庫本を取り出した。
汚れちまった悲しみに 中原中也
中原中也。どこかで耳にしたことのある名前だ。なぜこの本なのだろう。考えながら、ページを捲る。
「ちょっと聞いてるの?」
耳元で突然姉の声がした。
「えっ、姉ちゃん?」
「えっ、じゃないでしょ。もう何回呼んだと思ってるの」
気がつけばもう夜9時。ずっと中原中也の世界に浸っていた。
「ごめん。」
「ご飯。できたから。早く」
「うん。」
姉が部屋を出る。軽くため息をつく。
なぜ由依がこの本をくれたのか。まだ分からなかった。
最後のページ。
「きっと君にはこの本が似合うはず ずっと君が好きでしたゆい」
黒いボールペンに女の子らしい文字が恥ずかしそうに並ぶ。
僕は文庫本を黙って抱きしめた。
翌日。学校に行くと、君はいなかった。転校したと朝のホームルームできいた。
僕は窓の外をみた。規則正しくならぶ校庭の木々。外は晴れなのに雨が降る。
由依の仕草、声。頭のなかで蘇る。
続きをかいたけど、すごい重たい話になった。実体験を含ませたせいだ。。
「なにその切ない話」
昼下がりのカフェ。大学生になった僕は文学部の仲間と思い出話に浸っていた。
僕の話をしたあと、守屋さんはまっさきにそう言った。
「んで、そのあとはどーなったの?」
設楽さんはパンケーキを切り分けながら言った。
「いや、そのあとはないです。」
「ないって、それで終わりってこと?」
「はい。」
「すげー悲しいじゃんそれ。」
うなづく周り。
「その子はそれ以来あってないの?」
渡邉さんが訊ねる。
「はい。行先も言わなかったみたいで。」
僕が話しえたあと、まっさきに喋り始めたのは同じ2年の守屋茜。僕と同じ文学部、文芸創作コース専攻。
パンケーキを頬張るこの人は設楽統。文学部の教員。そのフランクさ故か。学生に人気がある。よくこうして学生とカフェで甘いものを食べて喋り倒している。
渡邉理佐は1年。守屋と同じ高校を卒業している。つまり守屋の後輩。
そして。アイスコーヒーをひたすらかき混ぜている彼女。彼女は渡辺梨加という。僕は高校三年間、同じクラスだった。
つまり、由依とも同じクラスだったわけだ。
高校にも。そしていまも、わたなべという名前をもつものが複数いたので僕はずっと梨加と呼んでいる。梨加は人前だとやたら緊張し、無口になるが、こうして仲のいい人といる時はおしゃべりになる。がしかし今はひたすらアイスコーヒーをストローでかき混ぜている。
「梨加,どうしたの?」
「由依ちゃん元気かなと思って。」
「どうだろうね。」
設楽さんの友達、日村さんのバカ話をよそに由依のことを話す二人。
「由依ちゃん。静かで、優しくて。だけどいつもどこか寂しそうだった。窓きわの席でひとり。」
梨加がポツリという。
由依はどこかクラスメイトと離れ、一人だけの世界を作っていた。僕もそうだった。だから由依と話があったのかもしれない。
梨加とは同じクラスでよく話す、数少ない女子だった。梨加もまた優しい子だ。人の心がわかる、傷ついた僕の心を、何度も癒してくれた。
由依は高校一年生の冬に転校した。突然。だったかもしれないが、もともとあまり話すクラスメイトが居なかったせいか、翌日にはその存在は忘れられていった。だけど、僕は忘れられなかった。
あれから僕は中原中也の文庫本を持ち歩くようになった。制服の少し広めのポケットに。
いまもその文庫本はカバンの中にある。こんなに未練たらしい男もめずらしい。だが、それくらい好きだった。いまなら躊躇うことなく言える。
文庫本をパラパラと捲る。少し角が折れている。6ページ目はかすかに破けている。
高校二年生。
クラスメイトに虐められていた。誰に?ほぼ全員だ。無視、バイ菌扱い。些か子供っぼいと思うが、僕の心は修復不可能なまでに傷ついた。
文庫本の傷はあるクラスメイトに取り上げられた時のものだ。僕は取り上げられた時、ああ、しまった。もう終わりだと思った。あの文庫本は破られ、捨てられるだろう。そう予感した。その時、梨加が声を上げた。
梨加は叫び声ともなんともつかぬ声をあげながら、そのクラスメイトに向かって鋏を振り回した。なぜそうしたのかわからない。僕はただ、それを見ているだけだった。
その鋏は額に当たった。額からは赤い点がつき、やがて一筋の線となった。クラスは静寂に包まれた。そのクラスメイトは文庫本を投げ捨て教室を去った。
梨加は僕に駆け寄り文庫本の埃を払って渡した。
「ごめん、ずっと。」
梨加はぽつりと呟いた。
梨加は僕がいじめられてるときも普通に話しかけてくれた。梨加だって虐められてしまう。そう思ったが、なぜか梨加は虐められなかった。後で知った事だが、そのクラスメイトは梨加が好きで、ある日梨加に告白した。
しかしのらりくらりとかわされた。そんなとき。梨加と仲良さそうに話す僕を見つけた。それがいじめの原因だ。そのクラスメイトはクラスカーストの上位にいた。だからほかのクラスメイトは逆うことも止めることもできなかった。そんなことしたら
つぎは自分のばんだからだ。梨加は無視やバイ菌扱いするクラスメイトをよそに僕に話しかけ続けた。だけど、梨加はいじめを止める勇気がなかった。話しかける。それは止められないことへの彼女なりの罪滅ぼしなのか。わからない。
そのクラスメイトはそれっきり学校に来なくなった。以降、いじめはなくなった。
>>40
連投はかまわないんですけど短い文章で多レスになるとあっという間にスレが終わるかなw
他の人の投稿したのもあっという間に流れちゃうしw
それで1レスはなるべく長くってお願いしてたんですよね 良く考えたらここあなたが立てたスレだから好きにしていいやw
うっかり自分で立てたつもりになってたわww
>>25
全然面白いですよ
転校しちゃうとこまで書いたのがじわじわと余韻の残る感じ
続編はぺーちゃんの内に秘めた狂気がw ホワイトデーのお返しを何にしようかと考えながら百貨店の婦人服売り場をうろついていると、
ショーウインドウの向こうで美人な店員がお辞儀の練習をしていた。
僕がしばらく立ち止まっている間、ずっとお辞儀の練習をしていて時より首を傾げている。
その美人店員のことがどうにも気になってしまい、気づいたら片想い。気づいたら店内。
「いらっしゃいませ」
練習よりも固くぎこちない動きでその店員が出迎えた。
小顔のなかに輝く白い歯が印象的で、赤い口紅をより際立たせている。
「あの…女の人のプレゼントを探しに来たんですけど」
店員が緊張していると、こっちも緊張してしまう。
「素敵ですね、プレゼントなんて」
素敵そうな仕草もせず、店員が言った。
「この時期ですと、スカーフなんかもおすすめでございます」
二月の終わりにもなると、もうマフラーの在庫は少ないそうだ。
「これはいかがですか」と薦められたスカーフの値札を見て、来るべき店を間違ったことに気づいた。
別に買えないほどの値段ではなかったが、義理チョコのお返しには少々高い。
しかし、スカーフよりも安いアイテムがこの店内にあるとも思えなかったので、素直にスカーフを買うことにした。
「色はこれだけですか?」
スカーフは紫を基調としたものであり、大人びたデザインだった。
「緑もございますよ」
「じゃあ、緑も見せてもらえますか」
「かしこまりました」
店員はインカムを使って型式とカラーを伝えた。
口をほとんど開けずに意思疎通する姿は見事としか言いようがない。
「この紫も、品があっていいですよね」
商品を待っている間、沈黙するのが嫌だったので、僕はどうでもいいことを話題にする。
「私は紫の方が好きです。何ていうか、”おとしやか”ですよね」
「“おとしやか”?おしとやかのことですか」
「ああ、それです。わざとじゃないですよ」
「お待たせしました」
向こうから緑のスカーフを持った店員が現れた。こちらも美人だ。
しかもよく見ると、それは知り合いの理佐ちゃんであり、チョコのお返しの張本人でもあった。
僕に気づいている様子はない。
「どちらにされますか?あと、お客様、もうそろそろ閉店の時間ですので…」
一人目の美人店員のペースとは違い、やや高圧的だ。
「じゃあ、やっぱり紫で。おしとやかですもんね」
ブティックの冷たい空気に比べれば、初春の大気はまだ温かく感じられた。
むき出しになった茶色い木々は自然な安心感を与えてくれ、冷たい風に生きた心地がする。
信号待ちをしている時だった。
「ねぇ、何で紫選んだの?」
二人目の店員、理佐ちゃんが横にいた。赤信号を見つめながら僕に問いかけた。
「何だ、気付いてたのか」
「当たり前でしょ。この間チョコあげたんだから」
「皆に配ってただろ」
「カムフラージュのためにね。ホントは…」
信号が青に変わる。スクランブル交差点に人がなだれ始める。
僕は理佐ちゃんを見る。理佐ちゃんと目が合った。
「なんてね、今度は緑のスカーフも買いに来てよ」
そう言って片手を挙げて、心中察せないまま人ごみの中に消えていく理佐ちゃんだから好き。
でも、その後に「今日はありがとうございました」なんて言って近寄ってきてくれる最初の店員、なぁちゃんも好き。
おわり
>>41
長くするとすぐ長すぎます!とでるのでついみじかめに。たぶん、セリフが少なく情景描写が多いせいで文字数が多くなって >>47
了解しました( ̄▽ ̄)ゞ
ところで前スレで書いてたあかねんのやつも連作にしてみたら面白いんじゃないですかね
場面は毎度タクシーの中で何故か運転手さんも毎回同じ人みたいな感じで掘り下げたら面白そう >>47
ふと思ったんですが、それってレスの長さじゃなくて
“長すぎる行があります!”
じゃないかしら?
だとしたら途中で改行すれば続き書けますよ
違ったらスマソ >>49
そうなんですね!ありがとうございます。初耳です。 喧騒が戻る。構内のスターバックス。
遠くの方はややオレンジがかった空。
「そう、そんなことがあってから私に頭上がらないの。ねー?」
そういいながら微笑む奈々未さん。悪い顔をしている。
しれっと、空いてる席に座り、キャラメルマキアートを頼んでいる奈々未さん。
「おっと、そろそろバイトだ。」
そういって奈々未さんはキャラメルマキアートを手にスターバックスを出ていった。
「もうこんな時間。」
彼女は時計を見る。汗のかいたグラス。すっかり中身の薄くなった液体。
グラスの中に注がれるオレンジの夕日。
僕はそれを黙って見つめた。
「じゃあ、そろそろ。」
そういって2人はほぼ同時に立ち上がった。
買い物をするという彼女と別れて僕は一人帰路に着く。
溜まった洗濯物を狭いベランダで干していると彼女が話しかけてきた。
「同じですね。」
彼女をみる。僕の部屋のベランダから、彼女の部屋のベランダも見える。彼女もやはり洗濯物を干している。5月の風が彼女の髪を弄ぶ。
その風は僕の体も撫でつける。
「そういえば名前聞いてなかった 」
風にかき消されないように。ボリュームをあげて喋る。
僕もおなじボリュームで名前をいう。
「なんて呼んだらいい?」
「苗字でも 名前でも どっちでもいいです」
「これから、よろしくね。菅井さん。」
僕は精一杯の微笑みをなげかけた。
夜の帳がおりるその時まで二人はずっと楽しそうに話していた。
「箱崎ジャンクションから先3キロの渋滞です。以上日本道路交通情報センターの日村がお届けしました。」
「日村さんありがとうございました。」
「いやー、夏も終わりですね。ってなんかすげージジイみたいだけど。だってもう8月の30だもんね。」
ラジオの声で夏の終わりを知る。
今日が何日で、
明日が何日
なのかすらも思い出せないくらい。
忙しかった。
「すいません。ちょっと冷房下げてもらえますか。」
タクシーの中。
乗った時はちょうど良かったが効き過ぎたのか。
寒く感じる。
梅雨はあけ、
どこまでも青空が広がる夏が訪れた。
ライブ尽くしで、
あの人の顔を思い出すことも少なくなった。
それでいいのだ。
そう思った。
昨日までの台風の中にいるような騒がしい日々はすぎ、
今は漸く落ち着いた。
ながいネオンの縦列。
私は心の中でため息をついて、
溜まったLINEを消化する。
私はすぐLINEを溜めてしまう。
「あかねん、お疲れ」
「あしたオフだからどこかいこー」
菅井からだ。
彼女も忙しかっただろう。
キャプテンとして、周りのことも、色々……
ハア。
ため息が今度は口から出た。
私は思わず、窓の外をみる。
「すいませんね。いつもはこまないのに。おかしいな。」
ボソボソと謝る運転手。
「あっ、いやそんなつもりじゃ。」
軽い既視感に襲われる。
たぶん疲れているのだろう。
ため息で曇ったガラスを指先で拭って、他人事の街並みを眺める。
東京の街はいつだって孤独に感じる。
いや、孤独に感じるのはもしかしたら自分が孤独だからか。
頭を軽くふってネオンの縦列に目をやる。
まだ、長い……
>>53
さっそくリクエストに応えていただき乙ですm(__)m
あかねんの頑張って空回りした後の疲れた感じが出てて良いですw 新宿三丁目。
紀伊國屋書店や伊勢丹などがたちならぶ通りを二人、
すこし間隔を開けて歩く。
彼女は黒いコートの襟を寒そうに握りしめる。僕は右手を少し動かし彼女の手を見つめた。
意外と純情な僕たちは、
まだ手さえ繋いだこともない。
意を決して、僕は彼女の手を握る。
白く、小さい、そして柔らかい。
彼女は少し驚いて
「突然手を握るんじゃねーよ」
という。しかし、握った手を離そうとしないのは
まんざらでもないのだろう。
彼女の名は渡邉理佐という。
同じ高校に通っていて、
いまは大学に進学した。
しかし大学は違う。
僕は昔から絵が好きで、
美術系の大学に行った。
彼女は学校の推薦で私立の女子大に行った。
お互い時間が合わない。大したこともない用事で時は埋められてゆき、本当に大切な用事は後回し。
僕は握った手を僕の着るコートのポケットのなかに入れる。
寒さのせいか、顔の赤い彼女は不機嫌そうに黙り込む。
だけど、不機嫌に見えるだけで本当は恥ずかしいのだと僕は知っている。
「ありがと。」
目も合わさず、こっそりつぶやく。
「今日なに食べたい?」
いつになく嬉しそうな彼女に、
「理佐の好きなものでいいよ」
と微笑みながら言う。
>>54
ありがとうございます。
タクシーシリーズもなかなかいい感じに行きそうです 実はこのタクシーシリーズ
桑田佳祐さんの、東京がモチーフになってます。運転手のイメージも東京のmvの桑田さんです。あかねんのアダルトな感じを出そうとしてみたりしましたがあらぬ方向に滑り出しました笑
「外、涼しくて気持ちいいよ。」
理佐ちゃんに言われて教室からベランダへ。
僕はベランダからサッカーをするクラスメイトを見つめ、ため息つく。
「行かなくていいの?」
「だって、運動ヘタだし」
「そうやって逃げてるからでしょ」
放課後
サッカーに、興じるクラスメイト。
黄昏ているとドアの閉まる音。
気がつけばドアの向こう、鍵を閉める理佐ちゃん。
「えっ、」
といいながらガラス戸を叩く。
するとガラスがすごい音を立てて割れた。
だけど親切にカーテンまで閉めたせいで
理佐ちゃんは無傷。
派手に割れたガラスと
割れたガラスで手を切って、
大量に血を流す僕に涙目の理佐ちゃんはかわいい。
保健室。
生徒に人気の深川先生に手当してもらう僕。申し訳なさそうな理佐ちゃん。
理佐ちゃんに
理佐ちゃんは悪くないよと深川先生の聖母オーラに包まれついそんなことを口走る僕。
包帯でぐるぐる巻きになった手じゃない方をぎゅっと握ってくれる理佐ちゃん。
そのあと職員室で苦笑いしながら担任の土田先生に注意を受けてる時もずっと手を握る理佐ちゃんが愛おしい。
夕方
「ごめんね。」
という理佐ちゃん。
だけど僕はわざわざ職員玄関から来てくれた深川先生の元へ行ってしまう。
「いいの?」という深川先生に
「いいんですよ。」とカッコつける僕に
「深川先生を好きになってんじゃねーよ」と嫉妬する理佐ちゃんがたぶん、世界で一番かわいい。
てち「はい、どーも!平手友梨奈です」
もな「志田愛佳です」
てち「さて新曲のガラスを割れ!を引っ掛けてやりましたねー、この人」
もな「3月7日発売です」
てち「血のにじむような宣伝に感謝ですね」
もな「……」
てち「これ、実は千葉県の実話なんです」
もな「えっ、やば」
てち「しかも大分庭さんに影響を受けてますね」
もな「あの、鑑定士の?」
てち「それは丹羽さん。乃木中のね。マニアックすぎるでしょ。」
てち「理佐ちゃんシリーズの作者ですね。実は千葉県の文体だと大分狂気が滲んだ作品になるので、庭さんの理佐ちゃんシリーズを参考にしたとのことです。」
もな「理佐ちゃんシリーズ大好きなんですね千葉県」
てち「そうなんです」
もな「いやー、庭さんも理佐ちゃんも千葉県のインフルエンサーなんですね」
てち「はい、ということで乃木坂46の新曲インフルエンサー発売中です!」
てちもな「よろしくお願いしますー」
てち「違うでしょ。ガラスを割れ!の宣伝しなくちゃ」
もな「えっ?」
てちもな「改めてガラスを割れ!よろしくお願いしますー!」
>>55
>>58
まだ理佐ちゃんの素晴らしさが描ききれてませんな
まだ理佐ちゃんは早いかな、なんちゃってwww
>>59
ありがとうございますm(__)m ここの板の作者さん全員で同じモデルをテーマに小説を作ってみたいですねー。
>>62
面白そうだけど俺は基本的にインプロで書くからモデルやテーマ決めちゃうと書けなくなっちゃうんだよね
理佐ちゃんだから勝手に妄想が湧いてくれるだけでw
それにモデルとテーマ決めると発想や物語性が限定されちゃうから
空間や人物を描写する能力が高い大阪府さんに絶対勝てないから俺は逃げるw >>63
たしかに……
思いつきで言ってみただけでしたけれど
そうかもしれませんね…… ああ、このメンバーだと負けない
みたいな描写力があればな
>>64
でも大阪府さんとチワンさんはモデルとテーマ決めて書くの絶対得意だと思います
あとたまに書きに来てくれる空さんも得意そう
ぽん民さんは描写力は確かだけどゆいぽんに惚れこみ過ぎてるので他メンだとどうかなw
>>65
描写力は本当に羨ましい >>66
ためしにゆるーい感じで。
ゆいぽんを、テーマに書いていただこうかな……
描写力……ありがとうございます 『内科医なーこちゃん』
頭痛は激しさを増し、視点が定まらない。
アスファルトがうねり、電柱が曲がって見える。
体温は高いはずだが、風が吹く度に背筋が震えた。
帰省中のどの場面でインフルエンザを移されたのだろうか。接触の多い年末は、感染頻度も高くなる。
今年のお正月は寝て過ごすことになりそうだ。
医院の入り口に立った。
年末最後の診察日にも関わらず、混雑している様子はない。とんでもない田舎だからだ。
「こんにちは、初診です」
僕は下を向いて挨拶をした。
「こちらにご記入お願いします」
受付の人は問診票を僕に渡した。若い女の子で白衣を着ていた。
すぐに診察室へ通された。
「どうされましたか」
先ほどと同じ声で、若い女の子が聞いた。
「熱があって、頭痛がします、あとは…」
「あ!久しぶり」
「え?あ、菜々香だ」
全く準備ができていなかった。上がり続ける心拍数を、菜々香に測られた。
「大丈夫?すごいドキドキしてるよ」
「うん、やっぱりインフルエンザかな」
「ちょっと待ってね、もう結果出るから…あ、インフルエンザだね。若いから治りも早いよ」
「そっか、じゃあ大人しく寝てるわ」
「起きなさい、早く。玄関に長沢さんいるわよ」
母さんの声が下から聞こえた。夕べ変な時間に寝たからか、今が何日の何時かわからない。
時計は10時を差していた。知らない間に夜は明けていたということだ。
「昨日、大丈夫だった?」
「ああ、もう治ったよ。それより仕事は?」
「今日から休診だから。ていうかまだ治ってないよ、熱下がったあともウイルスはいるからね」
菜々香と会うのは、僕が卒業式の時に告白して以来だった。
「忙しいから」という意味不明な理由で振られたため、煮え切らない思いがあった。
今では、忙しいと云う理由もよくわかる。
「ごめんね、あの時本当は好きだったんだよ。でも、どうせ付き合えなかったから」
「医者になろうとしてたんだもんな、仕様がないよ」
「ねえ、手繋いでもいい?」
「まだ、ウイルスいるんだろ?」
「医者は耐性があるから、簡単には移んないよ」
僕は菜々香の左手を握った。薬指に硬い感触がした。
「そっか…」
もう遅かった。
おわり
>>66
理佐様と同じで褒められるのは苦手なタイプなんで止めてくださいw
それに、人物描写は庭さんの方が絶対上手いです
>>67
私は人のパロディーを作るの好きなので、ご要望あらば馳せ参じますw 川面に跳ねた石は
波紋を立てて沈んでゆく
それを座りながら、眺める2人の男女。
男の方は
終始彼女のほうを気にしながら、
女の方は川面を見つめながら
なにか考え事をしている。
私はゆっくりとスカートをはらい、
立ち上がった。
私のなかにいる、小さな女の子は
髪を結わえて、踊ってる
私は、親のいいなりでいつだって
うまく生きられない
クラスではおどけたフリをして
笑われている
それが私に与えられた役割だった
蜜柑色の夕日に溶けた
川面を黙って見つめた。
彼は私のことを心配そうに見つめる
「奈那がやりたいなら、やってみれば」
私の名前を心許ないように呼んでから手探りで言葉を漏らした。
「簡単に言わないでよ」
わかっている。
髪は風に乱れ 額にはうっすら汗が滲む
頬には静かに涙が流れた
彼はぎこちない仕草で私を抱きしめる
私はただ彼に身を任せた
柔軟剤の香り、嫋やかな風。
どれくらいそうしてただろう?
彼の肩にもたれる。
15分前のことだ。
乃木坂46の新しいプロジェクト。
1期生募集。
そのオーディションがある。
迷っている参加しようか。
ぽつり呟きながら歩いていた。
本当は、まよってなど、いない。
答えは出ていた
ただ、彼に背中を押して欲しかった
「知りたいの、新しい世界を……」
掠れた声で私は彼に告げる。
「いいんじゃない。」
「ほんと?」
「だって、君の人生だ。好きにしたらいいさ。」
遠くで電車の駈ける音が聞こえる。
微笑む彼の顔が夕日の逆光で眩しい。
草木が奏でる。夕方の優しいメロディ。
手を繋ぎ直した。
太陽は翳りながらも
まだ二人を照らし続ける……
試しに大阪府先生と同じテーマで書いたらどうなるか
【内科医なーこ先生】
なーこ「次の方どうぞ」
患者「お願いしま…うわ!びっくりした」
なーこ「あ…すいませんね。私、可愛過ぎましたか?」
患者「え?あ…確かに可愛い…ですけど…」
なーこ「じゃあ、びっくりしたじゃなくて『うわ!内科医が可愛いやないかい!』くらい気の利いたこと言わないと」
患者「何で診察室でダジャレ言わないといけないんですか。そうじゃなくて、その服ですよ」
なーこ「え?アイスのシミ、残ってます?」
患者「そうでなくて、何で白衣じゃなくて真っ赤なんですか」
なーこ「あ…これね。私も白がいいって言ったんですけどね、母親が勝手に赤を注文しちゃったんで…」
患者「そ…それでこの診察台の毛布と枕がビリビリなんですか…」
なーこ「なぜわかった」
患者「なんとなく…」
なーこ「でもこれはこれでいい点もあるんですよ。血しぶき浴びても目立たないし」
患者「怖いっすよ」
なーこ「で、今日は何の御用ですか」
患者「何の御用って…診察希望ですよ」
なーこ「わかりました。ではまずは財布を見せてください」
患者「財布?何でですか?」
なーこ「いいから早く。…ふむふむ、くしゃくしゃの千円札が6枚ですね」ガタガタ
患者「え…あの…」
なーこ「はい、じゃあこちらがピン札で千円札6枚、確認してください」
患者「何なんですかこれは?」
なーこ「新札希望とおっしゃったから」
患者「その『しんさつ』じゃないよ!それになんで引き出しにそんなお金入ってるの」
なーこ「母のヘソクリです」
患者「大丈夫なのそれ?」
僕もためしに。
今日は珍しく忙しい。
なにせ、二人も診察に来た。
私は突然の同級生の関ジャニ、
いや同級生の患者に動揺して
二人目の患者には母のへそくりで新札に交換してしまった。
古い診察室を見回す。
一応医療機器は新しい。
しかし、椅子やテーブルはかなり年金、
いや、年季が入っている。
ここは知り合いから譲り受けたのだ。
なぜならお金がなかったからだ。
看板もかつてのまま
「虹彦内科医院」
となっている。
まあ、虹彦内科だと勘違いして来る人も多いから当分このままでいいんじゃ内科。
と思っている。
暇だな。私は医療機器を駆使してアイスクリームを作ることにした。
点滴袋のあいたやつに氷と塩、クリームを入れる。
そしてなぜか大量に置いてあるビーカーを器にして頂く。
これがなかなか美味しい
しかし、寒い。
季節を間違えた。
「すいません。」
また来た。アイスクリームを置く。
なーこの一日は忙しい。
【内科医なーこ先生・ビヨンド】
なーこ「おや、39度ありますね。寒気はありますか」
患者「今は大丈夫ですけど夕べは…」
なーこ「ああ…お母さん毎月お辛いんですね」
患者「はい。おかん、生理痛がひどくて…って、違うだろ〜!悪寒戦慄がひどくて、だろ〜!」
なーこ「…腕を上げましたね(微笑)」
患者「必死ですよこっちも」
なーこ「じゃあ、インフルエンザ検査をしてみましょう」
患者「何するんですか」
なーこ「この検査キットで調べます」
患者「それでわかるんですか」
なーこ「きっとわかります」
患者「しょ…しょうもない…」
なーこ「こいつをてめえの汚ねえ鼻の穴に突っ込んでぐりんぐりん言わせてやるぜ」
患者「言葉の割には棒読みだから迫力がないな」
なーこ「じゃあいきますよ」
患者「痛たた…!」
なーこ「フフッ」
患者「やっぱ怖い…」
なーこ「うーん、陰性ですね」
患者「予防注射は受けましたから」
なーこ「あら〜、僕ちん、ワクチン受けたの〜」ナデナデ
患者「どういうダジャレなんすか」
なーこ「じゃあ肺の音を聴きますから胸を開けてください」
患者「あ、はい…」
なーこ「…今度から病院に来る前には乳毛を処理してきてくださいね。彼女いないのはわかりますけど」
患者「やかましいわ」
なーこ「肺の音も異常ないので、お薬出しときます」
患者「ありがとうございます…あの…先生ってよく見ると欅坂46の長沢菜々香さんに似てますね」
なーこ「よく言われるんですよ。おかげで私も欅坂のファンになりました」
患者「あ、僕もなんですよ。先生はいつ頃からファンに?」
なーこ「『ガラスを割れ』っていう曲を聴きまして」
患者「つい最近ですね」
なーこ「はい。内科医だけに、超・新規(聴診器)です」
2人「お後がよろしいようで〜」
パチパチパチパチ
同じテーマと言いながらコメディータッチが過ぎませんかね…
なーこちゃんとの純情を書いた私がバカみたいじゃないですかw
>>72
とは言え、流石ですね
テンポ、流れともに気持ちいいです
>>73
千葉県さん、チワンさんのダジャレウイルスに感染してるじゃないですか
お二人とも、私の物語の要素をしっかり含んでいてくれてて嬉しいです >>75
コントでもいいので、もし書いてくれる人が居たら大歓迎です >>76
いや、やはり差別化は大事かと思いまして(笑)
それに内科医なーこちゃんで発想すると自分の場合どうしてもこうにしかならないんですもの(笑)
でも実を言うとひとつネタを入れ忘れてちょっとだけ反省してます 「ねぇ、今日のけやかけの収録、心霊特集で霊能者来るんだけど俺君大丈夫?スタジオうろちょろして祓われちゃったりしないでよ」
普段は背後霊なんてウザいとか言って邪険に扱うくせに・・・
本当は優しい理佐ちゃん
「大好きだ〜」理佐ちゃんの優しさに感動した俺
鏡に向かってピアスつけてる理佐ちゃんに背後から抱きつくある意味本当に背後霊な俺
しかし、霊体の悲しさ儚くも理佐ちゃんを通り抜けるだけの悲しい俺
「なんか怖いからそこら見物してるわ」
スタジオにいる霊能者から出てるオーラがマジもんなのにビビってスタジオに入らず外に漂うことにした俺
「せっかくだから女優さんの着替え覗きてえな」って吉岡里帆を探す俺
「ちきしょう!吉岡里穂のドラマはチャンネル違うじゃねえかよ」
気づいた時には後の祭りな俺
すっかり夜中で愛しの理佐ちゃんは帰っちゃったみたいだし・・・
うちひしがれてたどり着いた理佐ちゃんの部屋
「もう寝てるだろうから理佐ちゃんのエロい寝姿見よ」
なんて思ったら泣いてる理佐ちゃん発見
「どうした理佐ちゃん、スタッフにイジワルされたのか?」って慌ててかけよる俺
「今日来てた霊能者が私には何にも憑いてないって言うから・・・」
マジか・・・あの霊能者インチキだったのかって己が目の節穴ぶりに驚く俺
「そしたらいつまで経っても俺君帰って来ないから本当に成仏しちゃったのかと思ってないちゃったの・・・」
なんて可愛いとこある理佐ちゃんだから好き
「俺君見てよ、この前遊び行った時の写真に俺君写ってるよ」
理佐ちゃんがスマホを俺に見せてくる
「ここに写ってんの俺君だよね」
見やすいように画像を拡大してくれる理佐ちゃん
なのに俺ときたらスマホを覗き込むふりして理佐ちゃんの胸チラに夢中だ
「ねぇ、見てる?」何かを察知したのか眉間にしわを寄せて俺を睨む理佐ちゃん
「どこ見てたの?」ってむくれる理佐ちゃん
「胸元見てました」背後霊になってからはウソつかない俺
「やだ〜こいつ本当にやだ〜」って悲鳴あげる理佐ちゃん
「あんたさ、背後霊になったんだからちょっとは真面目にとか思わないの?」
いずまいを正して背後霊としての今後の俺の行く末を真剣に考える理佐ちゃん
長い夜になりそうだ・・・
「え〜〜っ!?」
目覚まし時計を見て悲鳴あげる理佐ちゃん
「もう、撮影に遅れたら俺君のせいだからね」
明け方近くまで俺の行く末を語り続けたせいで寝坊した理佐ちゃん
「なんで幽霊の将来なんて私が真剣に考えなきゃいけないの、もう死んじゃってるのに」ってぷんぷんな理佐ちゃん
「non・noの撮影だったらモデルさんいるかな」ってぷんぷん理佐ちゃんそっちのけでワクワクな俺
「ちょっと、変なことしないでよね、私だってまだ慣れてないんだから」ってめっちゃ警戒してくる理佐ちゃん
「でも理佐ちゃんにしか見えないから着替え覗いても分からないと思うよ」
「そういう問題じゃありません、絶対に私から離れちゃダメだからね」
理佐ちゃんからの側を離れるな指令で撮影中も理佐ちゃんの横にいた俺
そして数日後
「ただいま」なんて上機嫌に帰宅な理佐ちゃん
引き伸ばした写真を見せてくる
「この前のnon・noの撮影で撮ってもらったのをカメラマンさんにお願いして引き伸ばしてもらったんだ」
ポーズ決める理佐ちゃんの横にうっすら写る俺
「もう俺君と一緒に写真撮れるなんてないかもしれないからね」
なんて嬉しそうに部屋に心霊写真を飾っちゃいそうな理佐ちゃんだから好き
>>82
自分に言わせてもらえば純粋に悲恋の物語にしか見えませんが(;_;) >>83
悲恋にするか幻想の中に生きるメンヘラ女の狂気を描くか悩みますねw >>82
全然怖くないw
そういえば小説スレにホラー作家さんは現れたことない気がしますね >>78
見事なオリジナリティーですw
もうひとつのネタが気になります >>85
かつて怖い話スレでほん怖風なのを書いたことはありますな >>85
俺も以前に「ノートいっぱいの理佐ちゃん」みたいなタイトルでサスペンス調なの書いたけど苦労しましたからね
ホラーはもっと難しそうで手がだせないw
俺もなーこ選手権参加しようと思ったんですけど一行も浮かんで来なかったw >>87
チワンさんの多才さが羨ましい
ぜひ投稿してくださいm(__)m また過疎ってる時に投稿しにきますm(__)m
ってだいたい過疎ってるけどw
「いらっしゃいませ。」
僕の低い声は狭いコンビニでさえも響くことは無い。
時計の針は午前二時を指す。
あれから菅井さんと、
しばらく喋ったあと、
夕食を取り、ここに来た。
週四でこのコンビニでバイトをしている。
シフトはこの1年ほぼ変わらない。
さすがにテストなど、
重要なイベントがある時は変わってもらうが、それ以外はとくに支障がない。
このコンビニは混むのは、
基本午前中から昼にかけて。
だから商品を入れ替えたり、
それ以外はほとんど暇だ。
そんなこのコンビニ。
つい数年前まで深夜の、バイトは1人体制だったが近年、深夜を狙っての強盗が各地で多発したため、2人体制に変わった。
「本当に暇だよね。深夜って。」
頬を膨らませ、若月さんがつぶやく。
若月さんは同じバイト店員。ここ数ヶ月はずっと若月さんと一緒に深夜のシフトに入っている。
「そういえば、なんで深夜のシフト入ってるんですか?」
若月さんが振り向いて
「時給が高いからに決まってるじゃん。」
と言った。
「ですよね。」吐き出すように呟いた。
「ところで、君彼女とかいないの?」
「いきなりなんですか?」
「いやー、なんとなく。」
「え、いませんけど。」
「そう、なんだ。」
「なにがですか?」
「いや。」
そのとき聞きなれた音がした。
ウォレットチェーンだ。
「いらっしゃいませ」
僕は精一杯の大声を出す。
「あれ?」
ウォレットチェーンこと今野さんは鳩が豆鉄砲をくらったような顔をしている。
「あっ。先生。」
若月さんもまた鳩が
豆鉄砲くらったような顔をする。
「若月。」
「ん?」
僕は今野さんと若月さんを交互に見た。
「いや、彼女は教え子でね。」
午後の紅茶ロイヤルミルクティーなんて可愛らしい飲み物を買う今野さんを腹の中で笑った。
「じゃあ。」
今野さんはウォレットチェーンを、チャラチャラ鳴らしながらコンビニを出た。
当分茸になりますが、千葉県です
よろしくお願いします
水滴の零れ落ちる音に私は心を凍らした。
その音は立て続きに三度鳴った。
靴音と、木の床が軋む音。
彼女の吐いた白い息が
冷たい空気のなかに溶けて消える。
「はい、カット!」
監督の野太い声が響く。
ライトが当たって周りが照らされる。
ここは数十年前に廃校となった建物。
今日はここで
新曲のミュージックビデオを撮影をしている。
新曲は来月公開のホラー映画の主題歌になった。
ミュージックビデオもその世界観に寄り添う形でホラー仕立てとなった。
「はい、休憩入ります!」
ADが怒鳴るように言う。
そのシーンの撮影が終わった。
撮影はあとワンカットを残すのみだ。
先にバスの中で
待つメンバーの元へ行こう
として彼女は出口の方へ足を向けた。
すると。
「おい、どうなってんだ」
監督の声が夜の校舎にこだまする。
「いや、その……」
スタッフはみな、小さなモニターに近寄ってなにか、話し込んでいる。
「どうしたんですか。」
「あっ、渡辺さん。あの……」
スタッフが監督に説明した方がいいですかね。と耳打ちする。監督は黙ってうなづく。
「いや、さっきのシーンの映像チェックしてたんですけどね。そしたら映像にノイズが」
「撮り直しですか?」
「いやー、原因を確かめてるのでいまはなんとも」
梨加は今まで自分がたっていた廊下の先を見た。
そこには薄くぼんやりとした
白い影が幽かに揺らいだ。
その影は人の形をしていた。
梨加は口を手で抑え、
ぎゅっと目をつぶり、耳を塞いだ。
梨加の顔の近くに冷たい風がふく。
梨加は暫くして目を開く。
静寂が梨加を包む。
「えっ?」
梨加は呆気にとられた。
そこには梨加意外誰もいなかった。
監督も、ADも、マネージャーも。
機材も、跡形もなく消えていた。
夜の校舎に梨加は唯ひとり佇んでいた。
梨加は堪らなくなって、校舎の外へ駆けた。
重たい木のドアをあけ、外の空気を吸う。
「えっ?」
梨加は呆然とした。
空は赤く燃え上がり、サイレンの音が鳴り響く。煙の匂いが立ち上り、防災頭巾を被った人々が遠くの方に見える。
「なにこれ?」
梨加はつぶやく。
民俗学者の常光徹さんの本を読んで怪談とかそういうのを書いてみたいとは思ったんですが。なかなか難しいです。
モチーフは常光徹さんの本から。
あとは映画学校の怪談シリーズ。
続編は書こうか迷ってます
それかこの続きを誰かに書いてもらってリレー形式にするのも面白い……かな笑
>>88
ノートシリーズは気持ち悪い怖さがありましたね
>>93
のしかかるような怖さですね
民俗学的なホラーが実は一番怖かったりします
千と千尋とかも、半ば教訓的な形で心に残ります >>86 それ入れてもうひとつ書いてみた(笑)
【外科医なーこ先生】
教授「では外科の手術会議を始めます。最初の症例どうぞ」
なーこ「よろしくお願いします」
教授「え…えへん。長沢くん、その格好は何かね」
なーこ「外科の大門です。よろしく」
教授「TV見過ぎだろ。それにそのサングラスと角刈りのヅラは何かね?別の大門になっとるぞ」
なーこ「あ、しまった」フフッ
教授「何が『しまった』だよ。わざとやってるだろ」
なーこ「なぜわかった」
教授「いいから症例をプレゼンしなさいよ」
なーこ「は、はい…症例は45歳男性で…」
教授「サングラスとヅラ取らんのかい」
なーこ「診断は胆石です」
教授「スルーかよ」
なーこ「こちらが患者さんの超音波画像ですが、この真っ黒な部分が胆嚢で…」
教授「ほう…中に大きな白い影が見えるが、それが?」
なーこ「はい。それが患者さんの石です」
教授「で、これを手術で取りたいという希望が?」
なーこ「はい。それが患者さんの意思です」
教授「…これはダジャレなのか?」
なーこ「そこで私は2つの方法を提案しました」
教授「ほう…ひとつめは?」
なーこ「患者さんの胆嚢から体全体を切除する手術です」
教授「表現が逆だろ!怖すぎるわ」
なーこ「フフッ」
教授「何を満足しとるんじゃ!で、2つめは?」
なーこ「私が研究中の新たな治療法です」
教授「そんなのあったのか?」
なーこ「滅菌したこれを使います」
教授「碁石みたいな見た目だが…その黒いやつは何なのかね?」
なーこ「これを胆嚢の両側に縫合して固定するんです。するとそれに挟まれたこの白い石が黒くなって消えて治るという方法です」
教授「オセロじゃないんだから」
なーこ「教授、オセロという名前はは登録商標だから迂闊に使わないほうが」
教授「そういう問題じゃないよ!そんな方法が本当にうまくいくわけないだろ。普通の胆嚢切除にしときなさいよ」
なーこ「実は私…胆嚢の手術、初めてなんです」
教授「そうだったか…自信ないのか?」
なーこ「いえ、大丈夫です」
教授「さすが大門先生だな(笑)」
なーこ「私、心配しないので」ドヤッ
教授「…いちばん危ないタイプだ(汗」
―了― 「あれ、梨加さんは?」
スタッフのひとりが周りを見渡していう。
「スタッフさんと話してませんでした?」
マネージャーのひとりが不思議そうな顔をする。
「あれ。戻ったのかな。見てきます」
スタッフがロケバスの元へゆく。
「え?いない?」
マネージャーは大声で聞き返す。
スタッフによるとロケバスには戻っていないらしい。
「んじゃあ、校舎の中ですか?」
カメラマンの、ひとりがいう。
「それしかないでしょ、」
「でも校舎のなかなんて歩き回るか?」
「さあ?」
ざわつく現場。
すると奥でモニターを睨みつけていた監督が変な声を上げた。
「おい、こりゃダメだ」
スタッフの一人がモニターをのぞき込む。
モニターは不愉快な砂嵐を写していた。
「壊れちまった。」
>>96
あれ僕の身内の実体験だからいまだに親戚が集まると話に出ますよ
>>97
>>98
チワンさんも千葉県さんも乙でありますm(__)m 俺のお袋の田舎の話なんですけど
もう何代も続けて女しか生まれてなくて
田舎行く度にその話を聞かされて子供心に不思議だなと思ってたんですよ
たまに男の子が生まれることがあったらしいんですけど
基本的に体が弱くて1年も生きられないらしいんです
俺の祖母が嫁に来たばかりの頃に義父から聞いた話によると
江戸時代の初期に男が生まれない呪いをかけられて万が一男が生まれても子供が作れるようになる前に呪い殺されちゃうらしいです
お袋の実家があるのがけっこう山の中に家が20軒ぐらいしかない集落なんですけど
そんな家系だからか平地にある集落から離れた山の中腹にあったんですよ
冬に行くと山から野犬が降りてきて超怖かったです
俺が生まれた時も田舎の祖父と祖母があちこちからお祓いする人喚んで来て凄い騒ぎしたらしいです
実際、5才になるまで田舎行ったことなくて昔の人の迷信に対する信じこみようって凄いなと思ってたんですよ
でも不思議なもんで婿養子を迎えて跡を継いだお袋のお姉さんは子供全員女なんですよ
その娘たちの子供も全員女でちょっと気味悪いなと思い始めた頃に
山の中腹にある家を引き払って集落のある平地に引っ越したんです
家が3軒並んだ左端の家に
田舎の嫌らしさってまだ残ってて集落自体には呪われた家系だからって村八分にされてたんですよ
もう平成なのにちょっと驚くぐらい頑迷な連中でしたね、あの集落の連中は
でも3軒並んだ家の人たちは隣組ってこともあって親切にしてくれてたんですね
そしたらお袋の実家が引っ越した年に
実家の反対側、右端の家で男の子の赤ちゃんがお風呂に浮いて死んじゃったんです
その1ヶ月後に赤ちゃんの祖母が自殺しちゃって
赤ちゃんを殺しちゃって罪の呵責に耐えられなくて自殺したんだってめっちゃ近所で噂になってましたね
>>100
めっちゃ怖いけど、欅ちゃん関係なかった
>>99
まさかの実体験だったんすかw
僕の周りには不思議な話など一つもないので、逆に羨ましいです
>>97
そう言えば、最近ゲスいエロ描写が影を潜めていますね
個人的にはゲスいの苦手なので、このままでお願いしやす(フリじゃありません) T
「フカヒレスープの完成です。以上、なーこクッキングでした。詳しいレシピは明日のブログを見てください。」
カーット!
ディレクターの声がスタジオに響いた。収録十本取りの最後を告げる声だった。
収録は終日に及んだが、疲れはなかった。自分の好きなことだからかもしれない。
「お疲れ様です、長沢さん。今日も作った料理食べて帰られますか?」
「いいえ、今日は胃もたれがするので、どうぞ食べてください」
「では、スタッフがおいしく頂きます」
その言葉が嘘であることを、菜々香は知っている。余った料理は処分されるのだ。
楽屋へ戻り、携帯電話を手に取った。ちょうど梨加からの着信があった。
「もしもしぺーちゃん?」
「あ、なーこちゃん終わった?」
「うん、終わったよ」
「今日のお泊りどうする?」
「今から行くよ。晩ごはんは?」
「ううん、まだ。作ってよ」
「いいよ、じゃあ買い物してからいくね」
菜々香は、じゃがいも、にんじん、糸こんにゃく、豚肉、これらを買ってから、梨加の家へ向かった。
U
その日の夜中、菜々香は物音で目を覚ました。
最初は、梨加が冷蔵庫を漁っているだけかと思ったのだが、彼女は隣で小さな寝息を立てている。
菜々香はベッドを出て、キッチンへ向かった。
キッチンの明かりを付けると、予想通り冷蔵庫が開いていた。
菜々香はそっとのぞく。
「キャー!」
梨加は叫び声で目を覚ました。隣に菜々香がいない。
「なーこちゃん…?」
キッチンに明かりがついている。
菜々香は腰を抜かして、冷蔵庫を見つめていた。ドアがゆっくりと開いていた。
「ぺーちゃん、これアオコじゃない?」
菜々香は冷蔵庫を指差している。
「ん、本当だ。何かゆっくり膨らんでるね。冷蔵庫から出して欲しいのかな」
「そうだね、窮屈そうだし」
二人はアオコを冷蔵庫から出し、キッチンに置いた。体長は30cmほどに膨れていた。
V
翌日、けやかけの収録のため、二人は早起きをした。
キッチンのアオコは2mほどになっていた。
「これ、やばいかな?」
「まあ、大丈夫でしょ」
この日、菜々香は低周波治療器を付け、スーパーボールキャッチに成功した。
収録が終わると、米さん、梨加、菜々香の三人でビルを出た。
「ねぇ、ヨネ。ちょっと相談があるんだけど」
菜々香が切り出した。
「なに?」
「ぺーちゃんの部屋にジンベイザメがいるんだ」
「ああ、アオコのこと?」
「いや、確かにアオコなんだけど、膨れ続けてるの」
「は?」
二人はなんとか米さんを説得し、家へ連れ込んだ。
梨加がカギを開ける。ドアが開く。梨加が吸い込まれた。
叫び声が消えていった。
菜々香と米さんは目を合わせる。
「え?」
二人同時に言った。
色々言い合った挙句、梨加はすでに死んでいるとの結論に達した。
割りと頭が切れ、落ち着いているメンバー二人が残ったので、素早く対策案も上がった。
二人は再び収録スタジオに戻った。
「あのー、すみません。低周波治療器どこにありますか」
「道具部屋にあるよ。どうしたの」
「緊急事態なんで、ちょっと借りていきます」
「はぁ、別にいいけど」
W
「サメは電気に弱いからね。せーので行くで。せーの!」
菜々香がドアを開け、米さんが治療器のパッドをアオコのおでこに付けた。
菜々香はスイッチを押す。アオコが感電で気絶した。
アオコの口はすんなりと開いた。中は空洞で、梨加が体育座りで泣いていた。なんと死んでいなかった。
「ひどいよ、二人とも。私、置き去りにして」
「いやぁ、死んだ思てたから。それよりどうする?」
すると、菜々香が手袋と長い針金をカバンから取り出しました。
「私ね、小さい頃コンセントに針金入れて遊んだことあるんだけどね、感電するよ」
菜々香は、狂気の笑みを浮かべて口から出て行った。
しばらくすると、体内に針金が突き出てきた。
「入ったー?」
外から、菜々香の声がした。
「うーん、入ったよ」
米さんが答えた。
二人は出ていく。
数秒後、建物全体が停電になった。
実際、警察の捜査もうやむやになっちゃって真相は分からないんですけど
でも田舎の狭い集落の中だと噂になっちゃったらもうダメなんですよね
右端の家は亡くなった赤ちゃんのお父さんとお母さんの二人でしばらく暮らしてたんですけど
1年もしないでお母さんが気が狂っちゃって自殺して気づいたらお父さんはどっか行ったきり
今も田舎行くと貸家って貼り紙してあるけど誰も借りませんよね
これぐらいだったら別に幽霊がとか思わないんですけど
今度は真ん中の家で1年づつ人が死に出したんですよ3年連続で
それで4年目に今年も誰か死ぬのかな?なんて思いながら田舎行ったら
真ん中の家が出入口から何からびっしりお守りとかお札貼っててびっしりしましたね
俺なんて生まれも育ちも東京だからどこか呪いとか幽霊とかピンときてなかったんですよね
それでけっこう馬鹿にしてたんですよ
やっぱり田舎者はまだまだ中世だわなんて
そしたら起こりました
お袋の実家の婿さんが山にある畑で死んじゃってて
それから1年もしないで祖父と祖母が死んじゃったんですよね
それからお袋のお姉さんの娘が男の子を生んだんですけど生まれて1週間で死んじゃいました
さすがにヤバイってことになって地元で有名な霊能者を喚ぶことになって
そしたらこの霊能者が自分の力じゃ太刀打ち出来ないなんて言い出しちゃって帰ってしまったんです
そんなこんなしてるまにお袋の実家はお袋のお姉さんが一人で暮らすようになってしまい
もうこのままかなと思ってたんですよ
そしたらにげちゃった霊能者の先生が電話かけて来てくれて話があるって言うんですね
この先生は県で一番って言われてるぐらい凄い人らしくてちょっと期待して
しばらくぶりにお袋の実家に一族が集まったんですよ
びっくりするぐらいお袋の実家が荒れ果ててましたね
お袋のお姉さんは原因不明の病気でほとんど目が見えなくなってて
何度か娘たちが引き取ろうとしたり病院に入れようとしたんですが
物凄い暴れるんでどうしようも出来ない状態みたいです
実際その日も朝から霊能者の先生が来るのを反対して怒り狂ってましたからね
俺なんてその姿を見ただけでお袋の実家に来たの後悔しましたもん
X
ブレーカーのスイッチをオンにすると、玄関に通常サイズのアオコが転がっていた。
「あ、治療器も小さくなってる。後で謝らなきゃね」
こうして、アオコは焦げ付いた針金を身に纏いながら、今日も梨加のぬいぐるみとして存在している。
『アオコ暴動』終了
>>101
欅ちゃん入れるの完全に忘れてたwww
ちなみにこれも本当の話 >>107
たまに炸裂する大阪府さんのとんでもワールド全開ですね
そこはなとなく漂う書き手の狂気が素敵w 「ねぇ、やっぱり怖いから帰りたいな」
さっきからお袋のお姉さんが怒り狂う姿を見て怯えてる理佐ちゃん
「俺の嫁である以上は我慢してくれ理佐ちゃん」
そう言って理佐ちゃんの手を握りしめる俺
先生の話によるとこの家に起きてる災いの元は2つあるらしく
ひとつはここ最近のご近所も含めた怪死の原因になってるもの
もうひとつはこの家の一族にかかっている呪いなるものらしい
原因は祖父が終戦の時に持ち帰ってきた人形
確かに気味の悪い人形ではある
祖父は戦争で中国に出征してかなりの出世をしていた
戦争で出世するとゆうことはやはり平和な時代には話せないことを多々していたのだろう
祖父が中国から持ち帰ったその人形には怨霊が憑いていて
その怨霊が様々な霊を喚んでいるらしく
その霊の通り道にあるのが3軒並んだ家ということになるらしい
そう説明してくれると人形を庭に持ち出しなんか唱えて燃やしちゃう先生
こんなあっさりで効き目あるのか疑ったものの明らかに部屋の空気が明るくなるのを感じたのは確かだ
これなら一族にかかってる呪いもあっさり祓ってくれると安心していたら
もうひとつのは自分にも無理だと正直に話す先生
なんでも時代が古すぎて霊自体がかなり強力な怨霊化してしまっているらしいです
こうして今もお袋の実家では女しか生まれない
ちなみに唯一の俺が無事なのは呪いかけてる怨霊より邪悪な魂に守られてるかららしいです
完
>>110
これいまだに続いてて親戚が集まると見事に女だけなんですよ
それで幼少気からつい最近まで美人の親戚たちとエロい体験するんですけどそれはまた別の時にでもw タクシーに乗って行き先を告げる
運転手は黙って、アクセルをふむ
夏が終わり、季節は秋に変わった
新曲「風に吹かれても」の
レコーディングが終わり私は
車内でそっとため息をついた
「すいませんね。この道混みまして」
「えっ?」
前を見ると赤のネオンが幾つも
連なっている
「あっ、大丈夫です すいません」
運転手は白い手袋を取り
左手でラジオのスイッチを入れた
この前も同じ場面を経験した気がする
「バナナマンのクレイジーウォーター」
「っはい
ニッポン放送からお送りしてます
バナナマンのクレイジーウォーター」
「どうですか 日村さん」
「どうですかじゃないのよ設楽さん」
「これ今日だけの特別企画なのよ なんかしれっと始めたけどさ」
「はい ということでね 我々バナナマンがCMキャラクターを務めました ミネラルウォーターのね、特別企画ということで」
バナナマンとは以前
乃木坂工事中のSPで
共演したことがある
その時は、緊張した
それももうだいぶ前
あれっきり冠番組で
共演はない・・・
首都高湾岸線を走る
渋滞は抜けたようだ
体がなまりのように
重たい 一刻も早く、
ベットに飛び込み、
ねむってしまいたい
LINEの着信音がした
私は画面を開いた
愛佳からだ 洋服を買いに行く
約束をしていた
いつにする?とある
カレンダーを見る
しばらく行けそうにない
私はだいぶ先の日付を
打ち込んで バッグにしまう
いつ 休んだのかも
わからないくらい 忙しい
いつかテレビを見ていた時
白石さんが言っていた
ここから 年末に向け
さらに忙しくなる
のんびりと通り過ぎる
車をながめて
ふと そんなことをかんがえた
木々の枝が風に揺られ、
都会の汚れた砂埃を空に舞いたたせ
のびた影は幾つもアスファルトに重なる。
私はそれを見つめながら
頭の中、不快にちらつく
悩み事に思いを馳せた。
欅坂46は現在5枚の
シングルを発売している。
どのシングルもそれなりに話題となり
とくにデビューシングルは
種々のランキングで
長期間に渡ってランクインし続けている
しかし、
現在の勢いが何時までも続く訳では無い。
いつか衰退する時が来る。
今までが、
ほかのグループに比べ
順調だった故か(と言うと畏れ多いが)
誰にも見向きもされない日が
唐突に訪れそうで怖いのだ。
コートの襟を立て
私はタクシーを探す
今日は会社から
通りまで歩いてきた
夜風にあたりたい気分だった
誰も知らぬ明日への不安を
隠し楽曲の世界観を体現するのは
人が思うよりも難しい
遠くからタクシーの姿が見え
私は手を挙げた
タクシーは減速し路肩に
停車した
生暖かい車内で
行き先を告げる
私の声が酷く
陰鬱に聞こえた
おそらく、今の私の気分が
反射されているのだろう
運転手はボソボソ返事を
するとアクセルを踏んだ
「続いては日本道路交通情報センターから亜門さんお願いします。」
辿たどしい声。
「えー。大和トンネル付近事故の影響で3キロの渋滞。また湾岸線で2キロの渋滞。そのほかは順調です。以上日本道路交通情報センターから亜門がお届けしました」
「亜門さんありがとうございます。」
「えーさて続いてはお待たせしました、 私DJ菊池のレコメンドソング。今週はガラスを割れ!欅坂46。」
先月レコーディングを済ませたばかりの新曲が流れる。
私は恥しいのと嬉しいのと色んな感情が綯い交ぜになった。やがてそれらをため息とともに吐き出した。
狭い車内にそのため息は思ったより反響する。
ミラー越しに運転手がチラチラこちらをみる。私もそれに、気づいてミラーを眺める。するとその顔がなにかに迷惑している顔に見えたのか
「あ、すいません。うるさかったですか。」
白髪の運転手はボソボソ言いながらラジオを切った。
「あっ、いやすいません。」
また勘違いされた。
私は勘違いされやすいのかもしれない。
そして私が乗ると大抵渋滞に巻き込まれる。
ラジオを切った当たりから車列が動かない。
私はバックの中から
携帯を取り出し、
LINEで送られてきた番組の
アンケートや業務連絡の確認をした。
アンケートは思ったより長く回答を終えるまで随分かかった。
いつの間にか、
街には雨が降り注いでいた
鞄で濡れるのを防ぐ人
小走りで屋根のあるところへ行く人
突然、雨が降ったせいか、傘をさすものは少ない。
タクシーに乗っていてよかった。と思った。
「今日は雨の予報じゃなかったんですけどね」
運転手が呟く。
それは私に話しかけているのか?
それとも独り言なのか?
考えた末
曖昧な相槌を打って誤魔化した。
「間もなくつきますので」
そう言われて窓の外をみた。
見慣れた通り沿いが
雨粒の滲み越しに見えた
軈てタクシーは徐々に減速してゆく
私は財布を手に持ちながら
雨に濡れずにエントランスに
入るにはどうしたらいいか
そればかり考えていた。
了
>>109
言い忘れてましたけど、僕、実生活ではドSなんで気を抜くと毒味のある文章になってしまいます
ジョーズの世界観を表現しようと努力したんですが、とんでもワールドほんわか系になってしまいましたw
いやぁスピルバーグ恐るべし
>>111
どこのスレか忘れましたけど、年上のお姉さん夜這いする話を見た気がするんですが、もしかしてあれは庭さんですかねw
>>114
勘ですが、てちちゃんの匂いを感じます 黒い艶のある短い髪に
透き通る白い肌。潤った唇。
綺麗なカーブを描いた眼(まなこ)。
母は、
男へは常に淡白に接しながらも、
ふとした時に女の弱い顔を魅せた。
そんな母に多くの男は虜になり
母の周りには
男の影が絶えることはなかった。
母の名は志田愛佳という。
もっともこの名は旧姓だが。
私が七歳の時に母は世を去った。
生まれついての病が
身体を蝕んだ挙句のことだった。
その病。
今の医学的見地では伝染することはないのだが、三十何年も前の田舎町だと伝染すると云われた。
そのため、死ぬ前、床に臥した母と
私が会うことはついぞかなわなかった。
母の記憶の中の母は
常に憂いを含んだ
悲しい顔をして
ガタガタと開ける度に
煩く音を立てる窓を
少しだけ開け、一人
海を眺めていた。
>>116
たしかに。なにかに悩む姿は平手さんですね。本当はこのタクシーシリーズは守屋さんが主人公でしたが、物語が進むにつれ平手さんに主人公が変わってきてしまいました >>117
母の記憶の中の母
という部分は入力ミスで
正しくは記憶のなかの母は
です。すいません 絡めた小指が解けた
春 雑踏の中
茜はホームの上の方
を向いて、涙を誤魔化す
だが、目は潤んでいて、もう
溢れてしまいそうだ
「今の君のままでいいから 頑張って」
あいつはつよがってる。
本当は寂しいのに。
私だってそうだ。
数々の出会いと別れが
繰り広げられる春のホーム
「いつか君のいるところに会いに行こうかな」
「待ってる」
発車のベル。
私は新幹線に飛び乗る。
斜めに消えてゆく。
やがて、見慣れた景色も消えてゆく。
しばらく戻ってこない。
そう決意して歩き出す
頭上にアナウンスが鳴る。
「本日もJR東日本をご利用頂きありがとうございます この列車は東北新幹線 はやぶさ25号 東京行です途中大宮、そして東京駅に停車します」
アナウンスを聞き流しながら、
切符とシートの番号を照らし合わせる。
しばらくして自分の席を見つけて座る。
シートを倒して、自販機でかったミネラルウォーターで喉を潤す。
言葉にならない感情で胸がうまる。
この選択があってるのか、間違ってるのか、わからない。だけど。
唇を噛み締める。
これからだ。頑張らなくちゃ。
茜の潤んだ瞳はただまっすぐ見つめていた。
いなか、の、じけんは
横溝正史の病院坂の首縊りの家、獄門島、八つ墓村がごちゃごちゃに混ざり合ってます。
ですが、タイトルだけは夢野久作です笑
>>116
ゆいぽんの悪事スレはリアルな悪事書かなきゃいけないのかと思ってたからまんま自分の体験書いちゃったんですよねw
>>121
なんとなく横溝かなと思ってたw 今、気づいたんだけど小説スレの1から原案ありスレを含めて前スレまで
理佐ちゃんが全部のスレで最多出演の記録保持者なんだよね
11スレ連続で最多出演はもう破られない不滅の記録かも・・・
>>118
そっか、これ前スレからのタクシーシリーズだったんですね
>>121
千葉県さん、文学の守備範囲広いですね
割とセンスもいいですし、雰囲気が文章に表れてます
>>123
そりゃそうですよw
で、もれなく俺くんもついてきますからね >>101
下ネタはそういう類のネタスレが立ったときにそちらに書こうかと思ってるのと
過去に自分が書いてた乃木坂板のスレを読み直してみて、なかなかこの出来は超える作品は難しいと思っちゃいましてw 君と付き合いは長くて、
なんでも話せる位は仲がいい。
お互いそんな風に思ってる。
この距離感。
俺はいいと思ってる……いや、
本当は無理やりそう思ってる。
「ねぇ、あいつっていま彼女いたっけ」
志田は溶けかけた
アイスクリームを
必死にスプーンで掬いながら俺に訊く。
掌の体温で温くなったコーラを飲んでいた俺はその質問に思わずコーラを吹き出した。
「なにしてんの?」
と言いながらケラケラ手を叩いて笑う。
俺はハンカチで拭う。
だけど本当の気持ちは拭えぬまま。
零れる。
そして、たぶん
このズボンのシミはとれない。
ほんとうは、今、目の前に映る君の笑顔を
俺だけのものにしたい。
だけど、関係が壊れるのが怖くて立ち止まったまま。
「居ないんじゃない?この前守屋と別れたばっかっていってたし」
「えっ、まじ?別れたの早くね」
「まあ、あきっぽいからねあいつ」
あいつはバスケ部の副キャプテン。
憎たらしいくらいモテる。
あいつも昔から仲がいい。
だから誰かと付き合った、
別れたくらいは知ってる。
「へぇ。」
志田は雲ひとつない真夏の空を見上げて
そろそろバイトだから行かなくちゃ。
と行って、その場をあとにした。
「じゃあ、また。」
志田が見えなくなるまで僕はそこに居た。
親友としてのキャスティングは悪くない。
そもそも話すらできないやつも
いる訳だから。それに比べたらまだマシだ。
だけど。
親友であるからこそ募るジレンマもある。
いつか、志田も誰かと消えていってしまう。
コンビニの前。
偶然志田と会ってずっと喋っていた。つい数分前まで。
俺はふいに思い出した。
ガンガン冷房の効いた部屋で食べようと買ったアイスクリームの存在に。
慌てて取り出す。
若干の冷たさを残した袋を触ると
すでにアイスクリームは
液体になっているのがわかった。
俺は、開けたところで手がベタベタになる。と考えてそれをゴミ箱に放り込んだ。
アイスクリームは音も立てず
吸い込まれていった。
夏はもう終わる。
「俺君〜!どこにいんの〜」
今日も今日とて愛しの理佐ちゃんが俺を呼んでいる
いつもなら理佐ちゃんの呼び声には万難を廃して駆けつける俺ではあるが・・・
「いくら理佐ちゃんに惚れてるからって毎度毎度すぐに駆けつけてたら男の沽券に関わるぁ」
なんて聞こえないふりして最近理佐ちゃんの隣に引っ越してきた美人OLのお風呂を覗く俺
「無視してんじゃねーよ」ベランダの間仕切り越しにドス効かす理佐ちゃん
鋭い・・・
「あんたさ、いくら幽霊でも覗きは犯罪だよ」
理佐ちゃんの得体の知れない眼力にビビり素直に部屋に戻りお説教される理佐ちゃんの背後霊な俺
「お隣さんが越してきてから私のお風呂に関心しめさないから怪しいと思ってたんだよね」ってちょっと悋気を覗かせる理佐ちゃん
「すいません、19才の理佐ちゃんには出せないお隣のお姉さんの色気に誘惑されてしまいました」って土下座して謝る俺
「土下座しながら失礼なこと言ってんじゃねーよ」
なんてドスを効かせながら霊能者から貰った聖水を俺にかける理佐ちゃん
「熱い!」って逃げる俺
「ねぇ、あんたが幽霊になった原因って私への未練じゃなかったの?」
「そうです、高1の時に付き合ってた理佐ちゃんと初体験するつもりが金玉蹴られて逃げられたのがなんとしても心残りで・・・」
聖水怖さに俺が理佐ちゃんの背後ですになった来歴を語る俺
「うわっ、本物の色情霊じゃん・・・」ってドン引きする理佐ちゃんだけど
「とにかく私以外の人のお風呂覗くのは今後浮気とみなしますから」
なんてめっちゃ焼きもち妬いてくれる理佐ちゃんだから好き
「焼きもちはそのへんにして本題聞かせてくんないかな?」
自分のお風呂にはお守りで結界作っちゃって覗かしてくれないくせに
隣の美人OLを覗くのは浮気だと決めつける理佐ちゃんの身勝手さについついビジネスライクな口調になる俺
「なによ、焼きもちって」って絡んでくる輩な理佐ちゃん
「なんだよ、自分は風呂覗かさせないくせに他の女の風呂も覗くななんてよ、だから処女は面倒くせえんだよ」
なんて売り言葉な俺
「ムカつくな、だいたいあんたと別れてから私が誰とも付き合わなかったと思ってんの?」
俺の売り言葉を買う理佐ちゃん
「幽霊になるほど私の初めてに執念燃やしてたみたいだけど、とっくに初体験なんて済ましてますよ、バーカ」って俺にアッカンベーする理佐ちゃん
「それから経験人数毎月更新してんだからね」
なんてモロバレなウソつく負けず嫌いな理佐ちゃん
「ガッカリした〜うん?・・・なに出してんの?」
「経験人数スカウターです」
そう言ってスカウターかけて理佐ちゃんを見る俺
「ギャッハハハハー」理佐ちゃんの額に浮かび上がる0の文字に腹を抱えて笑う俺
「なにが経験人数毎月更新してるだよ、ただの処女じゃねえか〜」って理佐ちゃんの可愛いウソがツボる俺
「泣くぞ・・・」って半べそな理佐ちゃん
「あっ、ごめん、笑いすぎた・・・」
謝る俺からスカウター取り上げる理佐ちゃん
おもむろにスカウターで俺の経験人数をチェックする理佐ちゃん
「ギャッハハハハーあんただって0じゃん男のくせに」って大爆笑の理佐ちゃん
「だって俺・・・理佐ちゃんに金玉蹴られた後すぐに病気になってそのまま去年死んじゃったから・・・」
「ごめん・・・」って謝る理佐ちゃん
「今日からさ、お風呂の音だけなら聞いててもいいよ」
なんて不器用な優しさ見せてくれる理佐ちゃんだから好き
「お前も母さんに似てきたねえ」
買い物帰りにばったり会った
お隣のおばあちゃんにそう言われて私は、正直困惑した。
母の顔を覚えていないからだ。
「えっ、そうですか。」
私は聞き返す。手を擦りながらおばあちゃんはほんとうにそっくり。そう言った。
母はまるで私を産むことに全ての力を使い果たしたからのように、
産後すぐ亡くなった。
そもそも私を産むこと自体かなり無謀なことだったらしい。
妊娠したのがわかった時も
母の家族は揃って反対した。もちろん父も。しかし
母は「この子をいま産まないと私は一生後悔し続け、私は私じゃなくなる」
と言った。
だから私は母の顔を知らない。
母の仏壇も墓も実家にある。
写真もしばらく見ていない。
父はまだなにも分からない私を男手一つで育てた。大変だっただろう。
何せ、父は不器用だ。
家事も、なにもかもが下手だ。
トーストひとつうまくできない。
表面はいつも焦げていた。
そんな父を私は自然に手伝うようになり、そのうち全て私がやるようになった。
私が風呂上がり。
鼻歌混じりに着替えて、
髪をタオルで拭いている
と父が帰ってきた。
「おかえりー」
私は父の方をみる。
父は不思議な顔をしている。
「どうしたの?」
「由依、お前どうしてそのシャンプー選んだ?」
「どうしてって、なんか安心する香りしたから」
シャンプーが切れたので
今日新しいのを買ってきた。
そのシャンプーはなぜか匂いをかいだときなぜか安心した。それが理由で買った。
「それ、母さんがよく使ってたシャンプーじゃないか?」
そういって父はそのシャンプーの商品名を言った。
私は吃驚した。
私と母は同じシャンプーを選んでいた。
「嘘でしょ?私、お母さんのシャンプーなんて知らないよ?」
「だからびっくりしたんだよ。俺も言ったことないし」
父の瞳は微かに潤んでいた。
「ねぇ、もしかして泣いてるの?」
私は訊いた。
父は慌てて私に背を向けた。
>>130
帰ってきたシリーズが増えてきたw
「お風呂の音だけなら聞いていいよ」
最高の焦らしプレイですな 『アイドルを探せ』1話
「今宵も綺麗でございます」
セバスチャンが膝を折って、手を取った。いつもの彼からすれば、控えめな言葉だった。
「ありがとう」
梨加は答えた。
セバスチャンは、ドレスとレースをベッドへ置いた。
「では、私はパーティーの準備がございますので失礼します」
深々とお辞儀をして、ドアの方へ歩いていった。
「セバスチャン、そう言えば…」
「何でございましょう」
「今日、招待客の中に新しい顔があるとか」
「はい、一昨日に越してこられた女の方がおられます。確か、梨加様より3つほど年上だったように記憶しております」
セバスチャンが出ていくと、梨加は目をつぶった。
「今日も言えなかった…」
瞼の裏にセバスチャンを思い浮かべては、首を振ってその姿を打ち消す。
そんな動作を、彼がここへ執事としてやって来て以来、毎夜続けていた。
彼はただの執事、身分が違うのだから惑わすようなことをしてはいけない。
梨加は赤いドレスを着て、ホールへ向かった。
テーブルを縫って歩く間、人々が膝を折って挨拶をした。梨加はその度に立ち止まらなければならない。
特に嫌いな動作というわけでもなかったが、早くパンが食べたかった。
「一番の美人は、パーティーの最後に現れるものだぞ」
父親の口癖だった。この世界、父親の言うことは絶対である。
梨加にとってはどうでもよいことだったが、パーティーに少しの時間しか出席せず、ワインに口を付けないことから、崇高な扱いを受けているのも事実だった。
比較的空いているテーブルが見つかった。
梨加は軽く膝を折り曲げた。パンを一つ手に取り、口へ入れた。
「ごきげんよう」
横に同い年くらいの女が来た。初めて見る顔だ。
身長は梨加より少し小さいくらいで、透き通った色白の肌が特徴的だ。
「はじめまして、梨加です」
梨加は会釈した。
「うん、よろしくね」
その女は、名乗ること無く去った。
『アイドルを探せ』2話
「セバスチャン、今日はあの方いらっしゃる?」
「あの方と申しますと…」
「ほら、先週はじめて来た、色白で綺麗な人」
「あぁ、白石家の麻衣様のことですか。いらっしゃいますよ」
セバスチャンは梨加の髪を櫛で梳いた。梨加は鏡を見る。
「ん?セバスチャン、なんでドレスシャツ着てるの?」
「それが、議官にお呼ばれしまして。梨加様のお化粧が終わりましたら、向かいます」
使われる身にある人間が、議官に呼ばれるのは、珍しいことだ。
「セバスチャン、頑張ってね」
先週と同じく、梨加は最後にホールへ入った。ところが様子が変だった。
誰一人、膝を折り曲げて挨拶をせず、軽い会釈に留めていた。
梨加はパンにバターを塗りながら、周りを見渡した。皆の視線がどことなく一人の女に向いていた。
眠気を飛ばすために、中庭へ出た。議官の家の方を眺めた。
今、セバスチャンはどうしているだろうか。気になり始めると、そのことが頭から離れなくなった。
ホールへ通じるドアが開いた。暗い中庭の向こうから、シャンパングラスが近づいてきた。
「ごきげんよう、梨加ちゃん」
「あなた誰なの?」
梨加は厳しい口調で言った。
「あら、私の名前をご存じない方がいらっしゃるなんて」
「だから、誰なのよ」
「白石家の次女にて、この度この街の公家様へ嫁ぐことになりました」
「だから、名前は」
「麻衣です。あなた随分と横柄ね。そんな口を聞けるのもこれが最後よ」
「ふん、どうだか」
(つづく)
皆様乙です
スレが活性化してて善き哉ですな
スレ主さんがホラー系が増えてガクブルされてるので
自分が書いたやつを旧スレに貼ってきたんですが
読み直したら別にホラーでもなかったかも(笑)
好きと言われりゃ誰にでも体を開く女だと噂する声を知らないわけじゃない。
だけど、愛したひとはあんただけ。
煙管をふかす男に女は抱きつく。
男は満更でもない顔で女を受け入れる。
そのうち畳敷きの二十畳ばかりの和室には衣擦れの音と液体の絡む音が響いた。
「なあ、ここから逃げ出さねぇか。」
男は女を抱き寄せ、耳元で囁く。
女は此処、吉原の遊廓で花魁をやっている。名を涼風大夫という。
無論これは源氏名で本名は茜と云う。
男はこの遊廓の常連客。名を利七と云い、
街で呉服商をやっている。
利七は大夫の朱色の花弁が散らばった着物の半衿に手を入れた。
茜は目を閉じ熱い吐息を漏らした。
暗夜の心中立てはその名の通り石川さゆりの暗夜の心中立てから。あと映画にもなった、さくらん、からの影響が多いです
長い夢はYUKIさんから。前スレの66dbの時と同じ組み合わせ。
中身は市川拓司さんとネットからのエピソードが多大な影響を受けてます。
長い夢はなんか長くなりそうだな笑
見直して、なんかの楽曲からの影響が多いことに気づく。秦基博とか椎名林檎とか
あれから僕は梨加と一緒にいることが多くなった。
テスト一週間前。図書室で勉強した。相変わらず僕は図書委員で。由依の隣にはいま、梨加がいる。
「そういえば。」僕はふと思い出した。
「どうしてあの文庫本のことで……」
「あの本。大切にしてたから。だから、それを取り上げた時、どうしても止めなきゃって。」
「そうなんだ。ありがと。」
「ううん。」
梨加は首をふった。その時。香水とシャンプーが香った。
「おい、きいてるのかよ 」
設楽さんが僕を刺すような眼差しで見る
「いや、ちょっと、すいません」
しどろもどろになる僕
「なかいいじゃん。二人」
ニヤニヤする設楽さん
「高校同じなんです」
梨加が言う
「あっ、そーなんだ。」
「はい」
「もしかして、こいつのこと 好きなんじゃねーの」
僕を指差しながら梨加にいう
「ちがっ、あっ、」
豪快にアイスコーヒーを倒した梨加
「もう変な事言うから」
守屋さんが抗議の眼差しを向ける
「悪い 悪い」
そういいながら、ペーパーを何枚も渡す設楽さん。
渡邉さんもほら。
といいながら無愛想にウエットティッシュを渡す。
「ありがと」
ほうぼうにありがとうをいいながら散らばった氷を集め、コーヒーをふく梨加
僕も手伝う
帰り道 夕日が彼方に溶けていく
雑踏と信号機の音
二人は無言だった
僕も梨加も話し出す
タイミングを見計らった
「あっ、あの」
二人同時にそういった
「どうぞ、先に」
僕はいった
「あのね さっき……つい首振っちゃったけど ……」
梨加はそれっきり黙り込んだ
「うん」
そういいながら人並みに紛れるように歩いた
コント
「なーこ医院の一日」
いままでのなーこ医院とは別の世界です
念の為。
幕が開く。
暗闇。
ナレーター「ここはなーこ医院。なーこがのんびり診察を続ける。」
明るくなる。
ステージにはなーこ医院のセット。
入口と奥には診察室。
診察室にはなーこがいる。
入口は古い。
看板には虹彦医院 とある。
しかし、その上から雑になーこと書いて貼ってある。その字は汚い。
そこに日村。
日村「いや、看板雑すぎない 大丈夫かなー。」
診察室。
アイスクリームを頬張るなーこ。
そこに日村がやってくる。
日村「すいません。」
なーこ「すいません。家賃は待ってください」
日村「取り立てじゃねえよ。つーか払ってねえのかよ。」
なーこ「なんだ患者さんか」
日村「なんでがっかりすんだよ」
なーこ「ここは泌尿器科医じゃねーぞ、たけしファック!」
日村「たけしじゃねーよ。なんで突然ファックっていわれなきゃいけないんだよ。べつにここバナナムーンじゃないのよ。それに泌尿器科じゃないのはわかってるわ」
なーこ「それでなんか用ですか 」
日村「いや、なんかインフルエンザっぽくて。実は知り合いがインフルエンザでうつされたかなって。」
なーこ「ああ。たしか設楽さんインフルエンザでノンストップをドクターストップされてましたからね。」
日村「詳しいなおい。つーかノンストップとドクターストップで韻踏んでんじゃねえよ。」
なーこ「もしや、風邪がうつるからキスしないと決めたのにも関わらず強引にキスしましたね。」
日村「なんでだよ。しねーわ。まんま青空が違うじゃねーか。」
なーこ「バレましたか」
日村「いい加減見てもらえませんか」
なーこ、インフルエンザを判断するためのキッドを日村に背を向けて探している。
日村「あのー何探してるんですか。」
なーこ「鼻のアナに棒ぐりぐり突っ込んで粘膜を採取するやつ。」
日村「言い方。」
なーこ「ないなあ。」
ビーカーやメスシリンダー、湿布、アオコなどが次々日村の元へ飛んでくる。
日村「いや、危ないから。んでなんだこのぬいぐるみ。」
なーこ「アオコ。りかちゃんからのお土産。」
日村「なんでそんなもんここにあるんだよ」
30分経過。
部屋は散らかり、キッドは見つからない。
日村「あのー、まだですか。」
なーこ「すいません。検査キッドが見つからなくて。あ、お笑いコンビじゃないですよ。」
日村「知ってるよ!」
なーこ「まあ、キスしたならうつってるんじゃないですか(薄ら笑い)」
日村「いやだからしてないよ。なんだ、その笑い方は」
なーこ、泣く。
日村「いや、なんで泣くのかな。」
なーこ「嘘泣きです。」
日村「もう別のとこいくわ!」
なーこ「あれ、診察料は」
日村「払うわけないだろ!」
なーこ 「いい加減にシロクマ、」
日村「……。いやそれでしめられるわけないだろ。なんかグダっちゃったし。」
設楽「そうだよ。」
なーこ、日村、驚く。
日村「いやなんで設楽さんいるの?」
設楽「二人があまりにもつまらないからもう見てらんなくてさ」
日村「べつにコントじゃないからいいだろおもしろさは。」
設楽「それにこんなモンスターとキスするわけねーだろ!」
なーこ「えっ、違ったんですか」
設楽 日村 「違うよ!」
なーこ「なんだこのきったねー面」
日村「どんなタイミングで言ってんだよ!いいだろ、顔は!」
設楽「そう、そうその調子」
日村「焚きつけるなよ!」
こうしてなーこ医院の一日は過ぎる。
日村「いや、終わり方雑すぎるだろ」
設楽「だってしょーがねーだろ。グダグダになっちゃったんだから。」
なーこ、いつの間にかいなくなる。
日村 設楽「あれ、なーこは?」
なーこ、お友達の梨加ちゃんと話している。
設楽「いや、もう飽きちゃってんじゃん」
なーこ「あっ、コント終わりました? 」
日村「コントじゃねーよ」
設楽「コントだよ。もういい加減にしろ」
日村、設楽、なーこ
「どうもありがとうございました。」
幕。
『アイドルを探せ』3話
翌日、街の地方新聞に信じられない記事が掲載された。
『セバスチャン公、即位』
サブタイトルには、「秘蔵の隠し子、現る」とあった。
屋敷は、朝から騒々しいまでの賑やかさに包まれた。
「梨加様のお世話をするのも、これが最後かと思います」
セバスチャンは深々とお辞儀をして、梨加の髪に触った。
「急だね」
「申し訳ございません、議官からのご命令ですので」
「好きだったわ、あなたのこと。またどこかで会いましょ」
梨加は部屋を出ていった。
崖の下には、青い海が輝いていた。
梨加は靴を脱ぎ、丁寧に並べた。
崖の淵ギリギリまで歩み寄ると、足が震えた。
「怖くなんかない」
両手を広げた。
「ちょっと!」
背後から声が聞こえた。梨加は急いで飛び込む準備をする。
いざ、飛び込むとなると体が硬直する。それでも重心を前に傾けた。
誰かに左腕を引っぱられ、重心が後ろに傾いた。
女が、宙返りしながら梨加の横をすり抜けていった。
梨加は下を見た。
青く光る海に、いと白き女神が遠ざかっていった。
『アイドルを探せ』4話
「実は、麻衣様と婚約をしていたのです」
セバスチャン公は、壇上で崩れ落ちた。
梨加はとても聞いていられなくなって、中庭へ出た。
「梨加様、ここにおられたのですか」
セバスチャン公が中庭へ現れた。梨加は彼の足元へひざまずいた。
「ごめんなさい…」
セバスチャン公は少し沈黙した後、急に明るい声を出した。
「気にしてませんよ。先ほどのは演技ですから」
「演技?」
「ええ、婚約していたのは本当ですが、麻衣様は少々気難し屋でございまして、私の性に合いませんでした」
「ってことは、前々からお付き合いしていたのね。どうして話してくれなかったの?」
「その…梨加様が傷つくかと思いまして」
「気づいてたのね、私の気持ちに。でも、あなたはもう手の届かないところにいる…」
「そんなことで、身を投げようと?」
「そんなこと?あなたは何よりも大事な人だったのよ」
セバスチャンは梨加の手を取った。
「梨加様さえよければ、一生お守りしますよ。嘗ての執事としてでなく、セバスチャン公の名に懸けて」
「そのためには、一番美しい女にならないと」
いつかの日かの舞踏会、セバスチャン公に最もふさわしい女になるため、梨加は生きる決意をした。
シルヴィ・バルタン『アイドルを探せ』より
ちなみに、『おいでシャンプー』のイントロ及びCメロの元ネタはこの曲の一部でもあります。まいやんを登場させたのはそのためです
おいシャンのイントロにはいつも胸を締め付けられますね
↓1分19秒頃
>>147
なるほど!の種明かしですね
例によっておいシャンもサビの部分しか知らないので、これが元ネタとは気づけなかった(笑)
しかしシルヴィバルタンにしてもポルナレフにしても、この時代のいわゆるフレンチポップスの胸キュン具合は異常ですね >>148
テレビ番組では、イントロ短縮、Cメロカットが多かったですからね
Cメロに関しては、フレンチカンカンのスカート捲りが波紋を呼びましたし、
まだ時代が乃木坂に追いついていなかったんでしょう
ちなみに、私はJ-POPの真髄はCメロにあると思っています
他の乃木坂の曲では、『無口なライオン』のシンセサイザー
最近の欅ちゃんでは、『結局、じゃあねしか言えない』の「金木犀の木々で…」からのメロディラインがいいですね 「お風呂の音だけなら聞いててもいいよ」
なんて言ってくれた理佐ちゃんのありがたいお言葉に甘えてお風呂の前で耳を澄ます俺
パシャパシャ流れるシャワーの音とかすかに聞こえる理佐ちゃんの歌声
つまらん・・・
「こんなの蛇の生殺しじゃねえか〜!」
床に寝転がって手足をバタバタさせて悔しがる背後霊な俺
「ちっ、なんなんだよこのお風呂の音詐欺は・・・1回型に嵌めたらな分からんのか?あのアマ」
なんて理佐ちゃんに幽霊の壊さ分からせてやろうかな俺
「あれ?どうしたの?」
気づいたらお風呂上がってパジャマ姿の理佐ちゃん・・・可愛い
「お風呂の音だけだけど、ちょっとは慰めれたかな?」なんて小首かしげる理佐ちゃん
「うん、めっちゃ慰められたよ」
愛しの理佐ちゃんにパジャマで小首かしげられたらなんでも許せるちゃう俺
「良かった」
なんて嬉しそうな笑顔の理佐ちゃん・・・癒されるわ〜
「明日の夜さ一人部屋になっちゃったんだ」
ようやく本題に入る理佐ちゃん
握手会の会場が遠方のために前の日の夜から遠征する欅ちゃんたち
いつもは他のメンバーと相部屋の理佐ちゃん
「やっぱりさ、電気とテレビつけっぱなしじゃないと寝れないとか、エアコン24℃とかにしちゃうとか偏屈なとこあるから嫌がられちゃったんだろ」って大笑いな俺に
「偏屈とか言ってんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん
「もう、怖がりで暑がりなだけなのにな・・・それに冬は24℃なんかにしないよ」っていじける理佐ちゃん
「じゃあ、俺も部屋に居れてくれんの?」
いつもは相部屋のメンバーに気を使って俺が部屋に入れないようにお札貼っちゃう理佐ちゃんだけど
「うん、ちょっと怖いからずっとそばに居てね」
なんて俺を頼ってくれる理佐ちゃんだから好き
「理佐ちゃんだから好きスレ」があると理佐ちゃんだから好きで終わる話はスレチネタ投稿してる気分になるw
そちらは保管庫だと考えればよいのではないでしょうか(笑)
誰かさんのお絵描きスレみたいに(笑)
>>153
そうするとあっちに書いた新作もこっちに同時投稿したくなっちゃいますね
小説スレの独占状態を脱却するために独立したのにw どこかで落雷する音で目を覚ました。
どうやら。
リビングでうたた寝をしていたようだ。
室内は仄暗い。
時計の針は午後5時を指している。
テーブルの上にはコンビニ弁当の残骸と病院で処方された薬が乱雑に置かれている。ああ、早退したのか。
惘する頭で記憶の糸を手繰る。
そういえば。一人小さく呟き窓の外に目をやる。外は灰色の雲が空にかかり、
雨粒はなにかに反抗するように窓を叩いている。
また落雷の音がした。
今度は近い。季節は春なのに、冬を引き摺っているように寒い。低体温になる。
曇りガラスを手で拭う。同じような顔をしたビル。無機質だ。
鍵の開く音がした。
閉ざされたリビングガラス戸の向こう。小さく光が漏れる。
「ただいま。」
僕は光源を見つめる。
「おかえり、理佐。」
彼女の名をごく自然に呼ぶ。そうか。付き合っているのか。幸福感とも寂寥感ともなんとも言えない気持ちに背筋がゾクッとする。
「寝てなくていいの?」
彼女の言葉の端から隠された優しさが滲む。
「あっ、うん。」
僕は立ち上がり「やっぱ、少しねる」
と言った。
心配そうな目をする理佐。
理佐の手にはコンビニの袋。
中には冷えピタとゼリーが透けて見える。
僕は足元をみる。なぜか床が滲んで見え、偏頭痛がする。ああ、それが原因でうたた寝したのか。それを思い出した時。
理佐の髪から溢れるシャンプーの香りが鼻腔に入りこんだ。
理佐の黒いジャケットは雨粒を吸って重たくなっている。なぜそんなことが分かるのだろうか。気がつけば理佐に抱きついていた。いや、もたれ掛かると言った方が良いか。
「ちょっと、大丈夫?」
潮騒のようなその声が耳の奥に響いたとき、視界が暗転した。
「由依、差し入れのケーキ食べた?」
ゆいぽんにケーキ食べたか聞いてる理佐ちゃんの声
ともすると楽屋でぼっちになりがちなゆいぽんをさりげなく気づかう理佐ちゃんの優しさに胸が熱くなる理佐ちゃんの背後霊な俺
さっきから楽屋の片づけをまめにしてる理佐ちゃんの脚が見える
俺が世界一だと思ってる理佐ちゃんの美脚だ・・・膝裏がめっちゃ可愛い
アイスをこぼしたみぃちゃんにティッシュを渡しながら
「こぼしてんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん
気立ての良いお姉さん気質な理佐ちゃんに感動してる俺
「俺君・・・どこに居るの?」
やっと落ち着いて座った理佐ちゃんが小声で俺を喚んでいる
「そばに居てくれって言ってたからここに居るよ」
そう返事してゆいぽんのスカートの中から理佐ちゃんに手を振る俺
「あんた、なに考えてんの?」
楽屋に響く理佐ちゃんの怒鳴り声
ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・
理佐ちゃんの怒鳴り声にざわつく欅ちゃんたち・・・
「理佐〜どうしたの?」すかさず声をかける年長者のふうちゃん
「ごめ〜ん、寝ぼけた〜ファ〜」慌ててアクビする振りの理佐ちゃん
そして俺を連れてトイレへ
「ちょっと、なに考えてんのよ?」
人の目を気にせず俺を詰める理佐ちゃん
「すいません、生前ぽん民だったもので、ついゆいぽんのスカートの中へ引き寄せられてしまいました」土下座で謝罪する俺
「ちょっと、あんた生きてる時、私のこと推してたんじゃないの?」って怒りの焦点がずれ始める理佐ちゃん
「生きてる時はバリバリぽん民だった」って胸を張る俺
「だったらなんで私に取り憑いてんのよ〜」って泣き言な理佐ちゃん
「死んだらアイドルに興味無くなっちゃって高1の時にエッチし損ねた理佐ちゃんにしか興味無くなっちゃったんだよね」って照れる俺
「もう、こいつやだ〜」
なんてめっちゃ嘆きの理佐ちゃんだから好き
「早く早く〜!」
イベントが終わると共に握手会のある地方へ遠征の旅に出る理佐ちゃんと欅ちゃんたち
「理佐ちゃん、ジジイの幽霊がついてきてるよ」理佐ちゃんの耳許にささやく俺
「ウソだぁ、こんな賑やかなとこに幽霊なんて居るわけないじゃん」
盛り上がったイベント終わりに仲間の欅ちゃんたちと電車で移動するワクワク感で目の前に居る俺が幽霊なの忘れる粗忽な理佐ちゃん
理佐ちゃんの眉間のスイッチ押して幽霊が見えるようにする俺
「きゃぁぁ〜」って目に飛び込んできたジジイの幽霊に悲鳴あげるビビりの理佐ちゃん
ざわ・・・ざわ・・・ざわ・・・
理佐ちゃんの悲鳴にざわつく欅ちゃんたち
「ごめん、コンタクトがずれただけだから、痛〜い」って無茶な誤魔化しを棒演技で押し通す理佐ちゃん
「見えたでしょ、あいつイベント会場にも居たよ」って俺に
「余計なことしてんじゃねーよ」ってジジイの幽霊の方を見ずに小声でドス効かす理佐ちゃん
「でも見えてた方が何かと便利じゃないかな」
「便利なんていらないから元にもどしなさいよ、ほらぁ早く〜」って駄々っ子な理佐ちゃん
あれ、ジジイの幽霊消えちった?
「ねぇ、幽霊って高速移動できるの?」
電車に乗る直前聞いてくる理佐ちゃん
「自慢じゃないけど光の速さで移動出来るよ」って本当は自慢の俺
「それ聞いて安心した」
言うと同時に新幹線にお札貼り出す理佐ちゃん
「どういうこと・・・?」理佐ちゃんの突飛な行動に目が点の俺
「俺君が一緒の電車だと私の神経がもたないから走ってついてきて、ナンマンダブ、ナンマンダブ」って俺を拝む理佐ちゃん
「ナンマンダブ、ナンマンダブじゃねんだよ〜馬鹿女」っ泣きながら新幹線に並走する俺
「ちきしょう幸せそうな寝顔しやがって!めちゃくちゃ可愛いじゃねえか!」って窓に張り付いて叫ぶ俺
「うるさい!黙って!」
なんて寝言言ってそうな理佐ちゃんだから好き
>>159
メンバーとの交流、アイドルの裏側など、妙にノンフィクションを感じます
>>155
静かな雰囲気がいいですね >>160
ちょっとノンフィクションを取り入れる試みにチャレンジしています 「理佐なにやってんの?」
欅ちゃんたちの泊まる部屋にお札貼って歩く理佐ちゃんを呼び止めるもなちゃん
「おまじないの魔除け」
余計なことを聞かれないように早口で説明して歩き去る理佐ちゃん
怪しすぎるだろ理佐ちゃん
「理佐ちゃん、そんなことしなくてもジジイの幽霊は見当たらないよ」って怖がりな理佐ちゃんを安心させる俺
「はっ?なに言ってんの、あんた対策に決まってんじゃん」
なんてまったく俺を信用してない理佐ちゃん
そこに理佐ちゃんにかかる電話
「うん、分かってるよ、しつこいなぁ、元気って言ってんじゃん」
そう言って軽く怒りながら電話切る理佐ちゃん
「お父さん?」
「うん、昼間のイベントの映像をテレビで見てたんだけど顔色が悪いからって心配して電話かけてきたみたい」って不機嫌を装う理佐ちゃん
「相変わらず優しいお父さんじゃん、嬉かったんだろ?素直にありがとうって言ってあげれば喜ぶのに」
冷たくされてる理佐ちゃんのお父さんに同情する俺
「そんなの俺君に言われなくたって分かってるの」
嬉しい本心を隠すためにますます不機嫌になる理佐ちゃんも可愛い
「私は寝るまで皆といるから部屋の様子ちゃんと確かめといてよ」
ってなかなか使いの激しい理佐ちゃん
お前も嬉かったんだからお父さんに素直にお礼言えよ
って心の中で理佐ちゃんに命令する俺
「なんか言った?」って眉間にしわ寄せて詰問する勘の鋭い理佐ちゃん
しっしって手で俺を追い払う仕草する理佐ちゃん
俺が入れないように入り口にお札貼りながら皆と部屋に消えてく理佐ちゃんだから好き
『お空にひびけ』その1
小学二年生頃の少年少女は、その心の中を将来への希望で満たし、大人よりも多くの物事を信じ切っている。
経験した不可解な出来事は徐々に大人になるに連れ忘却の彼方へと連れ去られ、大切な矛盾を含んだまま大気へ散りばめられる。
雨を降らす雲がそんな矛盾を分解して、再び大地へ帰って来ることも知らずに、私たちは生きているだけかもしれない。
嘗ては空へ祈り続けていた少女も今ではすっかり大人になって、もうこの頃の記憶などないかもしれない。
神様さえも気づきそうにない静かな田舎で、神様がちょっとしたいたずらを仕掛けた。
そんな出来事である。
なだらかに続く山の麓に、僕の家はあった。この辺りでは火山灰の作る層の恵みもあって、珍しい種の芋が良く育つ。
その火山灰を降らせた山は、ここ150年は静かにそびえているものの、活火山に分類されるためいつ噴火してもおかしくない状況だ。
農耕民みなが、この集落一体の無事と豊作を願って毎日山を拝み続けている。
今日も自分より一個上の女の子が、家の前で山に一礼をしてから、その日の活動をスタートさせていた。
ラルフローレンのカーディガンに黒髪が流れ、上品に重なった手はスカートに優しく置かれている。
女の子がお辞儀から直ると、僕も慌てて適当に山へ向かってお辞儀をする。
「おはよう。行こっか」
赤いランドセルに隠れた細い背中を追い越すように、僕はアスファルトの上を駆けていく。
学年は違うけれど、何だかんだ帰りも一緒になる。立ち昇る煙の色や匂いとともに、僕は帰っているのだが、共に帰る女の子は肌の色も香りもこの情景とは離別している。
彼女の先祖が代々地主であったため、所有地が他の家よりも広く、トラクターなどの機械代もこの町で一番高い。
その家の子供が、洒落た格好をしているのは自然なことであるし、そのことに誰もケチをつけようとはしない。
学校から出て間もなくの所に神社があり、彼女はいつもそこでお願い事をしていた。その間邪魔してはいけないと思い、僕は待っている。
何をお願いしたのか聞いてみても、絶対に答えてくれなかった。腕を組みながら、「ひみつー」と誑かすのが一連の流れである。
お願いの甲斐あってか、彼女の家はお金持ちである。
というか今思えば、毎日コツコツとお願いするような女の子に育てられる親だからこそ金持ちなのかもしれない。
隣の家に住んでいながら、最も遠い存在にも思える女の子、それが菅井友香だった。
『お空にひびけ』その2
「ここ何の小屋かな?」
本殿に伸びる参拝道から少し外れた雑木林の中に、小さな小屋があった。
友香が参拝している間は暇で仕様がなかったので、僕は神社の境内をぶらついて遊んだりしていた。
その時に、たまたま見つけたのだった。木造建てだが、神社の建築とは微妙に違った造りをしていた。
幾本もの木に囲まれていて、気味悪い雰囲気を感じた。その嫌なニュアンスを感じてか、友香は興味ない振りをして、「帰ろうよ」と僕の手を引っ張った。
「じゃあ僕ひとりで行くよ」
薄く曇った窓から中を覗くと、電球の光が霞んで見えた。どうやら中に誰かいるようだ。
カチカチと針の動くような音も聞こえる。
「ねぇ、やっぱり止めようよ」
友香は僕のランドセルにしがみついて、引っ張ろうとしている。
「子どもだから許してくれると思うよ」
僕は戸を開けた。
元暴走族の総長といった感じのファンキーなおじいさんが出迎え、やはり素直に友香の忠告に従っておくべきだったと痛感した。
おじいさんの向こうでは多くの機器が動いていた。
「あの、すみませんでした。お邪魔したようで」
友香が僕の手を引っ張った。
「君たち待ちたまえ、少し手伝う気はないかい」
その日以来、僕は小屋へ通うようになった。
雑用が主な手伝いであり、書類の整理、インクの補充、封筒の糊付けなど、誰にでもできる仕事だった。
「おじいさん、何でこんな隠れた所で研究をしているの?」
国に認められた機関らしいのだが、それにしては規模が小さすぎる。
「堂々と研究をやってみい、住民が心配するじゃろ」
おじいさんの研究対象は火山だった。山から電線を引っ張って機器に繋げていた。
溶岩の動きやガスの濃度などが数値になってグラフに表れるらしいのだった。
僕は来る日も小屋へ通い、機器の使い方や数値の見方などを教えてもらった。おじいさんは学校では教えてくれないことをたくさん知っていた。
『お空にひびけ』その3
はじめは一緒に小屋へ通っていた友香だが、高学年になってくると習い事が忙しくなり、神社に参拝だけして帰るようになった。
小学五年生のある日、おじいさんは研究機関を退職することになった。
年齢もそうだが、この間あった噴火がそれほど大きなものでなく、国の研究費が下りなくなったのだと言う。
「この小屋とも今日でお別れじゃのう」
僕が機材を外に運んでいると、おじいさんは腕を組んで物惜しそうに空を見上げていた。
一時間後、重機で小屋が潰されるところを見ることなく、おじいさんは神社から出ていった。
その頃から自然科学に興味が出てきて、それらを扱う職種に就ければいいと考えるようになった。
僕の家はお金がなく、地元の国公立大学が精一杯だった。
どこの大学へ行っても寮生活をしなければならないことに変わりはなく、お金に余裕があるわけではなかった。
それでも優秀な成績で合格できたことで国からの奨学金を得ることができ、勉学に集中できた。
在学中に実家の農業が上向きになったことで大学院へ行く余裕もでき、そこで一人の女性と知り合うことになる。
研究はペンギンの生態という訳のわからない分野であり、僕の農学と近い分野で、院へ行く者も少なかったことから、すぐ仲良くなった。
「なんの勉強してんの?」
彼女は緊張気味に声をかけてきた。
「うちの実家が農家でね、それに貢献できればと思ってるよ」
大学内のカフェテリアで、僕は適当な夢を語っていた。
沈みかけた弱い西日がカフェへ差し込み、優しく彼女を照らしていた。
「みいちゃんは?」
念のため断っておくが、彼女が「みいちゃん」と呼べと言ったから呼んでいるまでで、女の子と話すのは苦手だ。
「小池美波」でみいちゃん、彼女のイメージにぴったりで、親しみやすいニックネームだ。
「私はペンギンを愛してしまったのよ」
芝居かと思った。日本人で、「愛してしまった」の目的語に動物を当てはめる人を見るのは初めてだった。
寧ろこれくらいの変人でないと、ペンギン学者は務まらないのかもしれない。
『お空にひびけ』その4
小池は度々僕の研究室を訪れた。修士課程は思ったよりも忙しく、学外で会っている暇はなかった。
泊まり込みで研究することもあり、眠りかけた頃に小池はやって来る。
ノックされた後にドアが開き、暗い廊下に肋骨の影が揺れている。正体はペンギンの模型なのだが、ほとんどホラーだった。
「コーヒー淹れてあげるよ」
小池はその日の研究を終えて、道具を返しに行ったついでに、僕の研究室へ立ち寄ったらしい。
コーヒーを淹れてくれると、ソファーでぐっすり眠っていた。
どうせもう終電が行ってしまった後だったから、僕は彼女に毛布を掛け、研究を続けた。
小池は午前四時に起きた。目をこすって、僕の姿を見つけると、急に怯え出した。
「ここ、大学だよ」
「何やびっくりした。うち寝てたんか」
僕は四時間前のお返しに紅茶を淹れる。コーヒーは苦くて飲めないらしい。
「はい、まだ始発まで時間あるから」
「ありがと。にしても変な夢見た〜」
「どんな?」
「先月亡くなったおじいちゃんの夢でね、おじいちゃんは火山の研究者だったんだ。それで、『美波、お前は農業の人と結婚しなさい。その人の悩みを聞いてあげるんじゃぞ』ってね」
「おじいちゃん、火山の研究者だったんだ」
「うん。15年位前まではね。でも、有望な跡取りが見つかったって言って辞めちゃったんだ」
「それ、〇〇山に赴任してた時のことだろ」
「え、なんで分かるん?」
「さぁね、俺はみいちゃんのこと何でも分かるんだ」
「ええ、教えてや。何でもしてあげるから」
「チューしてくれたらいいよ」
「うん、するから。うちおじいちゃんのこともっと知りたいねん」
ペンギンの骸骨が見守るなか、小池の知識欲を盾に取り、僕は女の子と初めてキスをした。
『お空にひびけ』その5
大学院を卒業して、小池と婚約した。小池が、僕の両親に挨拶をしたいということで、お盆休みを利用して久しぶりに実家へ帰った。
芋畑が広がっている風景は変わらず、小池は珍しそうに芋のツルを手にとって観察していた。
僕と母親、小池の三人で町を回った。久方ぶりであったからか、僕まで観光している気分になった。
神社の鳥居の前で僕は立ち止まった。
「みいちゃん、母さんと一緒に戻っててくれない?ちょっと寄りたいから」
「うん、わかった」
小屋があった場所は、当然ながら何もない。手を合わせた後、本殿へ向かった。
女の人が手を合わせていた。僕は後ろから小銭を投げ、真似をした。
「あれ、帰ってたの!」
「まあね、友香ちゃんも?」
「うん、お盆だからね。でも何で帰ってきたの?」
「結婚のあいさつ。秋にでも結婚しようと思ってるんだ」
「あ、そう…」
友香は大人になっていた。いつまでも頼れるお姉ちゃんみたいな存在だ。
もしかしたら、見ない間に僕の方が大人になっているかもと思ったが、そんなことはなかった。
二人きりで境内を歩く。
「結婚かぁ…」
「友香ちゃんは?」
「ううん、まだ。」
友香が空を見上げた。
「願い事、叶わなかったなぁ」
きれいな声が空に響いた。
おわり
信じられないかもしれませんが、原案は『おジャ魔女カーニバル』の世界観ですw
グスコーブドリの要素も少し入ってます
>>167
こうゆう物語性のあるものが読みたかったんや!
これはまだ気が早いけど今年の小説スレ大賞に決めてしまっても良いのでは? 「しかし、顔とスタイルは間違いなく世界一可愛いと断言出来るけどもう少し柔らかい性格になれないもんかね」
なんて愛しの理佐ちゃんへの不満を言いながら理佐ちゃんが泊まる部屋の様子を見に行く偵察兵な俺
「もっとも、あのキツい性格だからたまに見せる優しさが堪らないってのもあるしな・・・結局理佐ちゃんだったらなんでも可愛いのか」
って1周回って理佐ちゃんには欠点が無いことを確認した背後霊な俺
そんな理佐ちゃんの魅力という地上最高の迷宮をさ迷ってるうちに部屋にたどりついた俺
「ありゃ、なんだか哀しいオーラを感じるな・・・」
嫌な予感と共に部屋に入ってみる俺
うわっ!?焼死しとるやん・・・しかも母と娘の二人連れ
「こんばんわ」
俺に向かって頭をさげる焼死した母と娘の幽霊に声かける俺
「そのままだと気持ち悪いから生きてた時の姿に戻ろうか?」
いくら俺が背後霊とはいえさっきまで理佐ちゃんという超美人と居たせいか
焼死体の幽霊は落差がデカ過ぎてさすがにキモい・・・
「あらっ、お二人とも生前は美人だったんですね」生前の姿に戻った母と娘に感動する俺
俺の言葉に慌てて手を横に振る謙虚な女子高生と若いお母さんの幽霊に感動する俺
「そうですか、家族3人で旅行に来て火事に遭われたんですか・・・それは災難だったですね」
二人が幽霊になった経緯に相づちを打つ俺
「なるほど生き残って毎年この部屋に慰霊に訪れてたお父さんが去年は来なかったと・・・」
「はい・・・もしや何か有ったのかと気掛かりで・・・」
「それで理佐ちゃんにくっついてた俺を見かけて頼って来たと」
なんだか面倒くさそうだな・・・
「俺さんは私たち母娘と違ってまだ完全にこちら側に来ていないみたいなので何とかしていただけないかと思いまして・・・」
なんて申し訳なさそうに頼むお母さん幽霊
「俺まだ幽霊になって1年しか裁ってないからね、理佐ちゃんに未練ありありだし」って苦笑いの俺
「お父さんのことが心配なんです、助けてください」って頼む美人女子高生幽霊
下向いたらなかなかええ乳しとるやないか・・・
よく見りゃちょっと好きなむーちゃんと似てるし・・・
「助けてあげたいのやまやまなんすけど、ただで助けちゃいけないんですよ、霊的な成長の妨げになっちゃうから」って難色示して美人の母娘幽霊を困らせる俺
「そこでですね、お礼におっぱい触らしてくれたら助けます」
なんて言ったは良いけどさすがに照れて真っ赤になる俺
俺の提案に目と目を見合わせる母娘
「あっ、お母さんは大丈夫ですから」ってやっぱり同世代のおっぱいが触りたい俺
全然出番の無かった理佐ちゃんだけどdocomoのCMも棒可愛い理佐ちゃんだから好き
>>169
ありがとうございます
> ジューシーな清涼感
すごく難しい言葉ですね
ジュースに例えると、CCレモンみたいなもんでしょうかw
『おジャ魔女カーニバル』は、明るい曲調から、サビで急に転調して短調になるんですよ
文章書く上でも、サラッとした流れの中にそういった深さを出していきたいですね
>>170
頭のなかでプロット作ったおかげで、しっかりした物語に仕上がってるんすかね
大賞については、まだ十ヶ月もありますので気が早いですw
現時点での個人的な評価。
庭さん:小説スレ二年目にして、単独スレを開店。妄想は留まるところを知らず、はっきり言って暴走気味である。ゴール前での失速が懸念される。
チワンさん:お得意のダジャレは去年ほどでないものの、ここへ来て哲学的なテーマも見せ始めた。何もかも未知数。
ぽん民さん:ゆいぽん一筋。あまり姿を見せないが、実は初期(たぶん僕よりも先)から存在している。ゆいぽん書かせたら右に出るものはいない。
空さん:寡作ではあるが、それは丁寧の裏返し。変わることなない文体、世界観、やはり文学的である。
千葉県さん:小気味よい文体に、幻想的な世界。そうかと思えば、ポストチワン感もある。作品数も多く、これから目が離せない。
あと誰かおられましたっけ? >>172
今のところそのくらいじゃないですかね
私に関しては軸足が完全にお絵描きに移ってる感じなんで最も賞レースから遠ざかってますね(笑)
ところで昨日前スレがdat落ちしました
現状は最終書き込みから2日半くらいで危ないみたいです
このスレも気をつけましょう 「同じ大学だったんですね。驚きました。」
「驚いたのはこっちだよ。」
そういえばさ。若月さんが宙をみて、口を動かす。
「こんど、うちの劇団で舞台やるんだけど。見に来てくれない。」
「僕がですか?」
「うん、」
「いいですけど。」
若月さんは下北沢にある劇団に所属している。
昔から演技をやってみたかったらしく、
大学でも演劇を学んでいた。
僕が入学した年に入れ替わりで卒業したので若月さんのことは知らなかった。
「じゃあ。」
次の人と交代する。
朝の日差しを浴びてアスファルトはキラキラと輝いている。
午前七時。幸い、今日は休みだ。アパートに帰って寝ようか。
【 ピープル・ヒーロータイム・ネバー・エンド 】
一年で365日
5年で1825日・9年で3285日
ももいろクローバーZ
佐々木彩夏21歳本人が
栗山鷹志に恋人交際8年間でやられてきたことを
今はたこやきレインボー堀くるみが18歳本人がやられてる毎日
栗山鷹志33歳本人は
芸能人のたこやきレインボー
堀くるみ18本人だけを
全人類で未来永劫一番に愛してます
たこ虹の
堀くるみ18歳本人に
ディープキスしてムネを揉みまくり
ペニスを喉まで深く入るほど入れて出し入れして
いろんな体位で野獣のように膣や尻の穴にも出し入れて
栗山鷹志の精子が
膣と言うより子宮までぺニスを激しく
出し入れして精子が溢れるほど出されまくっている
※泣きじゃくり痛がり悲鳴もあげてる・・・
潮吹きながら失神しても毎日セックスしている
栗山鷹志33歳本人の
精子が毎日出されまくっている
たこ虹の掘くるみ18歳本人との恋人交際5年間
芸能人の
ももいろクローバーZ
佐々木彩夏21歳本人は
2008年に一般人の栗山鷹志に処女ささげた
芸能人の
たこやきレインボー
掘くるみ18歳本人は
2012年に一般人の栗山鷹志に処女ささげた
※一般人の栗山鷹志は
この2っ事実の否定するなよ
【 マメ知識 】
成人男性の
1回の精子は1億子の遺伝子が含れます
※ネットのウィキぺティア参考記載引用より
≪≪☆この先にどんな噂があれどこの二人の芸能人だけが真実☆≫≫ 「ずっと笑って過ごしていたいのにこんなはずじゃなかったな」
午前二時。蛍光灯しかない
夜の街でつぶやく。
夢遊病みたいにさまよう僕は闇夜に体を預けた。
「今日は早く帰るよ。」
ここ数日帰宅する時間が遅い僕。
茜に出勤前そう告げた。
「わかった。じゃ、早く帰ってきてね。」
付き合い始めた時から変わらない。
あのおそろしい 軍曹スマイル。
僕は朝から背を凍らした。
あんなこと言わなきゃ良かった。
早く帰えれる保証などないのに。
しまったな。仕事が終わらない。
僕は時計の文字盤を睨む。
今日になってインフルエンザを発症した同僚。
その同僚の仕事を肩代わりさせられた。
「ごめん、急な仕事で遅くなる」
一時間前に送ったLINEは既読がつかない。
軍曹は完全にご立腹だ。
重たい足取りで家につく。
「ただいま。」
冷たいメタルの把手を握り部屋に入る。
「おかえり。」
茜はムスッとした顔。
「ごめん。」
僕はフローリングの溝を凝視しながら茜に謝る
「いいよ。」
その口調はまだ怒っている。
「だからごめんって」
「もう、いいよ 私のこと……」
茜は感情の起伏が激しい。そんなことをいいながら瞳を涙で満たした。
「仕事が忙しくてさ」
「仕事を言い訳にして、どうせ」
「なんでそんなこというんだよ」
「早く帰るっていったじゃん」
僕らはきっとひとつひとつ
分かり合えはしない。
互いが流す涙に気付かずすれ違う。
そしてここに今がある。
長い、言い合いの末。
僕は夜の街へ飛び出した。
もうどうにでもなれ。そんな気分だった。
仕事は終わらず、家に帰ったらあろう事か浮気を疑われ。散々だ。
しばらくして何も食べていないことに
気づいた僕は
なにか腹に入れようとコンビニを目指した。
コンビニの前にある横断歩道。
信号は赤だ 立ち止まって小さな石を蹴飛ばす。石は微かな音をたて、
路側帯に転がって行く。ポケットに手を入れ、見上げた信号はまだ赤。
もしかしたらずっと赤の侭なのかも
しれない。俯いて、草臥れきった革靴を眺め、
歩いていると、
夜の静寂を切り裂くような轟音が響いた。
黒いバイクのから放射される眩いライト。
ブレーキ音。ヘルメットを被った人物
音の方を向いた僕が最後に見た景色だった。
やがて僕は爆音に包まれブラックアウトした。
轟音が鳴り、大輪の花火が夜の闇に打ち上がるのを高層マンションから眺めた。
「今度の舞台、主演は渡辺梨加ちゃんにしたから。いやー、あの子演技上手くて劇団員から人気だし。大違いだわお前と」
菊池誠也はテレビを見ながらそう言った。
花火はまだ続いている。
長沢菜々香は窓の外に見える花火に目をやり、鞄の中から取り出した手袋を嵌めた。
菜々香は唾をごくりと飲み込むと菊池が拘って作らせたバーカウンターからナイフを取り出し、握りしめた。
「ふん、お前の演技は全部頭の中で考えられたもんで芯が無いんだよ」
菊池は缶ビールを手に、大型の液晶テレビから目を離さない。
菜々香は菊池に近づく。
「ねぇ。」
菜々香は菊池に話しかける。
「ああ?」
菊池は振り向いたあと、小さく呻いた。
菊池の腹部には菜々香が握りしめていたナイフが刺さっていた。
フローリングの床は菊池の腹部から流れるだす血に塗れる。菊池は微かな声で菜々香の名を呼ぶ。
大輪の花火がいくつもあがる。
菜々香は物になりさがった
菊池をただ、冷たく見下ろしていた。
「湯川先生、こいつどうにかしてくださいよ。」
助手の栗林が困った顔をする。
ここは帝都大理工学部の研究室。
先程から、黄土色のコートにジャケット、黒のパンツスーツ姿の女性が栗林に通せんぼをされている。
湯川はそのすがたを一瞥すると、
かすかに笑ってまたパソコンに向かった。
「なんだ、岸谷のつぎは誰だ」栗林はムキになって怒鳴る。
「誰だって あんたに言う必要はないでしょ!」
「あんたってなんだあんたって。俺にも名前が」
「うるさい!」
湯川がテーブルを叩く。
「栗林さん落ち着いてください」
湯川はため息をつく。そのあとで
彼女をじっと見つめ
「君は誰だ?」
といった。
「警視庁 貝塚北署の湯川先生担当になった渡邉理佐です。」
そういって頭を下げた。
もしもガリレオの世界観に欅のメンバーが登場したら……みたいなやつ。
続きはどうしよう、
本文読む前に>>179が目に入ったので天動説と地動説の話のメタファー系かと思っちゃった(笑)
本格的科学推理系になるのか、それとも…? >>173
俺も自分のスレと掛け持ちはツラいから賞レースは辞退ですw
小説スレは大阪府さんと千葉県さんにお任せしますm(__)m
なんて言いながら過疎ってる時狙ってイタズラ投稿しに来ちゃうんですけどねw >>179
推理物はトリックとか難しそうだけど是非読みたいから書いて欲しいですm(__)m >>173
絵の批評もしてみたいところではありますが、僕自身、絵が下手くそなので批評できませんw
>>179
ガリレオと言えば澤部さんですね
>>181
どんどん投稿してください 「どうだった?」
美人母娘の幽霊を部屋に残し調査結果を報告しに戻った俺に愛しの理佐ちゃんが尋ねる
「何にも居ませんでした、綺麗な過ごしやすい部屋でした」
本当のこと言ったらビビって皆の部屋から出て来なくなる可能性を考慮してウソつく背後霊な俺
「じゃあ、俺君の相手もしてあげなきゃいけないから、そろそろ部屋に戻ろうかな」って優しい理佐ちゃん
理佐ちゃんと部屋に向かってると昼間のジジイの幽霊が・・・
「理佐ちゃん、昼間見たジジイの幽霊が居るよ」
「ウソ!?」ってビビる理佐ちゃん
「部屋に入りたいみたいだけど理佐ちゃんがお札貼っちゃったから入れないみたいだよ」
「なんで莉菜と佑唯の部屋に入りたがってんのよ」って怖さからヒステリックになり俺を詰問する理佐ちゃん・・・面倒くせぇ
「きっと生きてる時にむーちゃんかずーみんを推してたんじゃないの」って名推理な俺に
「ねぇ、追っ払ってよ」
また俺に無茶ぶりする理佐ちゃん
「お札貼ってあるから部屋に入れないし放っておいたほうが無難だよ」
万が一ジジイがキレたらヤバイので理佐ちゃんをなだめて部屋に向かうチキンな俺
「ちょっと!どうゆうこと?」
部屋に入るなり美人母娘の幽霊の気配を感じて怒る理佐ちゃん
どうやら1年も俺にまとわりつかれていたせいで霊を感じる能力が研ぎ澄まされてしまったみたいだ・・・
「理佐ちゃん、すまん」謝りながら理佐ちゃんの額にある幽霊が見えるようになる秘孔を突く俺
「わっ!?」
突然、母娘の幽霊が見えてビビる理佐ちゃん
「理佐ちゃん、この母娘の幽霊は安心安全だから大丈夫だよ、実はかくかくしかじか・・・」
理佐ちゃんに美人母娘の幽霊の来歴を早口で捲し立てる俺
「本当だ、見た目も全然怖くない」
事前に理佐ちゃんの面倒くさい性格について俺からレクチュアーされてた美人母娘の幽霊がそつなく対応したせいか意外とあっさり受け入れてくれた理佐ちゃん
気を良くして美人母娘の幽霊に協力して父親の行方を探すよう俺に命じる優しい理佐ちゃんだから好き
「可哀想だから助けてあげなよ」
なんて理佐ちゃんに言われた俺
元より娘の方のおっぱいを触らしてもらう約束したので助けるつもりの俺ではあったが・・・
改めて愛しの理佐ちゃんに言われてみるとヤル気が出るやっぱり理佐ちゃんファーストな俺
ゆいぽんの次に好きなむーちゃんと似た幽霊女子高生
そのおっぱいに勝つ理佐ちゃんの「助けてあげなよ」・・・やはり理佐ちゃんは偉大だ
なんて張り切ったわりにどうやってお父さんの消息を探れるか分からない俺
とりあえず理佐ちゃんが寝た隙にゆいぽんとむーちゃんの寝姿を見に行く俺
「あのう?テレビも電気もつけっぱなしですけど・・・」
部屋を出て行こうとする俺に遠慮がちに声かけるお母さん幽霊
「いいの、いいの、理佐ちゃんは怖がりだからテレビも電気もうっすらつけとく人だから」
って理佐ちゃんの奇行の訳を美人母娘の幽霊に説明する俺
「じゃあ、お父さん探して一晩中駆け回ってくるから、理佐ちゃんを朝まで見守っててあげてね」
美人母娘の幽霊に恩を着せていざゆいぽんとむーちゃんの待つ部屋へ
「ちきしょう!理佐ちゃんがお札貼ってるの忘れてた」ってゆいぽんの部屋の前で床を叩き悔しがる俺
そんな俺に「私も困ってます」なんて声かける怪しい影
声の方を振り向くと例のジジイの幽霊が・・・
「なんだジジイ、お前喋れんのか?」
「死んだ時のショックで記憶が曖昧なのですが言葉は最近思い出しまして」
それでコイツいつも腑抜けみたいにボーっとしてんのかって納得する俺
「記憶が曖昧だから生前大好きだった欅ちゃんを追いかけてんのかよ?」
廊下じゃ落ちつかないのでロビーのソファーで駄弁る俺とジジイの幽霊
「いえ、そういう訳では無いんですけど、半年ほど前にあの上村と言う娘をたまたまテレビで見かけて気づいたら憑いて歩くようになりまして」
なんてストーカーみたいなジジイ幽霊
「お前、けっこうなジジイなのに死んでまでアイドルの追っかけはキモいよ」ってドン引きの俺
「俺の大事な理佐ちゃんが幽霊の気配に敏感になっちゃってるからあんまり彷徨くなよな、理佐ちゃん怖がりだからビビったら可哀想だからよ」
ジジイの幽霊にクンロク入れて理佐ちゃんの部屋に戻る俺
「ちょっと座って」
部屋に戻ると怒り気味に待ってそうな理佐ちゃんだから好き
「ちょっと座って」
部屋に戻るなり怒りの理佐ちゃんに正座させられて詰められる俺
「お母さん幽霊に聞いたんだけど、助ける替わりに娘さん幽霊のおっぱい触らせろってどうゆうこと?」
正座する俺を問い質す愛しの理佐ちゃん
美人母娘の幽霊にチクられた俺・・・
「俺以外に助けられる者が居ないみたいだったんで絶対に断られないと思ってつい・・・」
理佐ちゃんの背後霊として現世に存在してる以上宿主の理佐ちゃんにはウソつけない俺に
「弱味につけこんでんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん
「どうせ娘さん幽霊の方が私より大きいですよ」
なんて外道な俺への義憤だけではなく、ちょっとヤキモチも入ってそうな理佐ちゃん
「理佐ちゃん心配しないでくれ、たまたま簡単に触れそうなおっぱいが娘さん幽霊のだったから弱味につけこんだだけで、俺が一番触りたいのは理佐ちゃんのおっぱいたから、それがたとえまな板に小梅ちゃんでも・・・」
慌てて理佐ちゃんを慰めるも
「人のおっぱい、まな板に小梅ちゃんとか言ってんじゃねーよ」
なんてまたも理佐ちゃんにドスを効かされる俺
「俺君は知らないだけでちゃんと成長してるんだからね」なんてむくれる理佐ちゃん
「だいたい、あんたはさ・・・」なおも俺を責めようとする理佐ちゃんだったが
「理佐、どうしたの?まだ夜中の2時半だよ」なんて部屋の外から理佐ちゃんを呼ぶ声
「ごめん、寝ぼけて寝言言ったみたい・・・」
一人部屋なのに騒いでる理佐ちゃんを心配して様子を見にきたふーちゃんにアクビする振りしながら言い訳の理佐ちゃん
「なんか最近、宙に向かって独り言言ってたりお札持ち歩いたりしてるから心配してたんだ、悩みとかあったら誰でもいいから相談しなよ、あんたは一人で抱えちゃうとこあるから」
なんて理佐ちゃんを心配してくれるさすが年長者のふーちゃんに
「ふーちゃんありがとう」って瞳うるうるな理佐ちゃん
理佐ちゃんをひとしきりあやして部屋に引き揚げるふーちゃん
「絶対変人だと思われてるよ〜」って部屋で布団にうっ伏して足パタパタさせる理佐ちゃん・・・可愛い
「理佐ちゃん心配すんなよ最悪俺だけは理佐ちゃんのこと変人だなんて思わないからさ」ってすかさずフォローする俺に
「うるさい!みんなあんたのせいなんだから謝って」
なんて謝罪要求する丑三つ時の理佐ちゃんだから好き
「え〜っ、今日の握手会に憑いてくんの?」
俺だけでなく美人母娘の幽霊も握手会に憑いてくると知って驚く理佐ちゃん
「うん、だって俺と理佐ちゃん握手会終わったら東京に帰るからさ、この人たちを置いて帰るわけに行かないじゃん」
「うーん?それじゃ握手会終わるまで俺君もここで待っててよ」って俺を拝む理佐ちゃん
「いや、握手会に来るヲタの邪念から愛しの理佐ちゃんを守らなきゃいけないから無理」ってきっぱり断る俺
「邪念の塊が私のファンを邪念呼ばわりしてんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん
「なにが愛しの理佐ちゃんよ、はぁ・・・頭痛い」って嘆きの理佐ちゃん
「それからさこの人たちがお父さんの消息が分かるまで理佐ちゃんの部屋に居候させて欲しいんだって」
「え〜〜っ!?」
さらに驚くも理佐ちゃんを拝んでペコペコする憐れな母娘に優しい理佐ちゃんが非情になれるわけもなく
「もう、好きにして」って母娘の幽霊を居候させちゃう理佐ちゃん
「なんか理佐調子悪そうだけど大丈夫?」
なんて握手会の合間にメンバーから聞かれる理佐ちゃん
「うーん?なんだか頭痛いのと肩が異常に重いんだ・・・」
なんて答えてる間に椅子に座ったまま立ち上がれなくなっちゃった理佐ちゃん
「理佐ちゃん大丈夫かよ〜?」
控室で横になる理佐ちゃんを心配する俺
いくらハードスケジュールが続いても握手会皆勤を守ってきた鉄人理佐ちゃんでも幽霊が3人もとり憑いたらヤバかったか・・・
この世界で何よりも大切な理佐ちゃんに無理させたことを後悔する俺
「うん、ちょっと休めば大丈夫だよ、それより握手に来てくれた人たちに申し訳ないことしちゃったな・・・」なんて責任感とファンへの愛情溢れる理佐ちゃん
「おそらく幽霊が3人もとり憑いてるから生命エネルギーが枯渇してしまったんだと思います」
突然俺と理佐ちゃんの間に割り込むジジイの幽霊
「なんだジジイ、お前今日もむーちゃんのストーカーしてんのかよ!」って大声出す俺
理佐ちゃんには黙ってようと思った体調悪化の原因を喋っちゃったジジイを睨む俺
「てめえ!理佐ちゃんの背中は俺の縄張りやぞ、消え失せろ!!」
理佐ちゃんに余計なこと喋られてご立腹な俺
ついつい言葉を荒げる俺に
「病人の横で大声出してんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん
「ねぇ、勝手に私の背中縄張りにしないで」
なんて拗ねる理佐ちゃんだから好き
「お父さんだよね」
俺が理佐ちゃんに怒られてる横でジジイの幽霊にとりすがる美人母娘の幽霊
「お前たちなんでここに・・・?」
娘の肩を抱いてわなわな震え出すジジイの幽霊
家族に対する記憶がどんどん甦るのか泣き出すジジイ
そのジジイに泣きながら抱きつく美人母娘
「俺君、どうなってんの?」
親子幽霊の感動の再会を邪魔しないよう小声で聞いてくる理佐ちゃん
「なんでもっと早く気づかなかったんだろう、ジジイがむーちゃんに引き寄せられてたのはむーちゃんが娘と似てたからだよ・・・」
「言われてみれば莉菜と似てるね」って俺の言葉にうなずく理佐ちゃん
「でもジジイの年齢考えたらかなりの歳の差婚だったんだな、しかもあんな美人の奥さんと毎日子作りとか羨ましすぎるな」ってぼやく俺に
「はいはい、せっかく感動してんだからもう黙ってようね」って冷たい理佐ちゃん
「お陰様で家族揃って成仏することか出来ます」
そう言って俺と理佐ちゃんに頭をさげる親子幽霊
「いえいえ、私も俺君も何もしてませんから」って慌てて謙遜する奥ゆかしい理佐ちゃん
「俺さんも理佐さんとお幸せに」
なんて言いながら消えてく幸せそうな親子の幽霊
「なにが理佐ちゃんとお幸せにだよ、俺は幽霊だぜ、理佐ちゃんに彼氏出来たら成仏するちゅうねん」って成仏しちゃった親子に呟く俺
「あんたも一応成仏する気はあるんだ、一生私にとり憑いてるつもりなのかと思ってた」って笑う理佐ちゃん
「なにが悲しくて理佐ちゃんが好きな男と幸せになるのを眺めてなきゃいけねえんだよ、そん時が来たら潔く成仏だよ」って憎まれ口叩く俺
「じゃあ、しばらくは成仏出来ないよ、欅のメンバーでいる間は恋愛禁止だから」って笑う理佐ちゃん
「一生欅ちゃんで居てくれ」って本音漏れちゃう俺に
「それはやだよ」
なんて笑うドSな理佐ちゃんだから好き
「あぁ、ファンの人たちに心配かけちゃったな」
握手会を体調不良で途中退場してしまったことを嘆く理佐ちゃん
「2ちゃんでは胃腸炎ってことになってたよ」
「えっ、胃腸炎じゃお腹ピーピーみたいに書かれてそうでやだな」って憂鬱顔する理佐ちゃん
「もう書いてる奴いたから理佐ちゃんの個スレには理佐ちゃんはピンクのカプセル産むだけだって書いといたよ」って手回しのいい俺に
「余計なこと書いてんじゃねーよ」ってマジギレのドス効かす理佐ちゃん
「ねぇ、2ちゃん禁止だって言ったよね」って凄む理佐ちゃん
「はい、『理佐ちゃんのブラ紐』と『ゆいぽんのスカートの中』は自粛中です」って理佐ちゃんの剣幕にビビる俺
「それだけじゃダメ、だいたいあんた幽霊のくせに2ちゃんなんてやんないでよ」って2ちゃん禁止令を発令する理佐ちゃん
「でもさ、あの親子の幽霊再会出来て良かったよね」って慌てて話を変える俺
「話変えてんじゃねーよ」ってドス効かす理佐ちゃん
「不思議な偶然だよね私たちが泊まる部屋に母娘の幽霊が居て、記憶を失ってたお父さんの幽霊が莉菜を追いかけてこの土地までたどり着くなんて」
ドス効かしたわりに話に乗ってくる理佐ちゃん
「偶然じゃないよ、家族がお互いを思う気持ちが奇跡を起こしたんだよ」って力説する俺
「やっぱり幽霊だから奇跡みたいな目に見えない部分も分かるの?」って不思議な顔する理佐ちゃん
「いや、そう思いたいじゃん人が人を思う気持ちは運命だって越えて奇跡を起こすんだって、人と人が出会って家族になるってそれぐらい凄いことだと思うからさ」ってなんかカッコつけたい俺
「うん、俺君にしては良い考え方だね」って珍しく俺を褒めてくれる理佐ちゃん
「それより早く帰ってのんびりしたいよ」って理佐ちゃんに褒められ照れる俺に
「ごめん、明日お休みもらったから実家に泊まりたいんだけど付き合ってくれる」って言い出す理佐ちゃん
「理佐ちゃんもしかして・・・」
「うん、お父さんとお母さんの顔が見たくなっちゃった」
なんて幽霊の親子に影響されて家族が恋しくなっちゃう理佐ちゃんだから好き
>>183
お言葉に甘えて「帰ってきたイタコの理佐ちゃん」だけは尻切れトンボになるのが無念だったので切りのいいとこまで投稿させていただきました
連投すまんですm(__)m ”心のなかに沈んで消えない澱の原因は一体何か?
それはひとつの後悔だ。その後悔が積もり澱となっている。
後悔の原因はある人物だ。その人物の名は小池美波と云う。
私は彼女に恋をしていたのだ。”
古いA4のノートにブルーの万年筆で走り書きがされていた。私は埃と黴の混ざった独特な臭気を発するその部屋で暫くその文字を凝視していた。
このノートの持ち主、いや、この部屋の主は十年以上前に亡くなった祖父、漣次でたる。
この度祖父と暮らしていた実家を解体するにあたり荷物(といっても我楽多ばかりだが)を整理しにきた。歩く度に軋るこの築四十年の実家は祖父が死に、私が家を出て、爾来十五年も人が足を踏み入れて居ない。
詰り、そこらじゅうが古くあり、今に総てが音を立て崩れそうである。
私が家を出た時。必要なものは粗方持って不要なものは捨てた筈だった。
然し、唯一つ祖父の部屋だけはなにも手をつけていなかった。
祖父の部屋は所狭しと本が並べてあり当時、全く本に興味の無かった私は捨てる行為さえ面倒がり、後で整理しに来れば良いと考えなにもしなかった。
いま、思えばそれが良くもあり悪くもある。
僕らの街で。
原案は小田和正さんがKATーTUNに提供した楽曲。
祖父は先日亡くなった私の好きな俳優、大杉漣さんがモデルです。
十五年経ち。改めて祖父の部屋を見渡す。この部屋は無彩色だった。
茶色い木製の本棚には、澁澤龍彦の河出文庫や植草甚一のスクラップブックが雑然と並ぶ……
いまの私が読む本と酷似していた。
祖父の遺伝なのか。
先刻入手した上林暁の新潮文庫もその棚にしっかりとさしてある。まったく同じだ。
私は背表紙を指の腹でなぞり、痕についた埃を払った。空中に舞うその埃を射し込んだ日が照らしていた。
私は次に机の上を見た。
机には十五年前の新聞と背の焼けた古い文庫本の塔が出来ていた。
その塔の奥にぽつんとあった。
それが冒頭に書き記したノートである。
小林由依さんと小池美波さん。
となるとノスタルジアなものになる……
小池美波とは誰か。
私は首を傾げた。まったく心当たりのない名前だ。祖母の名は一実というし、旧姓も小池ではなく高山である。
つまり祖母以外の誰か。となる。
しかしそれが誰なのかわからない。
私が吐いた溜息が古びた床に沈殿してゆく気がしていた。
そのノートには冒頭の数行以外なにも無かった。周辺にほかのノートは無いか。探したがついぞ見つからなかった。
「ねぇ、見てこんなの出てきた。」
茶褐色のポニーテールを結ったかわいらしい女性が入ってきた。
「なにそれ。」
私はその女性から渡された水色の冊子を手に取った。
それはアルバムであった。
私の幼い頃撮ったものや、生前の祖父母が映る。
「由依、これ持って帰ろうか。」
私は笑んだ。髪を耳に、かけ、女性はうん。と頷いた。
その女性は私の妻だ。
名前を由依という。三年ほど前に結婚した。私たちは高校の同級生であったが。
会話は殆ど無かった。
お互い奥手だった(こんな言葉久方振りに使った)。
否、今は追憶に浸るときではない。
私は喉を潤すため、また、由依にこのノートのことを相談するため一旦部屋を出た。
>>195
ここからどんな物語が展開するのか楽しみ あなたは、夢を見て泣きながら目覚めたことがありますか…?
これは、私が東京の欅町に新しく出来た高校に入学したときのお話です。
そこは鳴り物入りで出来た学校で、制服のデザインひとつでニュースになるくらい注目されていました。
選考をパスして入学した生徒は私を含めて21人。しかしすぐに1人が事情で辞め、その後間もなくよくわからない経過で1人が追加で入りました。
私はそこでの明るい学生生活を期待していたのですが、元々が人付き合いが得意でなく団体行動が苦手だったこともあり、次第にクラスで浮いた存在になっていってしまいました。
しかも、クラスの雰囲気も思っていた以上に重くピリピリしたものとなり、私は結局耐えられずに不登校になってしまったのです。
仲のよい友達も1人できたかできないかという程度でした。
学校に行けなくなった私は家で毎日自分を責め、泣き叫び、それまで伸ばしていた髪をザクザクに切り、食事を拒否しました。
こんなことになった自分が許せなかった。
両親はそんな私を見かねて病院へ連れていこうとしました。
しかし私は「絶対に嫌だ!そんなくらいなら死んでやる」叫び、包丁を振り回した挙げ句、自分の首に当てました。
すると両親は病院をあきらめ、代わりに静養がてら祖父のところに行ってみてはどうかと提案してきました。
私は頷きました。
今にして思えば自分でもよくOKしたものですが、それだけ病院が嫌だったんだと思います。
祖父は神奈川県の田舎で暮らしていました。
元々は優秀な技術者として活躍していたそうですが、祖母が亡くなってから元々の偏屈さに拍車がかかり始め、小高い丘の麓の掘っ建て小屋みたいな家で1人で住むようになりました。
そして毎日毎晩、妙な研究をしているようで、周りからは完全に変人扱いされていました。
私は自分でOKしたものの、いざ連れて来られると激しい後悔の念で涙が溢れてきました。
偏屈な祖父に邪険に扱われるのもつらかったのです。
しかし予想に反し、祖父は
「よく来たな。久しぶりじゃないか(笑)」
と私を歓迎してくれました。
私が少しほっとしていると、こう付け加えました。
「毎日研究で忙しいんだ。猫の手も借りたいくらいだからな」
実際に来てみると祖父の家は掘っ建て小屋というにはかなり立派で、ちょっとした町工場くらいのたたずまいでした。
中を案内してもらうと、裏庭に通じる大きなガレージのようなところに、なにやら鉄の板がたくさん貼られたような型の塊が置いてありました。
私の身長よりも一回りくらい大きい感じでした。
「これは何?芸術作品か何か?」
と私が尋ねると、祖父は口の前に指を持ってきて「黙って」のサインをしました。
そして私の耳に口を近づけて、そっとささやきました。
「雨を降らせる器械じゃよ」
そのころ、東京はまさに砂漠化していました。
あなたとならば〜怖くはないわ〜、とか呑気なことを言える状況ではありません。
気候の変動と温暖化によって関東地方にはほぼ雨が降らなくなり、数少ない草木は枯れて、川や池も干上がり、深刻な水不足が続いていて、水も配給制になっていました。
地区ごとに班が作られ、班長(センター)が配給された水を管理するしくみです。
ちなみに欅町の高校の周辺地域の班長(センター)は同級生の平手さんが1人で任されていて、大変そうでした。
配給された水だけではとても足りないと言って井戸を掘ろうとして、右腕を傷めたこともあったようです。
話を戻しますが、祖父はそうした事態を何とかしたいと考えて、雨を降らせる器械の研究を始めたんだそうです。
でも、私にはひとつ疑問がありました。
どうしてそういう研究を、東京都とか国とかでやらないのかと。
祖父は言いました。
実は飛行機などから雲を作る物質を撒いて雨を降らせる方法はもう実用化されてる。
でも政府や役人はやろうとしない。
それは今の配給制が国民を支配するのに都合がいいからだと。
今の総理大臣の秋元は昔は大人たちに支配されるなとか不協和音を恐れるなとかいう歌をさんざん作ってたのにとんでもないやつだと。
祖父はそれで、日本国民のため、特に仕事を失いつつある農家の人たちのためにこの研究をしているんだと言いました。
でもこういう研究はきっと弾圧されるから、内緒でやっているんだそうです。
祖父の言ってることがどこまで真実か、私にはわかりませんでしたが、ここへ来た以上は祖父の手伝いをするしかないと私は思いました。
それに、変に聞こえるかもしれませんが、眼鏡の奥の祖父の目がとてもきれいだったんです。
そして、私の祖父のお手伝いの日々が始まりました。
とは言っても、不足した材料を街に買い出しにいったり、ちょっとした食事を作ったりするのがメインでしたが。
それでも祖父は大変喜んでくれたし、頭がよくない私に器械の説明をいろいろしてくれたりしました。
私はそれがとてもとても嬉しかった。
あっという間に1か月経ち、2か月経ち…
そしていよいよ器械は完成し、試運転をすることになりました。
「明日は朝から試運転じゃからな、また手伝いを頼むぞ」
「明日晴れるといいね」
「晴ればっかりじゃからこの器械をつくったんじゃろ(笑)」
「あ、そうか(笑)」
ブォォン…
「ねえ、最近この辺も車通りが増えてるよね」
「東京に水を運ぶための高速道路を作るらしいのぉ…」
「そんなお金があるのに雨は降らせないんだね」
「政治家と役人の考えなんてそんなもんじゃ。だから誰かがやらんといかん」
「うん」
「…ありがとな」
「え?どうしたの急に」
「わしは今まで孤独じゃと思うとった。しかし、お前がこうして一生懸命手伝ってくれてわかったんじゃ。応援してくれる人は必ずいるんじゃと」
「私も半信半疑だったけどね(笑)」
「明日は頑張るぞ」
「うん」
そしてその日を迎えました。
その日は、あたりまえですが、朝からよく晴れました。
祖父と私は完成したその器械を家の裏にある小高い丘の上まで運びました。
完成したその器械は、たくさんのレバーが付いた大砲のような型をしていて、狙いを定める照準器も付いていました。
私たちはそれを丘の頂上にセットしました。
「よし、まずあの小さな雲を消してみるぞ」
「え?雨を降らせる器械なのに雲を消すの?」
「わしの理論では、雲を消すことがまず出来ないと、雲を作り出すことはできんのじゃ。破壊がなければ創造はないんじゃ」
「なんかカッコいい(笑)」
「挫折がなければ成功もないんじゃよ」
そう言って祖父は私の頭を撫でてくれました。
今でも…今でもその感触を覚えています…。
…ごめんなさい。泣いてしまって。
話を続けますね。
私たちはその雲に照準を合わせ、レバーを引きました。
すると、なんと雲がみるみるうちに消えたのです。
「よし!成功じゃ」
「やったね、おじいちゃん!」
私たちはその後もいくつかの小さな雲を消すことに成功しました。
偶然消えたのではないことがこれでわかりました。
「よし、いよいよ雨を降らせる実験じゃ」
「今度はどうするの?」
「空に向かって角度を合わせて、このレバーとこのレバーを…」
祖父は説明をしながら、家のほうをちらりと見ました。
ブォォン…
「あ、しまった!忘れ物じゃ!」
「え?何?」
「この記念すべき瞬間を記録するためにカメラをとってくる」
「え?じゃあ私が行くよ」
「お前じゃカメラのある場所わからんじゃろ」
「じゃあ、一緒に行く」
「いや、お前はここで器械の見張りを頼む。器械の先端にハトやカラスがとまってフンでもされたら1から作り直しじゃからな。ここにいて追っ払ってくれ」
「…うん」
「後は任せたぞ」
そう言うと祖父は丘を降りていきました。
丘の上に1人残されたものの、私には不安と胸騒ぎしかありませんでした。
祖父もなかなか帰ってきません。
私はたまらず器械のそばから少し離れ、丘の上から家のほうを見ました。すると大きな黒塗りの車が家の前に停まっていました。
直感的に「おかしい」と思った私は、丘を駆け降りました。
その途中で私の目に入ってきたのは、黒い帽子に黒いコートを着た男たちに両腕を掴まれて車に乗せられる祖父の姿でした。
祖父はこうなることをわかっていたんです。だから私が巻き添えにならないように丘に残した。
最近車通りが多かったのも、きっと本当はこういう人たちが偵察にきてたせいだったんです…。
私が家の前に着くと、黒塗りの車は一足早く走り出していした。
開け放しの玄関からちらりと中を覗くと、祖父が書いていた設計図やら模型やらがぐちゃぐちゃにされて散乱しているのが見えました。
私は車のあとを泣きながら走って追いかけました。
すると、私の声に気づいたのか、後部座席に座っていた祖父が振り向きました。
そして、私を指差し、丘の上を指差し、空を指差し、親指を立てるポーズをしました。
私には聞こえました。
『お前が丘に登って雨を降らせてみろ。お前ならできる』
と。
私は全力で丘を駆け上がり、器械の角度を46度にセットして、レバーを1から順に力一杯引きました。
すると、器械の先端から黒く輝く光が一斉に放射され、それが空で雲を作り始めました。
そして雲は厚く大きくなり、遂に雨が降りだしたのです。
私がすべてのレバーを全力で引いたためか、雨はさらに強くなり、雷まで鳴り、特別警報が出るほどでした。
祖父の研究が大成功したのです。
後に聞いたのですが、連行される車の中で大雨に逢った祖父はガッツポーズで満面の笑みだったそうです。
>>197-203
反体制、グループのメタファー、主人公のサジェスチョンがとても素敵です
最後まで誰とは特定しないまでも、最初から雰囲気で伝わってきます
やはり原案はグスコーブドリの伝記ですかね?何となくそんな感じがしたもので この記録的大雨をきっかけに、関東地方では また元のように時々雨が降り始めるようになりました。
一方、そうやって徐々に水不足が解消していったにも関わらず配給制度維持にこだわった秋元政権には批判が殺到し、まもなく首相は辞任。
その後様々な不正や配給制の裏の意図が次々に暴かれ、秋元氏はさんざんな余生を過ごすことになりました。
そしてあの器械はというと、大雨を浴びてあちこちが錆び付いてしまい、全く動かなくなりました(笑)。
今は丘の上に佇むオブジェとして、周りの整備された公園とともに皆に愛されています。
時々、近くのおじいちゃんおばあちゃんが雨乞いで手を合わせています(笑)。
私はと言うと、その後、学校に復帰しました。約4か月の不登校の間に勉強も含め皆に遅れをとってしまったけど、徐々に追いついていければと思います。
祖父が身をもって教えてくれたからです。周りからどう見られようと正しいと思ったことをやりなさい。必ず見守って応援してくれる人が現れるからと。
その祖父は結局、拘留中に持病の心臓発作で亡くなりました。
今でも時々祖父の夢を見ます。そして泣きながら目が覚める。
とてもさびしいです。
でも、雨が降るたびに思うんです。私に会いに来てくれたのかなって。
おじいちゃん、ありがとう。
私は雨が大好きになりました。
―了―
>>204
ありがとうございます
例によってそれも読んだことなくて…(笑)
実はこれ、洋楽ネタなんですよ
しかもダジャレとか極力控えて真面目にやったのでほぼ丸パクリパターンです
解答は後ほど >>205
大阪府さんに続き小説スレ大賞候補の大作乙でありますm(__)m >>206
今回の元ネタはケイト・ブッシュ『クラウドバスティング』です
実在した有名なトンデモ学者さんの実話を元に作られた曲ですが、MVがまた最高です
Kate Bush - Cloudbusting
お父さん(学者本人)役はドナルド・サザーランド
息子役のケイトにもしびれます
>>207
ありがとうございます
ただ、MV見ればおわかりのようにほぼほぼ丸パクリなので審査の前段階で落とされると思います(笑) なぜ、この簪をもってるかって。
まあ、聞いて下さい旦那。
ほらほら、黒霧島でも飲んで……
えぇ……お代?んなもの結構です。
あっしから出させて戴きます。
そのかわり、って言っちゃあなんですがひとつ話を……
この簪ね。今はこの通り古くなって居りますがね。昔、そうさなぁ……
旦那のお生まれは。
ああ、終戦の。でしたら旦那が産まれる前だね。戦前。
あたし、横浜の真金町に産まれましてね。
御存知か知りませんがあの街は遊郭があってねぇ。ほら赤線とか云うやつ。
まぁた旦那すっとぼけて……
知らないなんて言わせませんよ。
え、知らない?まさか……
ああ。そうですか。
そうさなあ、綺麗な着物をぞろりと纏った女達が紺の絣尻っぱしょりに遣ってくる旦那衆の相手するところでね。
今はどういうんだか知らないが……
まぁ、そこのいちばん大きな遊郭の次男でね。あっしは。
建物はこう木造の……時代劇に出てくるような。
そう、幅広な階段があってね。お客がくると、お客だよ。って小僧さんがたん、たん、たん。とこぎみよく階段登って、知らせるんです。
あの時は日が落ちると段々下駄のコロン、コロンと云う音が遠くから幾つも聞こえるとああ、そろそろ、賑やかになるなあなんて部屋から見てました。
この遊郭が立ち並ぶとこはね、人様が灯消して寝静まる頃から灯点すんです。
まあ、だからあべこべだからまあ、ちいっとおかしな感覚になりまし……
あ、そうそう。簪ね。
その簪は、この遊郭一の美女と云われた太夫のものでねぇ……
えゝ、名前を美空っちうんですが、
綺麗な娘でねぇ。
本当の名を平手友梨奈と言うんですが、あっしと同い年でね。
よく喋りました。
商い始める少し前にね、娘衆の待つとこいくと、白粉やらなんやらいい匂いと女の邪気のない声がしてね、なんやらどきどきして、まぁ、あっしも人の子ですから、ふと女の白粉塗ってねぇ項見るとどきっとしたもんです。
その待合にいくと、まあ、この花魁、まぁ、彼女たちは花魁、なんですが、花魁たちが可愛がってくれて……
まあ、この店の主の子でっ、ちうのもありますがね。
ほら、どこかのお得意からもらった菓子とかよう、くれてお喋りして……
ああ、その美空っち言う娘はこう、賑やかなのとは違っておもさし、というか雰囲気というか陰のある娘でね。
隅でいっつもぽつん、と読んでるんです本を。
まあ、そんなんだから話しかけづらくてね。だけど、顔立ちはそう、整ってて店の中の誰よりも。こう可愛らしいというか、そういう女らしい感じじゃなく凛々しいつうか、恰好いい……
まあ、そんな感じで。こう、彼女の孤独とか影を含んだ冷たそうな瞳がなんやら惹かれてね。いつか話そう思うとったんですが……なかなか難しくて。
何時だったか父さまから彼女に届いた手紙を渡してくれと言われてね。その部屋へ届けたんです。
その時はまあ、花魁用の、控えるところ、さっきとはべつのところがあるんですが。
そこにいって届けたんです。
すーっと。襖開けて
すいません。と声掛けたらば奥から、入ってきてと声がして。
寝っ転がって本読んでてね。
着物から覗く、白くて綺麗な太腿が凄く官能的でね。もう、どきどきして。
ったく、どきどきしっぱなしですね、あたしは。
あっしの視線に気づいたのか着物の裾直してね。ニヤッとこっちみるんです。
たちまち恥ずかしくなって。
顔見れないまま、手紙を渡したんです。
そしたら、彼女、急に声上げてね。
あっ、よねさんだ。って。
どっかの婆さんからの手紙だか知りませんけど、凄く嬉しそうで。
気になっておそるおそる、誰ですって聞いたんです。
したら、同級生の子らしいんで。
てっきり七十の婆さんかと思ったってうっかりいったら、笑ってました。
その時の笑い顔がとてもかいらしくて、
年頃の女の子って感じの。
ああ、彼女の年ね。あたしとおなじ。あのころは十七くらいかな。
親が貧乏で身売りに出されたらしくて。
まあ、それっきり大人が信用ならんものに映って男勝りに僕は嫌だ!っちって。
……
ともかく、その彼女と、以来よく話すようになりましてね。
もう、お分かりかと思いますがこの簪は彼女のでね。
あれは春だったかしら…………
庭のソメイヨシノが満開でね。
綺麗だからって彼女と見に行ったんです。
嬉しそうでね。だけど、そのうちふっと、
桜ってすぐに散ってしまうから美しいんだ。って言ったんです。
私はなんだかそのことばで胸がざわっとしましてね。
あわてて、てち、ああ、彼女のことそういう風によんだんです……
なにかあったのか聞いたら、私、縁談が来てるんだって言うんです。
無論、まだ、餓鬼なんでしりません、花魁の縁談だどうのって。
人気の太夫にはね、こういういまでいう、権力者からの縁談話が起こってね。
そのうち何度か主とそのお相手で会って、
決めちまうんです。
花魁本人の意思など関係なく、
突然、縁談が決まったって言うんです。まあ、大概、金に不自由しねぇ、
とこだから花魁も現金なもんでなっとくしちまうんですが、まあ、大人のなんやらが嫌いで、そんなてち、ハハッなんか恥ずかしいや。彼女はたいそう嫌がったんです。
これはあとから聞いたんですが。
まあ、でも逆らえなくてね。
花魁本人の意思で断るなんて
とってもできない。だからもうその桜見た日には日取りも決まっちまってたんです。
あたし、驚いてね。
風に舞う綺麗な花弁どころじゃないやね。
黙りこくって。
したら、不意に彼女がここから逃げ出したいって言うんだ。
青天の霹靂ですわな。
無論、わたしは止めましたよ。
そしたら、あんたも来てくれっつうんです。あたし、気になって何故?って聞いたんです。
したら、俯いちゃって。彼女。
その時風が吹いて
一斉に花びらが舞ってね……
あたしは彼女が何を言わんとしてるかわかりましたよ。嬉しかったァ
あたし、もそうだったから。
えっ、何がって? 野暮だな旦那サァ。
察してくださいよ
花魁と主の子なんて、
結ばれる理由ないんです、
いや、主にも、店の衆にも恋い慕っちゃ、いけないんです。
だから、苦しかったでしょうね、彼女。
無論あたしも……
しばらく俯いたらば、
彼女がハッとあたしの手握ったんです。
固まっちまって。何処がって、ハハッ
全部でサァ……
だから、彼女が
「緊張してるの?」って。
怪しげに笑むんです。
あたしらは、
暫く人がくるまで、そんままずっと手を握りあったままでした
でもね。時の流れは残酷でね
ついに明日が此処を出るって日になって、また、二人できたんです。庭に。
もう、葉桜になってました。
したらそれみながら、彼女が、わたしは葉桜の方が好きだって言う。
理由を聞いたら、微かにうなづいてそのうち分かるってそれっきり。
え、理由?
さぁ、どうでしょう……
あたしは女じゃないんでね……
数分して、番頭さんが呼んだんです。彼女を。縁談についての事でしょうかね。
返事をしながら、
不意に綺麗に結い上げた髪に指した、朱と金の簪取ったんです。髪がふっと乱れて風に舞って、
その髪と横顔、綺麗だったァ……ウン。
そして、その簪あたしに握らせた。
んで、ふいにあたしの頬に接吻してあの風のように去ってゆきました。
あたしは、もう……
後ろ姿に声をかけようか迷ったんですが
握り拳つくってやめました。
彼女を幸せにするのはあたしじゃない。そのあとでふとあの庭先で彼女の香水が漂ってね……そういう香りとか好きだったんです。彼女。
思わずあたし、視界がぼやけちまって……
あれからは遊郭出てくまで話しやしません。
準備もあるし、忙しくて。
それに、あれですっぱり離別したつもりで……未練がましいと思ってね。
それでついに去る日がくる。
男のひとりの肩に手をついて高下駄に。
煌びやかな着物。
その花魁に傘をさすのはあたしです。
背が高かったから任されたんです。親父に。
後ろから見てましたが、綺麗だった……
去った後はもう空虚でね。
日がな一日。
簪ばかり眺めてました。
それがこの簪で……
ええ、どうぞ見てくださいまし。
この話し、いつか聞いて欲しくて、
飲み歩いてたら不意に旦那に会ってね。
みんなあたしを邪険にするんでこの話もせずじまい。
今日はありがとうございます
お代はあっしが。
いや、旦那には。エェ、そうですか
すいません。恩に着ます。
今日はありがとうございます。
もう二度と会いませんでしょうから握り手を……
え、もうそろそろ歳ですから……
彼女も待ってますでしょうし……上で。
エェ彼女ね。 死にました。
自殺したってね。
もっとも風の噂ですけど。
どうだか。
でもそれっきり彼女を見聞きしたもんが無くって……
今夜も寒いでしょうから呉々もお気をつけて、
どうぞ、おだいじに……
モチーフは桂歌丸さんの自伝と落語から。
ストーリー自体は椎名林檎さんの加爾基 精液 栗ノ花というアルバムから。
タイトルはそのなかから。
>>217
最初にこのレスを見てしまったので作品が歌丸師匠の声で再生されました(笑)
おかげで同時にプロの話芸を味わえた気にもなれました。語り口がさすがだと思います。
現実のてちこさんには幸せになってほしいなあ >>217
次々と色んなジャンルに挑戦する千葉県さんの姿勢に敬服しますm(__)m 『冬の散歩道』
手元にあるのは、ギター一本のみだった。私はベンチに腰掛け、この夜の行方を案じる。
気温はどれくらいだろうか。それほど冷えてはいないが、一晩過ごせば間違いなく風邪をひく。
寒さに滲む街灯を頼りに、ケースのチャックを開けた。身体を包む外套から、温めておいた音叉を出した。
両手に冷たい息を吹きかけた。
自分”らしくない”曲のイントロは、この情景に合っていた。アンサンブルを乱さない程度に、甲高い風が鳴っていた。
その時だった。
コウモリのようなロングコートが、私の前で足音を止めた。演奏を止めようかと思ったが、どうせ二分強の曲だから続けた。
間奏の間に、その人の特徴を観察した。フードが掛かっていて目元が隠れている。中性的な印象を受けた。
演奏を終えて、もう一度その人を見た。どうやら次の曲を待っているらしい。しかし、私の指が悲鳴を上げていた。
「次は?」
続きを促された。声の主は女のようだ。
冬の夜風が吹き、女のフードが取れた。寒さが、私を震え上がらせた。
つづく
私は、お金とホテルがないことを伝えた。
女は笑った。「おじさんホームレスなんだね。」全然笑いどころではない。まあ、どう捉えたっていいさ。
「なぜ君は、その“ホームレス”に声を掛けるんだい。危ないだろ」
「だって、おじさん背低いし、声が優しそうだったから」
女は手招きをした。今や、私の運命は完全に彼女の手中にあるように思われた。
女の後を付いて、大通りへ出た。道端には、コンビニエンスストアのライトだけが光っていた。
「そこのコンビニは商品が少なそうだね」
私は向かいの電灯を指して言った。
「あそこはコンビニじゃなくて、牛丼屋。ご飯の上に、牛肉とか豚肉とかを乗せて出てくるの。行ってみる?」
「へぇ、おいしそうだけど、遠慮しとくよ」
住宅の入り込んだ地域に入っていくと、電灯が少なくなってきた。
女はマンションの入口に手をかざしていた。ここが彼女の住まいらしい。
もう日付は変わっているが、警備員が駐在していた。一瞬、怪訝な顔をされた。
こんな時刻に外国人のチビが現れれば、それは警戒するだろう。
部屋の前の廊下は暗い。彼女が腕を引っ張ってくれなかったら、方向を見失いそうなほどだ。
ネームプレートで初めて彼女の名前がわかった。
「ところで友梨奈ちゃん、なんで俺を部屋に?」
「もう一度、ちゃんと聴きたかったから」
「さっきの曲か?」
「ええ、何か自分に刺さる感じがしてね」
何かが友梨奈の胸に刺さったのであれば、今夜中に歌う必要がある。翌朝になれば、胸に刺さらないだろう。
バスルームで、指をほぐしながらそんなことを考えていた。
「タオル置いときまーす」
外出中の時よりも声が高かった。思ったより年齢は低いのかもしれない。だとするならば、余計心を込めて歌わなければならない。
可能性を探し回っているうちに、時は人を置き去りにする。若いからこそ知っておくべきことだってある。
彼女が寝てしまう前に、私は曲を演奏した。嫌な余韻を残さないように歌い、すぐに荷物を片付けた。
「じゃあな」
「待って、名前は?」
「名乗るほどじゃないさ」
そう言って、私は来たるべき人生最後のツアーへ歩き出した。
おわり
>>217
落語とはすごいですね。恐れ入りました
>>208
確かにMVが素晴らしいですね
歌詞の拡大解釈でありながら、世界観を見失っておらず、ストーリー性も素晴らしい
どんな映像であろうと、そこにストーリーがあれば、私は見入ってしまいます
MVの本来あるべき姿を見せてくれていますね >>222
悔しいけどこのオッサンが誰か凄く気になる時点で大阪府さんの術中に嵌まってることは分かるんだけど気になる・・・
話は変わりますけど俺のスレに大阪府さんの好きな幼なじみ妄想書いたので良かったら読んでくださいm(__)m >>224
題名検索して頂ければわかるかもしれませんよ
わからなければチワンさんにおまかせしましょうw
時かけは一番有り得そうな話しだけに、リアリティーがあってのめり込みやすいんですかねw >>225
俺が一時期目指してた堂本剛のドラマの主題歌やった〜w
これは名曲ですわ
何故か幼なじみの理佐ちゃんを書くときは時をかける理佐ちゃんのタイトルじゃないとしっくりこないんですよねw >>226
当たりです
サイモンとガーファンクルの『冬の散歩道』(A Hazy Shade Of Winter)です
曲調が、サイモンらしくないんですが、ロック指向で好きなんですよねえ >>222
やっぱりこういう話にはてちこさんがばっちりハマりますね
私は洋楽を聴くときに詞はほぼ無視してるんですが(笑)、この人は昔から別格なんですよね
てちこさんが言うように詞が刺さる気がするんですよ
Nothing but the dead and dying
Back in my little town
なんて最初に聴いたとき鳥肌立ちました(笑) 皆さんはシマリスのミューちゃんのことを覚えていらっしゃるだろうか?
ちょうど1年前の今日、初代小説スレで連載が始まった全米が苦笑した某作家さんのデビュー作の主人公である。
ご存知ない方のためにざっとおさらいすると、ミューは名古屋に住む鈴木家で飼われているメスのシマリス。
ある日、小太りで胡散臭い神様が現れ、ミューに人間に変身する力を与え、アイドル『鈴本美愉』が誕生する。
その主人公が、同じく九州でスカウトされたタヌキとともに平手友梨奈(実は鈴木家の親戚)を支えながらアイドルとして活躍していくというコント…もとい、お話である。
念のために言っておくが、決して『栗とリス』から発想したわけではない。
なお、鈴木家の人たちに怪しまれないように、ミューがアイドルとして活動するのは鈴木家のみんなが出かけている平日昼間のみ。あとは神様がタイムワープなどで時空を操って現場に連れて行くというアバウトすぎる設定である。
興味を持たれた方は初代小説スレの153から小説スレ☆2の98までに至る本編を参照のこと。
今回はその後日談である。
クリスマスも過ぎた12月のある日、鈴木家の居間にあるケージの中でシマリスのミューは爆睡中でした。
そこへどこからともなくあの神様がやってきます。
神様「ほら!ジンベイザメやマンボウが泳いでる〜」
みゆ「ひえ〜!水槽が割れる危険性が0じゃない〜!…って、あれ?何してるんですか?」
神様「いや、水族館の話でもすれば怖くて起きるかと思ったからさ」
みゆ「普通に起こしてくださいよ」
神様「お前って気が付くと寝てるからな」
みゆ「それは…アイドルにしてくれたのは有り難いんですけど、変身に加えて時空移動を繰り返してるせいで疲れが酷いんですよ」
神様「でも似た条件のタヌキのほうは元気そうじゃないか」
みゆ「彼女は元から自分で変身して島の人間たちと交流してたみたいだし、何より野生じゃないですか。私みたいに飼い主に気を使わないで済むし」
神様「まあ、そういうことか」
みゆ「人間になってるときもしょっちゅう寝ちゃうから皆にも写真撮られまくりで。どうするんですか」
神様「かわいいからいいじゃないか」
みゆ「ん〜…そう?じゃ、しょうがないか」
神様「他人のネタやないかい」
みゆ「ところで何の用ですか」
神様「いや、紅白歌合戦のことでな」
みゆ「あ、そうそう、そうですよ。どうするんですか?今日ももうすぐみんな帰ってきちゃうし、明日からもう年末年始の休みで、ここを空けられないじゃないですか」
神様「すまんすまん、ワシも年末は忙しくてな。お前をタイムリープさせる余裕がなかったんだ」
みゆ「ということは、まさか…」
神様「選択肢は2つある。まずはお前も体調不良ということにして今泉と同じように年内の活動を休止する方法」
みゆ「ええぇ…?」orz
神様「もうひとつは決死の方法だ。まずは止むを得ないのでリハーサルは全部休む。曲は不協和音だからなんとかなるだろ。そして本番当日にかける」
みゆ「当日どうするんですか?」
神様「残像現象を利用するんだ」
みゆ「はぁ?」
神様「つまり曲披露の間、お前はこのケージとNHKホールとの間の瞬間移動を繰り返すんだ。もちろん変身の反復込みでな。そうすればここの家の人がケージを見てもお前の残像が見えるはずだ」
みゆ「変身の呪文はどうするんですか」
神様「不協和音を踊りながらも頭の中でエンドレスでリピートしなさい」
みゆ「何ですかその悪魔の修行みたいなやつは」
神様「嫌なら無理せず休んでていいんだぞ」
みゆ「わかりましたよ…当日頑張ります…」
…
そして当日、紅白歌合戦が始まりました。
織田「なんか…今日、鈴本具合悪いのかなあ?」
守屋「話しかけても上の空だし」
↑
いや、頭の中で呪文リピートに必死なので会話する余裕がないんです…
理佐「ちょっと影も薄い気も…」
↑
瞬間移動を繰り返しているので、今見えてるのも実は残像なんです…
ねる「いや、リハーサルも休んでたし、緊張半端ないんだよきっと」
↑
事情を知っているねるがフォローに入ります。
そうこうしているうちにいよいよ欅坂46登場の時間に。
周りにいろいろ心配されていた美愉でしたが、さすがに本番に強かった。
堂々としたパフォーマンスを披露しました。
美愉「(やった!…終わった…)」
無事にパフォーマンスを終えてほっとしている美愉の耳に、次の瞬間に信じられない言葉が聞こえてきました。
美愉「(え?内村さんを加えてもう1回??)」
美愉はリハーサルに出ていなかったので、聞いていなかったのです。
わけがわからないままに2回めのパフォーマンスが始まりました。
美愉は再び渾身のパフォーマンスを披露しました。
しかし、ただでさえ疲れる時空移動を頻繁に繰り返し、変身も繰り返し、さらには予想外の事態に頭は混乱し…
2回めのパフォーマンスが終わるころ、それらは美愉の限界を遥かに超えてしまっていました。
その結果…
梨加「美愉…!!」
…
美愉が気が付いたのはベッドの上でした。
ステージ上で失神してしまい、救護室に運ばれてきたのです。
美愉が目を開けると、心配して付き添っていた織田やねるが涙を流していました。
ねる「よかった〜気が付いて」
美愉「心配かけちゃってごめん…みんなは大丈夫?」
織田「てちともなも倒れちゃって…」
美愉「え…?大丈夫なの?」
ねる「大丈夫だと思うんだけど…様子見てくるね」
2人は部屋を出て、美愉が1人残されました。
そこへ神様が現れました。
神様「いやいや、お疲れちゃ〜ん」
美愉「ノリが軽すぎですよ。大変だったんですから」
神様「でもさすがだな。ちゃんと乗り切ったじゃないか」
美愉「来年はこういうのは勘弁してくださいよ」
神様「おっと、来年出られるとは誰が決めたんだ?」
美愉「あっ…そうか(笑)」
神様「そっちこそ笑い事じゃないぞ」
美愉「そういえば、私ずっとこっちに居て、鈴木家は…?」
神様「欅坂46の出番が終わったら初詣にみんなで出かけたから、夜中まで帰って来ないだろ」
美愉「よかった…」
しかし美愉にはひとつ疑問が湧いていました。
美愉「あの…友梨奈と志田も倒れたって聞いたんですが」
神様「それが何か?」
美愉「私のこれと…関係ないですよね?」
神様「何が言いたいんだ?」
美愉「だから、私がリスでねるがタヌキで…実はネコとカワウソだとか…ねるは野生だからいいとして、彼女たちも私と同じで瞬間移動の繰り返しで…」
神様「いや、だって平手は鈴木家の親戚の子だろ?」ニヤニヤ
美愉「そのニヤニヤが怪しいんですよ。最初のころの友梨奈と今の友梨奈は何か違う気がするし、志田も何故か急に距離を縮めてきてるし…」
神様「ラクダのことは訊かないんだな(笑)」
美愉「それは訊かなくてもわかりましたから。で、どうなんですか?」
神様「秋元は〜去っていく〜♪」
美愉「あ…また肝心なとこで逃げたな」
こうして全ては有耶無耶のまま、このお話は終わるのでありました。
―つづかないよ―
>>229
まさか1年後に続編が読めるとは、、、涙
チワンさん初登場の時の衝撃は覚えてますよw
時事ネタを巧みに取り入れた構成や文章の完成度の高さには衝撃を受けました
比べてあの頃の俺は毎日理佐ちゃん理佐ちゃん書いてるだけだったなぁ・・・ >>233
私もよく覚えています
庭先生がそれを読んで『ファンタジーの皮をかぶった掛け合い漫才ww』とコメントしてくれたことを(笑)
このときから先生は物事の本質をすっと見極められる人だと尊敬しております(笑) ー「さぁ、リカ。誓いの儀式を」
教会のステンドグラスから差し込む光がまるで二人を祝福してるように輝く。
私は白い手袋をはめた手でリカのヴェールを上げた。薄ら緊張した面持ちのリカは私の方を真っ直ぐ見詰めると瞳を閉じたー
中世ヨーロッパ、アンク=トゥワセンヌ王国。
この王国は世界からその存在をなかったことにされている。
その理由はいくつかあり、まず、国自体の歴史が僅か30年しかないこと。
つぎに、資料が残されていないこと。そして最後は謎の争いにより国民の殆どが死に絶えたことだ。
資料がないこともそれが理由だ。
アンク=トゥワセンヌ王国(次からはトゥワセンヌ国と略す)の位置は定かでない。
中世ヨーロッパに有ったというだけである。一説によるといまのスペイン近くに日本の埼玉県くらいの領土があったらしい。
トゥワセンヌ国は代々国内でもっとも美しい女が女王となり国を納める。
そしてその女王に見初められた男が王となる。権力はおもに女王にあり、
国民も何か争いごとがあるたび女王の論調に傾く事が多かった。
その女王候補にナナミという女がいる。
その女はショートカットで冷徹。人の不幸が大好きだが、年下に弱い。
というのでこれが今年の最有力候補だった。
しかし、10月になってから病により床に臥すようになり翌年2月には静養のため候補を辞退し北欧へと、たってしまった。
この自体に王朝は上へ下へと
ひっくり返るような騒ぎだった。
その年はナナミしか候補がいなかったのである。いや、ナナミが女王になるものと思い他の候補を置かなかったのである。
女王選定を任されたヨシオ・コンノは頭を抱えた。現王のヤスシ・アキモトに叱責されるからだ。
コンノは重臣のキクチを呼び出し、至急候補を選定するように命じた。
キクチは不承不承街へ出た。
ここで、キクチが街を歩き女王候補を探すあいだ、何故此話ができるのかを書こう。
トゥワセンヌ王国についてという評論が英国エスカイヤ誌に載ったのは1939年である。作家であり、歴史家としても
知られるフランシス・メイラードが
英国の古書店で投げ売りされていた本
のなかから聞いたことの無い国について
書いてあるのを見つけたことに端を発する。
「興味深いこと」というタイトルで掲載されたその評論は各国で話題となった。
日本では戦争の殺伐とした空気の中で話題になることはなかった。
私の祖父が戦後イギリスに留学したときにこの興味深いことを読みそれを日本の雑誌に書いた。一般の知るところになったのはそれ以降だ。
祖父はこの出会い以降、
王国について研究し生涯を全うした。この話は祖父が残した資料をもとに書き起こしたものだ。
>>237
一大歴史叙事詩の始まりみたいでワクワクしますね
国名の仕掛けも気になる(笑)
あと女王様候補は丸顔で潔癖症でおばさんっぽい人のほうかと思いました(笑) 2月半ばのある日、僕たちは海に来た。
大学受験のプレッシャーで煮詰まっている僕の気分転換に、と彼女が誘ってくれたのだ。
その日はサーファー達の姿もなく、僕たち2人だけがその砂浜に立っていた。
海風に吹かれて寒いことこの上ないのだが、快晴の青空を映してキラキラ光る海はさすがにきれいだ。
波音も久しぶりに聴いた。やはりいいものだなあ…
「やっぱり海はええなあ」
同じタイミングで彼女がそう言ったので僕はびっくりした。
これがシンクロニシティってやつなのか。
「本当だね。海はいいねぇ」
「そうやろ?それにな、この海の中にも数えきれんほどの微生物が住んどるんやで。ワクワクするわ」
やっぱりそっちに行っちゃうのが彼女らしい(笑)。
「あ…ええもん見っけ」
彼女はそう言うと波打ち際近くまで走っていき、そこにあった小さな木の枝を拾った。
そして砂に何か書き始めた。
「できたで〜!見にきて〜」
僕は少しドキドキしながらそれを見に行った…
「…」
砂に書いてあったのは…ボルボちゃんだった。
「な、上手く書けたやろ?」
「うん…」
「…何がっかりしてるん?」
「いや、恥ずかしいけどさ、砂に書いたラブレターっていう話あるじゃん?ああいうのを…」
「話っていうか、古い歌のやつやろ」
「うん」
「デビー・ブーンのお父さんが歌ったやつや」
「普通にパット・ブーンって言ったほうがよくない?」
「ダニエル・ブーンは芸名やから他人やで」
「ビューティフルサンデーの人か」
「あの『すばー、すばー、すばー、素晴らしいサンデー♪』っていう訳詞はすごいよね」
「僕たち何歳の設定なの?」
「あんたが古い歌を出してくるからやろ。歌の内容もよく知らんと」
「え?砂浜にラブレターを書いたっていうロマンチックな…」
「でも結局、昔そういうことをしてくれたあなたはもういないっていう嘆きの歌やんか。縁起悪いやろ」
「知らなかった…」
「そんなのも知らんのかいな。入試にも出たことあるんやで」
「え?マジ?」
「でまかせや(笑)」
「心臓に悪いから止めてもらえますか」
「この前も言うたけど、ここまできたらもっと腹据えなあかんで(笑)」
…やはり彼女にはかなわないな(笑)。
「さ、ごはんにするで」
僕たちは海辺のベンチに座り、彼女が持ってきたバスケットを開いた。
何とその日は彼女が手作りでお弁当を作ってきてくれたのである。
幼い頃からの付き合いだが、こんなことは初めてだ。僕はそのことだけでも感動していた。
「うん、美味しい!」
「よかった〜人のために作るの初めてやったから…」
「初めてが僕で嬉しいな」
「どこかで聞いたような…?」
「でもさ、本当に料理上手だよ」
「このメニューで上手って言われてもちょっと複雑やけどな(笑)」
バスケットの中身は手作りサンドイッチだった。
6枚切りのパンになにも塗らずにハムやスライスチーズを挟んだだけのものだったけど、パンの切り方が上手だった(笑)。
だから僕は大満足。我ながら単純だよね(笑)。
「なあ、じゃ、これも食べてな」
彼女はバスケットの底の方から何やら黒いものが挟んであるサンドイッチを取り出した。
「え?これは何の…?」
「ええから食べて」
カリッ…
それは板チョコのサンドイッチだった。
「今日は2月14日やろ。私の気持ちや。一生懸命作ったんやで」
珍しく顔を真っ赤にしながら説明する彼女を見ながら、僕はその日がバレンタインデーだったことにようやく気が付いた。
このチョコレートが彼女からのラブレターだったんだ。
ラブレター・イン・ザ・サンド…
―了―
>>241
ありがとうございます
結局、最後のダジャレが言いたかっただけなんですが(笑)
ちなみに中に出てくる「砂に書いたラブレター」の原題は「Love Letters in the Sand」と複数形なんですが
話の内容に合わせるためにネタのタイトルは単数形にしました さてキクチが街にきた。
街の様子について。ここで詳しく書かなければならないが、タイルの地面のなかに木造の粗末な家が立ち並ぶとしかないためそれ以上は詳しく書けない。しかし、他の国の同年代の建築様式とあまり違いはないようだ。
キクチはまず街のマーケットへ出かけた。ここには多くの民が集う。そのなかから探そうというわけだ。
キクチはメガネをかけて、人々を眺めた。そこに居たー
ボーイッシュな髪と顔立ち。
雰囲気には影があり、どこか冷たい眼をしている。キクチは彼女に声をかけた。
彼女はユリナと名乗った。
病がちの母代わりにこのマーケットで野菜を売っていた。
キクチはこういう影のある女をヤスシ王が好むことを知っていた。
だから、女王にならないかと話を切り出した。
しかし彼女は「僕は嫌だ。」と言ったきり沈黙した。
キクチは諦めてその場を立ち去った。
時の止まったリビング。
埃が小さな天使みたいに降り注ぐ。
由依は褐色のテーブルに座り、アルバムを広げていた。
「見て、これ。」
アルバムのある1ページを広げて私に見せた。
そのページには家の前で撮った記念写真が貼ってあった。
祖父、祖母、父。
三人共、もうこの世の人でない。
その三人の真ん中には四歳くらいの私が映る。どこか不機嫌そうな顔だ。
私は写真を凝視する。しかしどうしてもこの写真を撮ったことが思い出せなかった。
「駄目だ。全く思い出せない。」
「かわいい。」
由依の優しさを多分に含んだ眼差しの先には幼い頃の私が居た。
ふふ。由依が小さく笑った。
私はそのページを閉じてテーブルの上にあったミネラルウォーターで喉を潤したあと件のノートを取り出した。
「なに、これ。」
「じいちゃんのノート。」
「へぇ。」
「この中にさ。」
ノートを捲り当該のページを開く。
由依はしばらくじっと、その文を読んでいた。
「これはおばあちゃん?」
「いや、違う。」
「んー。じゃ、お母さん?」
私は答えに窮した。
母のことを知らないからだ。
いや、母である可能性すら考えなかった。
母は私が一歳の時に亡くなった。心不全だった。父曰く朝起きて母をみたら、隣で冷たくなっていたらしい。
そんな父は私が高校三年生の時、航空機事故で世を去った。出張先の台湾から日本へ帰る途中の事故だった。
序
古い思い出の埃を払う。
あんなに愛してたあなたの顔さえ
もう朧気だ。
声も。仕草も。陽炎の向こう、消えてゆく
だけど永遠に離れない。
あなたと檸檬の香り。
壱
彼女のことを思い出すと、必ず檸檬が馨る。
古いアパート。
陽炎が立ち上る八月。
窓から射し込む陽の光を浴びて
彼女の髪は艶やか。
「あついね。」
手団扇をしながらこちらを見る。
「うん。」古本屋で買った文庫を閉じると彼女はのほうをみた。
青いノースリーブのワンピースをきた
彼女は如何にもお嬢様というような
感じだった。髪を持ち上げて首筋に
光る汗をハンカチで拭っている。
その仕草とちらりと覗かせる
白い腋がより彼女の魅力的にみせた。
私は彼女に接吻をした。
彼女は驚いたようた顔をしたが
抵抗はしなかった。接吻を瞬間、私はとんでもないことをした。と思った。
慌てて唇を離すと私はごめん。
といいながら、俯いた。
彼女は「大丈夫……」
私は彼女を見た。彼女の白い頬は朱に染っていた。
私は彼女をぎこちない動作で
抱きしめた。鼻腔に彼女のシャンプーの香りが入りこむ。ゆっくりと彼女は
私の背中に手を回してきた。やがて私は彼女にもう一度接吻をした。今度は長く。彼女の接吻は檸檬の味がした。
先程までレモンスカッシュを飲んでいたからだ。
夕日が空になったコップに注ぎ込まれている。
私は彼女の顔をもう一度見た。
彼女は恥ずかしそうに頷いた。そのあとで今度は彼女から接吻をした。
私たちはその後畳敷きの床に倒れ込む。
室内には荒い吐息と唾液の絡む音が響く。
それがぎこちないだけより官能的に思える。時折彼女は微かに顔を歪めた。
まもなく二人は果てた。
似
私は二人の関係を永遠のものと思っていた。
しかしそれが単なる錯覚だと気づくのにはそう長くはかからない。
「わたしのことなんて忘れてください。」
>>247
続きを期待したくなる…
こういう文学的かつすこし官能的なのが自分が一番書けないやつ 『韻踏む余韻』
宿まで数十キロの地点でのことだった。まっすぐな道路を星が照らしていた。僕はゆっくりと車を路肩に止めた。
キーを捻るとエンジンが停止する。地図を確認するために車内灯をつけた。この車にカーナビはない。
フロントガラスからは、夏の大三角形のひとつ、ベガが見える。わし座のアルタイルは雲隠れになっている。
ドアミラーで後方を確認し、ドアを開けた。手首の隙間から冷気が入ってきた。北海道の夜は寒い。
遠くからヘッドライトが近づいていた。形状から、スポーツカーであることがわかる。
少し嫌な予感がして、車内に戻った。いわゆる「走り屋」に絡まれたら面倒くさい。ドアミラーに眩しい光が当たっていた。
よく見るとライトが上下に動いていた。つまりパッシングされていた。自分の車の横すれすれを通って、すぐ前に縦列した。
物凄いでドアが開け放たれた。ストリート系の格好をした人物が出てきた。典型的な走り屋だ。
僕はキーを捻った。エンジンがかからなかった。
セルが三回まわった時、窓ガラスをノックされた。僕はわざと舌打ちをして、外を睨んだ。
帽子の下に女の子の顔が覗いていた。服装の趣味からも、車の趣味からも外れている、綺麗な顔立ちをしていた。
困ったような顔をして笑っているので、理由もなく絡まれているわけではなさそうだった。
チェーンロックがかかったドアくらいの隙間で彼女の声を通した。突如、ラジカセのざらついた音が聞こえてきた。
一定のリズムでビートを刻んでいる。果たして涙目は何を意味するのだろうか。ラジカセのせいで謎が深まった。
「ガソリンがなくなったんですー」
定期的に響くビートに合わせて彼女の声が発せられたため、韻を踏んだ詞を待ったが、それだけだった。
よく通る声だった。いつ飛んで来るかわからないラジカセを見張りながら、僕はドアを開けた。
明らかに武器にしか見えない。
「ちょっとだけ分けてくれませんか、ガソリン」
彼女はラジカセを腕にかけて、両手を合わせていた。もうこの時には、ラジカセが脅迫としての武器には見えていなかったが、断れなかった。
僕はキャップを開け、彼女の持ってきたポンプでガソリンを吸い上げた。
「ありがとうございました。助かりました」
低音の効いた振動が、テールランプとともに去っていった。
(つづく)
セルは空回り続けた。どうやってもエンジンがかからなかった。
世の中はバランスが取れているなど、絶対に戯言だ。なぜ、いつも助ける奴は報われないのだろう。
夜空に滲む月を見上げて、唇を噛んだ。携帯電話でJAFの番号を調べた。遠くから冷やかしのクラクションが聞こえた。
「もしかしてバッテリー上がったんじゃないですか?」
さっきの彼女が、また窓を叩いた。いつの間にか戻ってきていた。
「なぜわかったんですか」
「セルの空回りと、室内灯。実はさっきガソリン汲んでもらってる時に車の中見たんですよ。明かりがついてないのに、スイッチがオンでした」
「はぁ…バッテリーが上がったらエンジンかからないんですか?」
「そんなことも知らないんですか」
彼女は自分の車からケーブルを持ってきた。
「私の言うとおりにしてください」
もう細かい手順は忘れてしまったが、数分後にエンジンが復活した。
「あんたのせいで、またガソリン無くなったよ」
鈴花と名乗るその女は言った。別に自分から名乗り出たわけではないが、ケーブルの袋にそう書き記してあったから、鈴花ちゃんで間違いないだろう。
「なんかすいませんでした、俺のせいで」
僕はまたポンプでガソリンを吸い上げた。
「サンキュー。バッテリー弱ってるから早めに換えたほうがいいよ」
鈴花ちゃんは車に乗り込んだ。下がったウインドウから伸びている腕の先端には親指が元気に立っていた。
白くなりゆく空へ車が遠ざかっていった。元気に吹き返したエンジンもそれに続いた。
(おわり)
>>248
チワンさんの場合、官能的になり過ぎてしまいますもんねw
>>240
と、思ったけどやっぱ上手いですやん
ラストなんかは、米さんの色気を感じます 檸檬は米津玄師のlemonから。
あとは渡辺淳一の小説からもちょいちょい影響を受けてます。
>>250
もしかしてがなちゃん2期が大阪府先生作品に登場したのは初ですか?
パリピちゃんは実はすごく良い子っていう評判を聞いてるのでピタリはまるお話です
自分もナビ無しの車なので気をつけます(笑)
>>251
やっぱり官能性と下ネタは根本的に違うんですよ(笑)
>>253
なるほど、官能性の源のひとつは渡辺淳一ワールドだったんですね 「ねぇ、これなんてかいてあんの?」
僕は彼女に訊いた。彼女は
「みればわかるでしょ。」と自信に満ちた顔をする。
「いや、わかんないから訊いてるんでしょ」
「わかるでしょ普通」頬を膨らませた黒髪ボブに透き通る声の彼女は前の席に座る茶色の、綺麗なポニーテールをした、
女の子に声をかける。
「ね。これなんの絵かわかる?」
ルーズリーフに書かれた謎の物体をその子に見せた。
「え……これ……うん?なんだろ」その子の頭上には幾つもの疑問符が浮かんでいる。
「ほら、わかんないんだってば」
僕が彼女に言う。
「そんなー。」彼女は窓の方を見る。
三人の間に消えていた喧騒が戻る。
「さすがだね」僕はまだ窓の外を見つめている彼女の肩を叩く。
「もう、この野郎」僕の肩を握りこぶしで殴り始める。
彼女の名を生田絵梨花という(僕は彼女のことをいくちゃんと呼んでいる)。
それを見ていたその子は小林由依という(僕たちは由依と呼んでいる、彼女がそうしてほしいと言ったから。だけと僕はなんだか恥ずかしい)。
昼休み。昼食をとるのがはやい僕たちは絵しりとりをしていた。最初の”り”で僕がりんごを書き、次の”ご”でいくちゃんは見たこともない宇宙生物を描いた。僕は暫くそれがゴリラだとわからなかった。
「ね、由依もやろうよ。」いくちゃんは言う。
「うん。」
由依は頷いて、どこやったっけ、と言いながらペンケースのなかを探した。しばらくしてからあ、あった。と言いながら水色のペンを取り出した。
「それはなんの絵」由依はいくちゃんに尋ねる。
「ん?これ、みればわかるでしょ。ゴリラだよ」いくちゃんは御機嫌斜めだ。
「そうなんだ。」由依は納得した様な納得してないような微妙な顔をした。
次は由依にかいてもらうことにした。
”ら”で始まるもの。「ら、ら……、ら?」
由依は首を傾げながら、何度も”ら”を探す。そのうち「 あっ、」と声を上げるとペンを取り出し、可愛らしい駱駝を描いた。
「かわいい」いくちゃんがその駱駝を見て歓声を上げる。
恥ずかしそうに由依は笑った。
次は僕だ。クルトガのシャーペンでダイアモンドの絵を描く。
それを次のいくちゃんに見せる。
いくちゃんはその絵を見て、
「私と絵のレベル変わんないじゃん!」
という。たしかに。僕の絵はよくわからない三角の奇妙な物体になっていた。頭の中で浮かんだものを絵にするのが苦手なのだ。つまり僕もいくちゃんのことを笑えない。
「これは何?」
いくちゃんが尋ねる。
「ダイアモンド」
僕が答える。すると、
「言っちゃダメじゃん当てようとしたのに」いくちゃんが文句を言う。
「だって何描いたのか訊くからさ。」
「絵しりとりの意味ないでしょ!」
僕たちの間でこんな下らない言い合いなど日常茶飯事だ。
「ほら、早く書いてよ」
僕は下らない諍いの後に言う。
いくちゃんは迷わず”ど”のつく物体を描いてまた自慢げな顔をする。そして由依にルーズリーフを渡す。
由依はまた困った顔をする。
ルーズリーフには平べったいUFOみたいな物が描かれていた。
由依はいくちゃんに「UFO?」
と尋ねる。やっぱりどう考えてもそれにしかみえない。
「UFOじゃないよ、どら焼き」
と言ったところでいくちゃんはしまった、というような顔つきをした。
「言っちゃダメじゃん」
僕が言うとばつの悪そうな顔をした。
絵しりとりはそのあと由依が”き”のつくものを考えてるところで時間切れとなった。
個性的な絵の描かれたルーズリーフは由依のもとに渡ったまま5時間目の授業が始まった。
一時期僕の居たクラスで絵しりとりが流行ったことがありそれを題材に。タイトルはMr.Childrenのhimawariから。
>>260
生田画伯まで登場とはw
この作品を読んで、こういうちょっとした時間が実はpricelessなんだよっていうことを改めて感じたのは
今年も311が迫ってきているからなんですかね 茜ちゃんと会話をしていると、たまに話の通じない時があり、何か心に小さな引っ掻き傷を残されたまま、何事も無かったかのように急に会話が途切れる。
特に意志の伝達に支障をきたす種類のものではない故、突っ込めないでいるのが現状であり、当の本人も全くそのことに気付いていない。
言葉でなくても人間は充分に通じ合えるということを、茜ちゃんは身をもって示してくれており、その時に見せる笑顔こそが信頼の証であり、詐欺の証でもある。
彼女の笑顔に身を任せれば時にとんでもない方向に連れて行かれるのだが、結局丸く収まることを知っているがため、それほどの心配は無用だ。
何はともあれ、茜ちゃんが笑っている間、世界は平和である。
長かった冬がようやく終わりを告げようとしていた三月のある日のこと、茜ちゃんが家の呼び鈴を鳴らした。
冬の空気に押される重たい玄関のドアを両手で開け、隙間から顔をのぞかせた。
茜ちゃんは満面の笑みで「おはよー」と片手を挙げ、ドアの近くまで駆け寄ってきた。
朝の六時からそんな笑顔なのだから、きっといいことがあったに違いなく、僕も出来る限り笑顔で聞いてやるつもりでいた。
「これなんだけどね…」と茜ちゃんは背中に隠していたパンフレットのような紙を僕の顔の前に当てつけた。
鼻先ギリギリのところにピントを合わせられるほど人間は器用に出来てなく、そもそも僕からは裏向きに文字がプリントされていたから、全く見えなかった。
紙を手に取り、ざっと見渡すと、お寺の案内パンフレットらしかった。
「今から行こ」
まだ寝起きの春に咲く梅のようにおしとやかな笑顔に心奪われ、怪しいと思いつつも承諾した。
満開の梅木が通りに並んでいても、桜並木のような華やかさはどこにもない。
街を歩く人の服装にも冬らしさが残っていて、みんな俯き加減で冷たい道路を踏んでいる。
茜ちゃんは場違いなほどの笑顔で、上を向いて歩いていた。僕はパンフレットをもう一度見る。
シンプルな構成の文字列が、どこか恐ろしい。日頃、ポップなフォントに見慣れているせいであろうか。
集合時間の六時半少し前に、お寺に着いた。
「おやおや、お若いですねぇ」
住職と思わしき坊主頭のおじさんが、入り口で作務衣を配っていた。割りと本格的だ。着替えるために、一度茜ちゃんとは別々になった。
更衣室の中は老人が多く、みんな顔なじみという風だった。
暫くすると、鐘が鳴った。大部屋に行くと、茜ちゃんがいた。同じ作務衣を着ているとは思えないほどに、茜ちゃんは美しい。
「おい、何が始まんの?」
「いや、わたしも知らない」
壁際に並べられた丸い座布団にそれぞれが座った。二人とも坐禅をするのは初めてだった。
ただじっとするのは意外と難しく、四十五分間で五回も肩を叩かれた。右肩に違和感以上のものを覚えながら、お寺の門を出た。
これで一日が終わってもいいくらいに疲れていた。まだ低い太陽は夕陽に見え、足は夕方の帰宅時のように重かった。
「付き合ってくれてありがとね」
茜ちゃんが言った。澄んだ顔で笑っている。
僕の目を透き通すような真っ白い明るさで笑っている。
だから、今日も頑張ろうって思えるのかもしれない。
>>262
こんな機能があったとは知りませんでした
でもこのスレでやる意味ありますかねw >>254
初めて登場させました
パリピちゃんはラップしてる時でさえも、いい子にしか見えないんですよね >>260
何気ない青春にはジェラシーを感じずにいれません
それと、やっぱりみなさん乃木坂経由の方が多いですね 落語シリーズ。こんどは立川談志さん。
なかなか難しい
うちの知り合いの娘にね、高校、一年生か、二年生かまあ、ちょっとわからないけど、まあ娘がいんですよ。
その娘がまあアイドルちゅうんですか?欅坂フォーティーセックス、ハハハハ、間違えた、フォーティーシックスの、本人に聞かれたら殺されちまうよ、全く。
おい、ここに来てねぇよな……いないか。
まあやってるんですが、その娘がどうも最近顔が暗くて会話が少ないんだ。それでその知り合いの親も困っててどうすりゃ、いいって俺に言うんだな。
うん。まぁ、娘なんていねーし、知らねえよっていつもならおっかえすんだが、その知り合いが昔世話になった人でね、そういうわけにも行かねえんだ。
でまぁ、一緒に考えるわけさ。ない頭絞ってさ。ハハハ……
まぁ、でも俺はほら、ガキの頃に良くある反抗期じゃねーのかっつうんだけど知り合いはどうも違うって言うんだ。
単なる娘ならあれだけど、ほらその談合坂だっけ、混むんだなあそこ。え、ああ欅坂か。欅坂のセンター、そうセンターってことばもなかなか……まあいいや。センターやってるから事情がまた違うっつうんだ。
なんか仕事の悩みとか、トラブルとかそれで顔が暗いんじゃないかって知り合いは言うんです。まぁ、お前さんが言うならそうじゃないかって俺は話したんだけど……
ハハ。結局てめぇで悩んで、てめぇで解決してんだから俺のでるまくねぇっつうんだ。うん。
ま、その知り合い、なんということはないただ、愚痴こぼしに来ただけなんだな。それからあれだほら、
2時間近く色んな、話ししてよ、そのたびにどう思うって聞くんだけど、異論なんか挟ませねぇんだ。ハハ。
ったく、こんな親だから子供の顔が暗くなるんだって……いいやしないけど。
まあ、その娘、平手友梨奈なんて言うんだが大変だよな……紅白なんてあんな死にそうな感じで、ああいう演出なんか知らんけど、十五六の娘に負担かけ過ぎなんだな周りの大人は。だからしまいにゃ、僕は嫌だ!って。
でも最近休みがちらしいんだな。俺なんかしょっちゅうほっぽりだしてるから人のこと言えねえけど、銭もらってるんならお前、テレビや、握手会っつーのか、その知り合いの、入れ知恵だけど、さ、ちゃんとやれっつーんだよな。うん。まあ、俺の言うことじゃないやな笑
でもファンだってさ笑ってる顔が見たいんじゃねぇのか。だけど。あんなんじゃファンが不安がるって、これはあんまりうまくねぇな。笑
これじゃ黄色いラーメン屋だ笑
でもここまで話しておれその平手友梨奈ってのを見たことねぇんだよ。この話も知り合いのあと、ほかに若い弟子に聞いただけで。
で、その曲だっけ?その僕は嫌だっての、ああ、不協和音か。そうか。
お前、不協和音なんでぴったりじゃねーか俺に。なんせ周りが揉め事のほんとに不協和音。ハハハハハハ。
まずは他人のこと言う前にてめぇの周りの不協和音どうにかしろっつうんだな。
でも、いま人気のグループなんだからせいぜい落語と違っておちないようにしなきゃなんねーからな。うん。
はは。だからこの話しのオチ考えてねーんだ。
だからもうオチを考えんの
僕は嫌だ!って。
立川談志さんの落語の枕にありそうなやつ。って考えたのですが……この落語の枕とか創作落語シリーズなかなか面白いな作るの
>>264
俺君と理佐ちゃんももちろんなんですが、僕君と茜ちゃんとの間にも確固とした独特な空気感が出来上がっていて、それがいつも読んでてとても気持ちよいのであります
米さんシリーズにもそういうのが出来てくるようにがんばろ←続くか不明でしょ
>>274
実は欅ちゃんに結構詳しい師匠が照れ隠ししながら語っているような情景が浮かびます(笑)
落語の枕を作る楽しさはよくわかります
それは多分ゆいぽんブログを真似る楽しさと似ています(笑)
家族でお出かけしたときのお話。
駐車場に車を停めて外に出てみると、ワンちゃんがいたんです。
とっても愛想がよくて私たちにもしっぽ振ってくれたりして可愛くって。
ご主人様の帰りを待ってるのかなって思ってたんですけど
私たちが帰る時間にもまだ同じようにいたんです。
何時間も待たされてかわいそうだなと思いながら駐車場の看板を見たら
『ワンコ・イン・駐車場』
って書いてありました。
小林由依です♪ >>268
例えば大阪府先生のレスの名前欄にある
◆.nO1rkdGpI
がトリップです。
これは書き込みの際に名前欄に#(半角)と任意の文字列を打ち込むと、自動的に変換されて出てくるようです。無料です。
#のあとの文字列は全角半角問わず、混合も可で、半角で8文字分までが有効らしいです。
例:#あgjmptw
この#以降の文字列を秘密にしておけば、原則的に他人が同じトリップを出すことはできないので、成りすまし防止に役立つわけです。
ただし個人情報に繋がるような文字列は避けたほうが無難なようです。
仮に◆.nO1rkdGpIを名前欄にコピペしたとしても、◆が◇になってしまい、成りすましカミングアウト状態になるらしいです。(↑このレスで実験してみた)
ちなみにトリップという名前は
1人用(ひ「とり」よう)キャップ
の略語から出来たらしいです。さらに『酉』とか略されたりします。
キャップというのは成りすまし防止の仕組みのことで、この名前も
成りすまし防止→防止→帽子→キャップ
ということらしいっす。 >>274
面白い試み乙でありますm(__)m
>>275
大阪府さんの作品に比べたら俺のはオタの妄想ですから一緒にしたら申し訳ないっすm(__)m
>>276
丁寧な説明ありがとうございます
投稿する時にはトリップをつけた方がいいんですかね? 帰りのショートホームルームが終わると
教室内からは次々とため息や欠伸が
聞こえ出す。僕はだらだらと帰り支度を
する。そんな僕の横でいくちゃんは
さっさと鞄を手にして、
僕と由依にじゃあね、と言い教室を出る。いくちゃんはほぼ毎日のように
ピアノのレッスンがある。
だから出てくのが早い。
由依は帰り支度を織田奈那に邪魔されていた。ゆいぽん、こっち向いて。と言いながら織田奈那はスマホでゆいぽんを撮りまくっている。これもまたいくちゃんと僕の諍いと同じく日常茶飯事だ。
ゆいぽんはもう、やめて。と言うが織田奈那はしつこく食い下がってもう一枚だけ、と言う。そんな光景を横目に僕は教室をあとにした。
「おーい、遅れるぞー!」
朝。階下からいくちゃんの、声が聞こえて目覚めた。目を擦りながら時計を見ると8時5分。急がなければ。僕は慌てて支度をしてダイニングへ行った。そこには呑気に白米を頬張る姉の沙友理が居た。
「姉ちゃん、なんでおこしてくれないの」
「うちは何回も起こしたんや。それでもおきんあんたが悪いんやで」
そういえば姉の声が朧げに聞こえた様な気がする……
「ほらほらいくちゃん待ってんで」
ニヤニヤと笑う姉。ぶっきらぼうに僕はいってきますと言う。
玄関にはすでにいくちゃんが待っていた。
「んもー、遅い!行くよ!」
いくちゃんはそう言ってでていく。
「あ、待って」
そういいながら僕は慌ただしくいくちゃんを追いかける。
「早く、早く急いで!」
いくちゃんが振り向いて言う。
僕は物凄く足が遅い。いくちゃんと僕の間にはかなり距離ができていた。
学校迄の長い一本道。曲がり角はほとんどない。毎回この道を通る度ほかのどの道より長く感じる。それは多分僕だけかもしれないけど。
教室に入り席に着いたと同時にチャイムがなる。僕らは顔を見合わせぎりぎりセーフだと笑った。カバンを横のフックにかける。
朝のショートホームルームが終わり、騒がしくなる教室。
「もう、ちゃんと起きてよ!」
「ごめんごめん。」
「私まで遅刻するでしょ」
「それなら僕をおいて先行けばいいのに」
「そういうわけには行かないの!」
いくちゃんは顔をそらす。
「仲良いね。」由依は僕らを見ながら言う。
相変わらずいくちゃんは顔を逸らしたままで僕は答えに困って微かに笑い誤魔化した。
午後の授業の最後は古典。およそ縁のない何百年も前の文章を見ていると眠くなり、僕は頬杖ついてうとうとする。
そんなときいつもいくちゃんが悪戯な顔で僕をつついて、寝るなよ。と起こす。
しかし、今日のいくちゃんは朝から走ったせいで疲れたのか机にふしている。
今日は形勢逆転。
僕がいくちゃんの、腕をつつく。
制服越しにその柔らかい皮膚の弾力にドキッとする。
起きない。しぶといやつめ。
僕は軽くいくちゃんを揺すると、いくちゃんはゆっくり起き上がり僕を見る。乱れた髪の奥にある瞳は焦点が定まっていない。フラフラと、動き僕を僅かに捉える。
「どうかした?」僕がそういい終える前にいくちゃんは突然ゆらゆらと揺れて僕の方へ倒れてこんだ。いくちゃんを肩で抱きしめる僕。その後僅かに遅れて椅子が倒れる。その音が盛大に鳴り響き、ぼくといくちゃんはクラスメイトの視線を一斉に浴びる。
>>281
千葉県さんが自ら仰っているように思うまま好き勝手に書いてるせいか
今までの作品より無意識が機能して躍動感とそこから生まれる物語性があって素晴らしいと思います
千葉県さんにしか書けない物語が始まったと思います
俺は断然このスタイル好きです >>274
ちゃんと談志さんの声で再生されますw
>>281
いい感じに話が進んでますね
好きな世界です >>275
>>277
庭さんの理佐ちゃんと比べていただけるなんて、こちらの方が恐れ多いですm(_ _)m
チワンさんの米さんシリーズは、一人称がしゃしゃり出ないのがいいですね
ちゃんと良さを引き出せておられてすごいです
>>276
前から思ってたんすけど、めっちゃ説明上手ですね
すらすら頭に入ってきます 『サンドウィッチ』
都内某所、ビルのテナントに、昔ながらのレトロ感を残した喫茶店が入っている。
通路からは中の様子が見えにくく、閉鎖的な雰囲気であるため、常連客以外はその存在すら知らない。
看板メニューはサンドウィッチ。
私がバイトとして雇われた初日に、「この作り方だけは絶対に守ってくれ」とマスターに念を押された。
ハムにオリーブオイルを塗り、マヨネーズに味噌を混ぜ、蒸したパンでサンドする。
コンビニのものより何倍もおいしく、常連客も必ず注文する。
今日も、お客さんがサンドウィッチを求めてやって来た。
常連のなかでは一番若く、女の子だ。名前は美愉ちゃん。
小さい唇がチャームポイントであり、その唇を最大限に活かした顔芸は一級品だ。
若さの割には服装が大人びていて、喫茶店の雰囲気にも合っている。
「サンドウィッチとコーヒーお願いします」
美愉ちゃんは席に座る前に、注文を済ませた。
私はまな板の上に具材を並べ、いつもの手順でサンドウィッチを作った。
サンドウィッチとコーヒーをトレイに乗せて、美愉ちゃんの席へ持っていった。
「そのハット素敵だね」
美愉ちゃんとは年齢が近く、常連客で唯一のタメ口を聞ける相手だ。
「でしょ、まあちょっと高かったけど。今日はあの人居ないの?ほら、髪短くてかっこいい人」
「ああ、マスターか。今日は帰ったよ」
「な〜んだ」
美愉ちゃんはマスターのことが好きらしい。マスターが店に居る時は、いつも顔をじっと見つめている。
最近、マスターは長い髪をバッサリと切り、別人になった。昔からの常連、トミーさんも、誰だか分からなかったと言う。
ちなみに、トミーさんの本名は富澤であり、外国人ではない。
「俺はな、あいつが信長の末裔じゃないかと思ってるんだ。泣かぬなら殺されてしまうぞ」
トミーさんの口癖だった。
短めの滞在で美愉ちゃんは帰った。私はお皿とカップを片付けた。
「本当にこれで良かったんですか?」
私は冷蔵庫の陰に向かって言った。隠れていたマスターが奥から出てきた。
「ああ、いいんだ。彼女には幸せになってもらわないとね」
「はぁ…じゃあ時間なんで交代してきます」
ビルの通路の突き当たりに、控え室がある。ビル共通の部屋であり、同じ階のテナントの人はここを使う。
控え室に入ると、高校生バイトの平手がすでにいた。
「あー、お疲れ。もう交代?」
「うん。頑張ってね。あのさ、平手。恋愛相談とかできる?」
「なになに〜聞くよ」
「やっぱいいや。高校生には早いよ」
「何でだよー」
つづく
翌日の土曜日、バイトはお昼からだった。平手は、ほぼ終日シフトをいれていた。
13時頃に店へ行くと、トミーさんが美愉ちゃんに向かって話をしていた。バイトの平手も隣から椅子を持ってきて聞いていた。
「恋愛というのは結局な、奥手なくらいが一番いいよ」
「奥手ってなんですかー」
平手がニコニコしながら質問している。美愉ちゃんも真剣に聞いている。
「そうだね、取りあえず君たちはおしとやかに振る舞うといいよ」
「はーい」
くだらない恋愛相談を聞きながら、私は厨房で洗い物を片付ける。ふと、右脚に何かを感じた。
下を見ると、マスターが屈んでいた。
「うわ!」
「どうしたのー」
平手がこちらを向いた。私は首を振る。
「ううん、何でもない。話してていいよ」
出来るだけ声を押し殺して、マスターに話しかけた。
「ちょっと何してるんですか」
「いやぁ、あの子やっぱり苦手でね」
「美愉ちゃんですか?いい子ですよ。」
「でも、年も離れてるし」
「マスターって、本当は何歳なんですか」
「それは秘密だね。個人情報だし」
恋愛相談三人組は意気投合したらしく、トミーさんを先頭にして店から出ていった。美愉ちゃんとトミーさんは無銭飲食、バイトの平手に至っては職場放棄である。
閉店30分前には他の客も帰っていき、マスターと二人きりになった。
「今日、時間あるかい?」
マスターが声をかけてきた。
「ええ、暇ですけど」
「じゃあ、サンドウィッチを作る練習しようか」
「はい、でも何でいつも私なんですか。平手にも教えればいいのに」
「あいつにはまだ早いよ。それに、君じゃないとダメなんだ」
「どうして?」
「理由なんているかい?」
「いや、別にいいですけど…」
「よし、じゃあちょっと早いけど『Closed』の看板を掛けてくれ。それと店内の電気は消してくれ」
「わかりました」
一度、外へ出た。
ドアに掛かっている『Open』を裏返し、言われた通り『Closed』にする。
その下に、僅かな面積のガラスがある。夕陽で赤みがかった自分の前髪が映っていた。手で一度だけ髪を撫で付ける。
次に、背伸びをして、唇を映した。少しだけ上がっていた口角を元に戻した。
ミステリアスな人って、危険な雰囲気もあるんだけど、なぜか惹かれますよね。
恋愛は難しいなぁ、なんて思いながら、再びドアを開けました。
小林由依です♪
>>285
ありがとうございます
自分の文章の基礎は小説や詩ではなくおそらく百科事典なので、そういう言葉は特に嬉しいかも(笑)
>>287
珍しくもん太が登場すると思ったらそういう仕掛けですか!
見事な構成に参りましたm(_ _)m >>288
小林由依です♪はオチにもってこいですw
>>290
辞書、事典などは、客観的な事実のみで構成されていて書くのが簡単そうに見えますが、
限られた文字数で、情報の取捨選択するのは、やはり感覚的な才能をなんですよね
結局、実生活の中で役立つのはそういう能力なので、チワンさんの才能が羨ましいです
ちょっと褒め過ぎたかなw 「どうした?」
古典の担当教員が近づく。いくちゃんは意識がない。
由依が心配そうな目でこちらを見る。
教員は学級委員長の男に保健室の先生を呼ぶように指示した。
男はすぐに教室を出て駆けゆく。
「しばらくそのまま支えててくれ」
と僕に教員は言う。
僕は黙って頷く。
いくちゃんの髪が僕の鼻にあたり、シャンプーの香りが入り込む。
僕の心臓は不気味に早鐘を打つ。
そうかいくちゃんは女の子だっけ。そんな当たり前のことをいまさら思い出す。
あまり意識していないが(いや意識してないふりをしていたのかもしれない)、白い肌に綺麗な瞳で可愛らしい顔立ちをしている。それゆえほかの男子からは人気がある。でも告白されたとかしたとかそんな話は聞かない。もしかしたら言わないだけなのかもしれない。
しばらくして保健室の先生が来る。この人はびっくりするくらいのポンコツだ。
濡れたペットボトルと切符を一緒に仕舞い切符をぐにゃぐにゃにさせ、あげくそれを改札機に通し、詰まらせる。また、
よく人の名前を間違えるし保健室で居眠りしていることもある。
ポンコツエピソードには事欠かない。しかし綺麗な顔立ち(たまに顔が濃いといじられるけど)と落ち込んでる生徒の聞くなど
頼りになる一面があるので人気だ。
>>292
改札機のくだりで若干あっちかなと迷いましたがやっぱりあっちですかね?って何のこっちゃ(笑) >>292
あっちのキャプテンですかね?
ちなみにチワンさんが迷った「あっち」の人とは最後の文字が同じだったりするのかな?
> そうかいくちゃんは女の子だっけ。
この文章、なぜか好きです。この語尾は、日本語にしかできない表現ですよね >>295
ありがとうございます。
たしかに良く考えてみれば日本語にしかできない表現ですね。 「何この子ちょーかわいい。」
ここは幕張メッセの握手会会場。
休憩の合間に志田愛佳の声が響く。
志田愛佳の元には小さな男の子が居た。
「いま、いくつ?」
志田がしゃがんで聞く。
「……5歳。」
少々恥ずかしいのか。服の裾をぎゅっと握る。
「可愛いー。」
愛佳の瞳にはその男の子しか映っていなかった。
「この子誰?」
長濱ねるが愛佳に尋ねる。
「迷子、トイレの前にいたの。」
「連れてきたと?」
「うん。一緒に来る?っていったら頷くから。」
「ダメでしょ。さすがに。」
横から渡邉理佐が割り込んで話す。
「えーでも可愛くない。」
頭をわしゃわしゃと撫でる。
「取り敢えずスタッフさんに言わなきゃ。」
菅井友香が言う。
まわりをみたらメンバーがぞろぞろ。
とりあえずスタッフに報告する菅井友香。
可愛いと口々に言いながら男の子を見つめるほかのメンバー。
男の子はキョロキョロメンバーを見渡し少し不安な目付き。瞳は潤んで今にも泣きそう。
その時。男の子が「ママー」と言いあるメンバーに抱きついた。
そのメンバーは齋藤冬優花。
メンバーが一斉に齋藤を見る。
男の子は齋藤に抱きついて離れない。
「えっ、ふーちゃん?」
ねるが驚いたように言う。
「いや、ちがうちがう。」
慌てて、手を振る齋藤。
「まさかもう子供いたの?」
愛佳がつぶやく。
「なんかいそうだもんね。」
理佐が納得した顔で言う。
「いや、ちがうちがう。」
齋藤は困惑した。
どうすればいいのか?
‹ 続く?›
「君、この子運んで」
先生は僕に言う。
僕はうなづいていくちゃんを背負う。
慣れていないせいかひどく重たく感じる。
「大丈夫?」
そんな僕に心配そうな眼差しを投げる由依。大丈夫と言おうとするも体勢が崩れ、いくちゃんを落としそうで怖い。結果、絞るような声でしか返事ができない。
「荷物運んで」
先生は由依に指示する。
その声を背に僕は保健室に行く。
保健室は扉が開けられていた。
消毒液の、匂いが鼻をつく。
手前のベットにいくちゃんを下ろすと近くの椅子に座った。
由依と保健室の先生はすぐに追いかけて来た。
「ありがとう。」先生は僕と由依に言う。
先生はベットに睡るいくちゃんの額に触れる。熱は無いようだ。
「たぶん貧血かな。疲れが出たんだよ。きっと。」
僕たちに先生はしばらくしてからそう言った。
朝からいくちゃんに走らせた僕の心は鉛のように重かった。
「まあ、でも大丈夫。2人は戻っていいよ。」
先生は言う。
僕は睡るいくちゃんをじっと見つめる。僕の隣にいる由依はかすかに頷くが、帰る素振りを見せない。
すると先生は「一緒に居る?どうせもう授業終わりだし。2人。」
僕らは目配せをしたあとすぐにうなづいた。
>>298
毎日の執筆ご苦労様でありますm(__)m 「渡邉さんよろしくね」
憧れの理佐ちゃんに緊張気味に挨拶する俺
やはり理佐ちゃんも緊張気味なのだろうか?
俺の挨拶に返事してくれたけど小声過ぎてほとんど聞こえなかった半端ない人見知りの理佐ちゃん
学園祭でオバケ屋敷やることになった我がクラス
二人一組で商店街にダンボール集めしに行くことになったんだけど・・・
まさかの大幸運で憧れの理佐ちゃんとコンビ組むことになった俺
喜んだのはいいけど人見知りの理佐ちゃんから話を振ることはなく
俺も世界一の美人だと思ってる理佐ちゃんを前にドキドキが半端なくて無言で歩く二人
「はぁ・・・どうしよう」
商店街に入るとため息ついて立ち止まる理佐ちゃん
ヤバイ!俺が無口過ぎて怒らせちゃったか!?
「理佐ちゃんどうしたの?なんか俺ヤバイことした?」って慌てて聞く俺に
「理佐ちゃん・・・?」って眉をひそめる理佐ちゃん
しまった!いつも心の中で呼んでる理佐ちゃん呼びをしちゃう迂闊な俺
「ごめん、うっかりミスです」って謝る俺
「どんなミスなの〜」って笑う、意外と笑いの沸点が低い理佐ちゃん
「俺君って面白いね」って笑顔の理佐ちゃんにほっとする俺
「ところで、ため息ついてたけど大丈夫?」って聞く俺
「うん、私人見知りが凄いから不安なんだ」ってダンボール集めごときに不安を感じてる可愛い理佐ちゃん
「そんなの俺が頼むから渡邉さんは俺の陰に隠れてなよ」
憧れの理佐ちゃんに良いとこ見せようと張り切る俺
「いいの?」って遠慮するやはり可愛い理佐ちゃん
「いいよいいよ、理佐ちゃんは可愛いから黙って立っててくれるだけで戦力になるから」
なんてまたも理佐ちゃんとか呼んじゃう迂闊な俺
「あっ、ごめんまた理佐ちゃんって呼んじゃった」って謝る俺に
「いいよ理佐ちゃんで」って言ってくれる理佐ちゃん
「いいの!?」ってめっちゃ嬉しい俺
「うん・・・可愛いって言ってくれたから・・・」
なんて恥ずかしそうにうつむく理佐ちゃんだから好き
「ちきしょう!居残り作業はジャンケンで負けた奴なんて提案しなきゃ良かったよ」
憧れの理佐ちゃんと二人で商店街をまわって集めたダンボールで夜までオバケ屋敷作る孤独な俺
早く帰りたさにした提案が裏目に出てまさかのひとりで居残り作業してるってわけだ
「それにつけても理佐ちゃんとダンボール集め出来るなんてラッキーだったな」
なんて理佐ちゃんと一緒に歩いた感動を思い出す俺
もっとも、人見知り半端ない理佐ちゃん故に会話が弾んだとはお世辞にも言えないが
世界一の美人と言っても言い足りない理佐ちゃんが相手で俺もめっちゃ緊張してたしね
俺のような路傍の石にとってはおそらく一生物の思い出になるであろう憧れの理佐ちゃんとのダンボール集めを回想してる間に過ぎてく時間
「ねぇ、どうしたの?」
回想にふける俺に声をかけてくれる理佐ちゃん
「わっ!びっくりした」
突然の理佐ちゃん登場に驚く俺
「驚かせちゃった?ごめんね」なんて苦笑いしながら謝る理佐ちゃん
「いやいや、俺が勝手に驚いただけだから謝んないでよ」って憧れの理佐ちゃんに謝られるなんて畏れ多い俺
そして気まずい沈黙が俺と理佐ちゃんの間を流れる
ヤバイな・・・動悸が半端ない
理佐ちゃんが突然現れた驚きが去ると共に憧れの理佐ちゃんと二人で学校に残ってることにドキドキし始めた俺
「みんなと一緒に帰ったんじゃなかったの?」沈黙から逃げるように理佐ちゃんに聞く俺
「うーん?帰ろうと思ったんだけど・・・一緒にダンボール集めしたからさ、俺君だけで居残りさせるの可哀想になって戻ってきちゃった」
なんて照れ笑い浮かべながら差し入れの入ったコンビニ袋を俺に手渡す理佐ちゃんだから好き
「俺君があんなに口上手いなんて知らなかった」
作業が一段落して理佐ちゃんが買って来てくれた差し入れのおにぎり食べながらお喋りする俺と理佐ちゃん
「そうかな?ダンボールくださいって頼んでただけだよ」って苦笑いの俺
「ううん、私は知らない人とあんな風に喋れないから羨ましい」って尊敬の眼差しの理佐ちゃん
一緒にダンボール集めして呼び方が渡邉さんから理佐ちゃんに変わっただけで打ち解けた気がするから不思議だ
とは言え胸のドキドキは収まっていない俺ではあるが・・・
「同じクラスだけどほとんど喋ったことないもんね」って胸のドキドキを隠しながら話す俺
俺に限らず人見知りで大人しい理佐ちゃんとはクラスの男子がほとんど喋ったことないだろう
「うん、馴れてない人と喋ると緊張しちゃうから・・・」なんて口ごもる理佐ちゃん
「そうなんだ、でも俺とは普通に喋れてるじゃん」って人見知りの理佐ちゃんをリードするために頑張って喋る俺
「俺君は優しいから・・・ダンボール集めで私のことずっと庇ってくれてたし、なんか安心して喋れる、でも今は違う理由で緊張してるよ」
そう言って恥ずかしそうにうつむく理佐ちゃん
「俺も理佐ちゃんと喋るの緊張しちゃうけどね」ってつい本音が漏れちゃう俺に
「緊張してんじゃねーよ」って小さい声でドス効かす理佐ちゃん
「えっ!?」初めて聞く理佐ちゃんのドス声に驚く俺
「お兄ちゃんが居るからたまに乱暴な口調が出ちゃうんだ」って恥ずかしそうに言い訳する理佐ちゃん
「ねぇ、それよりなんで緊張してるか教えて?」って小首傾げて聞いてくる理佐ちゃん
その可愛い仕草に背中を押された俺
「理佐ちゃんのこと好きだからかな」
照れ隠しに横向いてボソッと呟く俺に
「それってさ、私が今緊張してるのと同じ理由だね」
なんて恥ずかしそうに微笑む理佐ちゃんだから好き
完
>>302
うる星やつらとめぞん一刻には影響受けてるかもw
トリップの付け方がイマイチ理解不足付けれなかった、すまんですm(__)m いくちゃんはまだ目を覚まさない。
保健室の先生は担任に報告に行くと保健室を出た。保健室には由依と僕だけになった。時計の針の音がやけに大きく聞こえる。
僕はあくびをする。
いくちゃんを背負った、腕が重たい。
ストンと不意に右肩が重たくなる。
僕は思わず眺める。
目を瞑り寝息を立てた由依が僕の肩に頭をもたれていた。
由依のシャンプーの香りと綺麗な髪の色が近くにある。
僕の心はまたも早鐘を打つ。
由依はいくちゃんの鞄を抱きかかえ眠っている。
ゆいぽん、ゆいぽんと言いながら由依を追いかける織田奈那の気持ちがわかった気がした。
どれくらい経ったのだろう。
金属のバットの震える声、歓声、ランニングの掛け声。
僕は由依を起こさないように慎重な動作でスマホの時計を見る。
4時40分。
随分眠ったようだ。
近くで欠伸が聞こえる。
肩がふっと軽くなる。
「あっ、ごめん。」
由依が謝る。由依の頬は少し赤くなっていた。
「別に、全然」
やや、たどたどしく言う。
時計の針の音が聞こえる。そうか、ここ時計あったのか。
「いくちゃん、起きないね」
僕たちは同じタイミングでつぶやく。
すると由依がふふっと小さく笑う。
僕も由依につられて笑う。
すると、
「ん?ここどこ?」
とベットから声が聞こえた。
「ここ保健室。いくちゃん大丈夫?」
僕はベットに近づいて言った。
「先生に知らせてくるね」
と由依は職員室へと駆けだしてゆく。
事情が飲み込めてないいくちゃんのためにいろいろ説明していると、先生と、由依が戻ってきた。
元気そうな顔をみて先生は
「大丈夫そうだね。」
といった。
「ありがとうございます。すいません。」
と、いくちゃんはいった。
「あんまり無理すんなよ」
ニヤニヤしながら先生は、いう。
「あと、2人にもお礼しときなよー。とくにあなたをおんぶしたあの子にはね。」
と僕を見た先生。
「えっ、そうなんですか。」
驚いたあとに恥ずかしそうな顔をするいくちゃん。まさか背負ってここまで運んだなんて自ら言うわけない。
「うん。」
僕は頷く。
このあと由依はいくちゃんに鞄を渡して帰った。バイトがあるのを忘れていた。とか。
「ピアノは休みにしといたからゆっくり、かえってきなさい。だって。保護者の方が。」
先生が思い出したように告げる。
「あっ、そうなんですね。」
やったー。と小声で喜ぶいくちゃん。
「気をつけてね」
先生に言われて保健室をあとにするいくちゃんと僕。
「帰ろうか。」
「うん。」
昇降口に行くと周りはオレンジに染まる。
季節はそろそろ冬に向かう頃。
学校を出て何故か黙って並んで歩く二人。
「いろいろ、ありがとね。」
冷たい風が頬を突き刺す。
僕は冬を探す。
「無理するなよ。」
僕はいくちゃんの少しだけ潤んだ瞳を見つめて言う。
まっすぐの一本道。
帰りの方が近く感じるのは何故だろう?
そんなことに思いを巡らすと不意に左手が柔らかい感触を捉えた。
繋がれているいくちゃんの右手
「寒いから……」
ぽつりとつぶやく。
僕はいくちゃんの柔らかくて小さい右手を握り返す。
「痛いよ。」いくちゃんがつぶやく。
「この道がもっと長かったらいいのに。」
すぐ近くに見えてきた僕の家。
その道をさらに歩くといくちゃんの家がある。
「送るよ。」
「ほんと?」
僕の家を通り越していくちゃんの家まで。
僕は汗ばむ手を握り直した。
僕の後ろで夕日は沈む。
いくちゃんの家についた。
いくちゃんはゆっくりと手を離す。
じゃあね。
いくちゃんは小走りに家の中に。
ドアが閉まって夜に差し掛かった車列や信号の点滅が視界に入る。
白いため息を吐いて家へ帰る。
翌朝。
早くに目を覚ます僕。
階下に行くと、ご飯を大盛りによそる姉が
「今日は早いやん。珍しい。」
と言う。
「まあね。」
「ところでネクタイ曲がってるで」
姉はお椀をおき、僕のネクタイを直した。首筋に漂う香水が妙にドキッとする。
「ほら、バッチリや。」
肩を叩いて姉は言う。
「ありがとう。」
そこにいくちゃんが来る。
「あっ、もう起きてる。珍しい。」
びっくりするいくちゃん。
今日は時間も早いから昨晩のお返しにいくちゃんを朝食に誘う。
「いただきます。」
かなり大盛りな白米を食べる姉といくちゃん。2人の胃袋は無限大だ。
茶碗をカラにして姉のいってらっしゃい。という声を背に出かける。
外へ出ると朝の日差しが眩しくふたりを照らす。
了
Mr.ChildrenのHimawariをモチーフにと書いておきながら実はフジファブリックの若者のすべてとGreen Birdがモチーフになっていたと今さらきづきました。
>>309
例によってミスチルはアトミックハートからボレロの間しか知らず、フジファブリックに至っては志村氏が亡くなったことしか知らないんですが
そんな自分でも思わず引き込まれました
続編も新作も期待しています
そして脱線しますけど
ミスチルのアトミックハートって、いかにもピンクフロイドファンらしいアルバム名だと気付きました(笑) よくクールと言われます。
でも、それは周りが押し付ける偶像であり、それこそ私を知らない人が私に押し付ける偶像(アイドル)と変わりありません。
私は、皆さんが思っているほどアイドルではないし
皆さんが思っているようなアイドルでもないです。
だけれど、私の意志を無視して、『私』という存在は勝手気ままにネットを歩き回り
それがあたかも事実化のように振舞います。
それはもう私ではなく、私と同じ容姿をして、私と同じ声を出す。
限りなく私に近い……『彼女』です。
限りなく私に近いのであって、それは私ではありません。
しかし、それは『私』より目立ち、『私』より人気だから……。
欅坂46×怪異
渡邊理佐の場合
「あれ?理佐、いたんだ」
それは都内で買い物から帰ってきた時、寮の廊下で偶然会った志田愛佳にと言われた言葉だった。
理佐は首をかしげる。
「いや、私……今日駅前に買い出し行ってたんだけど、理佐が電車乗ろうとしてたのを見たからさ」
「私、電車なんか乗ってないよ。今日は1日、部屋にいたし誰かと見間違えたんじゃない?」
「うーん、私が理佐を見間違えるはずないんだけどなぁー」
「ちょっと、怖いからやめてよ」
愛佳の言葉に理佐が答える。
そんな二人の前にと飛び出してくるもの。
それは小柄な少女……小学4年生、ではなく原田葵である。
「自分と似ている人が世の中に3人いるらしいからね!理佐にも似た子がいるんだよ」
「「……」」
愛佳と理佐はドヤ顔で告げる葵を無視し踵を返しながら寮の食堂にと向かった。
ただの見間違い。
最初はそう思った。
でも、それからも、理佐を見たという話は出続けた、
織田奈那……『理佐、なんで声かけたのに無視したの?!』
知らない、私は会っていない。
守屋茜……『そうそう、この間話してたやつなんだけどさ。え?会って、話してたよね』
私は、話した記憶はない。その時は、尾関と一緒に居た。
尾関梨香……『一緒に遊んだじゃん?覚えてない?』
違う、私は遊んでない……。
誰かわからない。
誰かわからないけど、私を語るもう一人の私が、メンバーと話をしてメンバーと遊んでいる。
理佐は、徐々に恐怖を感じ始めていた。
誰だかわからない、自分と同じ名前と容姿を持つ子が、自分の周りに出没する恐怖。
「ねえ、理佐。この間、私の部屋に来た時貸してほしいって行ったCDあったから」
愛佳がそう話しかけてきた。
理佐は、愛佳の手を振り払う。
彼女の手にあったCDが宙を舞った。
「私言ってない!!私、そんなこと言ってない!!」
地面に落ちたCD。
理佐は、大声をあげながら、息を切らして愛佳にそう告げた。
周りにいたメンバーが、理佐の突然の行動に驚きの目で見ている。
そこで理佐は自分が何をしてしまったのかに気が付く。
「あ、ご……ごめん愛佳。」
「理佐……大丈夫?」
愛佳は、理佐の異変に気が付いて肩にと手をかけて問いかける。
理佐は、愛佳の言葉にうつむく。
理佐はそこで改めて愛佳の言葉を思い出していた。
部屋にとやってきた自分……、そう。
最初は都内であったはずなのに、徐々に近づいてきているのだ。
もう一人の私は、もうすぐそこまで来ている。
「……愛佳、助けて」
「え?」
「お願い」
理佐の言葉、そして顔をあげて愛佳を見る理佐の涙を流す表情に、愛佳はただ事ではない事態だと気が付いた。
理佐の部屋にと集められたメンバー。
志田愛佳、織田奈那……。
って完全に理佐の趣味じゃん!?と織田奈那は思いながら、理佐の話を聞く二人。
「なるほど、もう一人の理佐がね」
「近づいてきてるの」
理佐は自分の肩を抱きつぶやく。
愛佳は理佐の言葉を聞きいて立ち上がる。
「わかった!私が理佐の偽物を退治する!」
「ありがとう、愛佳頼もしい」
そういって愛佳に向かって拍手する理佐。
そんな二人のやり取りを見て呆れる織田奈那。
「その理佐と、偽物の理佐……識別できるわけ?」
「そんなの出来るにきま……」
「偽物の理佐にCD貸してって言われて気が付かないのに?」
織田奈那の言葉に、押し黙る愛佳。
先ほどの勢いはどこにやら……座り込んでしまう愛佳。
織田奈那は、小さくため息をつく。
「まあーあんまりにも現実離れしている話だから、何とも言えないけど。
考えられることとしては、理佐のドッペルゲンガーの可能性があるよね」
「ドッペルゲンガー?えーっとよく映画とかアニメとかで聞く奴?」
「そう、もう一人の自分で諸説いろいろあるけど、霊体が肉体から飛び出してしまって勝手に行動しちゃうとかね」
「解決方法はあるの?」
「さすがに、今すぐっていうのはないけど、調べてみるよ」
織田奈那はそう告げて立ち上がった。
「じゃあ!私は今日から理佐と一緒に寝泊まりする!」
「え?」
理佐が思わず、声をあげる。
「だって、理佐が一人で怖い思いをするなら誰かが一緒にいてあげなきゃ」
「愛佳……」
愛佳の言葉に嬉しそうに笑顔を浮かべる理佐
織田奈那は苦笑いを浮かべつつも……。
「まあ、それはそれでいいかもしれないけどね……ただ一緒に居たいだけなんじゃないの?」
「な、ななななな……何を言って」
「ドモリすぎ」
織田奈那の鋭いツッコミが愛佳に突き刺さる。
普段テレビでは、ボケに回ることが多い織田奈那ではあるが、実際は愛佳とか、他のメンバーのほうがぶっ飛んでいることのほうが多い。
どちらにしろ、理佐がこれだけ怯えているということであれば何かしら手を打たなくてはいけないだろう。
織田奈那はそう判断をして一度、作戦を練ることにする。
理佐は愛佳にと任せて、部屋を出る織田奈那。
彼女は、廊下を歩きながら理佐の話を思い返す。
もともと織田奈那は、超常現象などに興味がない。
とくに、こんな自分の身に降りかかるようなことは余計にだ。
だが、あれだけ理佐が怯えている以上、何か対策を練ったほうがいいだろう。
それに……。
「本当のドッペルゲンガーかどうかはわからないけど、本物ならば出会うと本物は死んでしまうっていうくらいだし
どうにかしなくちゃいけないよね」
部屋にと残された志田愛佳と渡邊理佐。
愛佳は、部屋を見渡しながら落ち着かない様子だ。
「大丈夫だよ、愛佳。そんなそわそわしなくても」
「えーだってどこに隠れていても不思議じゃないしさ」
愛佳はそう言いながら、理佐を見上げた。
すると、理佐が急に力なく座っている愛佳にと倒れ込む。
慌てて理佐を抱きとめる愛佳。
「ど、どうしたの!?理佐」
「あ、ごめん……急に眩暈して」
「大丈夫??病院、いや救急車呼ぼうか?」
愛佳が不安そうな表情で理佐を見る。
理佐は、首を横にと振りながらそのまま愛佳を抱きしめた。
「しばらく、こうしてくれれば……いいよ」
「り、理佐?」
強く背中に腕を回されて抱きしめられる愛佳。
愛佳は、どうしていいのかわからぬまま、その状態で身動きが取れないでいた。
理佐に抱きしめられることなどそうそうない。
愛佳は、自分も理佐を抱きしめてあげるべきなのか迷う。
ドッペルゲンガーに会って不安になっているのだろう。
「大丈夫、私が理佐を守るから」
「ありがとう、愛佳」
扉が開けられる。
愛佳が顔をあげると、そこにいたのは織田奈那である。
さっき、出ていったばかりの人間に愛佳は首をかしげる。
「あれ?オダナナ忘れ物?」
「……愛佳、早くそいつから離れて」
織田奈那は、普段なかなか見せない真面目な表情と声のトーンで問いかける。
「え?」
意味が分からない愛佳は織田奈那にと聞きなおす。
すると、織田奈那の後ろから姿を見せるもの……。
「愛佳から離れて」
それは渡邊理佐であった。
彼女の姿を見た時、愛佳は思わず目を見開いてしまった。
先ほどまで話をし、今自分を抱きしめている理佐以外に、もう一人、理佐が立っているその状態。
そう、今……この場所には渡邊理佐が二人いる。
愛佳は自分を抱きしめている理佐と織田奈那と一緒に立っている理佐を交互に見る。
「えーと……これは、どういうこと?」
「ドッペルゲンガーだよ」
愛佳を抱きしめていた理佐が顔をあげて、立っている理佐を見る。
「愛佳、あれが私のドッペルゲンガー」
「違うでしょ!あなたが私のドッペルゲンガー!」
二人はお互いを指差しで互いを偽物だと言い合う。
織田奈那は、そんな二人のやり取りを見る。
「愛佳、とにかく離れて」
「ダメ愛佳!いっちゃダメ!」
織田奈那が離れるように告げるが、それを制止するように理佐が、愛佳の体を掴む。
その様子を見ていた理佐は、恐怖よりも怒りが先に着て、前に進むと愛佳の腕を掴む。
「愛佳をかえして!」
「イヤだ!!」
二人の理佐に愛佳は引っ張られる羽目になる。
愛佳は、二人の理佐を交互に見ながら、まったく同じ表情・声色に、どっちが偽物でどっちが本物か理解できない。
「「愛佳を離して!!」」
「「イヤ!!」」
愛佳は、引っ張られながら交互に二人の理佐を見る。
愛佳にとってみれば、どちらも理佐に変わりない……。
だが凄い力で引っ張り合う二人に、愛佳の腕に痛みが走る。
「痛っ」
その声を聞いて手を離してしまう後から来た理佐。
最初にいた理佐が引っ張って愛佳を抱きしめる。
「ほら、私の方が愛佳を思ってる……」
「違う」
織田奈那がつぶやく。
「理佐が手を離したのは、愛佳が痛いって言ったから……大事な人だから、つい手を離してしまったの。
でも、貴女は手を離さなかった。それは、貴女に心がないから……目的しかないから」
その言葉に、最初からいた理佐は息を呑み自分の手を見る。
愛佳は立ち上がり後から来た理佐の方にと歩み寄る。
「理佐」
「愛佳」
二人は強く抱きしめ合った。
お互いを強く認識をするように……。
愛佳は、理佐からそっと離れて、もう一人の理佐を見た。
もう一人の理佐はうつむく。
>>318
哲学チックなテーマに、緊迫感のあるアクション、登場人物に命を吹き込む会話、
完成度が高いですね
>>310
是非とも! 「……私は、偽者」
自分でも理解をしていなかった……もう一人の理佐。
理佐は、そんなもう一人の自分を見ながら声をかける。
「ごめんなさい……私が、自分を偽るために、貴女を生み出してしまった」
「え?」
理佐が顔をあげてもう一人の自分を見る。
二人の理佐の視線が重なる。
だが、それは先ほどまでの憎悪の視線とは違う。
「……葵に聞いて、こういった専門の人に会いに行ってたんだけど……」
それは、原田葵にすすめられて、向かった都市伝説・心霊現象の解決専門屋の人間からの話だった。
彼は金髪にアロハシャツの男で、とても専門解決屋の人間には見えなかった。
だが、彼はタバコを吸いながら無精ひげずらで理佐を一目見て告げた。
『君、分裂してるね』
そう一目見て彼はそう判断を下した。
理佐はそこで彼に対する疑心から、一目で本物だと判断した。
『酷くストレスを抱える仕事を持っているんじゃないかな?ああ、例えば……そう。ほら、今流行のアイドルなんていうのを。
結構可愛らしいからね、君は。でもあの仕事は生半可な気持ちでやるべきじゃないよね。
だってさ、あれほど自己否定をされる仕事もないんじゃないかな。
人間っていうのは自分を認識してほしい欲求がある。
でも、あのアイドルっていうのは、周りの人間が一部の部分を切り取ってそれを勝手に当人として認識をしてしまう。
売れれば売れるほど、元々の自分と、本来の自分は乖離していく。
それが結果的に、人を破壊する』
彼は雑談のように話すが、それがすべて回答となっていた。
少なくとも理佐にはそう聞こえた。
「……私は、どうしたらいいんですか」
『どうもする必要はないさ。だって君は君なんだろう?無理に変える必要はないし、無理に変わることなんてできない。
だから、君は彼女を受け入れればいいのさ』
「受け入れる……」
『そう。人は人と喧嘩をした時、どうする?互いの過ちを認め合い受け入れ合うだろう』
受け入れる。
自分を受け入れる……。
「ありがとうございます」
『お礼はいらないさ、ただ勝手に君が君自身を助けるだけなんだから』
偶像としての自分、渡邊理佐という自分……その乖離に自分は悩んでいた。
だから、自分は分裂をしてしまった。
ザ・クールと言われて、志田愛佳とセットでいる自分。
本当の自分は、愛佳とセットだけじゃない……愛佳に頼ってばかりいる自分ではない自分。
でも、その両方が渡邊理佐という人間なんだ。
「私は、私を受け入れます」
理佐は、そういってもう一人の自分を抱きしめた。
もう一人の理佐は、肩に顔を載せて目を閉じる。
「……もう、私は自分から逃げない……」
愛佳と織田奈那は理佐たちが抱きしめ合う姿を見つめていた。
翌日……。
「愛佳、織田奈那〜〜」
青空の下、街路樹に囲まれた道を歩いていく
理佐は、志田愛佳、織田奈那とともに遊びに行く運びとなった。
理佐はいつにもましてハイテンションであり、
前を進みながら振り返って、二人いと手を振る。
そのキャラの変わりように織田奈那は戸惑ってしまっていた。
そんな織田奈那を見ながら、愛佳は笑みを零す。
「理佐は理佐……私の好きな理佐に変わりはないよ」
愛佳は、理佐を追いかける。
織田奈那は、そんな二人を見ながら小さく息を吐いた。
今日も平和な1日だ。
〈Himawariの続編〉
進学か就職か。そろそろ自分の進路について考えなければならない時期に差し掛かっていた。あるものは大学受験、あるものは就職へ。それぞれの道へ手探りで進み始めていた。
しかし僕は二学期が始まって早々に大学へ推薦で合格していたので、そんなどこか不安に張り詰めた空気とは無縁だった。
いくちゃんとは手を繋いだあの日のまま止まっている。
あの日の帰り道。珍しくいくちゃんと2人で帰る。
「今日、ピアノは?」
「休み。先生が体調崩して」
「そうなんだ。」
「進路はどうするの」
「私、留学したいの」
「留学?どこに」
「オーストリア。海外でもっとピアノの勉強したいの。だから留学が出来る音大に行く。」
「そうなんだ……」
空は重たい雲に覆われ今にも雨が降り出しそう。
「君はいいよね。もう進路決まっているから」
「そうだね」
僕はドヤ顔をした。
「もう、何その顔、ムカつくー」
グーで僕の背中を殴るいくちゃん。
「そういえば君の夢は?」
いくちゃんは振り向いて言う。
いくちゃんは何歩か先を歩いている。いつだってそうだ。
「小説家かな。」
「ふーん。小説家かー。似合うなあ」
遠い目をして笑った。
「しょっちゅう本よんでるもんね。」
なおも笑って言う。
「まあね。ところでさ。」
僕は恋愛とかよくわからない。そういう小説を読んだりするがそれは所詮小説のなかの出来事だ。
「いま、好きな人はいるの?」
いくちゃんは立ち止まった。
そして振り向かずに
「いるよ。」と言った。
「誰?」僕は訊いた。
「教えない。」
「ヒントだけでも」
「ヒントか。ヒント?うーん。」
後ろ手を組んで話すいくちゃん
「私の好きな人はね、優しくて、不器用だけどいつもそばにいてくれて、私が倒れた時に私をおんぶしてくれる人。だけどその人は私が勇気を出して好きだってサインを出しても気づいてくれないの。ひどくない?」
僕を振り向いて言う。
「……ごめん。」
「私だってものすごく勇気出したんだよ。あの時手を握るの。君に気づいて欲しくて。」
僕の心は複雑に揺れた。こんな時どうすればいいのか?
僕はいくちゃんに近づく。
「僕は……いつも明るくて可愛いくてそんないくちゃんを近くで見てきて、だから……ずっと……」
掌は汗で一杯。小さな心臓は尋常ではない速さで拍動する。
僕は不意に言葉に詰まる。
今日は風が強い。
妄想のし過ぎと恋愛小説の読みすぎだと読み返して思った……
ちなみにMr.Childrenのhimawariの歌詞の中に日だまりという単語がありそこからhimawari、hidamariとなっています‹ 千葉県›
>>332
自分に問いかけるような、心から溢れ出てくる言葉が好きです
やっぱり、ロマンスはいいですよね 無茶ぶりの
お鉢回され
僕は嫌だ!
義太夫 心の俳句
‹ Intro›
赤と緑のカーテンに包まれる。ぼんやり化粧品と香水の匂いが漂う。喧騒が私を中心に起こる。背中が冷たい。体が凝固して動かない。行かなくちゃ。でも、もう間に合わない。遠くでサイレンが鳴り響く……
‹ A Melo›
緊急オペが終わり、私は自分のデスクで唐揚げを頬張る。朝買ったやつだからだいぶ冷たい。まあ仕方ない自ら望んだ職業なのだから。
「でもあっためようか……」
一人呟いて電子レンジを見る。幸い誰も使ってない。
「松村さん急患すぐきて!」
看護婦の伊藤かず……いや大島さんが
私を呼ぶ。容器のなか、最後、ひとつだけ残った唐揚げを見つめてから「あとでな
、」と言って走る。
患者は16歳の少女だった。名前は平手友梨奈。横浜のデパートにある化粧品コーナーで突然倒れて緊急搬送された。
「バイタルは?」と私は茜に訊く。
「92、66、12です。それ以外は正常です。」
「上、低いなあ。」私は首にかけたままだった聴診器を手に持ちつぶやく。
「また転倒した時に後頭部を打撲しています。」茜が付け加える。
「そうか。外傷性脳出血の可能性もあるからCTもせなあかん。CTにまわして。」
「わかりました。」守屋は返事をすると踵を返してどこかへゆく。
結局CTをしても異常はなかったので、貧血だと私は診断した。
普通、こういうのは内科医のしごとやないかい。と思うのだが、内科医の長沢はオペ中。ほかの医師も診察で抜けられず私のとこへ回ってきた。
意識は無く眠る彼女を見ながら
「単に貧血だといいのだけど。」とつぶやく。緊急性はないので一般病棟へ運んだ。
「保護者は?」守屋に訊く。
「あ、男性がひとり。」
「お父さん?」
「いや、マネージャーとかで。」
「マネージャー?」
私は首を傾げた。
その男性を診察室に通す。
男性は額からたまのような汗を浮かべている。スーツを着込んだその男性は額の汗を拭い、名刺を取り出す。
「私、ソニーミュージックの欅坂46を担当マネージャーの……」
「ああ、欅坂……」
私は眼光の鋭い陰の帯びた少女を思い浮かべる。するとあの患者は。
「平手は無事でしょうか。」
「過労と貧血が重なったものと思います。ですが、一応検査入院されることをお勧めします。」
「そうですか。」マネージャーは困惑の表情を浮かべた。
「なにか?」私はマネージャーの顔を見る。
「いや、あの、あ、て、テレ、テレビの仕事が明日入っていて、困ったな……」マネージャーは吃りながら頭をかく。まるであの探偵みたいや。
「まずは本人の体調を最優先にお願いします。もしかしたら重大な病気の可能性もゼロではないので。」私はマネージャーに釘をさした。
「あっ、あ、了解です。」
マネージャーは頭を下げ、診察室をあとにする。
「重大な病気は言いすぎたかな」
暖かな照明が幾つもある一般病棟の廊下を歩きながら思う。今朝下ろしたばかりのヒールのせいで踵が痛い。あとで絆創膏をはらなくては。
しかし、ああして釘をさしておかないと本人を無理やり仕事へ引っ張り出しかねない。土地柄か、よくこうした芸能人も運ばれてくる。
「……だから、そんな、いくちゃんが好きだ」
僕はいくちゃんの顔も見ずに抱きしめた。いつものシャンプーの香りと柔軟剤の香りがする。
「苦しい……」
いくちゃんをきつく抱き締めすぎた。
緩める。
いくちゃんの手が僕の背中に来る。
どれくらいこうしていただろう?
いくちゃんを離れる。
そして僕はいくちゃんの顔をみる。
いくちゃんはどこか恥ずかしそうな顔をしていた。
「好きって漸く言ってくれたから。やっぱり好きって言われるのは君がいい。」
あの日みたいにまた僕らは手を繋いだ。
「ただいまー。」
と言っても家には誰もいない。
母は男を作って家を出た。
男の影が絶えない人だった。
父は地方へ単身赴任。
姉は父と入れ替わりに大阪の大学を出て戻ってきた。
いま家事は殆ど姉がやっている。
しかし、そんな、姉は市内の病院で働いている。外科医だ。僕はからすればおよそ危なっかしい医者だがそれなりにうまくやっているらしい。
Hidamariとゆがんだ時計は繋がっています。ゆがんだ時計は姉のお話。そしてその話はナースのお仕事要素が……どうも松村さんが関わるとコメディ色がつよめに。ちなみにゆがんだ時計は映画らせんの主題歌です。
妄想のしすぎでいよいよ書いたのがパラレルワールドと現実がごっちゃになりはじめた。
着々と伏線を広げながらの更新乙です
期待が深まりますね♪
長沢先生が内科医なのにオペに入っているのも何かの伏線なのかと気になったりして
>>342
このまま突き進めば妄想の向こう側が見えるかも!? 次スレが勃ってるんですけど誰か保守がてら1日に1話ぐらいのペースでなんか書いたらどうでしょうか?
居酒屋のなかで
駅から徒歩十分の古い居酒屋に
私が訪れたのは午後六時過ぎだった。
その日は定期的な仲の良い古本屋仲間
の集まりで努努、
掘り出し物を持ち寄って
そのエピソードを話し面白かったものが優勝といういつもの大会をやった。
いくつか話した後、最後にTさんがこんな話をした。
Tさんの回想
山村暮鳥の風景っていう詩があるでしょ。
純銀もざいくの。ほら、いちめんのなのはな。思い出しましたか。
うん、そう。教科書とかに乗ってたでしょう。この本ね。聖三陵玻璃って言う本。
これを入手したのは私が五歳か六歳なんだけど。いやいや。
さすがにそのころは古本屋なんか出入りしませんよ。これはね叔母の本です。
叔母は母の妹なんですがね。
名前はたしか、なんだったかな。
長沢菜々香といったかな
私の家から車で30分くらい
のところに住んでまして。
叔母は結核を患っていて。もともとは私の家に住んでたんですが、
伝染ると行けないっていうんで、
古い家を父が借りてそこに叔母を移したんですよ。
でも、父は客商売、地元の百貨店に務めてまして、伝染るのは嫌だと言って
寄り付かない。私も伝染りたくはないし、どだい、子供だからそもそも
叔母に会うのを禁じられてましてね。結局、母が叔母の世話係になったんですよ。
ほぼ毎日のように叔母のとこへ行ってね。大変だったと思いますよ。
ある時ね。
私も連れられて叔母の所へ行ったことがあるんですよ。叔母に会うのを禁じたのは他ならぬ母なのに。おかしいなと。口にはしませんが。
家に着きまして、
生垣の外で待たされて、母が「合図を出したら学校で習ったあの詩を諳んじろ」というんですね。そう。その詩がこの風景。
三十分くらいかな。二人の声を生垣の越しに聞いてたら不意に合図が聞こえて、手拍子かな。その詩を諳んじて。
そのあと母の声と、叔母のか細い声が聞こえてね。なんだか安心したもんです。
その日以降私は叔母の家に
行くようになりました。
でも毎回話すのは生垣の外。当たり前ですよ。伝染るのは怖いもの。
いつだったかな。不意になーこさんが。え?ああ、私は叔母さんと読んだんですが本人が名前で呼べと言うんで。
菜々香というのを子供だから舌っ足らずでなーこになったんです。
そう。こちらにこいと言って。
その時に手渡されたのがこれだったんです。
この本の中にもね。風景が収録されてまして。叔母はそこを開いて読めというんです。
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな……
止まらなくなってね。頭がぼんやりしてずっといちめんのなのはながその本の中に続くような気がするんです。
叔母が止めなかったらたぶんずっとその箇所を読み続けてたと思います。 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
叔母の回想
私が子どもの頃。そこには森があった。木々が生い茂り真昼でもくらい。
ある日私は女友達の梨加と
近所の中村くんとその森へ探検をした。
歩き進めるとおんなじ景色ばかり
だからそのうち飽きて戻ろうとした。
すると私たちがどこからきたのか分からなくなってしまった。
進んでも戻っても森ばかり。困りました。木々は幽かに赤い光を受けて輝く。黄昏です。
するといままで物静かだった中村くんが出口はあそこだと。まったく見当違いのところをまっすぐ指さして言うんです。
「絶対違う」
私たちは言いました。しかし、かといって行く道もない。一か八かで中村くんに着いて言った。すると、そう、あの入口が見えた。私たちは涙して、互いを見た。
梨加ちゃんは木々の花粉で身体中が真っ黄色。さらにその体を夕日が照らし出してなおのこと。
だから梨加ちゃんに私は
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな て。
Tさんの回想
叔母はいちめんのなのはなと延々繰り返しながら薄気味悪い笑を浮かべました。
いま、思えば結核菌が脳に回ったんでしょうね。
私は怖くてその場を立ち去りました。
そのあと叔母は死にました。手首を剃刀で切って。叔母の白い着物と肌は赤い鮮血に濡れていたと母が言いました。
母は叔母の持ち物を全て焼きました。
「気味が悪い」と。
居酒屋のなかで
Tさんはそう言って周りを見た。
「で、この本は?」
仲間のKさんが訊く。
「その話には後が有って……」
Tさんはまた語り始めた。
Tさんの回想
私は最初あの本も焼いたものかと思った。だけど何年もたって私が成人してから母が亡くなって母の遺品を整理したんです。
箪笥のなかから、押し入れの中から。
そしたら古い行李が出てきて。
なかにはアルバムがあってそれをめくって、さらにその行李を探したらあったんです。聖三陵玻璃。
だけど表紙も背も焼けてて。何度が母が日干しをしたらしい。
んで、それがこの本。
居酒屋のなかで
Tさんはテーブルにその本を置いた。
しばらくしてからKさんが苦い顔で言った。
「たしかにあの詩はいちめんのなのはなが多い。私も高校の教師であの詩をなんども取り上げるが見間違えて、一回多く言うのはあってもそれが止まらないのはおかしい。叔母は病気だからわかるが、あなたが止まらないのは創作だ。」
TさんはKさんを睨みつけた。
私は二人を諌めて言った。
「じゃあ、Kさんがこの風景をここで朗読すればいい。」
二人は頷く。
Kさんはテーブルにあった本を取り上げ風景の乗ったページを開き朗読し始めた。
高校教師をやっていただけありその声とトーンには確かなものがあった。
そして最後のあの箇所が来た。
すると途端に声が小さくなり、目は虚ろに額には汗をかき、ゆらゆらとした声になった。
Tさんは俯きながら薄笑いを浮かべた。私はそれが堪らなく気持ち悪かった。
Kさんは壊れたテープのように延々繰り返す。
いち めんのなのはな
いちめん のなのはな
いちめんのなのはな
いちめんの なのはな……
なーこが全く登場しなかったw
元は出久根達郎さんの古本夜話から。
himawari(1-12) の千葉県さん
個人的なことですが欅坂では理佐推しだけど
乃木坂ではいくちゃんが一推しなので超嬉しいです
ありがとうございます!!
今度はいくちゃんの是非エロいのお願いします
あ‥それはさすがに無理かww
「なにか買ってこなきゃなんもねーじゃん。」
冷蔵庫を見る。ため息をついて玄関口へ。すると、いくちゃんからLINEが。
「やっほー。よかったら家で晩御飯食べない?」
奇妙なスフィンクスらしきキャラクターのスタンプが付いているのは照れ隠しだろうか?
「ありがたいー、いまから行くよ」
と送った。
生田家に行くのは初めてではない。
だから、家が広いのも三階建てのも驚かないしそのことに緊張するはずもない。
だけど、今日の僕は何故か緊張していた。
黒い重厚な(海外小説に出てくるお金持ちの家みたいな)扉の横にぽつりの設置されたチャイムを押すと扉があいて、部屋着姿のいくちゃんが出てきた。
顔を見合わすと何故か恥ずかしい。
僕は小さな声でお邪魔しますと言って入った。
入るとビーフシチューの良い香りがした。
何かを刻む音と暖房のシンクロ。
白い壁の暖かなリビングに入ると見通しのいい奥の台所からいくちゃんのお母さんが
「いらっしゃい」と言う。
「ここ、座って」
いくちゃんはダイニングテーブルの一角を指さす。
僕はそこに座る。その隣にいくちゃんが座る。
春の陽だまりみたいに暖かい部屋の中で僕たちは一体何を話しただろう?
気がつけば目の前にビーフシチューが置かれていた。
いただきます。いくちゃんとふたり、声が揃う。
>>356
イメージどおりの豪邸に無防備な部屋着姿のいくちゃん乙です
ビーフシチューおいしそう いくちゃんも 新スレのほうに保守ネタ書いてきました
あとはよろしくm(_ _)m
>>359
どうでもいいですけど、チワンさんのトリップ「Cnn」で始まっててカッコいいですね
>>360
長編でしたので、つい… じゃあこれはこっちに
【ななちゃんずの食事会】
店員「ではこちらのお部屋になります」
織田「うわ〜お座敷じゃん」
米谷「料亭みたいやね〜」
長沢「料亭に行ったことあるの?」
米谷「ないけど」
織田「何やねんそれ」
米谷「いや、イメージ的にファミレスに毛が生えたようなとこかと思ってたから」
長沢「毛が生えたファミレスって嫌だな」
米谷「そういう意味じゃねえよ」
織田「ロイヤルヘアーホスト」
米谷「意味がわかんねえよ」
長沢「まあとにかく、座ろうよ(笑)」
織田「いや〜、でも温野菜ってこういう部屋もあるんだね」
米谷「私は今日誘われるまで温野菜自体を知らなかったし」
長沢「ええぇ?ブ●ック企業として有名なのに?」
織田「そっちかい(笑)」
米谷「え…?本当にブ●ックなの?」
長沢「ニュースにもなったよ」
織田「まあ、店によって違うのかもしれないけどね」
長沢「じゃ、訊いてみようか(笑)」
米谷「そんなんできるわけないやん」
長沢「じゃあさ、オダナナが中国語で訊いてみてよ(笑)」
織田「意味わかんないよ」
米谷「でも確かにスリリングで楽しそう(笑)」
織田「よねみんまで悪ノリしてどうすんの。できるわけないやん(笑)」
長沢「あ〜もしかして、中国語本当はわかんないからでしょ」
米谷「じゃあ自撮りTVのあれは嘘っぱちってこと?ひどいなぁ(笑)」
織田「できるよ!ちゃんと大学に行って勉強してるんだから」
長沢「本当に行ってるの?(笑)」
織田「行ってるよ!けやかけの収録だって途中で抜けてるでしょ」
長沢「でも行き先が本当かわかんないし(笑)」
織田「本当だってば!収録が気が重いからわざとかぶるように受講の予定入れるのも大変…あっ(汗」
米谷「じゃあどうしてできないんよ?」
織田「TPOをわきまえてるからよ」
米谷「TPOって何だっけ?」
長沢「トーストとパスタとおにぎり」
米谷「主食ばっかかよ」
店員「あの…そろそろご注文のほうを…」
>>362
時事ネタ含め、筆が好調ですね
この3人は、みんな違ったスタイルでコ
ミュニケーション能力が高いですな
長沢くんも意外にレスポンス速いですからね 【ななちゃんずがやって来た!YO!YO!YO!・前編】
長沢「さ、いただきま〜す」
米谷「…」
織田「あれ?もしかして…」
米谷「…うわ〜…やっぱり無理無理無理」
長沢「え〜?大学での合コン三昧の生活が控えてるから、慣れるために頑張るって言ってたじゃん」
米谷「前半は言ってないよ!でも、しゃぶしゃぶだからこうやってみんなで箸つけるんでしょ…」ガクブル
織田「そんな震えることないでしょ(笑)」
長沢「じゃあさ、こうしようよ。鍋が半分に分かれてるから、こっちをよねみん専用にして、私たちがこっち」
織田「え〜?私だって両方のダシで食べたい〜」
長沢「よねみんと一緒にご飯する夢を叶えるためなんだからワガママ言うんじゃありません!」
米谷「なーこちゃんありがとう(泣)…優しい…」
織田「いやいや、この人はとにかく何とかして早く食べたいだけだから」
長沢「なぜわかった」
米谷「動機はともかく、そうやって一緒に食べられるなら嬉しいよ(笑)」
織田「じゃあ早速…」
米谷「ちょっと待った」
織田「今度は何よ?」
米谷「あんまり勢いよくしゃぶしゃぶされると、そっちのダシのしぶきがこっち側に飛んできて大惨事になるから」
長沢「大げさすぎない?」
織田「じゃ、どうするの?」
米谷「ダシにそーっとつけてそのまま動かさない。そしてそーっと上げて注意深く口に運んでそーっと食べる」
織田「全然美味しそうじゃないじゃん」
長沢「修行みたい」
米谷「じゃあやっぱり無理」
織田「ああ…どうすれば…」
【ななちゃんずがやって来た!YO!YO!YO!・後編】
長沢「わかったわよ…じゃあ、よねみんが鍋奉行やって私たちに配ってよ。そしたら鍋にはよねみんの箸しかつかないでしょ」
米谷「なるほど」
織田「結局早く食べられる方法しか考えてないやん」
長沢「死活問題なのよ」
米谷「じゃあ、しゃぶしゃ奉行いきまーす」
織田「だれがうまいこと言えと」
長沢「ねえ〜お肉まだあ〜?」
米谷「食べるの早すぎやろ!うちが食べる暇が全然無いんですけど」
長沢「でもよねみん、しゃぶしゃぶのやり方上手だよ」
米谷「ん〜…そう?じゃ、しょうがないか」
織田「よねみんにやられると何故かぶっとばしたくなるな」
長沢「ほら、手が止まってる」
織田「野菜も食べたいんだけど」
米谷「肉だけで手一杯だよ!白菜とかならそのまま食べてよ」
織田「しゃぶしゃぶ生野菜になっちゃうよ」
米谷「もう、どうすればええねん(泣)」
長沢「よし、最後の手段だ」
米谷「え?何するの?」
長沢「すいませ〜ん!鍋をもう1セットお願いしま〜す!」
織田「こういう時だけ声でかっ(笑)」
米谷「初めからそうしてよ」
長沢「いや、お金がもったいないかと思って」
米谷「お金を理由に人をこき使うのってひどくない?あ…なるほど!」
織田「何がなるほどなの?」
米谷「いや、さすがブ●ック企業のお店ならではの体験だなと思って」
3人「お後がよろしいようで〜」
―了―
>>365
今年の欅ちゃんも忙しいくてキツイ日々を送るんでしょうね >>366
確かにこんなの比べものにならないほどブ●ックなんでしょうなあ… >>367
本当、よく頑張ってますよね
ところで、ななちゃんずシリーズのタイトルは、あの悪名高き翻訳(個人の意見です)でおなじみのビートルズの楽曲ですかね? >>368
内容には全く関係ないですが、その曲(または映画)のタイトルから盗用です
なーこちゃんといえばYO!YO!ですし
ちなみにその邦題をつけたのはあの水野晴郎先生らしいですね >>369
実は去年のテレビ放送で初めて観たんですが、映画の方もそこそこ面白いですよね
MV的な要素を含みながらも、コメディな台詞回しでストーリーを展開させていて、
もしチワンさんが脚本を手掛けたらあんな感じになるんだろうなぁなんて思いますw
映画中の演技ではありますが、インタビュー映像よりも四人の素が出ていて、今のアイドルプロデュースにも参考になる部分は多く、
欅ちゃん関係者には是非参考していただきたい作品です >>370
私は録画して満足してしまってまだ見てないんです(笑)
私が仮に脚本書いたらむしろヘルプ!みたいなくだらないものになると思います
ていうか、実はヘルプ!はマジで私の人生を変えた映画でして
この映画をたまたまTVで見ることがなかったら、大阪府先生と洋楽クイズの応酬ができる私は居なかったはずです(笑) >>371
二作ともリンゴの演技が良いですよね(というか、他の三人が下手なのかもしれませんが)
ヘルプ!はちゃんと主人公感が出てますし
それより、『ヘルプ!』でなぜチワンさんの人生が変わったのか知りたいw
↓お気に入りのシーン。リンゴ以外は、科学者含め全員ふざけてますよねw
>>372
後ればせながらヘルプ!の映画をTVで見てビートルズを聴き始めたのが、洋楽を本格的にはまり始めたきっかけなんです
いまや自分がどれを買ってどれをまだ買えてないかが把握しきれないほどの枚数のCDに埋もれて生活しています(笑) >>373
珍しいですね、映画からハマったんすか
僕の家では、親父がビートルズとベンチャーズしか流してなかったせいで、その反骨心から中学の時は全く洋楽を聴かなかったんですよ
酔った時の親父はマジでウザくて、イントロクイズに始まり、レット・イット・ビーのシングルとアルバムのギターソロは〜とか、
挙句の果てにはモノラルとステレオの持論まで述べ始めてましたね
でも不思議なことに、大学受験真っ只中のある日、たまたまテレビでビートルズ特集やってて、観てる場合じゃなかったんですけど、
『If I Fell』が流れた瞬間になぜか涙が止まらなくなっちゃてですね
で、今でもビートルズを聞くと何だか安心します >>374
『恋におちたら』、いいですよね〜
唯一文句があるとしたら『恋をするなら』と邦題がややこしいんだよ〜っていう点(笑)
邦題といえば『ワーズオブラブ』と『愛のことば』が別の曲ってのも何とかならなかったのか(笑)
得意のスレチでしたm(_ _)m >>375
ちょっとサブカルが過ぎましたねw
でも気楽に雑談できるので、このスレも一応残しといたほうがいいのかな? まあでも意識して保守しとくのも案外大変だし
投稿の主力は新スレに移っているようですから
こちらはなすがままに〜レットイットビー〜でいいかも知れませんね(笑)
お後がよろしいようで〜