参院選に向けた討論番組で、改憲について安倍晋三首相と討論する枝野氏。
野党第一党として次期衆院選で政権交代を見据える立憲民主党。安倍政権の対韓外交による日韓関係の悪化をどう見るのか、枝野政権なら何をするのか。枝野幸男代表に聞いた。
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──日韓関係が過去最悪とも言われる局面を迎えています。安倍政権の対韓外交をどう見ていますか。
私は弁護士で国際法が専門なのですが、国際法の観点でいえば「元徴用工」問題も、「貿易管理」の問題も、日本に理がある話だと思っており、その点では、政府を支持しています。「日本に理がある」という国際法上の事実について、日本の政治の内側から疑問視すれば国益を損ねます。ただし、本来共同歩調を取るべき隣国と感情的な対立に陥っている点は、日韓双方に責任があると思っています。それはむしろ外交能力の問題ですから、安倍政権のトータルの外交を支持しているわけではありません。
──では、日本政府はどうすればよかったと考えていますか。
かつての、真の保守政党だったころの自民党であれば、「元徴用工」問題についての韓国大法院判決が出る前に必ず何らかの手当てをしていたでしょう。本来、政権に求められるのは、そういった水面下での調整です。こちらが正しいことを言えば、正しい行動で返ってくるとは限らない。外交とはそんな甘いものではないと思います。
──枝野政権に代わったら、状況は好転するのでしょうか。
ここで何か手を打ったら改善するといった簡単な問題ではありません。何しろ6年かけて、日本と韓国は関係を壊してきたのです。すぐにどうにかできるものではない。両国で世代が替わるまで無理ではないですか。
ただ、私なら、まずは水面下で韓国に「どうするの?」と投げかけます。「どうしたいの? 本当にこのままでいいの?」とね。こっちだけ一方的に努力しても解決しない。お互いの意思が必要ですから。安倍政権はそれをやっていない。
──安倍政権は早ければ来年にも憲法改正のための国民投票を実施したいと明言しています。どう向き合いますか。
憲法調査会での議論に乗るかどうかは自民党の出方次第です。強引に、例えばCM規制などの議論もなしにいきなり中身の話に入り、数の論理で押し切るのであれば、乗ることはできない。ボールは向こうにあるんです。何が何でも乗らないとは最初から言っていません。
(編集部・中原一歩、上栗隆)
※ AERA 2019年8月12−19日号合併増大号より抜粋
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