所得格差の拡大 米中で強まる不公平感…渡辺博史 国際通貨研究所理事長
2021/03/28
所得不均衡は、これまでも繰り返し、様々な観点から問題提起されてきた。
所得格差を示す最も有名な指数が「ジニ係数」である。1人の王様が所得を独占し、他の人は全員所得がゼロなら係数は1になる。
一方、全員が同額の所得を得ていれば係数は0だ。つまり、1に向かって係数が上がるほど、所得格差が大きいことを示す。
ジニ係数はここ20年、ほとんどの国で上昇した。日本でもやや上がったが、世界の2大「経済大国」の米中は顕著に上昇した。
今世紀の初頭、欧州や日本、東南アジアのジニ係数が0・25から0・35だった時代に、米中では既に0・4を超えていた。
社会的システムでは、スペクトラム(分布)の両端にあると思われた米中が、所得格差で同じ傾向を見せたのは意外だった。
中国では所得格差がどんどん広がり、国是とする「共産主義」から連想される所得平等とはほど遠い。ジニ係数の公表も、しばらくの間、中断した。
2012年に収賄や横領の疑いで失脚した薄煕来・元政治局員の事件も、開放政策による市場経済への傾斜に、彼が異を唱えたことが一因とされる。
その際、中国のジニ係数の悪化も、行き過ぎた市場経済化に反対する論拠とされた。彼が治めた地方の大学は、「中国のジニ係数は0・5を超えた」と発表している。
米国では、アメリカン・ドリームを思い描く国民にとって成功の果実は甘く、より豊かな者へのあこがれも強い。
所得格差を容認するというより、善きものとして認識されてきた。
しかし、格差が著しく開く一方、社会の階層の固定化が進んだ。
アメリカン・ドリームが本当の夢物語になり、民主党支持者のみならず、より平等な所得分配を求めるグループが勢いを増している。
「共産主義」と同じレベルで禁句扱いされた「社会民主主義」が市民権を得てきた。
以下
https://www.afpbb.com/articles/-/3339158
2021/03/28
所得不均衡は、これまでも繰り返し、様々な観点から問題提起されてきた。
所得格差を示す最も有名な指数が「ジニ係数」である。1人の王様が所得を独占し、他の人は全員所得がゼロなら係数は1になる。
一方、全員が同額の所得を得ていれば係数は0だ。つまり、1に向かって係数が上がるほど、所得格差が大きいことを示す。
ジニ係数はここ20年、ほとんどの国で上昇した。日本でもやや上がったが、世界の2大「経済大国」の米中は顕著に上昇した。
今世紀の初頭、欧州や日本、東南アジアのジニ係数が0・25から0・35だった時代に、米中では既に0・4を超えていた。
社会的システムでは、スペクトラム(分布)の両端にあると思われた米中が、所得格差で同じ傾向を見せたのは意外だった。
中国では所得格差がどんどん広がり、国是とする「共産主義」から連想される所得平等とはほど遠い。ジニ係数の公表も、しばらくの間、中断した。
2012年に収賄や横領の疑いで失脚した薄煕来・元政治局員の事件も、開放政策による市場経済への傾斜に、彼が異を唱えたことが一因とされる。
その際、中国のジニ係数の悪化も、行き過ぎた市場経済化に反対する論拠とされた。彼が治めた地方の大学は、「中国のジニ係数は0・5を超えた」と発表している。
米国では、アメリカン・ドリームを思い描く国民にとって成功の果実は甘く、より豊かな者へのあこがれも強い。
所得格差を容認するというより、善きものとして認識されてきた。
しかし、格差が著しく開く一方、社会の階層の固定化が進んだ。
アメリカン・ドリームが本当の夢物語になり、民主党支持者のみならず、より平等な所得分配を求めるグループが勢いを増している。
「共産主義」と同じレベルで禁句扱いされた「社会民主主義」が市民権を得てきた。
以下
https://www.afpbb.com/articles/-/3339158