台風15号への対応をめぐり、自衛隊への災害派遣要請が遅かったのでは?という指摘が相次いでいる。静岡県と静岡市の初動対応は適切だったのか。
9月23日夜から静岡県内に大きな被害をもたらした台風15号による記録的豪雨。静岡県は翌朝、災害対策本部会議を開き、被害の把握と今後の対応を協議した。ところが…。
(静岡県・川勝知事)
「自衛隊に派遣要請をして了解を得ました」
静岡県が自衛隊への災害派遣を要請したのは週明けの26日(月)だった。
(静岡県・川勝知事)
記者)災害の派遣要請が遅かったのではないか?
「残念ですね。災害派遣要請をする用意がありながら市・町からあがってこなかったので、じりじり待っていたというのが現実です」
これに対し静岡市の田辺市長は…
(静岡市・田辺市長)
「何を支援要請をするのかという具体的な中身を固めなければいけなかったので、総合的に協議をして取水口の復旧支援、孤立集落の解消、これを2つの柱として県に対して要請することになった次第です」
静岡市は24日(土)に被害の全容を把握し、25日(日)に断水の原因となっている興津川の取水口を視察した結果、「自衛隊への災害派遣を要請する判断をした」と説明している。
静岡県と静岡市、大雨災害に対する”危機管理の甘さ”はなかったのか?
【嶋田 麗子 弁護士 解説・災害派遣要請とは?】
自衛隊への災害派遣要請は法律的にはどのようなかたちで行われるのか?災害派遣については「自衛隊法第83条」に規定されている。それによると、都道府県知事等は災害に際して、部隊等の派遣を要請することができるとしている。つまり、派遣要請は今回の場合、川勝知事が行うことになる。
また、災害対策基本法68条の2には、市町村長は災害が発生し、応急対策を実施する必要があると認めるときは、都道府県知事に対し災害派遣の要請を求めることができるとある。
今回の場合、静岡市の田辺市長が要請し、それを受けた川勝知事が自衛隊の災害派遣を要請する流れになるわけだが、仮に静岡市から要請がなくても川勝知事単独の判断で要請を出すことは法律上、できるわけ。