「夏休み」と揶揄されて
テレ朝内は大混乱に
テレビ朝日は、『羽鳥慎一モーニングショー』で安倍晋三元首相の国葬に関して事実に基づかない発言を行ったとして、自社コメンテーターの玉川徹氏(59)を処分した。菅義偉前首相が読み上げた追悼の辞について、玉川氏は電通の関与に言及していた。
のちに本人が謝罪したように、「電通演出説」は大嘘だったわけだが、それ以外の誰かがサポートをした可能性はあるのか?
玉川氏は9月28日の同番組の中で、菅前首相による追悼の辞について、「当然、これは電通が入っていますからね」などと発言していた。翌29日の番組で「事実ではありませんでした」と謝罪したものの世間の批判はかなり大きく、テレ朝は「出勤停止10日」の懲戒処分を下した。
と同時に、報道局の情報番組センター長と番組担当のチーフプロデューサーにもけん責の懲戒処分が下されたのだが、それでも一向に玉川氏をかばう声は聞こえてこず、「ちょっとした秋(夏)休みですね」などと揶揄する言葉も飛び交っていた。
テレ朝全体が上を下への騒ぎに巻き込まれた格好なのだが、当の玉川氏は19日にも番組に復帰する見込みだという。ところで俎上にあがった「菅前首相による追悼の辞」をサポートした人はいたのだろうか?
評判の良かった菅氏の弔辞
「時に涙で声を震わせながら読み上げた菅さんの弔辞についての評判は、かなり良かったですね。岸田首相の言葉が無味乾燥だっただけに、より一層際立った印象を受けました」
と、自民党のある閣僚経験者。
国民からは支持よりも不支持の方が多かった国葬開催の中にあって、関係者がホッと一息、胸をなでおろすことができた瞬間だったのかもしれない。
菅氏自身、29日放送の『ABEMA NEWSチャンネル』で経緯について「提案があったので大変だと(思った)。一生懸命資料集めから(タッチした)。一気にではなく、まず全体像を(作り上げた)。私自身が今まで発言したものを集めていき、(完成までは)意外に早かった」などと語っている。
「首相の施政方針演説はもちろん、政治家のスピーチにライターが存在するのが普通です。霞が関の中堅若手ホープが下書きをして幹部が手直ししたものを読み上げるスタイルから、ライターが書いたベースに政治家自身がガンガン朱を入れて修正するものまでさまざまです。今回も関与の度合いは不明ですが、何らかのサポートをした人たちがいるようですね」(同)
電通が関与する余地がない理由
そもそも政治家や経営者のスピーチをチームで作成するのは常識で、ケチをつけられるようなものではない。むしろ、心を揺さぶるスピーチを作れるチームを持っているとすれば、誇るべきだとすらいえるかもしれない。
そんなわけで目下、あれほど感動を呼ぶスピーチを“演出”した人はいるのか、いたとして誰か、ということが永田町周辺では話題になっているのだという。