【都内某小学校】
こころ(体育は、別に苦手というわけではないですけど…)
凛ママ「顔を狙っちゃダメよー?」
「はーい!」
こころ(ドッジボール…人を狙ってボールをぶつけるなんて野蛮です。…ここあは、こういうの好きみたいですけど)
凛ママ「矢澤さん、前見て」
こころ「え?…きゃ」
凛ママ「おっと…」パシッ
こころ「…あ」
「せんせー、すごーい!」
「ずるーい!」
凛ママ「ふふふ。さーて、誰にぶつけちゃおっかなー?」
「わー!」キャッキャ
こころ(星空先生…)ドキドキ
【矢澤家】
にこ「星空先生?…こころの担任なの?」
こころ「ええ。お母さまより少し年下の…」
にこ「いや、知ってるけど。…ふーん。あの先生まだいたの」
こころ「お姉さまが小学生のときからいらっしゃるんですか?星空先生」
にこ「そーね。わりと美人で、人気もある先生だったけど」
こころ「優しくて素敵な先生ですよね♪スポーツも得意みたいですし…」
にこ「まあ、いい先生でよかったわね」
こころ「はい♪」
【翌日】
凛ママ「誰か、いらない?お魚は栄養あるのよー?」
こころ(欠席の人の分、余った給食があるみたいです)
凛ママ「じゃあ先生が食べちゃうよー?」
こころ「先生」ガタ
凛ママ「矢澤さん。食べる?」
こころ「私と勝負してください!」
凛ママ「えっ」
こころ「勝った方が食べるということで…公平に決めましょう?」
凛ママ「う、うん。じゃあそうしようか(別に、食べたい子がいるなら私はいいんだけど…)」
ザワザワ
こころ「あっち向いてホイ!」
こころ(前から思ってたんですけど…ホイって何なんでしょう?)
凛ママ「矢澤さんの勝ちね。じゃあ、どうぞ♪」
こころ「待ってください。半分こ、しませんか?」
凛ママ「え?…でも」
こころ「食べきれなくて残したら、もったいないですし…」
凛ママ「そっか。…じゃあ、勝った矢澤さんが好きな方選んでいいよ♪」
こころ(星空先生と半分こ…いつもより美味しく感じます♪)モグモグ
【翌朝・矢澤家】
こころ「ふふふふん♪ふふふふふん♪」
こころ「…うーん」
にこ「こころ?…どうしたの?難しい顔して…」
ここあ「むすべないのー?…ここあ、やってあげる♪」
こころ「自分でできます。…ただ、いつも同じ色というのもどうかと思いまして」
にこ「いいんじゃない?…こころに似合ってるわよ。黄色」ナデナデ
ここあ「ここあはー?にあう?いろっぽい?」
にこ「(意味わかってるのかしら…)似合うわよ。可愛い可愛い」ナデナデ
ここあ「えへー♪」
【小学校】
凛ママ「え?…私の好きな色?」
こころ「はい。先生は何色が一番好きですか?」
凛ママ「んー。一番は、やっぱり黄色かなぁ♪」
こころ「黄色…本当ですか!?」
凛ママ「うん。春っぽくて元気な感じがするし…まあ春じゃなくても好きだけどね。昔から」
こころ(よかった…先生の一番好きな色なら、変えなくてもいいですね♪)
キーンコーンカーン…
こころ「しかし、あのすずめは、ちっともパンを食べようとしません」
凛ママ「はい、ありがとう矢澤さん。じゃあ続きは…」
こころ(授業で目立つのは難しいですね…でも失敗しないように、いつも上手くこなしていれば…)
【グラウンド】
こころ(星空先生…やっぱり体育のときは特に素敵です♪)ポー
こころ「あっ><」コケッ
こころ「いたた…(私としたことが…よそ見して転ぶなんて)」
凛ママ「矢澤さん!…大丈夫?」
こころ「は、はい…(大失敗です…先生の前で、こんな…)」シュン
凛ママ「ケガしてるね…よし、保健室へ行くにゃ!」ギュ
こころ「え?…きゃ!?」
「せんせー!どこいくのー?」
凛ママ「すぐ戻るから、それまで自習!」タタッ
「じしゅーってなに?」
「十周じゃない?」
「そんなに走るのー?」
こころ「ちょっ…先生!自分で歩けます><」
凛ママ「このほうが早いでしょ?傷の治療は早いほうがいいから」
こころ(抱っこなんて…恥ずかしい…けど///)ドキドキ
ジャー
凛ママ「ちょっとしみるけど我慢してね」
こころ「…っ><」
凛ママ「よし、次は保健室!」ダッ
こころ「先生…ごめんなさい」
凛ママ「え?…どうして謝るの?」
こころ「私のせいで…授業の邪魔をしてしまって」
凛ママ「そんなことないわよ。矢澤さん、いつも真面目に頑張ってるじゃない♪」
こころ(いつも…気にかけてくださっていたのかしら?)
凛ママ「矢澤さんは頑張り屋さんで、とっても素敵よ♪」ナデナデ
こころ「///…星空先生のほうが…」
凛ママ「え?…なに?矢澤さん」
こころ「私…星空先生のクラスでよかったです///」ギュ
凛ママ「そ、そう?ありがと♪…エヘヘ」
【再び教室】
凛ママ「おやつは税込300円まで!消費税もあわせて、全部で300円までだからねー?」
「はーい!」
こころ(こういうときは…買ってきたお菓子より、手作りのほうがいいですね)
こころ(でも…全部お母さまとお姉さまに頼ってしまっていいのかしら?)
【矢澤家】
にこ「遠足か…じゃあ早起きしてお弁当作らなくちゃね」
こころ「あの…お姉さま」
にこ「ん、なあに?」
こころ「私、自分でお料理をしてみたいんですけど…」
にこ「え?…でも、お弁当って結構大変よ?私に任せなさいって」
こころ「じゃ、じゃあ…おやつだけでも」
にこ「おやつ?」
こころ(まずは、よくかき混ぜて…)シュラシュラ
こころ(生地がまとまったら、薄くのばして…)コロコロ
にこ「ほら、これで型抜きすれば失敗しないわよ」
こころ(…ハートの型は、星空先生専用にしましょう)
にこ「そういえば…星とハートって」
こころ「え?」
にこ「こころって、心でしょ。つまりハート」
こころ「!(ハートが私で、星は…星空先生!?)」
にこ「まあ、ほかにもいろいろあるけどね。動物とか魚とか…」
こころ(私のハートを、星空先生に…///)ドキドキ
【翌朝】
こころ(今日は、いつも以上にオシャレを…こういうところで差をつけなくては)
にこ「こころ。今日は遠足でしょ?」
こころ「ええ。ですから…」
にこ「動きやすい服装で行ったほうがいいわよ。また転んでも困るでしょ?」
ここあ「ここあみたいなふくー?」
こころ「そ、それは…でも」
にこ「服以外でもオシャレはできるわよ。私に任せなさい♪」
【小学校】
こころ「星空先生。おは──」
凛ママ「ご、ごめんね花陽ちゃん。わざわざありがと♪」
花陽「ううん。お弁当は大事だから、忘れたら大変だし…」
こころ(だ、誰!?…メガネをかけた女の子が、星空先生と仲良く…)
花陽「じゃあ、私はもう行くね」
凛ママ「うん。ホントにありがと!行ってらっしゃい…と、行ってきます♪」
花陽「ふふふ。行ってらっしゃい♪」
こころ(メガネ…星空先生は知的な女性が好みなのかしら?)
凛ママ「あ、矢澤さん。おはよう♪」
こころ「おはようございます…」
『花陽ちゃん』
『矢澤さん』
こころ「星空先生!」
凛ママ「えっ。…な、なに?」
こころ「私のことは名前で呼んでくださらないのですか!?」
凛ママ「あ、アハハ…見てたの?」
こころ(お弁当を忘れてくるなんて、星空先生も意外と…まあ、可愛いですけど♪)
こころ「さっきの人は…」
凛ママ「花陽ちゃん。昔からご近所で…まあ、家族みたいなものかな?」
こころ「そうなんですか…そ、それより」
凛ママ「あ、うん。えっと…こころちゃん?」
こころ「はい♪」
凛ママ「みんな揃ってるにゃ。じゃあ、順番に──」
こころ(いつもとは全然違うのに…先生は気づいてないみたい)ガクッ
凛ママ「あ。そういえば…こころちゃん」
こころ「は、はい?」
凛ママ「髪、今日は二つ結びなんだね♪」
こころ「え、ええ。…変じゃないですか?」
凛ママ「いつもの髪形も似合うけど、今日のも可愛いにゃ♪」
こころ(変えたときこそ、いつもの私を見てくれていることがわかる…お姉さまの言う通りですね♪)
凛ママ「はーい。みんな、注目!…この木は何の木か、わかるかなー?」
こころ「桜の木ですね」
「さくら?」
「さくらの木ー!」
凛ママ「そう、桜!まだ花が咲いてるね。千代田区の花といえば、桜だけど…」
凛ママ「千代田区の木は、桜じゃないんだよね。知ってる人いるかなー?」
「さくらじゃないのー?」
「花と木ってちがうの?」
凛ママ「千代田区の木は…これです♪」
こころ「松ですね」
凛ママ「はい、こころちゃん正解♪…千代田区の花は桜で、千代田区の木は松です。みんな覚えてね♪」
「はーい!」
こころ「…でも、どうして別々なんでしょう?桜も木なのですから、一緒でも良かったのでは…?」
凛ママ「きっと、決めたときに桜が好きな人と松が好きな人がいたんじゃないかな?…どっちも選べたほうがいいでしょ?」
こころ「なるほど…欲張ったんですね」
凛ママ「そうね。ごはんとおやつみたいな…ふふふ」
凛ママ「じゃあ、せっかく桜も咲いてるし…ここでお花見しながらお弁当にしましょう♪」
『ふふふ。行ってらっしゃい♪』
こころ(星空先生のお弁当は、メガネのお姉さんが届けに来たけど…もしかして、あの人が作った…?)ジーッ
凛ママ「ん?…な、なに?こころちゃん」
こころ「星空先生って、お料理はできるんですか?」
凛ママ「え。…できないように見える?」
こころ「そ、そんなことないですけど。じゃあ、今日のお弁当は…」
凛ママ「もちろん私が作ったのよ。うっかり家に忘れてきちゃったけど…」
こころ(メガネさんに作ってもらったわけじゃないみたいですね)ホッ
凛ママ「ほら、このチキンロールなんてうまくできたと思うんだけど」
こころ「彩りがキレイですね。お野菜がいろいろ入ってて…」
凛ママ「味だって美味しいわよ。食べてみてよ♪」
こころ「え。…よろしいんですか?」
凛ママ「これ食べたら、私がお料理できるってわかってくれるはずよ♪」
こころ「じゃ、じゃあ…いただきます♪」
凛ママ(私の普段のお昼はみんなと同じ給食だけど、いつも凛のお弁当作ってるんだから♪)
こころ(星空先生の手料理…♪)モグモグ
凛ママ「お味はどうかにゃ?」
こころ「とっても美味しいです♪」
凛ママ「えへへ。やったね♪」
こころ(美人で、優しくて、スポーツが得意で、お料理も上手!…将来結婚するなら星空先生のような…というより、星空先生がいいです)ドキドキ
こころ&凛ママ「ごちそうさまでした♪」
こころ(もちろん、お姉さまに作っていただいた私のお弁当も美味しかったですけど…)
こころ「あ、あのっ…星空先生?」
凛ママ「ん、なあに?こころちゃん」
こころ「先生は甘い物はお好きですか?」
凛ママ「うん。甘い物もだいたい何でも好きよ」
こころ「じゃあ…よかったら、これ…どうぞ!」
凛ママ「お菓子?」
こころ「はい。私が作った物でよろしければ…」
凛ママ「へえ、こころちゃんの手作り!?…どれどれ」
こころ「…」ドキドキ
凛ママ「わ。かわいいクッキーね♪…私が食べちゃっていいの?」
こころ「味見もしましたから、大丈夫です!」
凛ママ「ふふふ。じゃあ一つ貰うにゃ。いただきます♪」パク
凛ママ「…」サクサク
こころ「いかがですか…?」
凛ママ「おいしい♪やさしい甘さで…こころちゃんみたいなクッキーね。見た目も可愛いし♪」
こころ「そ、そんな///」
【神田明神】
凛ママ「ここは神田の明神さまです♪…何をする場所か、みんな知ってるー?」
「おまいり!」
「じんじゃ!」
「はつもーで!」
「うまがいるところ!」
こころ(縁結び、とか…)ドキドキ
凛ママ「ふふふ。じゃあ、みんなが元気で過ごせるように明神さまにお願いしましょう♪」
「はーい!」
こころ(星空先生のお嫁さんになりたいです///)
【矢澤家】
にこ「おかえり。どうだった?遠足」
こころ「バッチリでした♪」
にこ「そ」
ここあ「なにがー?」
【星空家】
凛ママ「可愛いクッキーくれたの。手作りですって♪」
凛「へー。それで、クッキーは?」
凛ママ「え?…いや、もうないわよ」
凛「なーんだ…」
凛ママ「ほら、この子がこころちゃん。可愛いでしょー?」
凛(遠足の写真かぁ…小学校とか、ちょっと懐かしいにゃ)
【翌朝】
こころ(これをかければ、私も…)カチャ
こころ「!?(視界が暗くなって…お、お姉さまはこんな物をかけて外出なさっていたの…?)」
にこ「こころー?支度できた?」
こころ「は、はいっ」フラフラ
ドン
こころ「きゃ」
にこ「おっと…大丈夫?」ギュ
にこ「…って、それ私のサングラス…なんでそんなのかけてんのよ?」
こころ「こ、これは…その、何と言いますか…」モジモジ
にこ「こころがそんなイタズラするなんて珍しいわね。ここあならともかく…」
ここあ「ここあ、いたずらしてないよー?」
こころ「…メガネをかければ、私も賢く見えるかなって…だから」
にこ「メガネ?…いや、そんなのなくても、こころは充分賢いわよ。大事なのは見た目より中身でしょ?」
こころ「そう…ですよね」
にこ「そーよ。今日も頑張りましょ♪」ナデナデ
こころ「はい♪」
【小学校】
凛ママ「みんな、金魚すくいってやったことあるかな?」
「あるー!」
「いっぱいとれた!」
「ぜんぜんとれない!」
凛ママ「ふふふ。先生も好きだけど、あんまり上手じゃなくって…」
こころ(星空先生は金魚すくいが上手じゃない…と。先生のことは何でも知りたいです♪)
凛ママ「ここにいる金魚は、先生のお友達が──」
こころ(星空先生の、お友達…あのメガネのお姉さん、とか?)
『お弁当は大事だから、忘れたら大変だし…』
凛ママ「川や沼には、こういう魚がいます。鯉、フナ、なまず…」
凛ママ「そして、海にはこんな魚がいますね。水族館でも見られます」
「スーパーにもいるよ!」
「おすしやさん!」
凛ママ「そうね。…じゃあ、金魚はどっちの仲間か、わかるかな?」
『昔からご近所で…まあ、家族みたいなものかな?』
こころ(家族みたいなもの…ただのお友達じゃないってこと、ですよね)
凛ママ「じゃあ…矢澤さん」
こころ「…」
凛ママ「こころちゃん?」
こころ「えっ。…は、はい?」ガタ
こころ(星空先生のことで頭がいっぱいで…授業を聞いてませんでした)
「食べられないから!」
「ナマズは食べられるんだよー?」
「ナマズだからマズいよ!」
キーンコーンカーン…
こころ(…いけませんね。こんなことでは…星空先生を困らせないように、ちゃんとしなくちゃ)
凛ママ「…というわけで、出席番号順に回ります。忘れずにお家の人に見せてね!」
こころ(私は矢澤ですから、最後の方ですね…相川さんや青木さんとか、早い人がうらやましい)
【矢澤家】
にこ「ふーん。家庭訪問ねえ…」
ここあ「せんせいがくるのー?」
こころ(気合いを入れてお掃除しなくちゃ!それに身だしなみも…)
にこ(こころのお気に入りの星空先生か。私のこと覚えてるかしら?)
【数日後】
ピンポーン
こころ「キマシタワー!」
にこ「どこかで聞いたようなセリフね…」
にこママ「はーい」
凛ママ「お邪魔します♪」
こころ「こんにちは、星空先生。ようこそいらっしゃいませ♪」
ここあ「いらっしゃいませ♪ごちゅうもんはー?」
にこママ「ふふふ。うちはお店じゃないわよ」ナデナデ
凛ママ「これ、穂むらのおだんごです。よかったら…」
にこママ「まあ。すみません…いつもお世話になってるのに、お土産までいただいて」
凛ママ「いえいえ。三月まで凛がお世話になりましたし…そのお礼も込みです♪」
ここあ「りんってだれー?」
にこママ「星空先生の娘さんよ。にこの後輩ね」
こころ「む…すめ?」
凛ママ「ええ。うちの凛は今高校一年生なの」
こころ「」
凛ママ「こころちゃんは本当にしっかりしてて…私のほうがお世話になってるくらいですよ♪」
にこママ「ふふふ。ホントに?」
にこ「…何、まさか知らなかったの?」
こころ「うぅ…」シクシク
にこ(そういう意味で好きだったのね…子供のくせに)ヤレヤレ
凛ママ「よく似てるって言われるんですよー。凛が大きくなって、ますます似てきたって」
こころ(でも…星空先生の娘さんは、お姉さまより年下の十五歳)
こころ(星空先生によく似ていると…しかも十五歳なら結婚はしていないはず)
【六月】
にこ「は、はぁ?…凛に会いたい?」
こころ「はい!是非!」
おわり
記念日SSの人だったのか
こころメインとか珍しいな乙