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【四月】
穂乃果「小ねぎって何?」
海未「いきなりですね…確か、あまり大きくならないうちに収穫したネギ…じゃないですか?」
ことり「小ねぎと普通のねぎはもともと同じ物ってこと?」
海未「どうなんでしょう…専用の品種もあるのかもしれませんが…私も小ねぎを栽培しているわけではないので詳しくは知りません」
絵里「ねえ。ちょっといい?」
ことり「小ねぎと普通のねぎは同じ物なんですか?」
絵里「え?…ねぎ?…ごめんなさい。私にはわからないわ。希は知ってる?」
希「どうなんやろ…ウチは違うと思ってたけど。同じ品種かもって考えたことはなかったなぁ…」
穂乃果「先輩にもわからないってことは…野菜の専門家に聞くしかないのかなぁ?」
海未「でも実際に私たちが栽培するのでなければ、同じ品種かどうかはそこまで重要ではないと思いますが…」
希「そやね。買ってきて使い分けるんやったら実質別物やし。ウチは大きなネギより小ねぎのお世話になることが多いよ。おうどんさんの薬味とか、手軽にいろんな物に加えられて便利なん」
穂乃果「私も納豆や冷奴の薬味には小ねぎ派かなぁ。大きなネギってお鍋とやきとりくらいしか使わなくない?」
絵里「やきとり…」
ことり「え!?」
海未「中華料理には大きなネギを刻んで使うほうが多いですよ。ただやはり家庭の和食中心だと小ねぎのほうが重宝しますね」
希「小さいからいろんな切り方する余地がないけど、そのぶん楽なんだよね」
絵里「みんな、そんなにネギを食べてるの?」
ことのぞほのうみ「えっ」
ことり「生徒会長さんは食べないんですか?小ねぎ…」
絵里「だって、ネギはニオイがきついから使える料理が限られると思わない?…ニオイの自己主張は強いけど野菜としてのボリュームはそこまでないし。正直なくてもいいかなって」
希「な、なんてこと言うん。小ねぎがあるのとないのでは風味や彩りが全然違うやん?」
穂乃果「そうですよ。納豆や冷奴、うどんやそばに入れたりしないんですか?」
海未「そばには大きいネギのイメージがありますけど…」
絵里「い、いや…あくまで私の個人的な意見よ。あなたたちの使い方まで否定するつもりはないわ」
ことり「でも…このままじゃ廃校になっちゃうかも…」
絵里「いや、廃校の件と小ねぎは関係ないわよね?」
希「小ねぎと普通のねぎは似てるけど同じではないってことはわかるやろ?」
絵里「ええ。まあ…あなたたちが言ってるのを聞いてたし」
海未「では雑誌の廃刊と休刊ではどうでしょう?」
絵里「休刊と言っても再開しないなら廃刊と同じね」
穂乃果「入学希望者が定員に満たない場合は廃校、ってことは…」
ことり「入学希望者が増える見込みがなければそのまま廃校ってことだよね」
絵里「そ、それは…」
希「今の状況が小ねぎとすると、実は大きなねぎと同じ物やった場合が廃校回避の可能性なし。違う品種の場合は廃校にならない。こう置き換えることができるね」
海未「いずれ大きなネギ、つまり廃校になるかならないかということですね」
絵里「や、やめてよ。変なたとえ方しないで」
穂乃果「小ねぎのうちに収穫して食べちゃえば大きなネギにはならないってことでしょ?」
ことり「つまり私たちで廃校を阻止できれば…」
絵里「!」
希「問題は小ねぎでどうやって廃校を阻止するかってことやな」
絵里「い、いや小ねぎの話はあくまで喩え話でしょう?実際には関係ないし…」
海未「たとえば…学校の敷地全体を覆い尽くすほど大量の小ねぎが生えてきたと仮定します」
穂乃果「そんなことありえないけど…みんな小ねぎ食べ放題だね♪」
海未「ですが、その小ねぎは何度収穫しても次から次へと生えてきます。むしろ摘み取るたびにその倍くらい生えます」
ことり「学校が小ねぎのジャングルに呑み込まれる…!?」
海未「ええ。そうなれば授業どころではなくなり、たちまち廃校です」
絵里「それじゃ小ねぎは廃校回避に繋がるどころか逆効果じゃない…」
海未「そう、小ねぎは音ノ木坂を廃校に追い込むことが可能です。つまり、その逆もまた可能ということです」
絵里「えぇ!?」
希「なるほど…小ねぎもたくさんあればそれだけの影響力をもつってことやね」
海未「そういうことです。少なくとも現時点で、小ねぎで廃校を阻止することは絶対に不可能という証明はできないはず」
穂乃果「まあ…まだ何も試してないし、廃校になったわけでもないし」
海未「では早速、小ねぎを使って廃校を阻止する方法を考えましょう」
ことのぞほの「うん!」
絵里(なんだか騙されてる気がするわ…)
穂乃果「じゃあ…まずは、この像の周りに小ねぎを植えてみたらどうかな!?」
ことり「いいかも。この像だけじゃちょっと物足りない気がしてたんだ」
絵里「つまり、この像の周りを小ねぎ専用の菜園にするってこと?」
海未「いいですね。像を目印に小ねぎの収穫に来るというのはとてもわかりやすいですし…」
希「種を蒔いた直後で何も生えてなくても、どこに小ねぎ畑があるかすぐにわかるね」
穂乃果「まずは小ねぎの種を手に入れなくちゃ…お店に買いに行けばいいかなぁ?」
海未「待ってください。まずは身近な専門家に意見を求めるべきでは?」
ことり「専門家って…八百屋さん?」
絵里「身近っていうなら園芸部じゃない?」
希「先生に訊くっていうのもありやないかな」
穂乃果「あ…でも、ここに書いてあるよ。小ねぎはユリ科の植物なんだって」
希「百合か…」
絵里「ゆりか?」
ことり「ユリカ?…どこかで聞いたような…?」
花陽「な、なんですか?…私は小泉花陽ですけど…」
海未「園芸部の人ですか?」
花陽「い、いえ。…でも、花壇のお世話とかしてます…」
穂乃果「そうなんだ?お野菜は育てないの?」
花陽「は、はい。実は中学のとき園芸部で…お野菜も育ててましたよ。小ねぎは、やったことないですけど…」
ことり「大きなネギは作ってたの?」
花陽「い、いえ。ネギは作りません…私、動物も好きで…ネギは、だいたいどんな動物にも食べさせちゃダメなので…」
穂乃果「そっか。もしお野菜が食べきれなくて余っても、ネギだと動物にあげたりできないんだ…」
花陽「そうなんです…すみません。だからネギのことは、そこまで詳しくなくて…ただ」
絵里「中学の園芸部の顧問の先生だったら…」
海未「何か有力な情報を持っている可能性が高いでしょうね」
穂乃果「えーと、中学の園芸部は確か…矢澤先生の担当だったよね」
【中学校】
にこママ「絢瀬さんに高坂さん…なあに?二人とも妹さんに会いに来たの?」
穂乃果「いや、雪穂だったら家で毎日嫌でも会えるし…」
にこママ「そんなこと言って…本当は誰よりも雪穂ちゃんのことが気になるんでしょ?」
穂乃果「そ、それは…まあそうなんですけど///」
にこママ「ふふふ。亜里沙ちゃんも雪穂ちゃんも元気に頑張ってるわ。心配しないで」
絵里「そ、そうですか…それならいいんですけど」
希「って、ウチらは矢澤先生に会いに来たんですよ」
にこママ「あら。嬉しいこと言ってくれるじゃない。ありがと♪」ナデナデ
のぞぱな「…///」
海未「ただ会いに来たというより…」
ことり「先生に訊きたいことがあるんですけど」
にこママ「…なるほど。小ねぎ…それなら簡単よ♪」
穂乃果「えぇ…これって」
絵里「野菜くず?」
にこママ「ちゃんと根っこがあるでしょ?陽当たりが良ければ水につけておくだけで伸びてくるし、ある程度伸びたら畑に植えても大丈夫♪」
ことり「本当かなぁ…」
にこママ「私があなたたちに嘘を教えたことがあったかしら?」
海未「ないと思いますが…多分」
にこママ「あとは、あなたたちの頑張り次第よ♪」ナデナデ
穂乃果「が、頑張ります!」
【音ノ木坂・生徒会室】
希「ここなら陽当たりはバッチリやな」
絵里「こんなので本当に小ねぎが育つのかしら…?」
花陽「まあ、矢澤先生が言ってましたし…」
ことり「そうだね。あとは私たちの頑張り次第♪」
穂乃果「小ねぎさんも頑張って伸びてきてよ?ファイトだよっ!」
海未「でも、これだけでは少し心もとないですね…」
希「たぶん小ねぎを根っこつきで買っても根っこの部分を捨てちゃってる人がほとんどやないかな?」
穂乃果「つまり、小ねぎを食べてる人から根っこを回収すれば…!?」
絵里「たくさん植えられるわね♪」
ことり「じゃあ…小ねぎをいろんな人におすすめして消費を促しつつ…」
花陽「確実に根っこを回収できる機会を作るんですね!?」
海未「だ、大丈夫でしょうか…?」
【室内プール】
穂乃果「小ねぎはビタミンCが豊富なんだって!お肌のシミ、そばかすを防ぐんだよ」
水泳部「へー」
海未「それにビタミンB1とアリシンを一緒に摂取すると糖質をエネルギーに変える働きを助け、疲労回復の効果もあるんです。運動する人には特におすすめしたい野菜です」
ことり「もちろんビタミンB1とアリシンは、どっちも小ねぎに含まれてるよ♪」
水泳部「いいことずくめなんだ…小ねぎ、食べようかな」
ことほの「エヘヘ♪」
【アルパカ小屋】
絵里「動物には食べさせちゃダメなのよね?」
アルパカ「メ゙ェ?」
花陽「は、はい。基本的にネギや玉ねぎなどはダメですね…動物には良くない成分が含まれてるので」
希「じゃあ間違って食べたりしないように、アルパカ小屋周辺には小ねぎを植えないほうがいいかもね」
絵里「そうね…気をつけましょう」
【弓道場】
穂乃果「ここなら小ねぎを植えても大丈夫だよね?」
海未「まさか…本当に植える気ですか?」
ことり「一応、部長さんや先生に許可をもらったほうがいいかなぁ?」
希「そやね。邪魔にならないところに植えよう♪」
絵里「…というわけで糖をエネルギーに変えやすく疲労回復効果もあるそうよ」
弓道部「へー。小ねぎってすごいのね…」
【図書館】
花陽「さすがに図書館で小ねぎの水栽培はちょっと…」
穂乃果「そっか。うっかり水こぼしたりしたらマズいよね…」
真姫「はぁ?…小ねぎ?」
ことり「…という効能が」
真姫「それくらい知ってますよ。アリシンはネギのニオイ成分だから小ねぎより大きいネギのほうが多いわ」
海未「あなたは小ねぎより大きいネギが好きなのですか?」
真姫「別に…食材に疲労回復効果を求めるような重労働もしてないしネギなんてあまり興味ないです。アリシンの効能ならニラでもいいし」
凛「ラーメンには、やっぱりニラ!」
真姫「イミワカンナイ」
花陽「り、凛ちゃん…とんこつには普通、小ねぎじゃないかなぁ?」
凛「そうかもにゃ」
絵里「あなたは?…野菜の効能とかに随分詳しいみたいだけど」
真姫「西木野真姫。…野菜というか、栄養素や毒素などの成分が人体に及ぼす影響のほうが専門です」
希「確か西木野さんって、病院の…」
真姫「ええ。まあ…」
絵里(アリシン…)
※絵里の妄想
亜里沙「お姉ちゃん!」
絵里「なあに亜里沙?」
亜里沙「四月になって新学期が始まったわ」
絵里「そうね」
亜里沙「だから亜里沙も新しくなったの!」
絵里「そうなの?」
亜里沙「そうよ。略してアリシン!」
絵里「あ、アリシンって…ネギやニラのニオイ成分?」
亜里沙「うん。アリシンとビタミンB1を摂ってパワーアップしたの!これからは亜里沙がお姉ちゃんを守ってあげる♪」ギュ
絵里「あ、亜里沙…(嬉しいけど、ちょっとニオイが…)」
【穂むら】
雪穂「チョコいる?」
穂乃果「ありがと」パク
穂乃果「!?…これ、小ねぎ入ってるじゃん!」
雪穂「お姉ちゃん好きでしょ?小ねぎ」
穂乃果「いや、だからって何にでも入れるわけじゃ…甘い物には合わないよ!」
雪穂「まあそうだね」
ほの母「小ねぎって使い勝手がいいようで、実はいつも同じような物にしか使わないわよね」
雪穂「うどん、冷奴、納豆…あとたこやきとかカツオの刺身くらい?」
穂乃果「とんこつラーメンとかあるじゃん。あとネギトロのネギも小ねぎのほうが色鮮やかで見映えするでしょ?」
ほの母「でもそういう物ってそんなにいつも食べるわけじゃないし…暑くなると買っておいても使いきらないうちに傷んじゃうわよ」
雪穂「普通のねぎと違って一度にたくさん使わないもんね」
穂乃果「むーっ…じゃあ買うのやめて家で栽培する?」
ほの母「栽培って…小ねぎを庭に植えるの?」
穂乃果「使うときに切り取った根っこをとっておいて水栽培できるって矢澤先生が言ってたよ」
雪穂「へー。そんなんでいいんだ…」
穂乃果「雪穂は矢澤先生にいつでも聞けるでしょ?」
雪穂「まあね。じゃあ水栽培で伸びてきたら、あとは矢澤先生に訊けばいいか…」
【西木野邸】
真姫ママ「へえ。小ねぎ…」
真姫「もともと西日本で多く栽培されてたらしいわ。関東ではどちらかというと大きいネギのほうが有名だし」
真姫ママ「そうね。深谷に下仁田…あと、初音ミク」
真姫「いや、それは関係ないと思うけど…」
真姫ママ「小ねぎを持たせたほうが可愛いかしら?」
真姫「そういう問題じゃなくてね…」
真姫ママ「小ねぎは緑黄色野菜なのよね?」
真姫「そう。βカロテンとかビタミン類はやっぱり小ねぎのほうが多いわね。アリシンは大きいネギよりは少ないけど、それでも香りはかなり強いし、足りないというほどじゃないはずよ」
真姫ママ「今は関東でもよく見かけるし、外食や市販のお惣菜でもいろんな物に入ってるわね」
真姫「音ノ木坂でも小ねぎを栽培しようって計画があるの」
真姫ママ「いいわね。せっかくだから、うちの庭にも植えましょうか♪」
ザワザワ…
亜里沙「お、お姉ちゃん…」
絵里「何事!?」
亜里沙「小ねぎの根っこを水につけておいたら、こんなに…」
絵里「は、ハラショー」
亜里沙「たくさん食べられるね。お姉ちゃん♪」
絵里「そうね…でも小ねぎが増えすぎて収穫しないとキッチンへ行けないわ。家の中が草むらみたいになっちゃってるし」
亜里沙「亜里沙も手伝うから、頑張って小ねぎを採ろうよ♪」
ガサガサ ブチッ
絵里「根元から採らないとまた生えてきちゃうわね…よいしょ」グイグイ
亜里沙「たくさん採れたね♪どんなお料理にするの?」
絵里「そうね…亜里沙は何食べたい?」
亜里沙「ニッポンの料理がいいな。えーと…スーシー!」
絵里「お寿司に小ねぎ?青魚系やサーモンとかかしら?」
亜里沙「えーとね、ネウロイ…じゃなくて、ネイキッド…?」
絵里「もしかして…ねぎとろ?」
亜里沙「そう!亜里沙、ツキジでお魚を買ってきたの♪」
絵里(嫌な予感が…)ヒヤアセ
亜里沙「ごはんにノリを巻いて…勝てば官軍っていうんだよね♪」
絵里「いや、それは軍艦巻き…」
亜里沙「グンカン?Хорошо♪」
絵里(うぅ…どうしてネギトロには海苔がつきものなのかしら)ゲンナリ
亜里沙「お姉ちゃん?どこ行くの?」
絵里「もっと小ねぎを収穫してくるわ。このままじゃ家の外へ出られないし…」
亜里沙「気をつけてね。こうしている間にも小ねぎがどんどん伸びてるわ」
絵里「そうね…亜里沙も気をつけて。食べ終わったら早めに避難したほうがいいわ」
亜里沙「今の亜里沙はアリシンだから大丈夫よ!」
絵里「アハハ…そうね」ナデナデ
亜里沙「えへへ」
ガサガサ
絵里(なんだか家じゅうネギ臭いわ…玄関までたどり着けるかしら?)
ワサワサ…
絵里「完全に塞がってる…とにかく通り道だけでも確保しなくちゃ!」グイグイ
ギュー
絵里「きゃ!?」ドサ
絵里「小ねぎが足に絡みついて…動けない!?」
シュルシュル…
絵里(ものすごい勢いで小ねぎが伸びて…どちらを向いても緑色の茂み)
絵里「…だ」
\ダレカタスケテー!/
絵里「小ねぎ…小ねぎが増える…うぅ」
亜里沙「お姉ちゃん。朝だよ、お姉ちゃん!」
絵里「はっ!?…あ、亜里沙…よかった。無事だったのね」
亜里沙「ブジ?…ニッポンの山、世界遺産ね」
絵里「それは富士」
亜里沙「カタナでハラキリ」
絵里「それは武士」
亜里沙「ニンジャが増えるの。一人が二人、二人が四人に」
絵里「それは…分身?」
『学校の敷地全体を覆い尽くすほど大量の小ねぎが生えて』
『小ねぎは何度収穫しても次から次へと生えてきます。摘み取るたびにその倍くらい生えます』
『小ねぎのジャングルに呑み込まれる…!?』
絵里(小ねぎはまだ全然伸びてなかったわ。当たり前だけど夢だったのね…園田さんたちが変なこと言うから)ハァ
【秋葉原】
穂乃果「おぉー!…す、すごい」ベター
花陽「ビルの中で小ねぎを栽培してるんだ…たくさん生えてますね…す、すごいなぁ」
凛「でも誰がどうやって栽培したのかにゃ?」
にこ「はぁ?…あんたたち、そんなことも知らないの?」
ほのりんぱな「えっ」
穂乃果「あなたは…?」
にこ「私は通りすがりの宇宙ナンバーワンア…」
凛「あ?」
にこ「あ、アリシンを常に摂取してる者よ」
花陽「でもアリシンだけなら大きいネギのほうが多いんですよね…?」
にこ「そうだけど、関東の大きいネギってブランド化されて高いじゃない。だったら簡単に栽培できる小ねぎを自前で育てたほうがいいわ」
穂乃果「UTXの小ねぎ栽培技術が私たちにもあれば…教えてください!アリシンの人!」
にこ「ここで無駄話してるより実際に見てみたほうが早いわ。行きましょ」
【UTX一階】
凛「ねぎ臭がスゴいにゃ」
花陽「ニオイ成分のアリシンが大きなネギに比べて少ないといっても…」
穂乃果「右も左も見渡すかぎり小ねぎ、小ねぎ、小ねぎ!こんなに小ねぎだらけじゃ臭うのも当たり前だよ」
にこ「そーね。ドーム球場の人工芝ばりに辺り一面びっしり小ねぎで覆われてるわ…」
凛「緑のじゅうたんやー♪」
花陽「な、なんで有名な食レポの人みたいなの…?」
穂乃果「でも作業してる人がいないね…こんなにたくさんの小ねぎをどうやって管理してるのかな?」
にこ「!…まずい。みんな、走って逃げるわよ!」
凛「え?逃げるってどこへ…にゃぁ!?」
サァァァ…
穂乃果「わぁ!?…あ、雨が降ってきたよ!?」
花陽「これって、スプリンクラー!?」
にこ「小ねぎに水をやる時間だったのね…油断したわ」
ほのにこりんぱな「…」ビショビショ
【音ノ木坂】
希「小ねぎの消費量が白ねぎをうま」
絵里「うま?」
理事長「確かに…ですが、そう簡単に生徒が集まらないからこそ、この結果なのです。何か良い方法があるんですか?」
絵里「お鍋の季節じゃないし、薬味なら小ねぎでいいと思います。特別なことをしなくても…」
理事長「思いつきで行動しても簡単に状況は変わりません。生徒会は今いる生徒の」
「」クシュン
のぞえり「えっ」
にこ「ひどい目に遭ったわ…」
希「にこっち。どうしたん?ジャージで…」
にこ「UTXへ行ってきたのよ。向こうはもう小ねぎの大量生産に成功してるわ!」
のぞえり「!」
にこ「行きましょ。作戦を練り直さないと…希、絢瀬!」
希「うん」
絵里「え、ええ」
パタン
理事長「…」
【二年教室】
ことり「穂乃果ちゃん?…どうしてジャージに着替えたの?」
穂乃果「あ、アハハ…それよりプラントだよ。プラント!」
海未「まあ、確かに小ねぎは植物ですけど…」
穂乃果「そのプラントじゃなくて!工場みたいに大規模な施設で小ねぎを栽培してたの!」
ことり「それってUTXのこと?」
穂乃果「それだけじゃないよ。もともと小ねぎの栽培は西日本のほうが盛んでしょ?」バサ
穂乃果「ほら。これは大阪、こっちは福岡の小ねぎ畑なんだって!」
海未「ああ、福岡はとんこつラーメンだけでも大量に小ねぎを使いますよね」
ことり「大阪は…たこ焼きやお好み焼きかなぁ?」
穂乃果「人気の品種をたくさん育ててる学校は、入学希望者も増えてるんだって!」
ことり「小ねぎの栽培がそんなに流行ってるなんて…」
穂乃果「それで私、考えたんだけど…あれ?海未ちゃんは?」
【生徒会室】
海未「まだ全然伸びてませんね…」
希「まあ、昨日の今日やし…気長に待つしかないやん?」
にこ「でもUTXは一階だけでも見渡すかぎり小ねぎ畑だったわ。このままじゃ勝ち目ないわよ」
絵里「UTXは生徒が多いから小ねぎもたくさん必要なんでしょ?音ノ木坂でそんなに作っても食べきれないわ」
海未「ですが、品質の良いものができれば出荷できます。音ノ木坂産の小ねぎが安定して売れるようになれば、学校運営の資金の足しになるはずです」
希「んー。でも初心者のウチらだけでそんなにうまくいくかなぁ…」
にこ「だからUTXの技術を参考にするのよ。みんなを集めて、もう一度行ってみましょ」
【屋上】
花陽「よ、よかった…なんとか乾いたみたい」
凛「晴れてたおかげで奇跡的に助かったにゃ」
穂乃果「じゃあ早く着替えて、先に行ったみんなを追いかけよう!」
にこ「そーね…」
ドタバタ
【秋葉原UTX】
ことり「うぅ…ネギ臭いよぉ」
海未「確かに…これだけ周りが小ねぎだらけだと臭いますね」
真姫「それで、これからどうするんですか?」
希「このまま固まって行動しててもしょうがないし、手分けして調べようか」
絵里「ネギばかりで…生姜ない」
ことうみのぞまき「えっ」
絵里「な、なんでもないわ。…さ、行きましょう」
ことり「調べるっていっても…勝手に小ねぎを採ったりしたらダメだよね?」
真姫「たぶん…スプリンクラーがついてるくらいだから、防犯カメラもどこかにあるんじゃないですか?」
ことり「じゃあ、やっぱりもっと奥へ進んで…ここの責任者の人に話を聞くしかないかなぁ?」
真姫「そういう意味でも、あまり大勢で行かないほうがいいわね。直接話を聞くってことは、こちらの動きもUTX側に筒抜けでしょ」
ことり「防犯カメラがあるなら、どのみち私たち全員映ってると思うけど…」
真姫「それより、どうして私たちだけペアなのよ?」
ことり「三年生二人と海未ちゃんに比べて、私たちは圧倒的に体力がないから…かな?」
真姫「一年生だからって決めつけないでほしいわね。私は、こう見えても…」
ことり「待って。西木野さん…何か聞こえない?」
真姫「え?」
ザワザワ…
真姫「…風の音じゃない?」
ことり「でも、窓は開いてないし…」
真姫「空調でしょ。常に小ねぎの栽培に適した環境に保ってるのよ」
ことり「そっか」
サァァァ…
海未「穂乃果の言うとおり傘を持ってきて正解でしたね…まさか小ねぎにスプリンクラーで水やりをしているなんて」
海未(しかし、こんなビルの中で窓も閉めきったまま…陽当たり以外の条件は小ねぎにとって最悪のように思えますが…屋外の畑で育った小ねぎと食べ比べてみたいですね)
ガサッ
海未「!?」
ピョーン
海未「…か、カエル(何事かと思わず身構えてしまいました)」ホッ
海未(でも興味深い事実ですね。ビルの中での栽培にもかかわらず、ああいった生き物が小ねぎの茂みに棲んでいる…私が思っているより良い環境なのかもしれません)
絵里「案内板があるのね…よかった」ホッ
絵里(UTXに来るのは初めてだけど…迷子になったら恥ずかしいわよね)
絵里(ここが一階で…あら?上だけじゃなく地下へも行けるみたい…どうしよう?)
絵里(このまま、ただ小ねぎ畑を見て回るより…畑の管理をしてる責任者に会って話を聞くべきかしら?)
絵里(一般生徒に対して責任者は言わばボス…なら、きっと最上階ね!エレベーターで上へ向かいましょう)
パラララ
希(こういうときは占いで決めるのが一番や)
希(大アルカナは0から9までが十枚。2ケタの番号が10から21までの十二枚。大きい数字なら上の階へ)スッ
希(う…教皇の逆位置。5番は地下や。けど…このカードの意味は“孤立無援”)
希(…やめた。一階に残るか外へ出て、にこっち達が来るのを待とう)
ザワザワ…
希「…ん?」
【外】
凛「先輩?何してるんですかー?」
穂乃果「着いたんだから早く入りましょうよ」
にこ「ちょっと待って。…おかしいわね。携帯が繋がらない」
花陽「だ、誰にかけてるんですか?」
にこ「希よ。あいつスマホの電源切ってんのかしら…」
穂乃果「ことりちゃんと海未ちゃんもいるし、私がかけますよ」
凛「どうですかー?」
穂乃果「あ、あれ?…二人ともダメだぁ」
花陽「そういえば…確かUTXって地下もありますよね」
にこ「そっか。それで電波が入らないのかもね」
凛「とにかく行ってみるにゃ」
ほのぱな「うん」
にこ「そーね」
ガーッ
ほのにこりんぱな「」
穂乃果「…な、なにこれ!?」
花陽「今朝はこんなじゃなかったのに…」
にこ「こ、これ…全部小ねぎ!?…いや、もはや少しも“小”じゃないわね。おばけネギって感じ?」
凛「竹林みたいになってるにゃ…でもニオイが明らかにネギだよねー?」
穂乃果「こんなことになってたら、もっと周りが騒がしくなってるはずなのに…」
花陽「人が…誰もいない」
にこ「どーなってんのよ…まさか、残ってた人たちは全員おばけネギのジャングルに閉じ込められてるの?」
凛「じゃ、じゃあ…西木野さんや生徒会長さんたちはー?><」
穂乃果「電話が繋がらないんだから、たぶん地下にいて出られなくなってるんじゃないかな?」
花陽「え、えーと…助けを呼んだほうがいいんじゃ…?」
にこ「おばけネギのジャングルに友達が閉じ込められましたって?どこに通報すんのよ?」
花陽「そ、それは…」
凛「いたずらだと思われて相手にされないかもにゃ」
穂乃果「私たちが行くしかないよ!このネギを全部食べて…」
にこ「いや、落ち着きなさいって。伐採しながら進むだけでいいわよ。どうせ一本だって食べきれないし」
花陽「伐採って…でも、道具は傘くらいしかないし…」
凛「大きくても小ねぎなら手で引っこ抜けるんじゃないかにゃ?」
穂乃果「よーし、やってみよう!四人で力をあわせれば何とかなるよ!」
にこ「んじゃ、いくわよ。せーのっ!」
グググ…スポンッ
花陽「ぬ、抜けた…!」
凛「あ!おばけネギがすごい勢いでしぼんでいくよー!?」
穂乃果「あっという間に…普通の小ねぎになっちゃった」
にこ「なるほどね。わかったわ!おばけネギのトリック…」
花陽「な、何がわかったんですか…?」
にこ「幻覚みたいなものじゃない?たぶんビルに充満したニオイ成分のアリシンと、水分。それがビルの窓に反射する光で小ねぎ畑をおばけネギのジャングルに変えたのよ!」
穂乃果「いや、わけわかんないんですけど…」
凛「それに引っこ抜く前は本当に大きかったじゃないですか。つかんだ感触もあったし…」
にこ「何でもいいから、どんどん引っこ抜いて進めばいいのよ!」
穂乃果「あ、待って。きりがないから援軍を呼ぼう!」
花陽「援軍…?」
穂乃果「ここに!」
雪穂「キミと」
亜里沙「私」
ヒフミ「来たよ♪」
ほのにこりんぱなゆきありヒフミ「今から小ねぎ♪今から刈り取るーよー♪」
ヒデコ「せーのっ」
フミミカ「よいしょー!」グググ
ポンッ
ヒフミ「抜けた!」
穂乃果「さすが、息ぴったり…」
雪穂「感心してないで、私たちもやるよ!」
亜里沙「すごいネギ…お姉ちゃん大丈夫かなぁ」
雪穂「まあ、大きくても単なるネギだし…お姉さん、ネギは平気なんでしょ?」
亜里沙「うん」
花陽「せーのっ」
にこ「ふんっ!」
凛「にゃ!」
グググ…ポンッ
穂乃果「よ、よーし。私たちも!」
亜里沙「せーのっ♪」
ほのゆき「よいしょー!」グググ
スポンッ
にこ「この調子で、どんどんいくわよ!」
ほのゆきありりんぱなヒフミ「おーっ!」
【一階】
海未「はあっ!」シュバッ
ズズズ…
海未(やはり…見た目は竹のように頑丈そうでも、所詮実体は小ねぎ。手刀で簡単に伐り倒せますね)
希「そ、園田さん!」
海未「副会長…無事でしたか」
希「うん。エリち達を見なかった?」
海未「いえ、まだ…おそらく私たちと同じようにネギ林の中をさまよっているのでしょう」
希「でも、まさか園田さんが言ってたことがUTXで現実になるとはなぁ…」
『学校の敷地全体を覆い尽くすほど大量の小ねぎが生えて』
海未「口は災い何とやらですかね…とにかく、ことり達を探しましょう」
ザワザワ…
真姫「もう!いったい何本引っこ抜けばいいのよ!?」
ことり「待って、西木野さん」
真姫「今度は何ですか?」
ことり「私、これくらいの隙間なら通り抜けられる…よいしょ…ほら♪」
真姫「ヴェぇ!?…そんなの私はできないわよ!どういう体してるの!?」
ことり「エヘヘ。柔らかいのがちょっと自慢なんだ♪」
真姫「まあいいけど…じゃあ、先に行ってほかの先輩たちを呼んできてくれます?」
ことり「まかせて♪」
シュルシュル…
絵里「ハラショー!」ピョーン
クルクル…スタッ
絵里(フフフ…どんなに異常な成長をしても、小ねぎは小ねぎ。ツル植物のように自由に伸びることはできないみたいね)
絵里(あの夢の中の経験が役に立ったわ…今も現実味がないけど)タタタ…
「あっ。あなた!」
絵里「え?」
「外から入ってきたの?下の階はどうなってるの?」
絵里「私たちが入ってきたときは普通の小ねぎ畑だったわ。異変が起きたのはエレベーターに乗る直前…あなたはここの責任者?」
「ええ。一人で全部管理してるわけじゃないけど…私は優木あんじゅ」
絵里「絢瀬絵里。音ノ木坂の生徒会長よ」
【再び一階】
ことり「穂乃果ちゃん!」
穂乃果「ことりちゃん!よかった、無事だったんだ…海未ちゃんたちは?」
ことり「わかんない…私は西木野さんと二人で行動してたの。海未ちゃんたちは一人ずつ分かれて調べてたはずだよ」
凛「西木野さんはー?><」
ことり「この奥にいるよ。意外と力持ちで、頑張って小ねぎを引っこ抜いてくれてるの♪」
花陽「一人で!?…す、すごいなぁ…」
にこ「よし、こっちからも小ねぎを減らして道を開通させましょ!」
【階段前】
海未「一応、階段もあるんですね…」
希「でも上や下へ行っても外へは出られないし…何なら階段もネギだらけなんやない?」
海未「ここから見える範囲には…ありますね」ゲンナリ
希「階段に直接ネギを植えることは無さそうやし、ネギがあるのは踊場やと思うよ」
カツーン
海未「足音…誰かいるのですか?」
「あなたは?UTXの生徒?」
海未「いえ、私たちは音ノ木坂から来ました」
「たち?」
希「どうも。ウチは音ノ木坂生徒会の副会長、東條希や」
海未「園田海未です」
「私は綺羅ツバサ。…ごめんなさいね。あなたたちまで巻き込んでしまって…」
希「キラさん?は、小ねぎ栽培の責任者なん?」
ツバサ「ええ。実質私たちが育てた小ねぎだから…今まで多くの生徒、時には教職員がやってもうまくいかなかったのよ」
海未「失礼ながら、この状況もうまくいっているとは…」
ツバサ「そうね…面目ないわ。ききすぎたのね」
希「効きすぎたって…何か変な薬品でも使ったん?」
【再びエントランス】
にこぱな「英玲奈!?」
英玲奈「これほど大勢の部外者を巻き込んだ以上…何の説明もしないわけにはいかないだろうな」
真姫「まったくだわ。いったい何が原因でこんなことに?」
英玲奈「歌だ」
亜里沙「うた?」
穂乃果「えーと…音楽に言葉をのせて歌う、あの歌ですか?」
英玲奈「そうだ。…UTXでは小ねぎに歌を聴かせて育てる実験を繰り返し行ってきた。そのために強引な手段で生徒を集めていたようなものだ」
ことり「確かにそういう実験は世界中でやってるみたいだけど…」
凛「本当に効果があるんですかー?」
英玲奈「あるのは間違いない。その結果がこれだからな…だが、誰の歌でも同じというわけではないんだ」
【UTX屋上】
絵里「…どういうこと?」
あんじゅ「言葉通りの意味よ。…屋外でのびのびと育った小ねぎに比べて、ビルの中で育てた小ねぎはどうにも美味しくならないの。当たり前よね。それが自然と不自然の差だもの」
絵里「そうね…詳しくは知らないけど、何となく屋外の畑で育てたほうがいい物のような気がするわ」
あんじゅ「だけど、歌にはその差を覆す力がある。研究者たちの夢物語を現実にしたのが私たちの歌だったのよ」
絵里「でも…単に小ねぎが美味しくなるって話ならいいけど、ちょっと育ちすぎよね?」
あんじゅ「小ねぎに歌を聴かせて効果がある。しかも、他の人たちと私たちの歌とでは違う。これってどういうことだと思う?」
絵里「えーと…小ねぎが人の声を聴き分けてる…とか?」
【再び一階】
ツバサ「そう。責任転嫁するわけじゃないけど…急にあなたたちが大勢でやって来たことで、小ねぎたちは気づいてしまった」
海未「それは…私たちの声ですか?」
ツバサ「ええ。もしかしたら私たちの歌よりも、もっと素晴らしい歌を聴かせてくれる人が現れたんじゃないか…とね」
希「うーん。エリちたちはともかくウチの歌はどうやろ…」
ツバサ「勘違いしないで。私たち以前に、もっと歌が上手い人がUTXに誰もいなかったと思う?」
海未「私たちの基準で上手いとか下手とかは関係なく…小ねぎの好みかどうか」
ツバサ「それも面白い発想だけど…まあ、要するに歌の価値は上手さだけじゃないってこと。小ねぎに力を与える歌の基準なんて私たちにもわからないけどね」
希「それで小ねぎがウチらに歌を歌わせるために閉じ込めようとした…?」
【エントランス】
英玲奈「…というのが我々の見解だ」
真姫「まったくバカげた話だけど…」
にこ「目の前で最大限バカげたことが起こってて、今の話だけ信じないって言っても無駄よね」
英玲奈「まあ結局、小ねぎにできることは精一杯伸び続けることだけだ。歌を欲する性質があるにせよ、意図的に人に危害を加えるほどのことができるわけではない…とはいえ」
花陽「小ねぎの栽培…やめちゃうんですか?」
英玲奈「完全にやめる必要はないと思うが、やり方は変えなければならないだろう。…やはり野菜にも相応しい環境というものがある」
穂乃果「UTXのすごい技術をお手本にしようと思ってたのに…」トホホ
英玲奈「フフフ…君たちには必要ないさ。小ねぎが欲しがるほどの素晴らしい声をもっているのだからな」
海未「穂乃果ー!」タタタ
穂乃果「海未ちゃん!よかったぁ><」
亜里沙「お姉ちゃん!」ギュー
絵里「ごめんね亜里沙。心配かけて…」ナデナデ
希「ウチの心配はしてくれないの?」
にこ「フン…あんたが小ねぎくらいでどうにかなるわけないじゃない」
亜里沙「小ねぎ、いっぱいもらっちゃった♪」ドッサリ
あんじゅ「迷惑かけたお詫びよ。幾らでも持って行って」
ツバサ「あなたたちに食べてもらえたら小ねぎも本望だと思うわ」
英玲奈「ああ。せっかく育てた野菜だ。美味しく食べてやるのが何よりだ」
凛「凛も、いっぱい持ってってラーメンに入れて食べるんだー♪」
花陽「炊きたてごはんに納豆かなぁ♪」
希「おうどんさんにたこ焼き♪」
にこ「これ…音ノ木坂で栽培しても大丈夫かしらね」
真姫「小ねぎは小ねぎだし…特殊な環境じゃなければ、普通の小ねぎよ」
海未(両手いっぱいに持って帰った小ねぎのおかげで、しばらくの間…私たちの食卓には連日、山盛りの小ねぎが彩りを添えたのでした…)
穂乃果「いやー、今日も小ねぎがうまいっ♪」シャキシャキ
【後日】
にこ「高坂!」
穂乃果「あ、先輩。たまには菜園のお世話もしてくださいよ」
にこ「小ねぎは後でいいから。それより、あんた…アイドルやってみたいと思わない?」
穂乃果「へ?…あ、アイドル?」
にこ「そーよ。私たちの声は、あのA-RISEも認めた才能!その私たちがアイドルになれば…A-RISE以上にもなれるかもしれないでしょ!?」
穂乃果「そ、そんなにうまくいくかなぁ…歌は好きだけど」
【6月23日】
にこ「こらっ、穂乃果!どこ行くのよ?」ギュ
穂乃果「今日はオリンピックデーなんですよ」
にこ「だから何?」
穂乃果「東京五輪を目指して水泳部の練習です」
にこ「なに言ってんの。オリンピックは三年後だけど、ラブライブは今年開催が決まってんのよ!」
穂乃果「そんなこと言われても…全国ランキング20位以内なんて無理でしょ?」
にこ「小ねぎで廃校を防ぐより簡単よ。いいからこっちの練習に参加しなさい!」
穂乃果(結局、あのときの九人のうち一年と二年の私たちは、にこ先輩に強引に入部させられて…スクールアイドルやってます)
希「小ねぎのお世話はウチらに任せて♪」
絵里「スクールアイドルよりは小ねぎのほうが廃校阻止につながりそうだし…」
花陽「そういえば…ネギの花言葉は愛嬌、笑顔、くじけない心…だって」
にこ「そうよ。愛嬌と笑顔といえばアイドルでしょ?くじけない心でアイドルを続けていれば花が咲くわよ!」
凛「ちょっと臭くないかにゃー?」
ことり「ネギだけに…」
おわり
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