【四月】
穂乃果「いやー、今日もパンがうまいっ♪」パク
穂乃果(真っ白でふわふわのパン…美白って感じだよね。白くないパンももちろん美味しいんだけど…)
絵里「ちょっといい?」
穂乃果「わあ…!」
穂乃果(あの人、すっごくキレイ!肌が白くて、透明感っていうか…私と同じ高校生なのに、こんな人が身近にいるんだね…)
絵里「…なに?」
穂乃果「あっ…い、いえ。きれいだなって…」
絵里「え!?」
海未「穂乃果。生徒会長ですよ」ヒソヒソ
穂乃果「そうなんだ…」ポー
希「ほなー」
穂乃果「あのっ!」
絵里「…?」
穂乃果「ハグ、してもいいですか!?」
絵里「お断りします」
スタスタ
穂乃果「うぅ…」ガクッ
ことり「穂乃果ちゃん。いきなり無茶振りすぎ」
穂乃果「そうだよね…嫌われちゃったかなぁ」トホホ
穂乃果(ああっ、でも触ってみたいな…生徒会長さんのお肌キレイだし、きっとスベスベなんだろうなー)
穂乃果「よし。早速練習だ!」
海未「何の練習です?」
穂乃果「この像を相手に、さりげないハグの練習!」
ことり「アハハ。穂乃果ちゃん…」
穂乃果「っていうか前から思ってたんだけど、これって誰の像なの?」
海未「知らないのですか?プロ野球の草創期に活躍した大投手、ヴィクトル・スタルヒンですよ」
穂乃果「へー。外国の人なんだ…」
海未「ええ。確かロシア人だったと思います」
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穂乃果「ロシア出身のプロ野球選手っていたんだ…そんなすごい人がいたのに、ロシアでは野球ってあんまり…」
海未「そうですね…身体能力は高いはずですから、野球が普及さえすれば次々と凄い選手が出てくると思うのですが…」
穂乃果「でもロシア人ってことは、きっと美白だよね。いいなぁ…」
ことり「穂乃果ちゃん、そんなに美白が好きだったの…?」
穂乃果「自分がそうなろうっていうよりは、お肌のきれいな人が好きなの。ことりちゃんや海未ちゃん、あと雪穂も♪」
海未「それより廃校を防ぐ方法を考えなくていいんですか?」
穂乃果「あ、そうだった…じゃあ、お肌にいい薬草なんてどうかな?」
【室内プール】
海未「どうして室内プールに来るんですか…」
穂乃果「肌のきれいな女の子が泳いでないかなーって」
ことり「穂乃果ちゃん。薬草を探すんでしょ?」
【弓道場】
穂乃果「ここなら半屋外だし薬草が生えてたり」
海未「しません」
ことり「薬草どころか植物なんて全然ないよね」
穂乃果「そうだ!弓矢を煎じて飲んだら海未ちゃんみたいに」
海未「なりません」
【アルパカ小屋】
アルパカ「メ゙ェェ」
穂乃果「これは…美白っていうか、白髪?」
ことり「私は好きだよ。モフモフで可愛いし♪」
海未「不用意にハグしないほうがいいと思いますよ。相手は大きな獣なのですから…」
穂乃果「アルパカさん。その食べてる干し草って薬草ですか?」
アルパカ「ウメ゙ェー♪」モシャモシャ
花陽「おいしいって言ってます」
穂乃果「あなたも結構色白だよね。ハグしていい?」
花陽「え!?…は、はい。どうぞ…」
穂乃果「ありがとー♪」ギュー
花陽(先輩…柔らかいなぁ。それに何だか甘い香りがする///)ドキドキ
穂乃果「お肌きれいだね♪」スリスリ
花陽「そ、そうですか?…あの、私…小泉、花陽っていいます」
穂乃果「私、高坂穂乃果!よろしくね♪」
凛「一応、凛もいるんだけどにゃ…」
穂乃果「あ、ゴメン。ハグいい?」
凛「どーぞ」
穂乃果「じゃあお言葉に甘えて…」ギュー
凛(かよちんのほうが大きいよね)
凛(でも…なんか、いい匂いがするにゃ///)ドキドキ
【図書館】
花陽「パセリはどうかなぁ?美肌効果もありそうだよ」
穂乃果「パセリって…薬草?」
ことり「優れた殺菌効果があるし、一応薬草…かな?」
真姫「ダメね」
ことほのうみりんぱな「えっ」
真姫「たとえばキャベツやほうれん草にも美肌効果が期待できるけど」
花陽「でもパセリの栄養成分はそれ以上だし…」
真姫「キャベツやほうれん草はメインでたくさん食べることもあるけど、パセリをそんなに食べたことある?」
穂乃果「言われてみれば、全然ない…」
真姫「そう。基本的に食品成分表は“同じ量を食べた場合”の比較なの。パセリの栄養成分が他より多いからといって、ほうれん草やキャベツと同じ量食べないなら意味がないわ」
ことり「じゃあキャベツやほうれん草を食べて、さらにその料理に薬味としてパセリをプラスすればいいかなぁ?」
真姫「そうですね」
穂乃果「ところで、あなた!」ギュ
真姫「ヴェぇ…な、何ですか?」
穂乃果「肌きれいだね。ハグしてもいい?」
真姫「オコトワリシマス」
穂乃果「えー!」ブー
真姫「当たり前よ。図書館はそんなことする場所じゃないし」
穂乃果「図書館じゃなかったらいいの?」
真姫「しません」
穂乃果「むー。手強い…」
真姫「だいたい、肌なんて負担をかけないように気をつけてケアを怠らなければ誰でもキレイになりますよ。持病やアレルギーがなければ…」
穂乃果「いや、肌だけでいいんだったらプリンスメロンでもなで回してればいいけど、可愛くて肌もキレイっていうのが重要なの」
真姫「先輩も可愛いですよ」
穂乃果「えっ。そ、そうかな?///」
真姫「冗談よ」
穂乃果「あ、そう…」ガクッ
【高坂家】
雪穂「チョコいる?」
穂乃果「ありがと」パク
穂乃果「んぐっ!?…な、何このニオイ…それに変な味…」オエッ
雪穂「はい、お茶」
穂乃果「」ゴクゴク
穂乃果「はぁー。チョコに何入れたの!?」
雪穂「別に私が入れたわけじゃないけど…春菊、にら、パセリ、ルッコラが入ってるよ」
穂乃果「な、なんでそんなの入れようと思ったんだろう…変なエグ味があって、ものすごくマズいんだけど!?」
雪穂「さあ…体にいいからじゃない?美肌効果もあるってお母さん言ってたし」
穂乃果「お母さんの仕業か…幾ら美肌効果があっても、こんなの毎日食べたくないよ」
雪穂「お姉ちゃん」ギュ
穂乃果「わ。…雪穂?」
雪穂「お姉ちゃんはもっと頑張ったほうがいいね」スリスリ
穂乃果「私はいいの。自分の肌が特別キレイだったら、好きな女の子の肌の良さが引き立たないもん」
雪穂「私もお姉ちゃんの肌がキレイなほうが嬉しいんだけどなー」
穂乃果「そのままでも雪穂すぐひっついてくるじゃん」
雪穂「お姉ちゃんがほかの女の子にすぐ抱きつくのやめたら私も控えめにしてもいいけど?」
穂乃果「やだよ。肌のキレイな女の子とハグするのが私のささやかな楽しみなんだから♪」
雪穂「むーっ…私じゃ不満だっていうの?」
穂乃果「そんなことないよ。雪穂のお肌もスベスベだから大好き♪」スリスリ
雪穂「よし。これからは私がお姉ちゃんのお肌のケアもしてあげる」
穂乃果「えぇ!?」
【翌朝・秋葉原】
穂乃果「おぉー!…す、すごい」ベター
穂乃果(何かわからない植物がいっぱい…こんなビルの中で栽培してるなんて)
にこ「…」
穂乃果「あ、あのぉ…」
にこ「…なに?今忙しいんだけど」
穂乃果「質問なんですけど。あの植物って薬草とかなんですか?」
にこ「はぁ!?あんた、そんなことも知らないの?…そのパンフレットにも書いてあるわよ。どこ見てんの」
穂乃果「植物のもつ能力を最大限に引き出す…空気をきれいにして湿度や温度も調整…そんなことできるの?」
にこ「そ。UTXの植物の研究はもはや人間のためだけじゃない…“地球に効く薬草”それがA-RISEよ!」
穂乃果「あらいず?」
にこ「スクール薬草…学校で栽培された薬草。聞いたことないの?」
穂乃果「初めて聞いたけど…」
穂乃果(でも、美白とは関係なさそうだし…環境にいいとしても、お肌にいいかどうかは別だよね)
穂乃果「あ。そうだ…ハグさせてください!」
にこ「はぁ?…お断りよ」
穂乃果「えー!なんでダメなの!?」
にこ「いや、あんたなんか知らないのにする理由がないし」
穂乃果「でも、よく見るとお肌が白くてキレイ…」
にこ「当然でしょ。毎日念入りにお手入れしてるんだから」ドヤァ
穂乃果「素晴らしいです!是非ハグさせて!」
にこ「しょうがないわねー。今日だけよ?」ギュー
穂乃果「わあー。スベスベだ♪」スリスリ
にこ「フフン。あんたも薬草に興味があるならもっと努力しなさい」
穂乃果「よーし。UTXの薬草の秘密を見に行こう!」ギュ
凛「えっ」
穂乃果「ついて来てください!」グイグイ
凛「ちょっ、なんで凛なのー?><」ズルズル
にこ「仕方ないわねー。付き合うわよ」
花陽「ああっ、凛ちゃん…待ってよぉ!」
いい加減スレタイに王都とか入れてくれないかな
こっちも考えてお前のSSだけ見えなくなるようにNGワード設定してんのに今回みたいなスレタイだと見えちまうだろうが
他の人の迷惑考えろよ
【UTX一階】
穂乃果「この壁とか柱、変わった模様だなぁ…ビルの中じゃないみたい」
にこ「この先には生徒じゃないと行けないわよ」
凛「もう学校行きましょうよ…遅刻しちゃうにゃ><」
穂乃果「何とかして先に進めないかなぁ…仕掛けがありそうだよね!?」
にこ「いや、だから学生証がカードキーになってて…」
穂乃果「こっちがダメなら、あっちだ!」タタッ
凛「なんで凛を引っ張って行くのー!?><」
ドタバタ
花陽「あれ?…何だろう、楽器の音が聴こえる…」
にこ「アコースティックギターみたいな弦楽器ね」
『うーつーろーのー、かーぜーひーとーつー♪ くーれーゆーくー、このーだーいーちーでー』
凛「歌が聴こえるにゃ…誰が歌ってるのー?」
穂乃果「あっ…」
にこ「ん?…うわ、なにこれ!?」
穂乃果(まだ名前聞いてなかったけど、黒髪ツインテールで肌が白くてスベスベの女の子が、赤い光に包まれて…)
にこ「ちょっ…嘘でしょ!?」
花陽(そのとき…ビルの中の床なのに、いつの間にか辺り一面に光る花が咲いてた)
キラキラ
ほのりんぱな「え」
穂乃果「…消えちゃった」
凛「ど、どうなってるのー!?><」
花陽「ま、まさか…幽霊!?」
穂乃果「この花、何だろう…見たこともないけど…」
穂乃果(光ってて不思議だけど、触ることはできたから摘んでみたよ)
「ニオ!」
にこ「えっ」
「ニオ!帰ってきてくれたの!?」ギュー
にこ「は、はぁ?…私はにこよ。あんた誰?」
「え。ニコ?何言って…あ、あれ?…瞳の色が違う…ニオじゃない!?」
にこ「だからそう言ってるじゃない。…つーか、ここどこ?」
「帰ってきたんじゃなかったんだ…」ガクッ
にこ「勝手に落ち込まないでよ。こっちの質問に答えなさいっての…あんた誰、ここどこ?」
「私は、アーシャ・アルトゥール…ここはうちで管理してる薬草園の遺跡です」
にこ「外国人が日本の施設を管理してる?外資系ってやつ?」
アーシャ「えーと?…あなたは、ニコちゃん…だっけ」
にこ「そうよ。矢澤にこ。通りすがりの宇宙ナンバーワンアイドルよ!」ドヤァ
アーシャ「あ、あの…ニオについて何か知りませんか?…私の妹なんですけど」
にこ「そう言われても…あんたにも初めて会ったのに妹のことなんて知らないわよ」
アーシャ「えっと…ニコちゃん、光る花と一緒に現れたから…それってニオと同じっていうか、逆というか」
にこ「何の話?」
アーシャ「今までどこにいたんですか?近くに髪の短い、私に似た顔の女の子がいませんでした?」
にこ「見てないわ。私が居たのはUTXのビルの中よ」
アーシャ「ゆーてぃーえっくす?」
にこ「薬草を育ててるプラントみたいなところに入ろうとしてたら、歌が聴こえて…気づいたら周りに他の連中が居なくなってたのよ」
アーシャ「他の連中っていうのは?」
にこ「UTXで会った音ノ木坂の後輩たちよ。面識ない奴ばっかり三人」
アーシャ「オトノキザカ?」
にこ「それにしても、UTXにこんな場所があるなんて…ここの植物って全部あんたが管理してんの?」
アーシャ「んー。もともと管理が行き届いてるわけじゃないから、伸び放題って感じで…ただ、よく使う薬草は頻繁に摘みに来るから自然に間引きができてるのかな」
にこ「なんだか、見たこともない草もいろいろあるわね…」
アーシャ「どれも薬の材料になるんですよ。私にとっては欠かせない薬草です♪」
にこ「お肌にいい薬草とかある?」
アーシャ「えーと…どうなんだろう?」
にこ「何よ。自分のとこの薬草でしょ?」
アーシャ「そういう用途で使ったことないから…アハハ。でも、これとか、これなんかは良さそう…かな?」
にこ「どうやって使うもんなの?」
アーシャ「これを材料にしてお薬を作るんですよ。見てみます?」
【アーシャのアトリエ】
パナ「バモ!」
アーシャ「ただいま。パナ♪」ナデナデ
にこ「でかっ!なにこれ?」
アーシャ「見てのとおり、牛です。名前はパナ。女の子なの」
パナ「ブモモー」
にこ「これが、牛?やたらフサフサしてるけど…」モフモフ
アーシャ「パナはとっても力持ちなんですよ。いつも助けてもらってます♪」
パナ「バモ♪」
にこ「へー」
にこ「…っていうか、ここどこよ!?秋葉原にこんな広大な荒れ地みたいな場所ないわよね!?」
アーシャ「ニコちゃんは光る花と一緒に出てきたから、別の場所から飛ばされてきたんじゃないかな?…ニオが、いなくなったみたいに…」
にこ「じゃあ、ここは千代田区じゃないってこと?…外国人や見たこともない牛が普通にいて、東京どころか海外…?」
アーシャ「この辺りには私のアトリエと薬草園の遺跡以外はほとんど何もないんです。人も住んでないし…」
にこ(とんでもないところに来ちゃったわね。夢でも見てんのかしら…)
パタン
にこ「すごい家ね…あれは何?」
アーシャ「お薬を作るための釜です。これで何でも作れちゃうんですよ♪」
にこ「何でも?」
アーシャ「お薬だけじゃなく…パンにチーズに、装飾品まで。いろいろです♪」
にこ「ちょ、ちょっと待って。食べ物とそれ以外を同じ釜で作ってんの?」
アーシャ「それを言われると…まあ、でも不純物はちゃんと取り除くから大丈夫。涸れ谷の泥水を使っても美味しいパンができますから♪」
にこ「えぇ…」
【音ノ木坂・二年教室】
ことり「消えた女の子…?」
穂乃果「う、うん。サングラスかけてマスクして、もともと異様な雰囲気だったんだけど…でも会話もしたし、ハグした感触も確かにあったんだよ。白くてスベスベのお肌だったもん」
海未「夢でも見たんじゃないですか?」
穂乃果「そんなことないって。昨日アルパカ小屋にいた一年生二人も一緒に会ったんだよ。それまで普通に話してた女の子が赤く光って消えるのを二人も見たはずだよ!」
ことり「人が消えるなんて…マジックか何か?」
海未「そうですね。光を伴ったのなら科学的に錯覚を引き起こす現象を利用したのかもしれません」
穂乃果「うーん。まさか、あれもUTXの薬草の効果!?」
【屋上】
穂乃果「確かに見たと思うんだけどな…」
希「…」ジーッ
穂乃果「!」ダッ
希「え」
ガチャ
希「わぁ!?」
穂乃果「ハグさせてください!」
希「い、いいけど…よくウチに気づいたね?」
穂乃果「今朝、目の前で女の子が消えたんです。だから人の気配に敏感になってるっていうか…そこにいるはずの人を見逃したくないっていうか」
希「消えた女の子って…どんな子やったん?」
穂乃果「ツインテールの黒髪で、肌が白くてスベスベです!」
希「にこっち?…いや、まさかね」
【音楽室】
穂乃果「あなたは…えーと」
真姫「西木野真姫」
穂乃果「にしきのさん?…私、高坂穂乃果!」
真姫「音楽室に何か用ですか?」
穂乃果「ハグさせて!」
真姫「イミワカンナイ」
穂乃果「わかってよー。あなたのスベスベのお肌にスリスリしたいの!」
真姫「オコトワリシマス」
穂乃果「じゃあ、どうしたらハグしてくれるの!?」
真姫「どうしてもしないし」
穂乃果「なんでそんなにしたくないの!><」
真姫「する理由もないし、私に何のメリットもないし」
穂乃果「メリット…和菓子食べ放題でどう!?」
真姫「和菓子?」
穂乃果「穂むら!」
真姫「ああ、あの神田の古い店…ふーん」
穂乃果「いい!?」
真姫「まあ、いいけど…約束は守ってよ?」
穂乃果「もちろん!」ギュー
真姫「…///」
穂乃果「スベスベだぁ♪」スリスリ
真姫「ヴェぇ…先輩、誰にでも抱きつくんですか?」
穂乃果「そんなことないよ。言ったでしょ?可愛くてお肌がキレイな女の子だけ!」
真姫(…変な人ね)
【生徒会室】
パラララ
絵里「希…また占い?」
希「うん」シュタタタ
希(にこっちは今日、学校に来てないみたいや。電話も繋がらない…高坂さんが言ってた、消えた女の子って…)スッ
パタ
希「大アルカナの1番、魔術師のカード。正位置…魔法、隠された真実?」
絵里「魔法?…何を占ってるの?」
希「二枚目のカードは…」スッ
希「小アルカナ、ワンドの10…逆位置。壁を乗り越える?」
絵里「壁って?」
希「さあ…?」スッ
希「三枚目のカードは…」パタ
希「またワンドや。4の正位置…居場所、出会い、友好関係」
絵里「どういうこと?」
希「どうやら…にこっちは今、壁の向こう側にいるみたいやな」
絵里「え!?…逮捕されたの?」
希「いやいや、それは塀の向こうや。…最初の魔術師が引っ掛かるなぁ…魔法のような力によって、普通は越えられない壁を越えちゃったんやないかな?」
絵里「よくわからないけど…ただ学校をサボってるわけじゃないってこと?」
希「たぶんね。来られない状況…というか、そういう場所に居るんやと思うよ」
絵里「心配ね…何か事件に巻き込まれたんじゃ…?」
希「んー。けど普通の事件とは違う気がするよ。魔法やし」
絵里「希の占いって当たるの?」
希「どうやろ…今回ばかりはウチにもよくわからんなあ…」
コンコン
希「はーい。どうぞ」
穂乃果「失礼します」ガチャ
ペラッ
絵里「…これは?」
希「江戸の味を2020へ…和菓子ひとすじ三百年、神田“穂むら”」
穂乃果「生徒会長さん」
絵里「なに?」
穂乃果「ハグさせてください!」
絵里「お断りします」
穂乃果「和菓子食べ放題!」
絵里「でも、こういうお店の和菓子ってお高いんでしょう?」
穂乃果「生徒会長さんは、お肌が白くてとってもキレイです」
絵里「はあ。…それで?」
穂乃果「お肌のケアをちゃんとしてる人なら、たぶん食べ過ぎたりしないはずですから。生徒会長さんが食べたい分だけなら、無料サービスの試食だけで足りるかなって。エヘヘ」
希「ちゃっかりしてるなぁ…」
絵里「どうして私なの?…あなたの両隣にいる人にすればいいじゃない」
穂乃果「ことりちゃんと海未ちゃんとは、お願いしなくても毎日してますから!」
海未「毎日は大袈裟ですよ」
ことり「最近の穂乃果ちゃん、どんどん知らない子にも抱きついてるもんね」
穂乃果「いかがでしょう!?」
絵里「…わかったわ。和菓子ってあまり食べたことないから、少し気になってたし…」
穂乃果「じゃ、じゃあ…いいですか?」
絵里「ええ。…どうぞ」ガタ
穂乃果「えへへ。じゃあお言葉に甘えて…」ギュー
ことうみ「…」
穂乃果「す、すごい…」ドキドキ
穂乃果(あのツインテールの子もスベスベだったけど、何かが決定的に違う…これは)
穂乃果「柔らかい!」
絵里「なに言ってるのよ///…もういいでしょう?」
穂乃果「嗚呼…し・あ・わ・せ♪」スリスリ
海未「なんだかアルパカと戯れることりみたいですね…」
絵里「変なこと考えてないで、連れて帰ってくれる?」
ことり「あ、はい。行こう穂乃果ちゃん」グイ
穂乃果「ああっ、そんな…もうちょっと堪能させてください><」
絵里「お菓子を食べてから、ね」
パタン
【矢澤家】
ここあ「おねえちゃんおそいね」
こころ「そうですね…」
【アーシャのアトリエ】
アーシャ「えーと…今度はドライハーブを…」
にこ「まだやってたの?…食事は?」
アーシャ「え?…あ、もう日が暮れちゃってる…ごめんね、おなか空いた?」
にこ「もう作ったわよ。そのへんにあった材料で適当に…すぐ終わらないんだったら一旦中断して食事!」
アーシャ「う、うん。そうする…ありがとね。ニコちゃん」
パナ「…」Zzz
アーシャ「おいしい♪」モグモグ
にこ「もうちょっと食材が欲しいわね…買い物とかどうしてるの?」
アーシャ「近くに人が住んでないから…涸れ谷を越えてリーゼンガングまで行かないとお店はないよ。たまに行商の人は来るけど」
にこ「まさか、交通手段って牛だけ?」
アーシャ「うん」モグモグ
にこ「とんでもない生活ね…」
アーシャ「まあ、パンとスープくらいは作れるし…材料だけまとめて買っておけば何とかなるよ」
にこ「そういえば…さっきチーズって言ってたけど、材料は?」
アーシャ「あ、そうそう。ナナカさんが時々売りに来てくれるの。ミルクやチーズとか…」
にこ「牛乳屋のトラックみたいな感じ?」
アーシャ「トラじゃなくて、ナナカさんは牛さんをたくさん連れて旅してるんだよ♪」
にこ(微妙に会話が噛み合わない…もしかして、車とか走ってない国なのかしら。毛深い牛がいるくらいだし)
アーシャ「ふぁー。じゃあ、もう寝よっか…狭くてゴメンね」
にこ「いや、私は別に床でも…」
アーシャ「そんなこと言わないで、お姉ちゃんと一緒に寝ようよー♪」ギュ
にこ「私はあんたの妹じゃないわよ」
アーシャ「わかってるけど、ニコちゃんってやっぱり少しニオに似てるんだもん。黒髪で、華奢で小っちゃくて。その割にしっかり者なところも」ナデナデ
にこ「いや、言うほど小さくないわよ!アーシャと2、3cmしか違わないし」
アーシャ「私のほうが5cmくらい高いよ」
にこ「つーか、あんたの妹…ニオ?どこ行ったのよ?」
アーシャ「わかんない。ずっと探してるんだけど…たぶん生きてるってことくらいしか…」
にこ「何があったの?…なんか変な事件?」
パナ「…ブモー」ムニャムニャ
アーシャ「…それで、光る花を集めれば何か手がかりに…」
にこ「…」スー
アーシャ「ニコちゃん?」
にこ「…」Zzz
アーシャ(寝ちゃってる…)
アーシャ「おやすみ。にこ…」ギュ
にこ「…」
チュン(・8・)チュン
アーシャ「うーん…ニオー?パナにごはん…」
アーシャ「!」ガバッ
アーシャ「ニコちゃん…いない」カサ
アーシャ「ん?…何か書いてある」
アーシャ「古代文字かな?…読めるけど」
『泊めてくれてありがと。…妹、見つかるといいわね』
アーシャ(また会えるよね?…にこ)
【朝・矢澤家】
にこ「…」ファー
にこ(私の部屋…やっぱり、ただの夢?)
にこ(でも…はっきり覚えてる。見たこともない薬草が採れる遺跡。変な声の毛深い牛。人里離れた家…そして、アーシャ)
にこ「そうだ。もらってきた薬草!」
『これがトーンで、こっちは虫除け草。あ、コケグサは他のと一緒に入れないでね。ニオイがうつっちゃうから…』
にこ「ちゃんとある…夢じゃなかったのね」
『それから薬草の干し葉と…私が作ったリーゼン軟膏。傷を治す塗り薬だよ♪』
にこ(どうやって帰ってきたのか思い出せない…寝てる間に、またアーシャが言ってた光る花でも出たかな?)
【音ノ木坂・生徒会室】
絵里「朝から何?」
穂乃果「ハグさせてください!」
絵里「また?…昨日したばかりじゃない」
穂乃果「毎日したいんです♪」
絵里「いいけど…私も、意味もなく生徒会室に居るわけじゃないのよ。そういう個人的な用事だけでここへ来るのは控えてくれる?」
ことり「アハハ…本当は用事があったんですけど…昨日も」
希「そうなん?」
海未「はい。薬草部設立の申請書を持ってきたのですが」
絵里「まさか、昨日提出するつもりだったの?」ギュー
穂乃果「えへへ♪」クンクン
絵里「匂いを嗅がないで!」グイグイ
穂乃果「ごめんなさーい><」
希「人数が足りないよ。部活は同好会でも最低五人は必要なん」
穂乃果「え。そうなんだ…どうしよう?」
ことり「あと二人、誰か入ってくれそうな人を探すしかないね」
海未「そうですね…出直し」
穂乃果「そうだ!生徒会長さんと副会長さん、入ってくださいよ!」
絵里「お断りします」
穂乃果「えー!なんでー!?」ブー
絵里「私たちは生徒会があるし…薬草部って何をするのよ?」
穂乃果「薬草の研究です!」
希「高坂さんは薬草っていうより、お肌にいい植物の研究やんな?」
穂乃果「えへへ。そうとも言うんですけど…」スリスリ
絵里「い、いつまでひっついてるの///…申請は却下よ。もう行きなさい」
穂乃果「はーい…」シュン
パタン
【屋上】
穂乃果「ハグさせて!」
真姫「それだけのためにわざわざ屋上まで呼び出したんですか?」
ことり「ううん。薬草部に入ってくれないかなって…」
真姫「薬草部?」ギュー
穂乃果「いててて><」
海未「ええ。あなたは薬草にも詳しそうなので…」
真姫「まあ、植物の薬効や毒性についてはだいたい把握してるつもりだけど…」
穂乃果「それなら話は早いね。是非薬草部に入って!」スリスリ
真姫「ヴェぇ…薬草部って、何をするつもり?」チョップ
穂乃果「いたっ><」
ことり「いろいろな薬草の研究。私は、もともとやってるんだけど…」
真姫「ふーん…」
【放課後・一年教室】
穂乃果「あの子どうなったのかな!?」
凛「さあ…でも確かに見ましたよね。赤く光って消えちゃったにゃ」
穂乃果「あの子もスベスベだったのに…もう会えないのかな!?><」
凛「惜しい人を亡くしたにゃ」
花陽「うぅ…かわいそう」グス
にこ「ちょっと。故人みたいに言わないでくれる?」
ほのりんぱな「!?」
花陽「で、でででで出たぁ!?」
凛「やっぱり幽霊なのー!?><」
穂乃果「えーと…誰?」
にこ「あんたたちが今話してたでしょーが!死んでないし幽霊でもないわよ!」
穂乃果「どれどれ…」ギュー
にこ「わ」
穂乃果「あ、ホントだ。スベスベでペッタンコ」
にこ「誰がペッタンコよ!?」ギュー
穂乃果「いててて><」
花陽「よ、よかったぁ…オバケとかじゃなかったんだ…」
凛「先輩だったんですねー」
穂乃果「あ、そうだ。あなたたちも薬草部に入ってくれない!?」
にこ「はぁ?…薬草部?」
【夕方・神田明神】
にこ「ほら、これがその薬草よ」
穂乃果「おぉー!…なんか普通の草に見えるけど」
にこ「じゃあ、これはどう?」バッ
穂乃果「くさっ!?」
にこ「コケグサっていうのよ。これも薬の材料になるらしいわ」
穂乃果「で、でもどうやって…その、なんとか薬草園に行くんですか?」
にこ「問題はそこよね…アーシャの話によると光る花のせいで私は向こうへ飛ばされたっぽいけど」
穂乃果「あ。光る花なら私持ってますよ」
にこ「マジ!?」
【高坂家】
穂乃果「なんか増えてる!?」
にこ「庭に植えたのね…つーか、今も光ってるし…」
穂乃果「植えたときは光ってなかったんですよ。どうして急…に」
にこ「!…この曲」
『うーつーろーのー、かーぜーひーとーつー♪』
穂乃果「えっ。…な、なに!?体が…」
にこ「よし。行けるわ!」
キラキラ
穂乃果「あ、あれぇ?穂むらが消えちゃった!?」
にこ「よく見なさいよ。景色が全然違う…消えたのは私たちよ」
穂乃果「え?…いや、目の前にいるじゃないですか」
にこ「そうじゃなくて、千代田区には居ないってこと。ほら、こんな場所見たことないでしょ?」
穂乃果「そういえば…変な柱と天井と、階段…?」
にこ「壁がなくて外の景色が見えるわね…」
穂乃果「ここが何とか薬草園ですか?」
にこ「いや、似てる部分はあるけど、こんなところじゃなかったはず…」
ヴ…
穂乃果「な、なんか生き物みたいなのが近づいてくるんですけど…」
にこ「な、何よあれ。鳥じゃないみたいだし」
穂乃果「えーと…わからないけど逃げたほうが良さそうな…」
ヴ!
にこ「こっちにもいるわよ!?」
穂乃果「ど、どうしよう!?」アワワワ
「はい、二人ともそのまま動かないで!」
ほのにこ「えっ」
「そりゃああぁ!!」ズドーン
にこ「どわぁ!?」
穂乃果「ひいぃ!?」
「ほい、一丁あがりっと…お嬢さんたち、ケガは無い?」
にこ「さっきのやつ、居なくなってる…あんたがやったの?」
穂乃果「あ、ありがとうございます。助けてくれて…」
「いえいえ。っていうかダメだよ。勝手に遺跡に入っちゃ…弱いスラグでも女の子だけじゃ危険だよ」
穂乃果「はあ。遺跡…?」
にこ「つーか、あんたも女の子でしょ」
「にひひ。子って歳でもないけどねー。私は発掘屋のレジナ・カティス」
穂乃果「発掘?…だからツルハシなんて持ってるんですね」
にこ「まさか、それでさっきの変な生き物を…」
レジナ「まあねー。これは私の商売道具兼武器なんだ。さっきのあれはスラグっていうの。機械仕掛けの生き物というか、生き物のような機械というか…」
穂乃果「機械…そういえば変な音がしてたね。ブン…って感じの」
にこ「それより、アーシャ・アルトゥールっていう薬師の女の子を知らない?金髪に花の髪飾りつけて、ヒラヒラした服着て…のんびりした感じの」
レジナ「なんだ、アーシャちゃんの友達だったんだ。家にいるよ。ついて来て」
【レジナの家】
アーシャ「にこ!」ギュー
にこ「わ」
アーシャ「もう。リーゼンガングに来るんだったら、お姉ちゃんに声かけてよ。一緒に来ればよかったのに…」
にこ「いや、だから私はあんたの妹じゃないっての」
レジナ「ニコちゃん?言われてみれば、ちょっとだけニオちゃんに似てるね」
穂乃果「あなたが、噂の薬師さん?」
アーシャ「噂は知らないけど、薬師のアーシャ・アルトゥールです」
穂乃果「珍しい薬草をいろいろ知ってるんですよね!?」
アーシャ「ええ、まあ…あなたは、にこのお友達?」
穂乃果「友達っていうか、薬草部の仲間です!私、高坂穂乃果っていいます」
レジナ「薬草…ぶ?」
穂乃果「はい!あの、アルルさん!」
にこ「ばよえーん!」
アーシャ「アルトゥールね。アーシャでいいよ」
穂乃果「アーシャさん!薬草部に入ってください!」
にこ「無茶言うわね…アーシャは音ノ木坂の生徒じゃないんだけど」
アーシャ「よくわからないけど…薬草のことなら何でも訊いて♪」
穂乃果「なんとか薬草園ってところ、私も行きたいです!」
にこ「アルトゥール薬草園」
レジナ「また遺跡めぐり?」
アーシャ「ほかの遺跡はよくわからないけど、薬草園なら案内するよ」
穂乃果「ありがとうございます♪」
レジナ「涸れ谷を通るんだったら、今夜はうちに泊まっていきなよ」
穂乃果「あ、あのー。もうひとつ、アーシャさんにお願いがあるんですけど…」
アーシャ「なに?…お薬の注文ならいつでも…」
穂乃果「ハグさせてください!」
アーシャ「えぇ!?」
穂乃果「矢澤先輩だけずるいですよ!」プクー
にこ「いや、アーシャが勝手にしてるだけだし…」
アーシャ「えーと…これでいいの?」ギュ
穂乃果「アーシャさんもお肌きれいですよね!白くて…」
レジナ「そうだねぇ。つい触りたくなっちゃう♪」
アーシャ「あはは…レジナさん…」
レジナ「ほい、ホノカちゃんはこっちね」
穂乃果「ありがとうございます♪」
レジナ「うーん。ナナカちゃんにホノカちゃん、ニオちゃんとニコちゃん…」
穂乃果「え?」
にこ「ちょっと。私の分は?」
レジナ「え?…ニコちゃんはお姉ちゃんと一緒でいいんだよね?」
アーシャ「はい♪」
にこ「妹じゃないっての…まあいいけど」
アーシャ「にこー♪」ギュー
にこ「ちょっ…そんなにくっつかないでよ///」
アーシャ「お姉ちゃんって呼んでもいいんだよ♪」
にこ「呼ばないわよ。…人前では」ボソ
アーシャ「ふふふ。じゃあ、二人きりのときだけ?」ナデナデ
にこ「いいから、さっさと寝る!」デコピン
アーシャ「いたっ><…はーい」
レジナ「若いっていいねえ…」シミジミ
穂乃果(矢澤先輩とアーシャさん、仲良しだなぁ…なんか、私も雪穂に会いたくなっちゃった。さっきまで家にいたのに…)
チュン(・8・)チュン
レジナ「そんじゃ、気をつけて行っといでー」
アーシャ「パナがいるから大丈夫です♪」
パナ「バモ!」
穂乃果「パナちゃんっていうんだ…よろしくね♪」ナデナデ
パナ「ブモモー♪」
にこ「発掘屋って普段は何してんの?」
レジナ「そのへんの遺跡に入ったりして、いろんな物を発掘するんだよ。石とか、石とか、石なんかが多いけど」
にこ「石ばっかりじゃない…」
レジナ「興味があったら一度フィルツベルクのバザールにおいでよ。私も店を出すからさ」
穂乃果「レジナさん。ありがとうございました!ごはん美味しかったです♪」
レジナ「大した物は出せないけどね。あれで良かったらいつでも作ってあげるよ。またおいで♪」
にこ「…そういえば、アーシャ」
アーシャ「なあに?」
にこ「レジナが言ってた店ってどこにあるの?」
アーシャ「ああ、フィルツベルクのバザール。北西に大きな街があるの。ちょっと遠いけど、買い物するならそこが一番だよ。いろんなお店があるから…」
穂乃果「薬草もいろいろありますか!?」
アーシャ「んー。珍しい草なら、たまにベルちゃんのお店にあるかな。でも、薬草だったら生えてるところへ摘みに行ったほうが早いよ」
にこ「東京じゃ考えられないわね…そこらじゅうに生えてるもんなの?」
アーシャ「割とどこにでもある薬草と、決まったところにしか生えない物があるの。珍しい草は採りに行くのも結構大変かな」
穂乃果「もしかして、あの光る花も…」
アーシャ「!…ホノカちゃん、光る花を知ってるの!?」
穂乃果「は、はい。UTXに咲いてたのを摘んで、持って帰って庭に植えてみたら、なんか増えちゃって…」
にこ「その光る花のせいであの薬草園に飛ばされたのよ。今回は違う遺跡に出ちゃったけど…」
アーシャ「遺跡…じゃあやっぱり、光る花と遺跡って関係あるんだ…」
穂乃果「アーシャさんでも光る花のことはわからないんですか?」
アーシャ「う、うん。一応集めて調べてみてるんだけど…まだ、あれがどういう物なのかよくわからないの」
にこ「ニオが居なくなったっていうのも光る花と関係あるんでしょ?」
アーシャ「うん。…光る花が咲く場所に、ニオが現れたことがあって。だから、にこと初めて会ったときも…」
にこ「私を妹と勘違いした?」
アーシャ「だって、ほとんど同じ状況だったし、にことニオは少し似てるし…」
キキッ
ほのにこ「…ん?」
アーシャ「涸れ谷に入るよ。…二人とも気をつけて。ここはいろいろ出るから」
にこ「出るって…さっきの青いボールみたいなのとか!?」
アーシャ「スラグは涸れ谷には多分いないけど…もっと危険な獣とかが出るかも」
穂乃果「けもの…」
『メ゙ェェ』
『フガッ』
パナ「ブモ?」
にこ「アハハ。あんたも獣だったわね」
トテテテ…
穂乃果「なんかいるよ!?」
コツン
にこ「どわぁ!?…な、何よ?」
アーシャ「あれはフルーツハムスターだよ。薬草園にもいるの。いたずら好きの小動物」
穂乃果「へー。なんか可愛いね♪」
アーシャ「木の実を投げつけてくるから、逃げたほうがいいよ。噛まれると結構痛いし」
にこ「獣ってこれのこと?」
アーシャ「ううん。もっと大きい肉食の獣が出ることもあるから…この辺りに長居は無用」
ドタバタ
アーシャ「この先に私のアトリエがあって、その向こうに薬草園の遺跡があるの。アトリエに寄っていく?」
にこ「アトリエは帰りでいいんじゃない?」
穂乃果「そうですね…それでいい?パナちゃん」
パナ「バモ!」
「こらー!素通りして行くなー!」プンプン
ほのにこ「えっ」
アーシャ「ベルちゃん!来てたの?」
ウィルベル「アーシャが実家のほうに帰ってるって聞いたからわざわざ来たのに、居ないんだもん!」
アーシャ「ごめん、ごめん…私がリーゼンガングにいる間に来てたんだね」
穂乃果「えーと…?」
アーシャ「この子はウィルベルちゃん。魔ほ」
ウィルベル「こらこら。何さらっとバラそうとしてんの!」
アーシャ「あ、ゴメン。秘密だったね…」
ウィルベル「もしかして…ねえ。どっちがアーシャの妹?」
アーシャ「こっちだよ。ね、にこ♪」ギュ
にこ「いや、妹じゃないって」
ウィルベル「じゃあ、あんたが妹?」
穂乃果「違うよ。私は高坂穂乃果」
ウィルベル「じゃあ、やっぱり黒髪のほうが妹だ」
にこ「つーか、そういうあんたはアーシャとどういう関係よ?」
アーシャ「お友達」
ウィルベル「先輩よ!」
穂乃果「ああ、アーシャさんの弟子ですか?」
にこ「薬師の見習いか助手ってとこ?」
ウィルベル「ちーがーうー!あたし“が”アーシャ“の”先輩!」
穂乃果「どう見ても小っちゃいけど…」
ウィルベル「小っちゃくないし!そんなこと言ってるとウィルベル様の大魔法であんたなんかカエルにしちゃうかんね!」
アーシャ「ベルちゃん。自分でバラしてるよ」
穂乃果「なんだか矢澤先輩とちょっと似てる…」
にこ「なんか言った?」
穂乃果「いいえ」
ウィルベル「ま、でも妹が帰ってきて良かったね。アーシャ」
アーシャ「ううん。にこは帰ってきてくれたけど、ニオはまだ見つからないの…」
ウィルベル「え、じゃあアーシャの妹って二人いるんだ?ニコにニオ?名前も似ててまぎらわしい…」
にこ「いや、私は妹じゃないけどね」
アーシャ「そうだ。ベルちゃん、ホノカちゃんを乗せてあげてくれないかな?薬草園に行きたいんだって」
ウィルベル「薬草?あんた、草なんか食べるの?」
パナ「バモ?」
穂乃果「いや、パナちゃんじゃないから…食べるっていうか、珍しい薬草に興味があるの」
ウィルベル「ふーん。アーシャと同じ植物ヲタクなんだ」
アーシャ「あはは。ヲタクって…」
ウィルベル「アーシャの頼みなら、いいよ。連れてってあげる。あたしの大魔法に驚いて落っこちないでよ?」
アーシャ「やっぱり自分でバラしてるよね?」
穂乃果「えーと…乗せてあげるって、私は何に乗るの?」
ウィルベル「ホウキに決まってんでしょ。魔法使いが空を飛ぶ方法って言ったら、昔からこれが定番なの」
アーシャ「完全にバラしちゃってる…」
穂乃果「アハハ。魔女の宅急便でも観てたの?」
にこ「やっぱり子供ね。魔法使いなんているわけ…」
ウィルベル「ちょっと!このあたしの力を信じられないっていうの!?どこからどう見ても大魔法使いでしょ!」
アーシャ「実際に見せてあげたらいいんじゃないかな?」
ウィルベル「まったく。どいつもこいつも…わかったわよ。あんた…ホノカ?後ろに乗りなさい」
穂乃果「後ろって…ホウキのふさふさした部分?」
ウィルベル「もっと前に詰めないと落っこちるわよ。いい?せーので飛ぶかんね!」
にこ(アーシャも言ってるし、まさか本当に飛べるの…?)
アーシャ「じゃあ、にこ。私たちはパナと一緒にゆっくり行こ♪」ギュ
にこ「あ、うん」
パナ「バモ♪」
穂乃果「わあっ!?あ、足がつかない…浮いてる!?」
ウィルベル「浮くだけじゃないわよ。あたしが本気を出せば薬草園どころか、西の果ての砂漠までだってひとっ飛びなんだから!…ほら、しっかり捕まってないと、落っこちたって知らないよ!」
穂乃果「わわっ、ちょっと待ってー!><」
ビューン
にこ「ホントに飛んでっちゃった…ねえ、アーシャ。この辺りじゃ魔女とか当たり前なの?」
アーシャ「…」
にこ「アーシャ?」
アーシャ「お姉ちゃんって呼んでよー」
にこ「あ、あんた…まだ言ってんの?」
アーシャ「二人きりのときは呼んでくれるって言ってたのにー」
にこ「パナがいるわよ」
パナ「ブモモー」
アーシャ「パナはいいの。牛さんだから“人”じゃないし」
にこ「ったく…じゃあ、お姉ちゃん」ボソ
アーシャ「もう一回」
にこ「お姉ちゃん!」
アーシャ「にこー♪」ギュー
にこ「何やってんだか///」
【薬草園】
ウィルベル「はい、到着っと。どう?速いでしょ?」
穂乃果「…うっぷ」
ウィルベル「あら、あんたホウキ酔い?だらしないわねー」
穂乃果(普通の人はホウキに乗って飛んだりしないよ…)
ウィルベル「さてと…あたしはあんまり興味ないけど、そのへんの草とか見てみなさいよ。結構使える材料があるから」
穂乃果「見たこともない草がいっぱい…どれが薬草なの?」
ウィルベル「これは魔法の触媒にもなるトーンよ。たくさん生えてるから、好きなだけ摘んでいけば?」
穂乃果「トーンっていう草なんだ?どういう効果があるの?お肌にいい?」
ウィルベル「お肌?いや、アーシャに訊かないとそこまで知らないわよ」
穂乃果「あ。忘れてた!」
ウィルベル「なに?薬草入れておくカゴでも忘れた?」
穂乃果「ベルちゃん。ハグさせて!」
ウィルベル「ちょっと待った。その呼び方していいのはアーシャだけよ!」
穂乃果「えっ。じゃあ…えっと、ウィルベルちゃん?」
ウィルベル「ん」
穂乃果「ハグしてもいい?」
ウィルベル「そんなことしてどーすんの?言っとくけど凡人が魔法使いを捕まえたって魔力が伝染ったりしないかんね」
穂乃果「魔力とかはよくわかんないけど、ウィルベルちゃんもお肌キレイだし」
ウィルベル「お肌ねえ…何も特別なこととかしてないけど」
穂乃果「じゃあ、いくよー♪」ギュー
ウィルベル「あっ、危ない!」ゲシッ
穂乃果「ふぎゃ><」
ガサガサッ
ウィルベル「あっち行きなさい!」バチッ
キキッ
ウィルベル「ふー。ホノカ。大丈夫?」
穂乃果「いててて…いきなり突き飛ばさないでよー」
ウィルベル「あんたの後ろに草のエレメントがいたのよ。あたしが魔法でパパッと追い払ってあげたんだから感謝してよね」
穂乃果「えれめんと?」
ウィルベル「そ。どこにでもいる弱い精霊よ。たまに人間に襲いかかる攻撃的なやつもいるの」
穂乃果「アハハ。精霊って…ゲームなんかに出てくるやつ?」
ウィルベル「まだそのへんにいるわよ。ほら、あの木の上にも」
穂乃果「えー?…あ。なんか動いてる…何あれ?」
ウィルベル「あれは木のエレメント。むやみに近づかなければ襲ってこないし、飛ぶのもゆっくりだから簡単に逃げられるわ」
穂乃果「ふーん…変わった生き物がいろいろいるなぁ…」
ウィルベル「ほらほら、今のうちにさっさと薬草摘みなさいよ。なんか出たらあたしが追い払ってあげるから!」
パナ「ブモー♪」モシャモシャ
にこ「思いっきり食べてるわね…このへんの草って牛が食べても大丈夫なの?」
アーシャ「うん。今のところ薬草園に毒草とかはないはずだよ。外から持ち込まないかぎり大丈夫」
にこ「そ。じゃあ、私たちも適当に摘んでいきましょ」
アーシャ「にこ。私のお薬とか使ってみた?」
にこ「いや、まだよ。特にケガとかしてないし…ここあが擦り傷でもつくって帰ってきたら塗ってやるわよ。あの…なんとか軟膏」
アーシャ「リーゼン軟膏。…ところで、ココアって?」
にこ「妹よ」
アーシャ「にこにも妹いるんだ?」
にこ「二人ね。私が長女だから姉はいないの」
アーシャ「お姉ちゃんならここにいるじゃない♪」ギュー
にこ「いちいち抱きつかないでよ///」
アーシャ「抱きしめてるの」
にこ「どっちでも同じよ!」
アーシャ「お姉ちゃんって呼んでくれたら離してあげる」
にこ「もう…離してよ。お姉ちゃん」
アーシャ「」ズキューン
にこ「お姉ちゃん?」
アーシャ「にこー♪ずっとお姉ちゃんと一緒に暮らそう!」ギュー
にこ「ちょっ…こら、アーシャ!離れなさいっての><」ジタバタ
穂乃果「たくさん採れた…けど、こんなに採っちゃって良かったのかな?」
アーシャ「余った分は置いてってくれれば、私がお薬作るのに使うよ」
ウィルベル「魔法の触媒にもなるしね」
穂乃果「ウィルベルちゃんも薬草部に入らない!?」
ウィルベル「薬草ぶ?なにそれ?」
にこ「だから音ノ木坂の生徒じゃないでしょ…どう見てもせいぜい小5か6くらいじゃない」
穂乃果「えっと…ウィルベルちゃんって十歳くらい?」
ウィルベル「十四よ!バカにしてんの!?」プンプン
穂乃果「雪穂と同い年…ホントに!?」
ウィルベル「若くして天才が現れることは魔法使いの間じゃそんなに珍しくないわよ♪」フフン
穂乃果(もっと年下にしか見えないって意味だったんだけど…)
にこ「つーか、魔法のことは秘密じゃなかったの?」
アーシャ「う、うん…まあ、この辺りは私の家以外に人は住んでないから大丈夫じゃないかな?」
ウィルベル「それよりアーシャ、もうひとりの妹…ニオだっけ。探しに行かないの?」
アーシャ「もちろん行くよ。準備ができたら、あと一人誰か誘って…」
ウィルベル「あと一人?…あのでっかい剣か、ツルハシと爆弾?」
アーシャ「リンカさんとレジナさんだね」
ウィルベル「あんな歩く危険物よりあたしを頼ってよ!」
アーシャ「そこまで言わなくても…っていうか、ベルちゃんの魔法もたいがいって気がしなくもないような」
ウィルベル「と・に・か・く。あたしが手伝ってあげるから、アーシャにはあたしがいればいいの」
穂乃果(ウィルベルちゃんもアーシャさんのことが大好きなんだね♪)
アーシャ「じゃあ、にこはお姉ちゃんと一緒ね♪」ギュ
にこ「はいはい…」
ウィルベル「ちょっとー!アーシャの隣はあたしの定位置でしょ!?」
アーシャ「じゃあ、ベルちゃんはこっちね」
穂乃果(いいなあ…)
アーシャ「ねえ、にこ?」
にこ「なに?」
アーシャ「また…会いに来てくれる?」
にこ「そーね…向こうにある光る花、採ってくる?」
アーシャ「うん。一輪あれば何とか…」
にこ「じゃあ、次来るとき持ってくるわ」
ウィルベル「へー。あんたたちも調べてるんだ。あの変な花」
穂乃果「矢澤先輩が消えたとき咲いてたのを摘んで、試しに植えてみただけだよ」
ウィルベル「ヤザワって誰?」
にこ「私よ。矢澤にこ」
ウィルベル「じゃあヤザワ・ニコ・アルトゥールっていうの?」
にこ「いや、ミドルネームじゃないんだけど…」
穂乃果(妹ってとこはもう否定しないんだ…)
『たーゆーたーうー、とーきーひーとーつー♪』
キラキラ
ウィルベル「…」Zzz
アーシャ(にこ。お姉ちゃん、頑張ってニオを探すからね。いつか、一緒に…)
【翌朝・高坂家】
穂乃果「雪穂ー♪」ギュー
雪穂「な、なに?」
穂乃果「雪穂はどこにも行っちゃやだよ?」
雪穂「いや、学校行くけど」
【夕方・矢澤家】
ここあ「しみない!」
にこ「この薬、よく効くって評判なんだって。えーと…リーゼン軟膏」
ここあ「ありがとー!おねえちゃん♪」ギュー
にこ「こらこら。薬がついちゃうわよ」
にこ(早速擦り傷つくってくるなんて…ホント元気ね)クス
こころ「お姉さま。これは…?」
にこ「アーシャがくれた熟成ティーリーフ。後で紅茶淹れてあげる」
にこ(でも…光る花はいつでも光るわけじゃないみたい。二度目に帰ってきてから、まだアーシャたちには会えてない)
【後日・音ノ木坂】
穂乃果「っていうことがあったの!」
真姫「…夢の話?」
穂乃果「違うよ。ほら、ちゃんと薬草もあるし!」
凛「先輩、変なハーブとかでおかしくなったんじゃ…」
穂乃果「ちがうよー!><」
花陽「でも、ホントに珍しい草ですね…見たことないかも…」
穂乃果「でしょ!?これ、牛さんの大好物なんだ。パナちゃんっていう牛さんが美味しそうに食べてたよ♪」
花陽「ぱな?」
【八月】
にこ(薬草園の珍しい植物やアーシャがくれた薬のおかげで、なんとか音ノ木坂の廃校は回避できたけど…)
穂乃果「この花、全然光らなくなっちゃったね…」
にこ「そーね。枯れたりはしてないけど、全然向こうへ行けない…」
にこ(夏休みなんだから別に学校来なくていいし、今こそアーシャのところへ行きたいのに…)
「あーなーたーをー、さーがーぁしーてー♪ あーーるーいーていーたー」
ほのにこ「!?」
絵里「あーなーたーのー、こーとーぉばーをー♪ くーーりーかーえしーてー」
にこ「絵里!あ、あんた…その歌!?」
絵里「え?(私の好きなゲームの曲だけど)この歌がどうかした?」
穂乃果「もしかして…」
にこ「あり得るわね…絵里、続けなさい!」
絵里「え、ええ。いいけど…」
絵里「たーゆーたーうー、とーきーひーとーつー♪ あーやーなーすー、このーりーんーねーよー」
凛「にゃ?…呼んだー?」
ほのにこ「呼んでない」
キラキラ
穂乃果「花が光った…!」
にこ「けど、何も起こらないわね…」
にこ(アーシャがくれた薬草の干し葉も、だいぶ香りが飛んじゃったわ。あのアトリエや薬草園の匂いは、今でも思い出せるのに…)
【部室】
にこ(はぁ…あのときと何が違うのかしら。そもそもどうしてあの花がUTXに…)ガチャ
「にこ!」
にこ「えっ。…どわぁ!?」
「にこー!逢いたかったよー!><」ギュー
にこ「ちょっ…アーシャ!?なんでいるのよ!?」
アーシャ「遺跡で見つけた花が光ったら、私が飛ばされちゃったみたいで…ここどこ?不思議な部屋だね」
にこ「アーシャ…もう会えないかと思ったわ」フルフル
アーシャ「待って、にこ。“お姉ちゃん”でしょ?」
おわり
まあやってるけど
リディスルが思いの外モブっぽくてうーんて感じ