チュン チュンチュン…
鞠莉「すー、すー…ん…」モゾ
鞠莉「ん、んんー…あさ…?」モゾモゾ
「鞠莉ちゃん、おはよう」
鞠莉「ふぁぁ…おはよう、曜――」ムクッ
大きな赤い袋のようなもの「…」
鞠莉「!?」ビクッ
鞠莉「な、なにこれ!」バッ
大きな赤い袋のようなもの「…」
鞠莉「抱き枕…?いえ、そんなもの買った覚えはない。曜がいるし」
鞠莉「その曜の代わりに、どうしてこんなものが私のベッドに…」
大きな赤い袋のようなもの「…」モゾモゾ
鞠莉「ひゃっ!」
モゾモゾ
鞠莉「う、動いてる…中に何か入ってるの?」
モゾモゾ
鞠莉「…もしかして」オソルオソル
スポッ
曜「おはヨーソロー!」
鞠莉「曜!」
曜「へへー、びっくりした?」
鞠莉「びっくりしたも何も…なんなの、これは一体」
曜「見てわからない?靴下だよ、ほら!」スクッ
鞠莉「た、立った!」
曜「ね、ちゃんと靴下してるでしょ!」モゾモゾ
鞠莉「確かに、こうやって全体を見ると、ちゃんと靴下になってるけど…」
曜「でしょー」フリフリ
鞠莉「顔だけ出して動いてるから、靴下というより着ぐるみみたいだけど」
曜「あれ、リアクション薄いなぁ。微妙だった?
鞠莉「微妙っていうか、まだ自分の中でうまく処理できてないっていうか」
曜「鞠莉ちゃん、朝はテンション低いもんねー」
鞠莉「や、そういうことじゃないと思う…」
曜「それとも、今日はおねぼうさんの日だった?ダメだよ、せっかくのクリスマスなんだから!」
曜「いつも以上にシャイニーでヨーソローしないと!敬礼っ!」グググッ
鞠莉(頭しか出てないから、全然敬礼になってない)
鞠莉「クリスマスと言うには気が早いんじゃない、まだ23日よ?」
曜「だからこそだよ!明日からクリスマス本番を迎えるにあたって、楽しい気分を盛り上げていきたいなーって思って!」
鞠莉「そ、そうなんだ」
曜「これ、どう?どう?」フリフリ
鞠莉「んー…」
鞠莉(靴下に入って、顔だけ出した曜。ヘンテコな光景だけど、曜がやると可愛く見えるから困っちゃう)
曜「鞠莉ちゃん。可愛いと思ったなら、素直にそう言ってくれていいんだよ?」
鞠莉「っ!?」
曜「ふふ、図星だったみたいだね」
鞠莉「な、なんでわかったの?」
曜「鞠莉ちゃんの考えてることなんて、マルッとお見通しデース!」
鞠莉「む…」
曜「あー、まだ笑ってくれない。笑ってよー、渾身のモノマネだったでしょー」ユサユサ
鞠莉「んー」ツーン
曜「むむ、今日のおねぼうさんはやけに手強いぞ…」
鞠莉「んー」
曜「そっちがその気なら…ダウナーな鞠莉ちゃんもテンションが突き抜けちゃう、クリスマスならではのとっておきを見舞いしちゃうよ!」
鞠莉「はぁ」
曜「あ、信じてないな。そうしてられるのも今のうちだからねっ!」
曜「刮目せよ!とうっ!」ポスッ
鞠莉「…ベッドに横たわって、今度は何をするつもり?」
曜「ふふっ。この時期、枕元に置いた靴下の意味するものといえば、ただ一つだよ」
鞠莉「あっ…?」
曜「今年一年、いい子にしてた鞠莉ちゃんに、世界に一つしかない特別なクリスマスプレゼント!」
曜「プレゼントは私だよ!もらってくれたら、嬉しいなっ!」
鞠莉「!」
曜「へへっ、なーんちゃって!」
鞠莉「…」
曜「いざやってみると、少し恥ずかしいもんだね。我ながらはしゃぎ過ぎちゃったかなー」テレテレ
鞠莉「…」
曜「でも、これで鞠莉ちゃんが元気出してくれたら嬉しいなって――」
鞠莉「曜」スクッ
曜「ん?」
鞠莉「悪いけど、そのまま少し待っててね」スッ
曜「うん?」
鞠莉「すぐ来るから。動いちゃダメよ?」
ガチャ バタン
スタスタスタ…
曜「行っちゃった。なんだろう」
スタスタスタ ガチャ
鞠莉「ふふ、ただいま♡」
曜「おかえり、何してたの?」
鞠莉「ちょっと顔を洗って、歯を磨きにね」ホラ
曜「あ、本当だ。なんでいきなり?」
鞠莉「こういう時のエチケットは、大事だからね」
曜「エチケット?」ハテ
鞠莉「曜」ズイッ
曜「わっ。ま、鞠莉ちゃん?なんか目が怖いんだけど」
鞠莉「そんなことより、さっきの話。ひとつ確認しておきたいんだけど」
曜「う、うん」
鞠莉「プレゼントってことは、私が好きにしていいってことよね」ガシッ
曜「え?」
鞠莉「曜が私のものになってくれるってことで、いいのよね」ズイッ
曜「え、え!?まさか本当にスイッチが入っちゃったの!?」
鞠莉「ええ。効果は抜群よ。さすが曜だわ」
鞠莉「マリーのこと、なんでもお見通しなんだもんね」クスッ
曜「ま、待って!さっきのは言葉の綾っていうか、行き過ぎた表現だったっていうか」
鞠莉「謙遜する事ないわ」スンスン
曜「ええっと…そ、そうだ!朝ご飯、まだ準備してなくて」
鞠莉「これからご馳走になるから大丈夫」スリスリ
曜「わっ!?待って!待ってってば!」ジタバタ
鞠莉「ふふっ。その格好だと、逃げられないよねぇ」
曜「しまった、裏目に出た!」
鞠莉「プレゼント、とっても嬉しいわ」ポスッ
曜「わ、わあっ…」
曜(ベッドに倒された…!)ドキドキ
鞠莉「好きよ、曜…」スッ
曜「まり、ちゃ――」
…………………
鞠莉「〜♪」ニコニコ
曜「もう、鞠莉ちゃんてば…朝からなんてことするのさ…」カァァ
鞠莉「誘って来たのは、曜の方だよ?」
曜「別に誘ったわけじゃ…ないとも言えないけど…」
鞠莉「曜がチャーミングすぎるのがいけないの。あんなことされたら、我慢できるわけないじゃない」ニコニコ
曜(…結果的にご機嫌だし、いいかな)ニコ
曜「こほん…『おねぼうさん』の影響で、今日の段取りが崩れちゃったんだから。鞠莉ちゃんも協力してよね」
鞠莉「はーい♪」
鞠莉「それにしても、さっきの靴下にはあっけに取られたわ。どうしたの、あれ」
曜「凄いでしょ。試行錯誤を重ねて作り上げた自信作だよ」
鞠莉「ハンドメイドなの?」
曜「全身サイズの靴下なんて、ふつう売ってないからね。久しぶりに頑張ってみたんだ」
鞠莉「確かに結構しっかりした作りだったけど。よく作ったわね」
曜「作るのもそうだけど、見つからないようにするのが大変だったよー」
鞠莉「2人暮らしだしね。どうしてたの?」
曜「室内に置くとバレちゃうから、とりあえずベランダに下げたりとかしてた」
鞠莉「ご近所から見たら、クリスマスをめちゃくちゃ楽しみにしてる人みたいじゃない!?」
曜「ふふ、冗談だよ」
鞠莉「どこまで本気かわからないから怖いのよ」
曜「でも、だから面白い。でしょ?」
鞠莉「まぁ、ね?」
曜「ふふっ」
鞠莉「ふふ。相変わらずエンターテイナーですこと」
曜「いやいや、鞠莉ちゃんにはかないませんって」クスクス
…………………
曜「街はクリスマス一色だね。素敵だな」
鞠莉「ふふっ。そんな中を、曜と買い物袋を下げながら歩くことになるとは思わなかったわ」
曜「そだねー。…せっかくのクリスマスムードなのに、荷物持たせちゃってごめんね」
鞠莉「曜?」
曜「明日の分だけじゃなくて、年末年始用の食材もまとめ買いしちゃったから…これじゃ、手も繋げないし…」
鞠莉「もう、気にしすぎよ。こういう生活感がある買い物も素敵だって言いたいの」
曜「でも…」
鞠莉「それに、今日買い物を済ませたおかげで、年末年始にやらなきゃいけないことが一つ減ったわ。2人で過ごせる時間が増えたってことなんだし」
鞠莉「だから、ね?」
曜「鞠莉ちゃん…ありがと!」
鞠莉「ん」ニコ
曜「Aqoursでクリスマスパーティしたとき、一緒に踊ったの覚えてる?花丸ちゃんの歌声にあわせてさ」
鞠莉「大切な思い出よ、忘れたりしないわ。懐かしいね」
曜「うん、本当に…」
鞠莉「曜…?」
曜「…へへっ、なんでも!」
鞠莉「…また、みんなで踊ろうね」
曜「うんっ!」
鞠莉「ふふっ。さ、家に帰ったら、一足早い乾杯といきましょうか」
曜「いいね!でも、ノンアルコールでね」
鞠莉「えー!?」
曜「明日の準備もしなきゃいけないしさ。今日はお酒はおあずけです」
鞠莉「そんな!」
鞠莉「楽しみは本番までとっておこうよ」
鞠莉「マリー、ワインが飲みたいー」
曜「先月も『お酒は克服したから!』って豪語して飲み会に出て行って、結局酔い潰れてお迎えが必要になったのはどこの鞠莉ちゃんだっけ?」
鞠莉「それは、えっと…その節はどうも…」
曜「うっかり飲みすぎちゃって、明日は二日酔いーなんてことになったら、もっと後悔しちゃうよ?」
曜「明日はお家でディナーだし、たくさん飲んでもいいから。ね?」
鞠莉「はぁい…」
曜「ふふ、我慢できるいい子には、きっとサンタさんが素敵なプレゼントをくれるよ」
鞠莉「マリー、いい子になります…」
曜「ん、よろしい」クスクス
…………………
曜「では、本日はクリスマスの練習の練習ということで」
鞠莉「ええ。お手にグラスを用意して」スッ
ようまり「カンパーイ!」チーン
曜「えへへっ。…あ、これノンアルだけど美味しいね」
鞠莉「ん…そうね」
曜「今の間。やっぱりアルコール入りが良かったって思ったでしょ」
鞠莉「マリーはいい子だから、そんな事思ってませーん!」
曜「ふふ、えらいえらい」ニコッ
鞠莉「ね、今夜は着ないの?朝の全身靴下は」
曜「全身靴下って。人の力作を全身タイツみたいな言い方してー」
鞠莉「ごめんごめん」クスッ
曜「もうっ。まぁ、明日も明後日も他に考えがあるし、二日連続となるとインパクト弱いからね。もう出番は無いかなー」
鞠莉「せっかく手間暇かけて作ったのに、一回しか使わないのも勿体無いんじゃない?」
曜「あ、じゃあ鞠莉ちゃんが使う?」
鞠莉「それは遠慮しておくわ」
曜「即答…なら、次のクリスマスのお楽しみってことで!」
鞠莉「来年まで取って置くつもりなんだ」
曜「うん!なんだかんだで楽しかったし」
曜「朝から、良いこともあったしね」ボソッ
鞠莉「ん、何か言った?」
曜「いいえ、何もー?」
鞠莉「曜。良いことがあったなら、素直に言ってくれた方が嬉しいな」
曜「えっ!?な、なんでバレたの?」
鞠莉「んー、相手の事をよく分かってるのは、曜だけじゃないってことかな?」
曜「流石は鞠莉ちゃん、お見それしました…なんてね?」
鞠莉「うふふっ」
曜「あははっ!」
曜「明日も明後日も、素敵なクリスマスにしようね!」
鞠莉「ええ!プレゼント期待してるわよ?私の可愛いサンタさん♡」
終わり
>>16
ネタ元をわかってもらえたので満足です。
ありがとうございました。 素敵なお話ありがとうございます
ようまりもっと流行れ!
|c||^.- ^|| 行為中のシーンはまだですの?