曜「思ったんだけどさ、鞠莉ちゃんって猫っぽいよね」
果南「あー、そうかも」
ダイヤ「言われてみれば」
曜「幼馴染の二人から見ても、そう思う?」
果南「そうだね。好奇心旺盛だし、普段の気まぐれで自由な感じとかは、見てると猫っぽいなって思うよ」
ダイヤ「では、理事長モードの真面目な鞠莉さんは、さしずめ借りてきた猫ってところですかね」クスクス
果南「いやいや、学校への寄付額を考えると、招き猫かもよ?」
曜「あはは、やっぱり猫だね!」
果南「鞠莉の場合、少なくとも犬ではないかなー」
ダイヤ「そうですね。むしろ、犬っぽいのは曜さんの方ですね」
曜「あっ。それよく言われるんだけど、そうなの?」
果南「元気で人懐っこいところとかさ、犬そのものだと思うよ」
ダイヤ「ええ、しっぽと犬耳が見えるようですわ」
曜「ええっ、そんなに?」
ワイワイ キャーキャー
善子「…ふむ」
善子「確かに、マリーは猫って感じするわね」
善子「リトルデーモン・マリー。その正体はなんと猫の化身であった、とか…ふふ、悪くないわ。今度提案してみよう」メモメモ
善子「まあ、それはそれとして…」チラ
梨子「…」カァァ
花丸「…」モジモジ
善子「どうしてこの二人は、さっきから顔を赤くしてモジモジしてるのかしら」
梨子「鞠莉さんがネコだなんて…曜ちゃん、部室でなんて話をしてるの!?」ヒソヒソ
花丸「ダイヤさん達も否定しないし…仲が良いとは思ってたけど、これってもしかして…!」ヒソヒソ
善子「あらあら。リリーはともかく、ずら丸までそっち方面の話をするなんて…」
梨子「これは凄いことになりそうだよ、花丸ちゃん!」
花丸「そうだね、梨子ちゃん!」
善子「リリーの乙女趣味に影響されちゃったのかしら。文学少女は夢見がち、とは言ったものだけど、やれやれね」
曜「猫と言えばさ、こないだこんなことがあって――」
……………………………………
曜「おーい、おいでー」
猫「…」ジロ
曜「怖くないから。ほらほら、おチビちゃーん」フリフリ
猫「!」ササッ
曜「ありゃりゃ、隠れちゃった」
鞠莉「曜?」
曜「あっ、鞠莉ちゃん!」
鞠莉「そんなところにかがんで、何してるの?」
曜「いいところに来たね。見て見て」
鞠莉「んー?あら」
猫「…」
曜「通りかかったら見つけてさ。可愛いよねー」
鞠莉「でも、奥に隠れちゃってるわね」
曜「そうなんだよ、呼んでも来てくれなくて」
猫「…」ジロ
鞠莉「しかも、少し警戒してるみたい」
曜「そうなの?」
鞠莉「こちらの様子を伺いながら、少しこわばってる。何かあったらすぐに逃げるか、攻撃するためにね」
曜「ええっ、そんな!変なことするつもりは無いのに…」
鞠莉「何かしたの?」
曜「何度か呼んだり、手招きしたりとかは…」
鞠莉「動物ってデリケートだからね、特に猫は。こちらにその意図が無くても、猫にとってはストレスなのよ」
曜「そうなんだ…チビちゃん、ごめんね」
猫「フーッ!」
曜「うわわっ!」
鞠莉「あらあら、相当ナーバスね」
猫「…」ススッ
曜「ああ、さらに奥に引っ込んじゃった…」
猫「…」ジッ
曜「なんか怖い顔しちゃってるし…」
鞠莉「やれやれ、仕方ないわね」スッ
曜「鞠莉ちゃん?」
鞠莉「さあ、おいで」
猫「フーッ!」
曜「ま、鞠莉ちゃん!危ないよ!」
鞠莉「しっ。静かにしてあげて」
猫「…?」
鞠莉「大丈夫だから。怖くしないよ、おいで」
猫「…」スクッ
曜「動いた!」
鞠莉「しっ。目を見ちゃダメよ」
曜「ん!」コクコク
猫「…」トコトコ
曜(すごい、自分から近づいてきた)
鞠莉「そうよ、良い子ね」
猫「…」ピタ
曜(一歩手前ってところで止まった…さすがに用心深い)
鞠莉「ふふ、来てくれてありがとう。触るね?」スッ
猫「…!」ビク
鞠莉「大丈夫よ。マリーとお友達になりましょ」ナデナデ
猫「…」ジー
曜「すごい…撫でさせてくれてる!」
猫「にゃあ」ゴロン
曜「あっ、お腹を見せて寝転んだ!」
鞠莉「そうね、良い子よ」ナデナデ
猫「♪」ゴロゴロ
曜「喉を鳴らし始めたよ!」
鞠莉「どうやら、気を許してくれたみたいね」ナデナデ
曜「すごい!すごいよ、鞠莉ちゃん!」
猫「!」ビク
曜「あっ」
鞠莉「曜のことは、まだちょっと怖いみたい」
曜「そんな…」
鞠莉「大丈夫だよ、怖くないよ。よっと」ヒョイ
猫「にゃ」
曜「わあ、抱っこまで!」
鞠莉「この子はね、マリーと同じで、キミと仲良くなりたかっただけなの。許してあげて」
曜「ごめんね、チビちゃん…」
猫「にゃあん」
鞠莉「許してくれるって。よしよし、良い子ね」ナデナデ
猫「にゃー♪」
曜「わあっ、ありがと!」ナデナデ
猫「♪」ゴロゴロ
曜「かわいいー!」
鞠莉「ふふ、撫でてもらえるってわかってご機嫌みたい」
曜「さっきまであんなに興奮してたのに…鞠莉ちゃん凄いね!」
鞠莉「甘え方を知らなかっただけよ。誰かさんと同じで、ね」
曜「なるほどねー…ん?もしかして私のこと言ってる?」
鞠莉「あら、気付いちゃった?甘え下手さん」
曜「あ、甘え下手…!?いやいや、そんなことは無いと思うけど」
鞠莉「そんなこと無いんだって。どう思う?」
猫「にゃっ」
鞠莉「へたっぴだって言ってる」
曜「ええっ!?」
鞠莉「だよね、誤魔化してもバレバレよね」ナデナデ
猫「にゃーん」
曜「そんなぁ。だから、違うんだって」
鞠莉「ふふっ♪」ナデナデ
猫「にゃあ♪」
曜(…気持ち良さそう。いいなあ)
猫「…にゃっ」ヒョイ
鞠莉「おっと」
曜「あっ、飛び降りた!」
鞠莉「どうしたの?」
猫「にゃあん」
鞠莉「まあ」
猫「にゃー」トコトコ
曜「行っちゃった…どうしたんだろうね」
鞠莉「どうやら、気を使われちゃったみたい」
曜「え?」
鞠莉「あの子ね、私は満足したから、その子と遊んであげてって」
曜「私と…?えっ、チビちゃんがそんなこと言ったの?」
鞠莉「多分ね。甘え下手同士ってことで、曜の寂しそうな視線に気付いたのかも」
曜「うええっ!?」
鞠莉「ふふっ、やっぱりそうだったんだ」
曜「あっ!そ、その…」
鞠莉「猫ちゃんにまで嫉妬ファイヤーだなんて、曜は思った以上に甘え下手さんみたいですねぇ?」
曜「だ、だって…」
鞠莉「ふふ、やれやれ」
ハグッ
曜「わっ」
鞠莉「ごめんね、ちょっと意地悪しちゃった」
曜「え…?」
鞠莉「曜が猫ちゃんのことを羨ましそうに見ていたから。つい、ね」
曜「…わかってたなら、もっと早くこうしてよ」
鞠莉「ごめんって」
曜「…いじわる」ギュ
鞠莉「ん」ナデナデ
曜(ああ、落ち着く…)ギュー
……………………………………
曜「猫と遊ぶ鞠莉ちゃん、すごく可愛かったんだ!」
果南「へえ、鞠莉もやるもんだね」
ダイヤ「ふふっ。似た者同士、心が通じ合ったのでしょうね」
果南「あ、でもさ」
曜「ん?」
果南「今の話だと、猫と似てるのは、甘え下手の曜の方ってことにならない?」
ダイヤ「言われてみれば、確かに」
曜「まあまあ、細かいことはいいんだよ!鞠莉ちゃんが猫っぽいことに変わりはないし!」
果南「うーん、じゃあいっか!」
ダイヤ「そうですね」
善子(いいんかい)
梨子「はわわ…!曜ちゃんと鞠莉さんが…!」
花丸「や、やっぱり、二人は秘密の関係…!」
善子「いやいや、秘密の関係ならこんなおおっぴらに話さないでしょ」
花丸「きっとその後は理事長室で…」
梨子「曜ちゃんを猫可愛がり…!」
善子「それ、当初の想定と違った結論になってない?」
曜「性格もだけどね、動作も猫っぽいなーって所があってさ。この前、私の家で遊んだ時のことなんだけど――」
……………………………………
渡辺家
鞠莉「んー…」ウトウト
曜「鞠莉ちゃーん。私の足は枕じゃないよー?」
鞠莉「んぅ…」ギュ
曜「もう遅いし、眠いならベッドに行こう」
鞠莉「やー…ここがいい…」モゾモゾ
曜「わっ。もう、仕方ないなー。特別だよ?」
鞠莉「んー…」スリスリ
曜(かわいいなぁ)ナデナデ
鞠莉「んふ、ふ…」
曜(鞠莉ちゃん、あったかい…なんだか、こっちまで眠たく…)ウトウト
曜「私の足を枕にして離さなくて、くっついたまま二人で寝ちゃったんだ!」
ダイヤ「ふふ、きっと居心地がよかったんでしょうね」
果南「いいねぇ。今度私にも試させてもらおうかなん?」
曜「んー、それはちょっと。鞠莉ちゃん、きっと嫉妬ファイヤーしちゃうから」
ダイヤ「そうですよ。曜さんの足は、鞠莉さん専用なのですから」
果南「冗談だって。取ったりしないよー」
曜「えへへ」ニコニコ
……………………………………
曜「私の足を枕にして離さなくて、そのままくっついて二人で寝ちゃったんだ!」
ダイヤ「ふふ、きっと居心地がよかったんでしょうね」
果南「いいねぇ。今度私にも試させてもらおうかなん?」
曜「んー、それはちょっと。鞠莉ちゃん、きっと嫉妬ファイヤーしちゃうから」
ダイヤ「そうですよ。曜さんの足は、鞠莉さん専用なのですから」
果南「冗談だって。取ったりしないよー」
曜「えへへ」ニコニコ
prrrr
曜「おっと。ごめん、そろそろ帰るね!」
果南「はーい、お疲れ様」フリフリ
ダイヤ「気をつけてお帰りくださいね」
曜「善子ちゃんたちも、じゃあね!」
善子「また明日ね。ほら、二人とも。曜さん帰るわよ」
梨子「この展開…専門誌で見たことある!」
花丸「これはもう、確定的ずら!」
善子「あなたたち、まだ盛り上がってたの」
梨子「善子ちゃんの方こそ、どうしてそんなに冷静で居られるの?」
善子「どうしてって…まあ、温度差が凄いことに関しては同意よ。あとヨハネ」
花丸「前々から謎が多かった二人の関係について、曜さんは凄く重要なことを話してたんだよ?」
梨子「そうだよ、善子ちゃんも聞いてたでしょ」
善子「聞いてたけど…」
梨子「私たちの見込んだとおり、曜ちゃんと鞠莉さんが人知れずロマンスしてたってことなら」
花丸「どきどきが止まらないのが普通だと思うよ」
善子「だからさ、さっきも言ったけど、ずら丸が言うような『秘密の関係』なら、普通こんなところで話さないでしょ。ダイヤさんたちも普通にしてるし…ん?」
梨子「それだよ。ダイヤさんたちのリアクションにも、違和感があったよね。なんていうか、自然過ぎた」
善子「そ、そう言われると…」
花丸「状況に惑わされずによく思い返して。ハグとか一緒に寝たとか、曜さんは結構攻めた内容を話してたでしょ」
善子「た、確かに…あれ?じゃあ、曜さんとマリーって本当に――」
……………………………………
prr…ピッ
曜「もしもし、鞠莉ちゃんお待たせ」
曜「うん、まだ学校。ダイヤさん達と話し込んじゃって。うん、果南ちゃんもいた」
曜「あはは、ごめんって。すぐ向かうよ」
曜「わかってるって。うん、埋めあわせは必ずするからさ」
曜「そうだね、明日はずっと一緒だから。えへへ、私も嬉しいよ」
曜「良い子にして待っててね、私の子猫ちゃん♪」
終わり
「うゆ・・・」