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ヨハネ「私が出会った」ルビィ「天使」 ->画像>1枚
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「ねえ、天使って本当にいると思う?」
「え? ……何よ、いきなり」
「ううん、ちょっと気になって」
「…いるんじゃないの? 私もほら、堕天使だし」
「クスッ……そうだね」
「ちょっ…あんた信じてないわね!」
「あははっ、そんなことないよ……ただ」
「ただ?」
「少しだけ、懐かしくなったの」
「……?」
─そう、あの時の大切な……
─黒澤家
ルビィ(11)「…………」ゴロン
ルビィ「……はぁーっ…」
ルビィ「今日で夏休みも終わりなんだぁ……」
ルビィ「……うぅーん…」ゴロゴロ
ダイヤ「…何をしているの、だらしない」ガチャ
ルビィ「あっお姉ちゃん」
ダイヤ「休みとはいえ、明日から学校でしょう? もっとしゃんとしなさい」
ルビィ「えー、でも……」
ダイヤ「はあ…なら、せめて外に出るくらいはすれば? 部屋でだらけているよりは大分マシですし」
ルビィ「お外…?」
ダイヤ「休みの間ずっと部屋に籠っているというのも退屈でしょう?」
ルビィ「それは……ぅん」
ダイヤ「とにかく、まずはそのだらしのない恰好をどうにかしなさい」
ルビィ「はーい…」
ダイヤ「もう…じゃあ私はこれから用事があるから行きますわね」
ルビィ「うん、いってらっしゃい」フリフリ
─バタン
ルビィ「……お外かあ」
ルビィ「でも、何したらいいんだろう」
ルビィ「うーん……うーん……」
ルビィ「…まあいいや、アイスでも買いにいこう」
─
ルビィ「アイス〜アイス〜」スタスタ
ガサッ
ルビィ「?」ピタッ
ルビィ「……」ジーッ
シーン…
ルビィ「……気のせいかなぁ?」スタスタ
………カサッ
アリガトウゴザイマシター
ルビィ「アイスおいしいなぁ」ペロペロ
ルビィ「〜♪」ペロペロ
ガサッ
ルビィ「……? またあの木から…」ジー
ガサガサッ!
ルビィ「!?」ビクッ
ルビィ「な、なんだろう…何か、いるのかなぁ」ジーッ
キランッ
ルビィ「…? あれ、羽……?」
ガササッ!
「嘘!? ……えっ…いや、ちょっと待って…………あっ」ツルッ
ルビィ「え!?」
「いやああああああ!落ちるううううううう!!」ヒュウウウウウ
ドンッ
?「いっっ…たぁ〜……ああもう、最悪……」スリスリ
?「何なのよもう……ん?」
ルビィ「……」
?「……何よ」ジッ
ルビィ「…………ピ」
?「…ぴ?」
ルビィ「ピギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」
?「わああああああああああああああ!!」ビクゥ
?「ちょ、ちょっといきなり大声出さないでよ! ビックリするでしょ!?」
ルビィ「き、木の上から…女の子が…」アワワ
?「え? ……あー、私のせいか」
ザワザワ ナニナニ? ドウシタノ?
?「げ……面倒くさそうなことになってきたわね……」
?「ねえ、ちょっとそこのあんた」
ルビィ「……ぇ?」
?「場所変えるわよ、付いてきて」パシッ
ルビィ「ええっ!?」
?「いいから来るの!」タッ
─
?「ふぅー……ま、ここまで走れば大丈夫よね」
ルビィ「な、なんでぇ……」ハァハァ
?「私、ああいう人が集まったりするのって苦手なのよ」
ルビィ「うぅっ……アイスも落としちゃったし……」グスッ
?「……いやそれは…悪かったわよ」
ルビィ「……ひぐっ……ルビィの……」
?(あっ、やば……)
?「ど、どうしよう…なにか代わりになるもの………あっ」
?「そ、そうだこれあげるわ」ハイッ
ルビィ「……さっきの羽?」
?「私、食べ物とかは持ってないけど、それならいくらでもあるから」
ルビィ「あ、ありがとう…」
ルビィ「…綺麗な羽だね」ニコッ
?「ふーん、そうなの? 私にはよく分からないけど」
ルビィ「うん、キラキラしてて……すっごく綺麗」
?「…………そう、それなら別に、いいんだけど」フイッ
ルビィ「……あの」
?「ん、なに?」
ルビィ「あなたの名前はなんていうの?」
?「え? ……ああ、そういえばまだ言ってなかったわね」
?「名前、名前ねえ…何にしようかしら……うーん……“アレ”にしましょうかね」
ルビィ「……?」
ヨハネ「…決めた、ヨハネでいいわよ」
ルビィ「ヨハネちゃん?」
ヨハネ(ちゃん付け……ま、仕方ないか)
ヨハネ「ええ、あんたの名前はなんていうの?」
ルビィ「ルビィはね、ルビィっていうの」
ヨハネ「ふーん、ルビィか……宝石名なんて変わってるわね」
ヨハネ(私が言えたことでもないけど)
ルビィ「ねえヨハネちゃん、ヨハネちゃんはどうして木の上なんかにいたの?」
ヨハネ「いたというか、なんというか……」
ルビィ「?」
ヨハネ「…いやまあ、正確には飛んでる最中に木に引っかかっただけなんだけど」
ルビィ「飛ぶ?」
ヨハネ「ええ、私天使だから」
ルビィ「……え?」
ルビィ「……天使?」
ヨハネ「そう、天使」
ルビィ「天使って……あの天使さん?」
ヨハネ「どれを指してるのか知らないけど、まあその天使でしょうね」
ルビィ「……」
ヨハネ「……」
ルビィ「ええええええええええええ!!?」
ヨハネ「ちょっ…だから静かにしてって!」
ルビィ「そんなこと言われても!」
ヨハネ「一応今の姿は人間なんだから! 誰かにバレたらまずいのよ!」
ルビィ「そ、そうなの?」
ヨハネ「そうよ!」
ルビィ「えっ、でも……それじゃあ、どうしてルビィには教えてくれたの?」
ヨハネ「それは……つい口が滑ったというか…いや、そっちのほうが都合がいいから別にいいんだけど」
ルビィ「???」
ヨハネ「…とにかく! このことは誰にも言っちゃ駄目だからね、分かった!?」ガシッ
ルビィ「う、うん…」
ヨハネ「ならいいわ、それじゃ…私そろそろ行くから」
ルビィ「え? 行くってどこに……」
ヨハネ「フフッ…“また後で”会いましょうね、ルビィ」タッ
ルビィ「! ま、待ってヨハネちゃん!」
ルビィ「……行っちゃった」
…………
ヨハネ「─ふぅ……とは言ったものの」
ヨハネ「どこに行くかなんて決めてないのよねえ」
「嘘ばかり、彼女の後をつけるためにわざとああ言ったのでしょう?」
ヨハネ「だってそうしないとルビィの家分からないし」
「いやはやストーカーとは恐れ入りますね……あわよくば、そのまま彼女の家に寄生でもするつもりでしたか?」
ヨハネ「はあ? 人聞きの悪いこと言わないでよ、私はただ寝泊まりする場所が欲しいだけで…………って!!」
?「…ですからそれを寄生って言うんです」
ヨハネ「何であんたがこんなところにいるのよ!!」
?「ああ…嫌でも部下の面倒を見ないといけないのが、上司の辛いところですからねえ…」
ヨハネ「つまり……仕事ってこと」
天使「ええまあ、上層部への報告もそれなりに必要なので」
ヨハネ「…鬱陶しいわね」
天使「貴女が余計なことをしなければ、こんなことにはならなかったんですけどね」
ヨハネ「は? 余計なこと? ちょっとあんたねえ……」
天使「まあそれはそれとして──先ほどの彼女との会話ですが……」
ヨハネ「! …聞いてたの」
天使「仕事ですから、さて…で、とりあえず結論から申し上げますと…」
天使「刑が長くなるとみて間違いないですね」
ヨハネ「……あっそ」
天使「子供とはいえ、人間に正体をあっさりバラしたわけですから」
ヨハネ「……期間は?」
天使「現在が約4ヶ月間の天界追放ですから……うーん、6ヶ月に延長ってところでしょうかね」
ヨハネ「半年、か」
天使「これでもかなりの恩情ですよ、私が寄生の件も報告すればこれどころでは済みませんからね」
ヨハネ「報告しないの? ……どういう風の吹き回し?」
天使「いえね、先程の彼女……黒澤ルビィさん」
天使「私の観察対象の妹さんなんですよ、なので一応様子見しておこうかと……貴女に対して僅かな好意もあるみたいですし」
ヨハネ「嘘、あの子があんたの……? はぁーっ…私ってつくづく運が悪いわね」
天使「まさか、今回に限ってはとても幸運なのでは?」
ヨハネ「……」
天使「ふむ…まあいいでしょう、とりあえず報告は以上です」
天使「それでは私は天界に戻りますので……あっ、とその前に一つ言い忘れていました」クルッ
ヨハネ「……なによ」
天使「ええ…貴女が彼女に名乗った、そのヨハネという名前のことですけれども」
ヨハネ「─!」
天使「確か、貴女の観察対象が名乗っていた名ではありませんでしたか? 流石に本名ではなかったはずですが」
ヨハネ「覚えていたのね……それが?」
天使「いいえ、別に? ただ─」
天使「入れ込み過ぎるのはどうかと…そう思っただけです」
ヨハネ「……」
天使「それではまた」フワッ
ヨハネ「……警告にしても言い方ってものがあるでしょ」
ヨハネ「…………相変わらずホント性格悪い」
ヨハネ「……」フゥーッ
ヨハネ「私もさっさと行きましょ、ルビィを見失っちゃうわ」タッ
……
…
─黒澤家
ルビィ「ただいまー」
ダイヤ「おかえりなさい、結構長い間外に出てましたのね?」
ルビィ「えへへっ…ちょっと色々あって」
ダイヤ「…あら? その羽、どうしたの?」
ルビィ「うーんとね、貰った」
ダイヤ「貰ったって、誰に?」
ルビィ「えーっと…………お友達、かなぁ」
ダイヤ「友達?」
ルビィ「うん、ルビィと同じくらいの女の子……ちょっと変わってたけど」
ダイヤ「そう、良かったわね」
ルビィ「うん」ニコ
ダイヤ「それと、そろそろお夕飯ですから手を洗ってきなさい」
ルビィ「はーい」
─
ルビィ「ご飯美味しかったぁ」ガチャ
ヨハネ「あっ、やっと来た」
ルビィ「…………え?」
ヨハネ「こんばんわ、お邪魔してるわよ」
ルビィ「…………ピ」
ルビィ「ピギャ……っ……!」モゴモゴ
ヨハネ「はい静かに、ほら今は夜だから」
ルビィ「ぷはっ……な、なんでいるの?」
ヨハネ「言ったじゃない、また後で会いましょうって」
ルビィ「早すぎるよぉ……」
ヨハネ「冗談よ、本当はお願いがあってここにきたの」
ルビィ「お願い?」
ヨハネ「ええ、私をここに泊めてほしいのよ」
ルビィ「ヨハネちゃんがルビィの部屋に? どうして?」
ヨハネ「ん…私、今家から追い出されてるから」
ルビィ「ええっ!?」
ヨハネ「だから安心して休める場所が欲しいのよね」
ルビィ「で、でも追い出されたって……どうして?」
ヨハネ「…色々事情があるのよ」
ヨハネ「勿論ただでとは言わないわ、私に出来ることならなんでも協力するつもり…見返りとしてね」
ルビィ「…………」
ヨハネ「貴女にしか頼めないの……お願い」ペコリ
ルビィ「……うん、わかった…いいよ」
ヨハネ「! ありがとう…」
ルビィ「えへへっ…これからよろしくねヨハネちゃん」
ヨハネ「ええよろしく…………ああそれと」
ルビィ「?」
ヨハネ「ちょっと外に出てくるわ…安心して、すぐに戻るから」
ルビィ「……? うん」
……
ルビィ「……天使さんがルビィの部屋にお泊まりかぁ…」
ルビィ「……なんか夢でも見ているみたい」クス
─
天使「どうも、こんばんわ」
ヨハネ「……許可は取ったわよ、これで問題ないでしょ?」
天使「相手の良心を利用したようにしか見えませんでしたが」
ヨハネ「一々そういう言い方するのやめてくれない? ……私だってそのことに対して何も思ってないわけじゃないわよ」
天使「…失礼、確かに後のことを考えずに貴女を追放したこちら側にも責任はありますね」
天使「分かりました、上には同居という形で取り合ってみます」
ヨハネ「…今回はやけに協力的ね」
天使「はあ…貴女こそ人聞きの悪いことを言わないでもらえますか?」
天使「私はただ、与えられた仕事に対して自分自身が正しいと思った判断を下しているだけです」
天使「今回のこともそれが正しいと思ったからそうした…それだけですよ」
ヨハネ「……悪かったわよ」
天使「分かって頂けたのならいいです、それでは……」
ヨハネ「ちょっと待って、一個だけいい?」
天使「…何ですか、こちらも暇ではないのですけど」
ヨハネ「あんた、自分の観察対象がルビィの姉だってそう言ったわよね」
天使「ええ、言いましたがそれが?」
ヨハネ「…似てなくない?」
天使「そっくりじゃないですか、ほら目の色とか」
ヨハネ「それだけじゃないの、あんたを見ても他にルビィとの共通点があるとは思えないし」
天使「見た目だけで判断しても仕方ないでしょう」
ヨハネ「いや、そうかもしれないけど…」
天使「用はそれだけですか? なら帰らせていただきますね」
ヨハネ「え、ちょっと待っ……」
天使「では後日に」フワッ
──
ヨハネ「全く、少しはこっちに合わせてくれてもいいじゃない…」
ヨハネ「……はぁーっ…お待たせ、今戻ってきたわよ」
ヨハネ「? ……ルビィ?」
ルビィ「……ぅぅん…」スヤスヤ
ヨハネ「なんだ…寝ちゃったのね、まあ色々あったから無理もないか」クス
ルビィ「……」スゥースゥー
ヨハネ「……ごめんなさい、色々巻き込んで」
ヨハネ「でもね、一目見たときから…今私が頼れるとしたら、きっと貴女だけだってそう思ってしまったから」
ヨハネ「…まあ、それも全部私の都合なんだけどね……だから先に謝っておくわ」
ヨハネ「ごめんなさい、それと…改めてよろしくね」ナデナデ
ルビィ「……ぇへへ……」
ヨハネ「フフッ…おやすみなさい、ルビィ」
─翌日
「ルビィ、ルビィ……」
ルビィ「……ん…」
ヨハネ「起きて、ほらもう朝よ」ユサユサ
ルビィ「……ヨハネちゃん?」パチ
ヨハネ「ええ、おはようルビィ」
ルビィ「うゅ……おぁよう…」ゴシゴシ
ルビィ「ヨハネちゃんって早起きなんだね」
ヨハネ「そうかしら? いつもこんな感じよ、私は」
ルビィ「そうなの? ルビィは…もうちょっと寝ていたいかなぁ」
ヨハネ「……起きられなくなるわよ」
ルビィ「あはは……そうかも」
ヨハネ「ほら、分かったなら早くベッドから……」
コンコン
「ルビィ?」
ルビィ「お姉ちゃん?」
ヨハネ「げっ……それじゃ私用があるから!」ササッ
ルビィ「えっ、ヨハネちゃん?」
ダイヤ「ルビィ、入りますわよ……あら?」ガチャ
ルビィ「お、おはようお姉ちゃん」
ダイヤ「…珍しいのね、ちゃんと起きているなんて」
ルビィ「そ、そうだね」エヘヘ
ダイヤ「では朝御飯を食べに行きましょうか」
ルビィ「うん」
ダイヤ「……ああ、それと」
ルビィ「?」
ダイヤ「暑いのは分かるけど、窓は出かける前に閉めたほうがいいですわよ」
ルビィ「あっ……うんそうだね、あははっ…」
─
ルビィ・ダイヤ「行ってきます」ガチャ
スタスタ……
ヨハネ「…………」コソッ
ヨハネ「…ようやく行ったわね」フゥーッ
ヨハネ「それにしても危なかった……危うく大問題になるところだったわ」ホッ
ヨハネ「…今後も早起きはしておいた方が良さそうね」
ヨハネ「さてと、これからどうしましょ」
ヨハネ「話を聞く限りルビィは今日から学校だし、一緒にはいられないから……」
ヨハネ「うーん……」
ヨハネ「いや……でも、見るくらいならいいか」
ヨハネ「天使って本来それが仕事だしねっと、フフッ…さーて観察観察」フワッ
……
天使「…………やれやれ」タメイキ
天使「彼女は貴女の観察対象ではないし、そもそも追放されてるから仕事も何もあったものではないのですが……」
天使「まあ大目に見てあげましょうかね……あっ、でも減給はしておこうっと」サラサラ
キーンコーンカーンコーン
ルビィ「……」スタスタ
ヨハネ「お疲れさま」
ルビィ「あっ、ヨハネちゃん」
ヨハネ「待ってたわ、一緒に帰りましょうか」
ルビィ「うん!」ニコッ
スタスタ
ヨハネ「お姉さんの方はいないのね」
ルビィ「うん、お姉ちゃん中学生だし、お稽古とかもあるから」
ルビィ「それにね、お友達とも遊んだりするから、帰るときはあんまり一緒じゃないんだぁ」
ヨハネ「……そう、寂しくないの?」
ルビィ「……」
ヨハネ「…ごめん、嫌なことを聞いたわ、今のは忘れて」
ルビィ「……うん」
ヨハネ「…でも、安心してルビィ」
ルビィ「…?」
ヨハネ「今は私がいるから」ギュッ
ルビィ「! ヨハネちゃん、ありがとう」
ヨハネ「いいのよこれくらい」
ルビィ「ただいまー」
ヨハネ「ふぅ、家に誰もいないと大分気持ちが楽ね」
ルビィ「そうなの?」
ヨハネ「だって知らない人が自分の家で寝泊まりしてるなんて、そんなこと知られたら大事になるわよ」
ルビィ「あっ、そういえばそうだったね」
ヨハネ(……大丈夫かしら?)
─ルビィの部屋
ルビィ「ねえねえヨハネちゃん、気になってたんだけど」
ヨハネ「なにかしら?」
ルビィ「ヨハネちゃんって天使さんなんだよね?」
ヨハネ「ええ、そうだけど」
ルビィ「ヨハネちゃんの他にも天使さんっているの?」
ヨハネ「え? ああ、まあいるわよ、それこそ世界中にね」
ルビィ「世界!?」
ヨハネ「私たちの住んでいるところってここでは天国って呼び方がメジャーだけど」
ヨハネ「でもやっぱり規模を考えると天“界”のほうがしっくりくるわね、アレは国なんてレベルじゃないもの」
ルビィ「そんなにいるんだ……凄い…」
ルビィ「ねえ、どんな天使さんがいるの?」
ヨハネ「……いや、私って基本一人でいるからそんなに詳しくは知らないけど……でもそうね」
ヨハネ「…例えば、ルビィみたいな子はいるかもしれないわね」
ルビィ「? ルビィが?」
ヨハネ「言ってなかったけどこの私の姿…というか天界にいる天使の姿はみんな、下界で生きている人達がベースになっているの」
ルビィ「どういうこと?」
ヨハネ「聞いたことはない? いいことをした人は天国に行けて、逆に悪いことをした人は地獄に堕ちちゃうって」
ルビィ「うん、あるけど」
ヨハネ「それみたいなものよ、私たち天使は日頃からよい行いをしている人間を見定めて、その人の姿に自分も合わせているの」
ルビィ「うーん、なんとなく分かったけど…」
ルビィ「でも、なんのために?」
ヨハネ「……」
ヨハネ「いきなり死んでも向こうで不自由しないため」
ルビィ「!?」
ヨハネ「こんなご時世だもの、不慮の事故や病気…寿命とは関係ない形でその生涯を終えてしまう人は少なくないわ」
ヨハネ「人はね、死んだら魂だけの存在になるの…そこから天か地か、自分の行くべき場所へ向かうことになる…でもね」
ヨハネ「一方で唐突な死を受け入れられずに、怨念と化してこの世を彷徨うものもいるのよ」
ルビィ「……」
ヨハネ「そんな人たちを救済するのが私たちなの、行方を失ってしまった魂を導いてあげるのが私たちの役目」
ヨハネ「この体はいわば…第二の魂の入れ物、世の中の善人のために天界が用意したスペアなのよ」
ルビィ「じゃあ……ヨハネちゃんが今なっている女の子が死んじゃったら…?」
ヨハネ「この体とはさよならね、でもすぐに新しい候補を見つければいいだけの話よ」
ヨハネ「……まあ、私の場合そんなに簡単には割り切れないけど」
ルビィ「……大変なんだね」
ヨハネ「そうね…」
ヨハネ「さてと、一通り説明したところで話を戻すけど」
ヨハネ「さっき私がルビィみたいな天使がいるかもしれないって言ったのはそういう理由よ」
ヨハネ「だって貴女、いい子だもの」
ルビィ「そう、かなぁ」
ヨハネ「ええ」
ヨハネ「まあ直接会うことは出来ないと思うけどね、天使って基本的に人間と関わらないもの」
ルビィ「え? でもヨハネちゃんはルビィと一緒にいるよね?」
ヨハネ「……あー、それは……」
「それは彼女が他の天使と違って、悪い意味で特別だからですよ」
ルビィ「!?」
ヨハネ「…………はぁーっ…出たわよ…」
天使「どうも、こんばんは」
ルビィ「お、お姉ちゃん!?」
天使「いえ、違いますが」
ルビィ「えっ、でも……」
天使「先ほどそこの彼女から聞いたでしょう? 天使のことを」
ルビィ「天使って…あっ、じゃあお姉ちゃんの?」
天使「ええ、私は黒澤ダイヤ観察担当の天使です、一応そこの天使の上司にあたります」
シスター「名前はそうですね……まあシスターさんとでも呼んでください」
ルビィ「シスター…」
シスター「さん」
ルビィ「シスターさん」
シスター「はい、よろしくお願いします」ニコ
ヨハネ「安直な名前ね…」
シスター「貴女にだけは言われたくありませんよ」
ヨハネ「……で、何しに来たのよ」
シスター「…あのですね、天界や天使のあれやこれやを吹き込んでいたら来るに決まっているでしょう」
ヨハネ「世話になっている以上、ある程度の事情は話しておくのが筋なんじゃないの」
シスター「一理ありますが、先程の会話はそれに必要なものではないでしょうに」
ヨハネ「私を知るという意味では必要よね?」
シスター「屁理屈ばかり……」
ヨハネ「機転が利くって言って欲しいわ」
ヨハネ「それにその子は絶対に秘密を守るわ…私にはその確信がある」
シスター「…ですから、守る守らないの問題ではなく……」
ルビィ「あの、お姉…シスターさん」
シスター「……何ですか」
ルビィ「ルビィ、絶対に他の誰にも言いません……だから、あの、ヨハネちゃんのこと…」
シスター「…………ああもう、勝手にしてください」
ルビィ「あ、ありがとうございます!」ペコリ
シスター「ただ、誓った以上約束は守ってもらいますからね」
シスター「そこの貴女も……分かってますよね? 私がみなまで言わなくとも」
ヨハネ「ええ、責任は私が持つわ」
シスター「ならいいでしょう……では私は一度帰りますので」
シスター「全く、損ですね本当に……」フワッ
ルビィ「行っちゃった…」
ヨハネ「…ありがとうルビィ、庇ってくれて」
ルビィ「ううん、でも……良かったのかなぁ?」
ヨハネ「言ったでしょ、私に出来ることならなんでも協力するって、それに貴女には知る権利がある」
ヨハネ「だから、いいのよ」
ルビィ「そうなの?」
ヨハネ「そうなの、だからルビィが気にすることないわ」
ヨハネ「それは私がどうにかする問題だから」
ルビィ「……うん、分かった」
ヨハネ「はい、じゃあこの話は終わりね」
ヨハネ「続きは今度にしましょ、そろそろ夕飯の時間だろうしね」
ルビィ「えへへっそうだね、ルビィお腹空いちゃった」
ルビィ「行ってくるね」
ヨハネ「ええ、いってらっしゃい」
ヨハネ「……」
ヨハネ「……入れ込み過ぎ、か」
ヨハネ「確かにこれじゃ、そう思われても仕方ないかもね」
─それから数週間後…
ルビィ「〜♪」パタパタ
ヨハネ「……ねえ」
ルビィ「ん〜?」
ヨハネ「なんか最近はずいぶん機嫌がいいみたいだけど?」
ルビィ「えっ、そうかなぁ」ニコニコ
ヨハネ「いや全然誤魔化せてないから」
ルビィ「えへへっ…」
ヨハネ「もう、なんなのよ…」
ルビィ「フフッ…あのね、もう少しでルビィの誕生日なんだぁ」
ヨハネ「誕生日? ……ああ、それで機嫌がいいのね」
ルビィ「うん、楽しみだなぁ…」
ヨハネ「……ふーん?」
ヨハネ「…ねえ、一つ言いかしら? いや…私は全然そういうつもりじゃないんだけどね」
ルビィ「?」
ヨハネ「ルビィって誕生日に何か欲しいものとかあるの?」
ルビィ「欲しいもの? うーん……わからないや」
ヨハネ「どうして?」
ルビィ「いっぱいあるからどれが一番欲しいのか分からなくて」
ヨハネ「ああ…なるほどね」
ルビィ「でも」
ヨハネ「?」
ルビィ「ルビィのために送られるプレゼントなら、なんでも嬉しいよ」ニコッ
ヨハネ「……そう…なんでも、ね」
ヨハネ「わかったわ、楽しみに待ってなさい」フフッ
ルビィ「ヨハネちゃん…?」キョトン
シスター「──で、それを聞かされたところで私にどうしろっていうんですか」
ヨハネ「…いや、決めたのはいいんだけど……その、私お金持ってなくて」
シスター「働けばいいでしょう」
ヨハネ「あんた絶対わざと言ってるわよね……この見た目で働けるわけないじゃない」
シスター「ふむ、まあそうですね」
ヨハネ「白々しい…」
シスター「それで? 下界での仕事が無理ならどうするおつもりで?」
ヨハネ「いや、だからその…それをどうにかしてほしくて上司であるあんたに頼みに来たのよ」
シスター「仕事を貰いにですか」
ヨハネ「ええ、だからお願い…」ペコ
シスター「……まあ労働の対価に下界の金銭を用意することは難しくないでしょうけど」
ヨハネ「本当に!?」
シスター「嘘をついてどうするんですか」
ヨハネ「そうよね…」ホッ
シスター「その代わり、必死に働いてもらいますよ……ええ必死に」
ヨハネ「やっぱりね、それくらい覚悟はしてるわよ」
シスター「へえ、そうですか?」
シスター「では丸二日ほどこき使っても大丈夫そうですね」ニコ
ヨハネ「……え? いや、あのルビィの誕生日三日後なんだけど…」
シスター「ではいってらっしゃい」スッ
ヨハネ「ちょっ…! 人の話は最後までええええぇぇぇぇ……!」ヒュウウウウウ
キランッ
シスター「……さてと、押し付ける雑用でも集めてきましょうかね」
シスター「……」
シスター「それにしても…」
シスター「彼女がそこまでルビィさんにこだわる理由は一体何なのでしょうか」
シスター「…まさか、まーた余計な私情が入っているのでは…」
シスター「いや、流石に考えすぎですかね」
─そして…
ルビィ「わあ! クマさんのぬいぐるみだぁ! これ貰っていいの?」
ヨハネ「ええ、私からの誕生日プレゼントよ」
ルビィ「ありがとうヨハネちゃん! ルビィ大事にするね」ギュー
ヨハネ「……ん」
ヨハネ(ああ……疲れた…)
ルビィ「あっそうだ、ルビィねお菓子貰ったんだけどヨハネちゃんも……」
ヨハネ「……」スゥースゥー
ルビィ「…あれ? 寝ちゃったの?」
「まあここしばらくは働きづめでしたからね」
ルビィ「わわっ! シスターさん」
シスター「どうも、お誕生日おめでとうございます」
ルビィ「あ、ありがとう」
シスター「…そのクマのぬいぐるみですけども」
ルビィ「え?」
シスター「貴女のために彼女が働いて買ったものなんですよ」
シスター「彼女はお金なんて持ち合わせていませんでしたからね」
ルビィ「じゃあ、最近ヨハネちゃんがいなかったのも……」
シスター「そういうことです」
ルビィ「そっか、そうだったんだ…」
シスター「では、用件はそれだけですのでこれで…」
ルビィ「あ、あの! シスターさん」
シスター「何でしょうか?」
ルビィ「ありがとうございました」ペコリ
シスター「? 私は何もしていませんが」
ルビィ「ルビィにこのことを教えてくれたから、それにシスターさんもきっと色々頑張ってくれたんだよね?」
シスター「……」
ルビィ「だから、ありがとう」ニコッ
シスター「…まあ一応受け取っておきますか」クス
シスター「どういたしましてルビィさん、また会いましょう」フワッ
─
ルビィ「……えへへっ」
ルビィ「ありがとうヨハネちゃん」ギュゥ
ヨハネ「…………ん…」スヤ
二ヶ月後……
─11月某日、ルビィの部屋
ルビィ「……やっと出来た!!」
ヨハネ「どれどれ……へえ、いいじゃない」
ルビィ「本当!?」
ヨハネ「本当よ、素敵な衣装だと思うわ」
ルビィ「良かったぁ…」
ヨハネ「合間を縫って少しづつ進めていったからね、手間をかけた分とても良くなってるわよ」
ヨハネ「きっとルビィに似合うと……」
ルビィ「じゃあヨハネちゃん、はいこれ!」
ヨハネ「……え? 私? どうして?」キョトン
ルビィ「ルビィに誕生日プレゼントくれたから、そのお返しにって」
ルビィ「ルビィが出来ることってこれくらいしかないから」エヘヘ
ヨハネ「……でも、こんなの割に合わないわよ」
ルビィ「ヨハネちゃんに貰って欲しいの」
ヨハネ「ルビィ……」
ルビィ「駄目?」
ヨハネ「駄目なんて言ってないわよ、寧ろすごく嬉しいわ」
ヨハネ「ありがとねルビィ…大切にする」ギュッ
ルビィ「うん!」ニコッ
─
ヨハネ「それにしても」
ヨハネ「……三ヶ月かあ」
ルビィ「え?」
ヨハネ「私がルビィと出会ってから、もう三ヶ月」
ルビィ「…そんなに前だったんだ」
ヨハネ「ええ、あっという間よね」
ヨハネ「私ね、正直こんな関係はすぐに終わるものかと思ってたわ」
ルビィ「うん、ルビィも」
ルビィ「ルビィもね、本当は夢なんじゃないかなぁってそう思ってたの」
ヨハネ「フフッ…ルビィからすれば不思議な体験だものね」
ルビィ「でも今は夢じゃなくて良かったなぁって」
ヨハネ「そう…」
ルビィ「うん」
ルビィ「……ねえ、ヨハネちゃんは」
ヨハネ「なに?」
ルビィ「今までどんな人を見てきたの?」
ヨハネ「そうね、お婆さんとか若い女の人とか、主婦とか…そんな感じ」
ヨハネ「逆に今まで、あまり子供には目をつけていなかったかも」
ルビィ「でも今はルビィと同じくらいの女の子だよね? どうして?」
ヨハネ「それは……そうね」
ヨハネ「きっと…似てると思ったから」
ルビィ「似てる? ヨハネちゃんとその女の子が?」
ヨハネ「ええ、多分ね」
ルビィ「へえ〜…」
ヨハネ「……堕天使、ヨハネ」
ルビィ「え?」
ヨハネ「ううん、何でもないわ……ねえ私も聞いていい? ルビィのこと」
ヨハネ「ルビィが大好きなスクールアイドルの話、今日も聞かせて」
ルビィ「うんいいよ! あのね、今日はね──」
ヨハネ(ルビィったら凄く楽しそうね)クス
ヨハネ(……うん…やっぱり、よく似てる)
──
─
(ねえねえ聞いて、今日はね凄いことがあったの!)
(ふーん、凄いことねえ…どうせまた大したことない話でしょ?)
(そんなことないよ! 貴女も聞いたら絶対ビックリするから!)
(……そう、そうね)
(あれ? 元気ない?)
(いや、そうじゃないけど…)
(…………あのさ)
(なに?)
(あんた、いつも私のところに来るじゃない)
(うん、だって楽しいもん)
(楽しい、か……やっぱり分からないわね)
(え?)
(……だって)
(だって私と一緒にいると…不幸になるから)
(だから楽しいなんて、変わってるわよあんたは)
(そうかな? 不幸だなんて私は一度も思ったことないよ)
(……)
(それにね……私、貴女といると──)
──
─
ヨハネ(……)
ルビィ「ヨハネちゃん……ヨハネちゃん?」
ヨハネ「……えっ、ああごめんなさい…なんだったかしら?」
ルビィ「えっと次のクリスマスのことなんだけど…」
ヨハネ「ああ、そうだったわね」
ルビィ「ヨハネちゃん、何か考えごとでもしてたの?」
ヨハネ「まあ…ちょっとね、友達のことを」
ルビィ「お友達?」
ヨハネ「ええ、私のたった一人の大切な……ね」
そこからさらに月日が経って…
ルビィ「ヨハネちゃん! メリークリスマス!」
ヨハネ「メリークリスマス、元気ねえルビィは」
ルビィ「えへへっ、だってお母さんたちがお友達と遊んできてもいいよって言ってくれたから…嬉しくて」
ヨハネ「そう、よかったわね」
ルビィ「うん! あっそうだ、ヨハネちゃんこれ」ハイ
ヨハネ「…マフラー?」
ルビィ「その格好だとちょっと寒いと思って、どうかなぁ?」
ヨハネ「うん、大丈夫…暖かくなったわ」
ヨハネ「ありがとね、ルビィ」
ルビィ「そっか、よかった」ニコッ
ヨハネ「それにしても賑わってるわねえ…流石クリスマス」
ルビィ「飾りつけも綺麗だもんね、キラキラしてて」
ヨハネ「そうね、でもその割にはあまり嬉しそうじゃないように見えるけど」
ルビィ「えーっとね、多分…これよりずーっと綺麗なものを見てるから、かなぁ」
ヨハネ「ふーん、そんなのあったかしら?」
ルビィ「ヨハネちゃんのことだよ?」
ヨハネ「私?」
ルビィ「うん、ヨハネちゃんから貰った天使の羽」
ルビィ「あれがね、一番綺麗だから、ルビィの宝物なんだぁ」
ヨハネ「そ、そう…? まあ、そう言われると悪い気はしないわね」
ルビィ「あははっ、ねえヨハネちゃん、次はあっちに行ってみようよ」タッ
ヨハネ「ちょっとー転んだら危ないわよー!」
ルビィ「大丈夫だよー! 早く早く!」フリフリ
ヨハネ「……全く」クス
ヨハネ「今行くから待ってなさい!」タッ
……
…
─
ルビィ「あー楽しかった!」ニコニコ
ヨハネ「本当、珍しいくらいのはしゃぎっぷりだったわね」
ヨハネ(いつも学校や習い事で我慢してたから、その反動かしらね……なんにせよ)
ヨハネ「楽しめたんなら、それだけで十分よね」フフッ
ルビィ「ヨハネちゃん?」キョトン
ヨハネ「別に? なんでもないわよ」
ヨハネ「それよりそろそろ帰らないと、みんな心配するわよ」
ルビィ「あっ本当だ、もうこんな時間…」
ヨハネ「先に行って、後で私も部屋に戻るから」
ルビィ「うん、じゃあ先に戻ってるね!」
ヨハネ「ええ、また後でね…………ふう」
シスター「随分お疲れのようですね」
ヨハネ「まあね、色々連れ回されたからさ…………って」
シスター「その割には気持ち悪いくらいに顔が綻んでますが」
ヨハネ「だーーっ! 神出鬼没かあんたは!!」バッ
シスター「化け物を見たかのような反応しないでくださいよ、傷つきますね」
ヨハネ「だったらいきなり出てこないで!」
シスター「私なりに気を遣っていたのですがね、彼女と二人きりのほうがよかったでしょう?」
ヨハネ「……まあね」
シスター「妙なところで素直ですよね」
ヨハネ「うっさいわね…で、何か用?」
シスター「はい、年の瀬も迫ってきたので始末書を持ってきて差し上げましたよ」
ヨハネ「はあ!? ……いや、ちょっと…このタイミングでやるの!? どういう理屈よ!」
シスター「年末が一番気の緩みやすい時期なんですって、このどさくさに紛れて面倒ごとは済ませておきなさい」
ヨハネ「ホンットいい性格してるわよねあんた……分かるけどさあ」
シスター「なら決まりですね、ああそれと」
ヨハネ「まだ何かあるの?」
シスター「ええ、貴女がいない間に溜まっていた書類もこちらにありますので、それもお願いしますね」
ヨハネ「…何、嫌がらせ?」
シスター「半分はね、残りは単にこれが私の仕事だからです」
ヨハネ「…最悪だわ」
シスター「恨むなら私に当たらず、そこに思う存分書き殴ってください」
シスター「では今日の辺りはこれで…………いや、違いますね」
シスター「最後に一つ、言い忘れてたことが」
ヨハネ「…?」
シスター「ダイヤさんが、貴女に感謝していましたよ」
ヨハネ「! ルビィのお姉さんが…?」
シスター「はい、貴女のおかげでルビィが最近よく笑うようになりました、ありがとうございますと…独り言のようなものでしたが」
ヨハネ「そう、だったの」
ヨハネ「ねえ……どうしてそれを私に教えたの?」
シスター「決まっているでしょう“仕事だから”ですよ」
ヨハネ「ブレないわね、貴女は……そういうところは、尊敬してるわ」
シスター「それはどうも……さて、今度こそ戻りますか」
シスター「ルビィさんによろしく伝えておいてください…では」バサッ
ヨハネ「…行ったわね」
ヨハネ「それにしても、この量……終わらせられるかしら…?」タメイキ
ヨハネ「けどまあ、やるしかないわね…私の不始末だし」
ヨハネ「ちゃんと終わらせて、早くルビィに付き合ってあげなくちゃ」
ヨハネ「きっとそれが…今の私の“仕事”だから」
申し訳ありません、ある事情によりssの続きが書けない状況となってしまいました
落ち着いて書き込み出来るような状態になったらもう一度スレを立てて完結させようと思っていますので
このスレは一度落としてもらえるとありがたいです。
ツイッターで本人フォローしてるから知ってるけど北海道在住だから仕方ない
>>137 135です、トリップ付けてみましたがちゃんと表示されているでしょうか?
これで本人だと証明出来ればいいのですが
>>139 ごめんなさい
正直なりすましを疑ってたので
いつか再開するのを待ってます
したらばの方も含め再開楽しみにしてます
余震等気を付けて
>>142その認識で大丈夫です
>>68-73で触れていますがヨハネは善子の姿をした天使
シスターはダイヤさんの姿をした天使という設定で話を進めています
それとご心配いただきありがとうございます。
現在自分の地域は特に大きな問題もないのでこのままスレが残っていればまた再開出来そうです
早ければ翌日あたりに更新するかと思いますのでよろしくお願いいたします。
そして…
─新年
ルビィ「ヨハネちゃん、明けましておめでとう!」
ヨハネ「ええ、今年もよろしくねルビィ」
ルビィ「うん! じゃあルビィ他の人に挨拶しにいってくるから」
ヨハネ「はいはい、いってらっしゃい」テヲフリ
ヨハネ「…大変ねえ、あの子の家も」
シスター「家柄的に仕方ないでしょう」
ヨハネ「…いつの間にかいるし、もう慣れたけど」
シスター「向こうのほうに顔を出すわけにもいきませんから」
ヨハネ「あー、ややこしいことになるもんね」
シスター「いやはや、同じ顔というのも中々面倒なものです」
ヨハネ「ねえ、あんたにも挨拶しなきゃ駄目かしら」
シスター「結構、特にもらって嬉しいものでもありませんので」
ヨハネ「あっそう……ところで思ったんだけどさ」
シスター「なんでしょうか」
ヨハネ「クリスマスのときもそうだけど、私たち天使がこういう行事に顔出すのってどうなのかしらね」
シスター「人によっては刺されかねませんね、ですがそれはあくまで人間側の都合ですので」
シスター「私たち天使には関係ない、ということにでもしておきましょうか」
ヨハネ「あんた意外と図太いわよね…」
シスター「人に下ってしまったらそれはもう天使ではありませんよ」
シスター「まあそこはともかくとして、さっきの言葉はあんまりじゃないですか?」
ヨハネ「何のことよ?」
シスター「今年もよろしくとルビィさんに言っていたでしょ、いいんですか?」
ヨハネ「!」
シスター「一緒にいられる時間など、一年どころかあと一月程度しかないというのに」
ヨハネ「……それは」
シスター「貴女のことを心配しているわけではありません、寧ろどうでもいいです」
ヨハネ「言うと思ったわ」
シスター「ですが」
シスター「彼女は違います…ルビィさんにとって、数ヶ月の時間を一緒に過ごしてきた貴女は大切な存在なんですよ」
ヨハネ「……」
シスター「…以前私は天使について余計なことを言うなと貴女に忠告しました、しかし」
シスター「彼女と関わったそのけじめは、つけるべきものだと思いますよ」
シスター「貴女もルビィさんのことを大切に想っているのなら、尚更」
ヨハネ「……そうね、あんたの言う通りだわ」
シスター「…“今回は”物分かりがいいですね」
ヨハネ「おかげさまで」
シスター「…そうですか、とにかく」
シスター「私からは以上です、あとは貴女が自分でどうにかしてください…では」フワッ
ヨハネ「……けじめ、ね」
ルビィ「ヨハネちゃんただいま! あれ? どうしたの?」
ヨハネ「ルビィ……ううん」
ヨハネ「何でもないわよ」ニコッ
ルビィ「ならいいんだけど」
ヨハネ「ええ…」
ヨハネ「……」
ヨハネ「……ルビィはさ」
ルビィ「ん?」
ヨハネ「私と一緒にいて楽しい?」
ルビィ「うん、楽しいよ? とっても楽しい」
ヨハネ「……そっか」
ルビィ「やっぱり元気ないね…ヨハネちゃん大丈夫?」
ヨハネ「平気よ、それよりルビィ」
ルビィ「なに?」
ヨハネ「今じゃなくてもいいわ、でも近いうちに時間を作ってもらえるかしら?」
ヨハネ「あなたに話しておきたいことがあるの…大事な話よ」
ルビィ「大事な…?」
ヨハネ「そう、お願い」
ルビィ「……」
ルビィ「わかった」
ヨハネ「うん、言いたいことはそれだけだから…またね」
ルビィ「一緒に帰らないの?」
ヨハネ「そうしたいけど今日はちょっと用事があるから、ね…」
ヨハネ「せっかくの新年なんだもの、家族で楽しく過ごすのもいいんじゃない?」
ルビィ「そうだね、じゃあまたねヨハネちゃん!」タッ
ヨハネ「ええ、また明日」
ヨハネ「…………」
ヨハネ「楽しい、か……あまり聞きたくなかったわ、その言葉」クルッ
二週間後…
ルビィ「ヨハネちゃんヨハネちゃん、見てお星さま! 綺麗だねぇ」
ヨハネ「本当ね、でもこんな時間に家を出て良かったの?」
ルビィ「少しの間だけならいいってお姉ちゃんが」
ヨハネ「そう…悪いわね」
ルビィ「ううん、それで大事なお話しって?」
ヨハネ「私がここに来た理由、言っておこうと思って」
ルビィ「ヨハネちゃんの?」
ヨハネ「うん……あと少しで、戻らなくちゃいけないから」
ルビィ「…………やっぱりそうなんだね」
ヨハネ「…ごめんなさい」
ルビィ「ヨハネちゃんが謝ること…」
ヨハネ「ううん、私が悪いのよ」
ヨハネ「最初にルビィと出会ったの、わざとやったんだから」
ルビィ「わざと……?」
ヨハネ「貴女のことを見かけてからね後をつけていたの、途中で木に引っかかって落ちたのは想定外だったけど」
ルビィ「どういうこと…?」
ヨハネ「ルビィ、わたし前に友達がいるっていったわよね」
ルビィ「うん」
ヨハネ「その友達ね、あなた担当の天使だったのよ」
ルビィ「え……!? ルビィの…?」
ヨハネ「今ここにはいないけどね、それも私のせいだけど」
ルビィ「…えっと、じゃあ」
ルビィ「ヨハネちゃんはルビィがそのお友達とそっくりだったから、ルビィのところに来たってこと?」
ヨハネ「その通りよ、信頼できる彼女が選んだ子ならきっとって…そんな自分勝手な理由で貴女のことを巻き込んだの、最低でしょ?」
ルビィ「でも、理由があったんだよね?」
ヨハネ「そんなの、言い訳にもならないわ……ルビィ」
ヨハネ「本当にごめんなさい…今まで私の都合で貴女を巻き込んだこと、ずっと謝りたかったの…」
ルビィ「ヨハネちゃん……それでも」
ルビィ「ルビィは楽しかったよ、ヨハネちゃんと一緒に暮らせて」
ヨハネ「─!」
ルビィ「だから、ありがとう」ニコッ
ヨハネ「やめてよ……そんなこと言われたら、私…」
ヨハネ「……私は…」
ヨハネ「…ごめんね、それと…ありがとうルビィ」
ルビィ「うん」
ルビィ「ねえヨハネちゃん、ここに来た理由…ルビィに教えて?」
ルビィ「ルビィね…ヨハネちゃんのこと、もっと知りたいから」
ヨハネ「ルビィ…そうね、何でも協力するって言ったのは私だしね……それに」
ヨハネ「ルビィのお願いを断りたくなんてないもの」クスッ
ルビィ「えへへっ、そっか」
ヨハネ「でもね、あんまり聞いてて気分のいいものじゃないかもしれないわよ」
ルビィ「いいよ、それでも」
ヨハネ「ありがとう、なら聞いてくれる?」
ルビィ「うん」
ヨハネ「……昔ね、今よりも自分のことが嫌いな時期があったの」
ヨハネ「他とは違う自分が…嫌だった」
ルビィ「……」
ヨハネ「私さ、天使のくせにすっごい不幸体質でね…運が悪いっていうか」
ヨハネ「自分が呪われてるんじゃないかって…そう思っていたくらいには酷かったの」
ルビィ「呪い?」
ヨハネ「ええ…私が担当した人間ね、ほとんど寿命じゃなくて事故で死んじゃうの」
ルビィ「!」
ヨハネ「もちろん他の天使にもそういったケースはあるわ、でも私の場合…それが明らかに他より多いのよ」
ヨハネ「そんなものだから周りの天使の姿が変わらないまま、私だけ体の移り変わりが激しくてさ……おまけに妙な噂までたって」
ルビィ「うわさ?」
ヨハネ「あいつは関わった人を不幸にさせる…堕天使って、そう呼ばれた」
ルビィ「! そんな、ひどいよ…」
ヨハネ「まあそんなことを言った奴らはごく一部で、その連中もシスターに即告発されて追放されたんだけどね」
ヨハネ「あの人、そういうの凄く嫌うタイプだし」
ルビィ「シスターさんが…」
ヨハネ「ただ、それ以降も私が関わった人間が事故に遭う件数が減ることはなかった」
ヨハネ「だから、みんな直接口には出してなくても、それが偶然だと分かっていても」
ヨハネ「もしかしたらって、心のどこかではそう思っていたんじゃないかしら……私自身もそうだったから余計に、ね」
ヨハネ「そして……そんな“空気”は少しずつ、けど確実に周りに侵食していって」
ヨハネ「いつの間にか、私は一人になっていたの」
ルビィ「……」
ヨハネ「そんな状態がしばらく続いたころかしらね、あの子に出会ったのは」
ルビィ「ルビィの……」
ヨハネ「そう、純粋で芯の強い子だったわ」
ヨハネ「子供が老人になるまでずっと見守って、見届けて…人間のことが大好きで」
ヨハネ「特に、まだ見ぬ夢に思いを馳せる無垢な子供が…彼女は好きだった」
ヨハネ「今は彼女の性格を知っているから納得出来るんだけど、最初に会ったときは驚いたわよ」
ルビィ「どうして?」
ヨハネ「だってその子ったら、いきなり私に近付いてきたかと思えば」
ヨハネ「手を引っ張ってこう言うんだもの、“一緒に遊ぼう”って」
ヨハネ「……この子、一体何考えてるんだろうって思ったわ」
ヨハネ「私の噂知らないのかしら? って……でもね、正直そんなことよりも」
ヨハネ「こんな私に、真っ直ぐ自分の想いを伝えてくれたことが…何より嬉しかった」
ルビィ「うん」
ヨハネ「不幸とか、呪いとか、どうでもよくなりそうなくらい…その笑顔は眩しくて」
ヨハネ「気付けば肩を並べて歩いていた、彼女の隣にいるととても心が安らいで」
ヨハネ「私は救われたような気になったの…それが私と彼女の出会い」
ルビィ「大好きなんだね、その天使さんのこと」
ヨハネ「……そうね、だからこそ」
ヨハネ「今になって後悔しているんでしょうね」
ルビィ「え?」
ヨハネ「私と彼女が仲良くなってしばらく経ったある日、それは起こったの」
ヨハネ「私が担当していた人間が亡くなってね、珍しく…寿命だったわ」
ヨハネ「だから余計にかしらね、その人を最後まで見届けたいって」
ヨハネ「体はもう、今使ってるこの女の子のものになってたんだけどね」
ルビィ「今のヨハネちゃんに?」
ヨハネ「ええ、違う姿になってしまったけれど、それでもって……ただ」
ヨハネ「一つだけ、大きな問題があったの」
ルビィ「…?」
ヨハネ「彼女の葬式…その当日がね、一年に一度行われている天界の重要な会議と重なっちゃってさ」
ヨハネ「…………私、行かなかったのよ」
ルビィ「……」
ヨハネ「天界のほうに」
ルビィ「!」
ヨハネ「当然、騒がれたわ…異例の事態だ、どういうことだって」
ヨハネ「話も私の上司であるシスターのところにすぐに行って…」
ヨハネ「彼女に問い詰められたの…なんでこんなことをしたのか、その理由を」
ヨハネ「今思えばあのとき、素直に自分の非を認めて謝罪していれば……罰も今よりは軽いもので済んだかもしれないわね……だけど」
ヨハネ「…私には出来なかった」
──
─
(何故、無断で会議を欠席したのですか…答えてください)
(今、貴女のせいで天界は大騒ぎになっているんですよ)
(……それは、見届けてあげたいと、思ったから)
(見届ける? ……ああ、そういえば先日は貴女が担当していた人間の葬儀でしたね)
(成るほどそうですか、そんなことのために)
(…は? 何よ、そんなことって)
(何か問題でも?)
(人の死を見届けるのがどうでもいいっていうの!?)
(私たちにとっては天使の意義を、これからのことを、改めて認識する会議のほうがよほど重要です)
(あんな当たり前のことを話す行事がどれほどのものだっていうのよ!)
(……いい加減にしてください、あなた天使のことを、自分を何だと思っているんですか)
(先ほど見届けたいからと言いましたよね、自惚れも大概にしてくださいよ)
(自惚れって何が!)
(私たち天使は人間を観察し、記録するのが仕事です……つまり)
(人間は私たちのことを知らないわけです、貴女は担当した人間のことを知っているつもりでも)
(向こうからすれば赤の他人、何の関わりもない、どこかにいる誰かなんですよ)
(!)
(別に、人の死がどうでもいいとは思っていませんよ私は、でもね)
(その出来事は貴女が思っているほど、天使にとって身近にあるものではありません)
(彼女の死、それは彼女が送ってきた人生の中で出会い、苦楽を共にし歩んできた)
(親族や伴侶、ご友人が見届けるべきものでしょう)
(それは……)
(生涯を終えれば次の人へ、それが私たちの役目です)
(貴女のやっていることは誰のためにもならない、ただの自己満足ですよ)
(馬鹿馬鹿しいにも程があります)
(っ!!)
(…なんですかこの手は)
(……違う…天使は、そんなのじゃないっ!)
(決めたからには最期まで! 終わりの間際まで傍にいるのが天使の仕事だ!)
(家族や友人が見届けるって言ったわね! でも死んで魂になったその後はどうするのよ!!)
(そこで支えるために…私たちがいるんでしょうが! 見てるんでしょうが!)
(それを馬鹿馬鹿しいだなんて…言ってんじゃないわよっ!!)
(……)
(はあっ……はあっ……)
(…………反省の余地なし、ですか)
(……あ…)
(そこの天使を連れていきなさい、上には私が報告します)
(待ってよ…私は……っ…!)
(重要会議の無断欠勤、加えて上司に対する反抗、暴行未遂…)
(それ相応の罰が下ることでしょう、覚悟しておくことですね)
(……くぅ……ああぁっ…)
(…さようなら)
──
─
ヨハネ「……なんか私の今までを否定されたみたいで頭に来てさ」
ヨハネ「彼女の言ってることも正しかったからそれが余計に腹立って」
ヨハネ「気が付いたら、また一つ罪を増やしてた」
ルビィ「……」
ヨハネ「結果そのせいで私は約四ヶ月の天界追放…追い出されることになっちゃったわけよ」
ヨハネ「それだけなら…まだよかったんだけどね」
ルビィ「他にも何か、あったの?」
ヨハネ「ええ、あの子…ルビィの天使が、私の罰に対して見直してほしいと上にかけあったって話を聞いたの」
ヨハネ「あの子らしいわよね……そんなこと、しなくていいのに」
ルビィ「それで…どうなったの?」
ヨハネ「問題にはなったけどあの子は私と違って信頼されてるから特に大事にはならなかったみたい」
ヨハネ「けど、私が刑を終えるまでは、私と会ってはいけないことになってね…別の仕事を任されてる」
ヨハネ「今思えばそれにも合点がいくわ、ルビィのお姉さん…黒澤ダイヤはあの人が担当しているんだからね」
ヨハネ「姉妹なら当然一緒にいる時間は多いから、その分あの人と会う回数も増えるし」
ヨハネ「それなら、彼女の部下である私にも接触する機会が多くなると考えたんでしょうね」
ルビィ「それじゃあ、その天使さんとは」
ヨハネ「あの日以降会ってない、全部私のせいよ」
ヨハネ「……だからこれはその償い、いや、やっぱり自己満足なのかしら…」
ルビィ「え?」
ヨハネ「私が代わりに見守らなくちゃって…ルビィのこと、あの子がいない分まで」
ヨハネ「だから私は貴女のところへやってきたの」
ルビィ「……そうだったんだ」
ヨハネ「…ええ」
ヨハネ(最初はそう、だったんだけどね…)
待ってました
保守するので無理のないペースでお願いします
ヨハネ「これで私の話はおしまい、結構長くなっちゃったけど…分かってもらえたかしら?」
ルビィ「うん…」
ヨハネ「そう、よかったわ」
ルビィ「……ねぇヨハネちゃん」
ヨハネ「なに?」
ルビィ「ヨハネちゃんは、ルビィと会ったこと…運が悪いって思ってる?」
ヨハネ「……」
ルビィ「えっとね…あんまり上手く言えないけど、ルビィと今まで一緒にいたのもその天使さんのためで…だから……」
ルビィ「本当はルビィといるの、嫌…だったのかなぁって思っちゃって」
ヨハネ「…ルビィ、ちょっとこっち来て」
ギュウ
ルビィ「え?」
ヨハネ「飛ぶわよ、しっかりつかまっててね」バサッ
ルビィ「ええっ!?」
フワッ
ルビィ「ほ、本当に飛んでる……」
ヨハネ「いい? そのままね、手を離したら駄目よ」バサッ バサッ
ルビィ「う、うん」ギュッ
ルビィ「でもヨハネちゃん、なんでいきなり…」
ヨハネ「うーん、そうね」
ヨハネ「ルビィ、前見てみて」
ルビィ「前? …………!!」
キラキラ
ヨハネ「どう? ちょうど星がよく見える位置まで昇ってみたの」
ルビィ「……綺麗」
ヨハネ「この景色が、私たちが積み上げてきたものよ、ルビィ」
ルビィ「え?」
ヨハネ「子供を、人間を抱きながら飛ぶなんて、普通なら考えられないの」
ヨハネ「でも貴女ならきっと大丈夫って思った、それはルビィも同じでしょ?」
ルビィ「うん、ヨハネちゃんはルビィを落とすようなこと絶対しないもん」
ヨハネ「そう、だからこの景色を見ることが出来たの」
ヨハネ「私たちが今まで一緒に過ごしてきて、お互いのことを知って、深く信頼しているから出来たことなのよ」
ヨハネ「ねえルビィ、それは嫌な人相手にでもやれることかしら?」ニコッ
ルビィ「…ううん、思わない」
ヨハネ「でしょ?」
ヨハネ「私はね、ルビィのことちゃんと好きだって思ってるわよ、友達の天使のこととか関係なくね」
ヨハネ「確かに最初はその子のため、そして自分のためにやっていたわ…そこは否定しない」
ヨハネ「でもね、ずーっと一緒にいて二人で遊んだり、話したり…一緒に何か作ってみたり」
ヨハネ「たまには二人でシスターに怒られたりしてさ…フフッ、そうやって……」
ヨハネ「…そうやって生活していって、気付いたのよ」
ヨハネ「友達に似てるからでも、償うためでもない」
ヨハネ「私が好きになった、ルビィだから…力になってあげたいんだって」
ルビィ「ヨハネちゃん…」
ヨハネ「だからねルビィ、我慢しなくていいのよ」
ルビィ「!」
ヨハネ「私のためにそこまでしなくていい、言いたいことがあるなら…今ここで」
ヨハネ「言っていいのよ…ここには誰もいないから」
ヨハネ「私とあなたの、二人だけだから」
ルビィ「…………うん」
ルビィ「ヨハネちゃん…あのね、ルビィね」
ヨハネ「ええ」
ルビィ「うそ、ついてたの」
ルビィ「ヨハネちゃんが、帰るって…きいたとき…ルビィ」
ルビィ「たのしかったって言ったけど…っ……でも、ちがうの」
ヨハネ「……」
ルビィ「ほんとうは、ずっと、ぃやだ……って…」
ルビィ「かえっちゃ、いやだって……」ポロポロ
ヨハネ「…うん」
ルビィ「ヨハネちゃあぁぁん……いやだ、いやだよ…!」
ルビィ「帰らないでよ……ルビィのこと、置いてかないで…」
ルビィ「うぁ……うわああああぁぁぁぁん!!!」
ヨハネ「…………そう、よね…離れたくないわよね」
ヨハネ「私、も……おなじよ。ルビィ…」
─それから…
ルビィ「…………」スヤスヤ
ヨハネ「…………」スゥースゥー
シスター「……ようやく寝ましたか」
シスター「全く、どうしてこんなお守みたいなことをしなくてはいけないのか」
シスター「はあ……ダイヤさんが心配していたからといって様子見など、するべきではありませんでした」
シスター「そもそも本人と顔を合わせてもいけないのなら報告の仕様がありませんし…ああ、私としたことが迂闊でした」
シスター「とんだ働き損です」
ルビィ「……うぅん……」ギュッ
シスター「…おっと、不味いですね、起こしてしまいましたか?」
ルビィ「……ヨハ、ネちゃん…」
シスター「…………ああもう…だから言ったじゃありませんか」
シスター「入れ込み過ぎるなって」
数日後…
ルビィ「ねぇ、ヨハネちゃん」
ヨハネ「なに?」
ルビィ「もう少しで一月……終わっちゃうね」
ヨハネ「…そうね」
ルビィ「うん……」
「…………」
ルビィ(…いいのかな、このままで)
ルビィ(このまま何もしないで、ヨハネちゃんとお別れして…いいのかな)
─
「わあ! クマさんのぬいぐるみだぁ! これ貰っていいの?」
「ええ、私からの誕生日プレゼントよ」
「ありがとうヨハネちゃん! ルビィ大事にするね」
「ヨハネちゃん、はいこれ!」
「ルビィが出来ることってこれくらいしかないから」
「……でも、こんなの割に合わないわよ」
「ヨハネちゃんに貰って欲しいの」
「ありがとねルビィ…大切にする」
「うん!」
「私ね、正直こんな関係はすぐに終わるものかと思ってたわ」
「うん、ルビィも」
「ルビィもね、本当は夢なんじゃないかなぁってそう思ってたの」
「フフッ…ルビィからすれば不思議な体験だものね」
「でも今は夢じゃなくて良かったなぁって」
「そう…」
「ルビィは楽しかったよ、ヨハネちゃんと一緒に暮らせて」
─
ルビィ(……ううん、よくない)
ルビィ「やっぱりこのままじゃ駄目だよ!!」ガタン
ヨハネ「うわっ! なによ、どうしたのよ急に!?」
ルビィ「ごめんねヨハネちゃん、ルビィちょっと用事があるからお出かけしてくるね!」ダッ
ヨハネ「いやそれはいいけど……ってもういないし、早っ…」
ヨハネ「というか駄目って何が…………もしかして」
ヨハネ「私たちのこと、言ってるの?」
ヨハネ「…確かにそうかもしれないわね、今のままじゃきっと…後悔する」
ヨハネ「…………よし」
========
シスター「─成程、ルビィさん担当の天使が彼女の友達で」
シスター「ルビィさんに接触したのはそれが理由だと」
ルビィ「うん、だからルビィのところに来たってヨハネちゃんが」
シスター「……ああ、そう…」
シスター(…やっぱり私情じゃないですか)ハァーッ
ルビィ「シスターさんは知らなかったの?」
シスター「いえ、私もその天使のこと自体は知っていましたよ…ただ」
シスター「ヨハネとの関係性は存じていませんでした、天界に見直しを申し付けたのも人がいい彼女ならやりかねないと思っていましたから」
シスター「ですがまあ、そのような背景があったのなら色々と納得は出来ますがね」
ルビィ「そっか」
シスター「それで? 何故その話を私にしたんですか?」
ルビィ「それは、あの……ヨハネちゃんのことを守ってほしくて」
シスター「守る? 何から?」
ルビィ「ヨハネちゃん、今までいろんな天使さんに酷いこと言われてきて……ずっと一人っきりで」
ルビィ「それに、ヨハネちゃんのお友達になった天使さんも今は会えないんだよね? ……だから」
ルビィ「苦しいと、思うの」
シスター「…………」
ルビィ「だからあの、そういうときにシスターさんが味方になってくれたら…」
シスター「…言いたいことは大体分かりました、そのうえで答えさせてもらいましょうか」
シスター「嫌ですよ、冗談じゃない」
ルビィ「ど、どうして…?」
シスター「自分の問題くらい自分で解決しろというのもそうですが、何より」
シスター「私は彼女のことが嫌いなので」
ルビィ「…………」
シスター(…突き放すためとはいえ、この子には少々酷でしたか)
シスター「まあつまりはそういうことです、分かったら─」
ルビィ「……」バッ
シスター「…どうして頭まで下げる必要があるんですか」
シスター「貴女の好きな人に対して、嫌いだと抜かした相手ですよ」
ルビィ「……それでも、お願いします」
ルビィ「ルビィは、天界にいけません……ヨハネちゃんのこと、助けられません…だから」
シスター(…ここまで離れたくないとは、一言も言っていない)
シスター(全てヨハネの今後のためを想って……この子は、自分の気持ちを)
シスター「……これ以上は、流石に無様が過ぎますね」
シスター「分かりました、私の負けですよ……ですからもう、顔を上げてください」
ルビィ「シスターさん…! あ、ありがとうございます!!」
シスター(…それに、姿だけとはいえ私はこの子の姉ですからね)
シスター(あまりこの子を幻滅させるようなことをするのは、ダイヤさんにも悪い…)
ルビィ「よかったぁ…これでヨハネちゃんもきっと」
ルビィ「シスターさん、本当にありがとう」ニコッ
シスター「いえ、私は…」
シスター「……」
シスター「……ルビィさん、一つ昔話をしましょうか」
ルビィ「え?」
シスター「いや昔と言うほどでもなく、割と最近のことなんですけどね」
ルビィ「なんのお話し?」
シスター「そうですね…彼女がヨハネと名乗っているその理由について、ですかね」
ルビィ「! 知ってるの!?」
シスター「それなりに調べはしました…ある程度はですけど」
シスター「ただ、そのうえで知っておくべきことがあります、ヨハネが観察を担当していた少女のことです」
ルビィ「ヨハネちゃんの?」
シスター「はい、彼女の観察対象の名前は津島善子」
シスター「沼津出身の12歳で、現在小学6年生…今年の3月に小学校を卒業し、4月から中学生へ」
シスター「つまり、ルビィさんと同い年というわけですね」
ルビィ「ルビィと同じ…」
ルビィ「あの…シスターさん、その女の子が何かヨハネちゃんと関係あるの?」
シスター「関係大有りですよ、何せヨハネという名前は本来、その善子さんが名乗っていたものですからね」
ルビィ「え!? じゃあどうしてヨハネちゃんが」
シスター「そこが理由に繋がるわけですよ、彼女…善子さんもまた、とても運の悪い女の子でしてね」
シスター「遠足当日に雨が降る、クジ引きには一回も当たったことがない、何もないはずの道端で転んだりと…例を挙げるとキリがないのですが」
シスター「とにかく、そういったことが頻?に彼女の身に起きていたんです」
ルビィ「す、すごいね……」
シスター「そしてそんな善子さんが名乗りはじめたのがこのヨハネという名前でした」
ルビィ「え!? じゃあどうしてヨハネちゃんが」
シスター「そこが理由に繋がるわけですよ、彼女…善子さんもまた、とても運の悪い女の子でしてね」
シスター「遠足当日に雨が降る、クジ引きには一回も当たったことがない、何もないはずの道端で転んだりと…例を挙げるとキリがないのですが」
シスター「とにかく、そういったことが頻繁に彼女の身に起きていたんです」
ルビィ「す、すごいね……」
シスター「そしてそんな善子さんが名乗りはじめたのがこのヨハネという名前でした」
シスター「由来はこうです、自分がこんな目に遭っているのも、きっと神様の怒りによって堕天使にされてしまったからなんだと」
ルビィ「!」
シスター「そう、天使である自分の美しさが神の怒りに触れたからという、聞く人が聞けば頷きそうな理由をつけてね」
シスター「そうして彼女は自身を ─神によって悪魔に変えられた存在─ 堕天使ヨハネと名乗り、生きることにした」
シスター「勿論そんなことは実際には起きていませんよ、分かっているとは思いますけど」
ルビィ「うん」
シスター「ただ、善子さんにはこういう話が必要だった」
シスター「つまりはですね、この話は運の悪い彼女が前向きに人生を歩むために」
シスター「そう自身に言い聞かせている、いわば自己暗示のようなものだと私は解釈しています」
シスター「ですが、重なったんでしょうね…そういうところが」
ルビィ「じゃあ、ヨハネちゃんは…」
シスター「ええ、あの天使は善子さんに自分の面影を垣間見たんですよ」
シスター「そしてそんな善子さんを放っておけなくて、自分が見守ろうと思った」
シスター「彼女が善子さんを選んだのはそういう理由です」
ルビィ「ヨハネって名前を使っているのも、自分が本当の…天使だから?」
シスター「かもしれませんね、姿は見えずとも善子さんにそれを証明するために」
シスター「いかにも彼女が考えそうなことです」
シスター「だからこそ、私はあの天使が嫌いなんですけどね……深入りしすぎなんですよ毎回」
ルビィ「……」
シスター「人の命は重い…形を移ろい続ける私たちが背負うには余りにも過ぎた代物です」
シスター「なのに、そんなものを事あるごとに全て抱えようとすれば、いずれその身を亡ぼすことは想像に難くありません」
シスター「そういう理由も含めて不干渉にしているんでしょうが」
シスター「大馬鹿者ですよ彼女は、天使であることの意味を…全く理解していない」
ルビィ「…シスターさん、優しいんだね」
シスター「…どうでしょうね、自分では分かりかねます」
ルビィ「そうかなぁ? ルビィは優しい天使さんだと思うよ」
シスター「あまり実感が湧きませんが……まあ貴女の前なら、それも悪くはないかもしれませんね」クスッ
シスター「…っと話が逸れてしまいましたが、まあ彼女の事情は大体そんな感じです」
シスター「理解していただけましたか?」
ルビィ「うん、ありがとうシスターさん」
シスター「そうですか、それは何よりです」
ルビィ「でも、どうしてルビィに話してくれたの?」
シスター「ああ、それはですね……ルビィさんが一つだけ勘違いをなさっていたので」
ルビィ「勘違い?」
シスター「はい、自分では彼女を助けられない、貴女はそう言いました」
シスター「でもね、そうじゃないんですよ…守るのも、助けるのも」ポン
ルビィ「んっ…」
シスター「貴女にしか出来ないことなんです、私に頼むこと自体が間違っているんですよ」ナデナデ
ルビィ「ルビィにしか、出来ない……」
シスター「先ほどの話を聞いて、ルビィさんはどう思いましたか?」
ルビィ「ルビィは…」
シスター「何か言いたいことがあったはずです、それが答えですよ」
トンッ
ルビィ「!」
シスター「いきなさいルビィ、大丈夫、そのときまで私が何とかするから」
ルビィ「…うん! ありがとう……お姉ちゃん!」タッ
シスター「……お姉ちゃん、ですか…まあ確かに」
シスター「私らしくはなかったかもしれませんけど」
シスター「……それにしても」
シスター「あー全く嫌ですねえ、これじゃあ私も始末書ものじゃないですか」
シスター「しかも、おかげで私情がどうだの深入りしすぎだの自己満足だの、ぜーんぶ自分に跳ね返ってきてますし」
シスター「本当に冗談じゃありませんよ、最悪です。 ……けどまあ」
シスター「自分自身が正しいと思った判断を下す。これだけは何一つ曲げていませんがね」フッ
シスター「なればこそ、貴女たちも貫いて見せなさい……その想いを、誰が何を言おうともね」
ルビィ「ルビィがヨハネちゃんに出来ること…」
ヨハネ「私がルビィに出来ること……」
「それは──」
そこからの時間は早いか晩いか…しかし、少なくともその日が来るまでの間
それは二人にとって瞬くほどのものであっただろう
そう、あれからまたさらに日は巡り……そして
ついに3月───
黒澤ルビィ、卒業の日である。
ルビィちゃんとヨハネちゃんの優しさが心に沁みる……
ルビィ「……」
「ルビィ」
ルビィ「…お姉ちゃん」
ダイヤ「卒業おめでとう、また一つ大きくなりましたわね」
ルビィ「えへへ、ありがとうお姉ちゃん」
ダイヤ「一応お世辞とかじゃなく、本心よ?」
ダイヤ「ルビィ、貴女はこの一年で随分としっかりしたというか」
ダイヤ「少し大人びた…そんな気がしますわ」
ルビィ「そう、かな」
ダイヤ「ええ、立派ですわよとても」
ダイヤ「それもきっと夏休みに出来たお友達のおかげ、なのかしらね」フフッ
ルビィ「そうかもしれない……ううん」
ルビィ「絶対そうだよ、ヨハネちゃんがいなかったらルビィは……」
ルビィ「…ねえお姉ちゃん」
ダイヤ「何かしら?」
ルビィ「ルビィね、もう少しだけここにいたいの」
ルビィ「お友達にね、お別れの挨拶…しなくちゃいけないから」
ルビィ「だから、お願い」
ダイヤ「…………そう、分かりましたわ」
ダイヤ「じゃあ私は先に帰っていますわね」
ルビィ「うん」
ダイヤ「……」
ダイヤ「ルビィ」
ルビィ「なに?」クルッ
ダイヤ「今日は貴女の卒業祝いです」
ダイヤ「みんな、ルビィのことを待っていますからね」スタスタ
ルビィ「…うん」ニコ
サーッ サーッ…
ルビィ「…………」
ルビィ「……」
ルビィ「…やっぱり来ないよね」
「どうしてそう思うのよ、そんなわけないでしょ?」
ルビィ「!! あ……」
ヨハネ「ま、心配させた私が悪いんだけどさ…ごめんね、遅くなって」
ルビィ「ヨハネちゃんっ!!」ダキッ
ヨハネ「わっ……とと、危ないわねもう」
ルビィ「会いたかった……」
ヨハネ「…ええ、私も」
ルビィ「…ねえヨハネちゃん、天界のほうは大丈夫だったの?」
ヨハネ「一応ね、追放の期限も過ぎて天界に戻ったあと」
ヨハネ「シスターがさ、色々手を回してくれたみたいで」
ヨハネ「ルビィの卒業の日にもう一度だけ、会わせてやってくれないかってね」
ルビィ「…ルビィたちの為に」
ルビィ(約束、守ってくれたんだ…)
ヨハネ「…今回は頭が上がらないわね、感謝してもしきれないわ」
ルビィ「そうだね、ルビィも…シスターさんにお礼言いたかったな」
ヨハネ「大丈夫、私が伝えておくから」
ルビィ「じゃあ、お願いしようかな」
ヨハネ「ええ……ってゆっくり話をしている場合じゃなかったわ」
ルビィ「え?」
ヨハネ「あんまり時間がないの、今日中に帰るって約束だから」
ルビィ「そっか…」
ヨハネ「うん、だからねルビィ」
ヨハネ「私とライブ、見に行かない?」
ルビィ「…?」
─
ヨハネ「よかった、ギリギリ間に合ったみたいね」
ルビィ「…スクールアイドル?」
ヨハネ「ええ、この近くで卒業記念のライブをやるって話を聞いたの」
ヨハネ「ルビィ、好きだったでしょスクールアイドル? だから一度くらい」
ヨハネ「あなたと一緒に、見ておきたかったのよね」
ルビィ「ヨハネちゃん…」
〜〜♪ 〜〜♪
ヨハネ「素敵ね、ルビィが好きになる気持ち…分かった気がする」
ルビィ「ありがとう、ヨハネちゃん」
ヨハネ「…見てたわよ、卒業式」
ルビィ「!」
ヨハネ「とても輝いていたわ」
ルビィ「そんなこと…」
ヨハネ「私にとってはそう見えたの、少なくとも胸を張っていたあのときの貴女は」
ヨハネ「ここにいる彼女たちの誰よりも輝いていた」
ルビィ「…!」
ヨハネ「ねえルビィ、スクールアイドルやりたいんでしょ」
ルビィ「…うん」
ヨハネ「ならその道を突き進みなさい、自信をもって」
ヨハネ「大丈夫、ルビィならできるわ、私が保証する」
ルビィ「…ありがとう、ヨハネちゃん、ルビィ頑張るね」
ヨハネ「ええ、応援するわ、もちろん最後までね」
ヨハネ「見届けるのが天使の仕事だから、私がルビィに出来ることはそれしかないけど」
ヨハネ「でも、忘れないでルビィ……どんなに遠くに離れていたって私が傍にいるってこと」
ヨハネ「いつでも貴女を見守っているってこと」
ヨハネ「それだけはね、伝えたかったの」ダキッ
ルビィ「うん……うん!」ギュウ
ヨハネ「……そろそろ時間みたいね、それじゃあ…」
ルビィ「ま、待ってヨハネちゃん!」
ヨハネ「ルビィ?」
ルビィ「帰っちゃう前にこれ…貰ってほしいの」
ヨハネ「髪飾り? ……! 私の羽…」
ルビィ「うんお守り、ルビィからのプレゼント」
ヨハネ「私に…」
ルビィ「あのね、ルビィねヨハネちゃんやシスターさんにお話を聞いてから、色々考えてみたの」
ルビィ「天使さんのこと…それでね、ずーっと思ってたことがあるんだ」
ヨハネ「……なに?」
ルビィ「ヨハネちゃん、ヨハネちゃんが不幸ならルビィがずっと守ってあげる」
ヨハネ「!」
ルビィ「ヨハネちゃん、さっきルビィに傍にいるっていったよね」
ルビィ「ルビィも同じだよ、その髪飾りはねルビィの気持ち」
ルビィ「ヨハネちゃんから悪いものがなくなりますようにっておまじないをかけながら、作ったんだ」
ヨハネ「もしかして、ずっとこれを?」
ルビィ「うん、間に合ってよかった」
ヨハネ「ルビィ……あなた」
ルビィ「ヨハネちゃん、だから大丈夫だよ…この先もずっと」
ルビィ「ヨハネちゃんが幸せになれるように、ルビィもたくさん頑張るから」
ルビィ「ルビィと会ったことが不幸じゃなかったって思えるように…ずっと…ずっと! 頑張るからっ!!」
ヨハネ「…っ!!」
ルビィ「だから……元気でね、ヨハネちゃん…ルビィのこと、忘れないでね」ポロポロ
ヨハネ「……なに、いってるのよ…」
ヨハネ「忘れるわけ……ないじゃないっ…」ポロポロ
ルビィ「…えへへっ、よかったぁ……」
ルビィ「……」
ルビィ「…ばいばい、ヨハネちゃん」ニコッ
─
ルビィ「ただいま」
ダイヤ「おかえりなさい……もういいの?」
ルビィ「うん…ねえお姉ちゃん、お話しがあるの」
ダイヤ「話し?」
ルビィ「あのね、ルビィね───」
ヨハネ「……」
シスター「無事、済んだようですね」
ヨハネ「……ええ」
ヨハネ「……言っておくことがあるわ」
シスター「なんでしょうか?」
ヨハネ「今日のこと、ありがとうございました……私と、ルビィからです」
シスター「そうですか」
ヨハネ「……それと」
シスター「まだ何か?」
ヨハネ「私ね、やっぱり人間に入れ込むことにするわ…最後まで」
ヨハネ「あの子に胸を張れるような、そんな天使でありたいから」
シスター「……好きにしなさい、貴女の価値観など知ったことではありませんから」クス
ヨハネ(ルビィ、見ててね……私、負けないから)キラ
========
─それから3年後……
========
─浦の星女学院
「スクールアイドル! スクールアイドルやりませんかー!」
「あなたも! 貴女も! ってあれ…?」
「…………」
「気になるの?」
「え…ルビィは」
「…………」
「あの、ライブとかやるんですか!?」
「いやあ、それはまだ決めてないんだけど……」
「でも一応は……」
ガサガサッ
「…って、ん? なに?」
「嘘!? ……えっ…いや、ちょっと待って…………あっ」
「!」
「いやああああああ!落ちるううううううう!!」
ドンッ
「ええ!? 木の上から女の子が降ってきたよ!?」
「いっっ…たぁ〜……ああもう、最悪……」
「何なのよもう……ん?」
「…………」
「……何よ」
「もしかして善子ちゃん?」
「いや、誰よ?」
「マルだよ、花丸! ほら、幼稚園のとき一緒だった」
「幼稚園? あー確かに、見覚えがあるような……」
「やっぱり! ねえルビィちゃんは……初めて会う…」
「ルビィ、ちゃん?」
「……ぁ……」
「ちょ…貴女なんで泣いてるのよ! 私何かした!?」
「ルビィちゃん!? ど、どうしたの!?」
ナンデコウナッテルノ!? ワカラナイヨ! ヨウチャンタスケテ! エエッ!?
ワーワー ……
─
ヨハネ「……すごい騒ぎね、まあ仕方ないんだけど」
ヨハネ「それにしてもこれは偶然か、運命か…」
ヨハネ「いや、どっちでもいいわね」
ヨハネ「私たちのやることは決まっていて、変わることはないから」
ヨハネ「私が貴女の傍にいて、貴女が私の傍にいて」
ヨハネ「いつか約束を果たすそのときまで、きっと」
ヨハネ「だからねルビィ、見届けるわあなたの幸せ」
ヨハネ「“私たち”が最後まで…約束よ」
「ねえ、そんなところで何してるの?」
ヨハネ「! ………そうねぇ…」
ヨハネ「多分……待ってたのよ」
「ふーん…ねえ、誰を?」
ヨハネ「……フフッ」
ヨハネ「それはね───」
──────
ヨハネ「私が出会った」ルビィ「天使」
終わり。
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