部室
千歌「曜ちゃんって、最近物知りだよね」
曜「ん、そうかなぁ?」
千歌「そうだよ。本とか読んでるし、ネットであれこれ調べたりしてるし。さては、目指せ雑学王?」
曜「あはは、そういうわけじゃないけど」
善子「聞いたわ、鞠莉さんからも色々教わってるんでしょ」
千歌「鞠莉ちゃんから?」
曜「うん!鞠莉ちゃんってすごいんだよ。私が知らなかったことを、たくさん教えてくれるんだ!」
千歌「ええー、いいなぁ」
曜「自分で言うのもなんだけど、色々教わったり質問してるうちに、少しずつだけどヒャクシキになってきたって感じがするよー」
千歌「ん、ヒャクシキ…?」
善子「それを言うなら、博識じゃないの?」
曜「あ、そうだっけ?」
善子「そうよ。金ピカになってどうするのよ」
曜「あはは、お恥ずかしい…ん?金ピカって?」
善子「なんでもない、こっちの話よ」
曜「んー?」ハテ
千歌「んんー?」ハテ
ガラッ
鞠莉「はぁい、みんな」
曜「あ、鞠莉ちゃん!」
千歌「ちょうどいいところに!いま、鞠莉ちゃんの話してたんだよ」
鞠莉「あら、私の?」
曜「うん!私に色んなことを教えてくれるんだーって話!」
鞠莉「ふふ、そうね。確かに質問や相談を受けることが多いわね」
善子「その甲斐あって、曜も随分とヒャクシキになってきたのよね」ニマニマ
鞠莉「?」ハテ
曜「あっ、言わないでよ善子ちゃん!」
善子「ふふっ。ごめん、冗談よ。あとヨハネ」
曜「もぅ…」
鞠莉「えっと、どういうこと?」
千歌「さっき曜ちゃんがね、博識をヒャクシキって言い間違えたんだ」
曜「お恥ずかしい…」
鞠莉「うふふっ、なるほどね。でも、もの知りのことをヒャクシキって言うこともあるのよ」
善子「えっ、そうなの?」
鞠莉「ええ。百の知識と書いて百識。文字通り、沢山のことを知っているって意味ね」
曜「へぇ…!さすが鞠莉ちゃん先生!博識、いや、ヒャクシキだね!」
鞠莉「どういたしまして♪」
キャッキャ ウフフ
善子「あらあら、二人の世界に入っちゃって…」
千歌「うーん」
善子「千歌さん、どうしたの?」
千歌「善子ちゃん。百識があるなら、その上の千識とか万識とかあるのかな」
善子「ないんじゃないかしら」
千歌「あった方が強いと思わない?なんかこう、いっぱい知ってるんだぞー、すごいぞー、みたいな」
善子「なによ強いって。あとヨハネよ!」
ワイワイ キャッキャ
……………………………………
ファミレス
曜「うーん」
鞠莉「まだ決めかねてるの?」
曜「あ、ごめんね。ちょっと別のことが気になっちゃって」
鞠莉「別のこと?」
曜「メニューを見て。これなんだけど」
鞠莉「デザートのページじゃない。随分気が早いのね」
曜「この、パフェとサンデーってあるでしょ?大きさが違うくらいで、どちらも見た目や内容は同じような感じなのに、どうして違う呼び方をするのかなって」
鞠莉「ああ、そのことね。よろしい、このマリー先生が、ズバリと疑問に答えてあげましょう」
曜「よろしくお願いします、鞠莉ちゃん先生!」
鞠莉「まずパフェから説明するわね。パフェの由来は、そうね…曜も聞いたことある言葉だと思うわ」
曜「えー、なんだろう…香水の『パフューム』とか?」ウーム
鞠莉「ハズレよ。少しヒントをあげましょうか。完璧って英語でなんて言う?」
曜「完璧は、パーフェクト…あっ!パーフェ、クトってこと?」
鞠莉「ほとんど正解だけど、ちょっと違うわ」
鞠莉「私たちがパフェと呼んでいるものは、フランス語のパルフェ…英語で言うパーフェクトに相当する言葉が元になっているの」
曜「パルフェ…聞いたことあるかも!フランス語だったんだぁ」
鞠莉「そしてパフェは、その名のとおり完璧って意味なの」
曜「完璧?」
鞠莉「メニューに載ってるパフェを例にとると…グラノーラとアイスクリームをベースに、生クリームやチョコレートソース、プリンや色とりどりの果物が乗っているでしょ」
曜「うん、美味しさ満載フル装備!って感じだね」
鞠莉「そうね。つまり、器の中にありとあらゆる美味しさと楽しさを詰め込んだ、まさに『完璧な』デザート。パフェの名にふさわしいってわけね」
曜「なるほど!じゃあじゃあ、サンデーとの違いは?」
鞠莉「サンデーは、パフェの簡略版といった位置づけになるのかしら。サンデーは言葉どおり『日曜日』って意味で、アメリカで誕生したんだけど」
鞠莉「日曜日限定で売られていたスイーツだから、サンデーになったって説が一番有力ね」
曜「へぇ〜、勉強になったよ!」
鞠莉「ふふっ。勉強になったところで、何を頼むか決まった?」
曜「うん!今日は贅沢に、このエレガントチョコパフェに決まりだね!」
鞠莉「食事のことを聞いてるのっ!」
……………………………………
沼津市内
曜「いきなり寒くなって来たねー」
鞠莉「ハロウィンも終わって、次はクリスマスだもの。寒いのも無理はないわ」
曜「それは困るなぁ。私、寒さにあまり強くないんだよ」
鞠莉「ふふっ。ちょうどいいところにコーヒーショップがあるわ。少しお茶して、体を温めましょうか」
曜「あ、うんっ!」
ウイーン
イラッシャイマセー
…………………
曜「うーん」
鞠莉「んー、いいコーヒーね。温まるわ」ホッコリ
曜「うーーん」
鞠莉「あ、クッキー美味しい」モグモグ
曜「うーーーん」
鞠莉「…曜、さっきからカップとにらめっこしてどうしたの?別のがよかった?」
曜「あ、いや、そうじゃないんだけど…」
鞠莉「猫舌で、冷めるのを待ってるとか?それにしては随分唸ってたけど」
曜「それも違くて。えっとね、また気になることを思い出しちゃったんだ」
鞠莉「あれこれ気になっちゃうお年頃なのね。今度はどうしたの」
曜「さっきの、鞠莉ちゃんの言ったことなんだけど」
鞠莉「うん?」
曜「お店に入る時、鞠莉ちゃん『お茶しよう』って言ったでしょ。前から思ってたんだ、コーヒーを飲むのに『お茶する』って言い方、ちょっと変じゃないかなって」
鞠莉「ああ、そういうことね」
曜「何か理由があるのかな。教えてください、鞠莉ちゃん先生!」
鞠莉「ふふ、ではレクチャーしましょう。『お茶する』って言葉は、単にお茶を飲むっていう意味だけじゃなくて、一休みする、休憩するって意味を含んでいるの」
曜「一休み…あ、もしかして、お茶を飲みながら休憩してたからそう呼ぶ、とか?」
鞠莉「カンがいいわね、その通りよ」
曜「へへ、やった!」
鞠莉「そこから意味が広がって、休憩や飲み物を楽しむことを一括りにして『お茶する』と呼ぶようになったわけね」
曜「ふーん、随分と意味が広くなっちゃったんだね」
鞠莉「もっとわかりやすく言うと…たとえば、朝ごはんにご飯以外のものを食べたって、パンするとかコーンフレークするとは言わないでしょ。それと同じことよ」
曜「なるほど、そう聞くと納得できるよ!さすが鞠莉ちゃん先生、説明が上手だね!」
鞠莉「ふふっ、これでも理事長ですからね。さ、疑問が解決したところで、お茶を再開しましょう。このクッキー美味しいよ?」
曜「うん!いただきまーす!」モグモグ
鞠莉「慌てて食べて、クッキーを喉に詰まらせないようにね」
曜「そんなうっかりはしない――うぐっ!?」
鞠莉「ああ、だから言ったのに。ほら、これを飲んで!」
……………………………………
レストラン
「お待たせしました、ハヤシライスです」コト
ようまり「ありがとうございまーす」
「ご注文の品はお揃いでしょうか」
ようまり「お揃いでーす」
「伝票失礼します、ごゆっくりどうぞ」
ようまり「はーい♪」
(シンクロしてる。仲がいいお二人ですね)クス
鞠莉「さ、食べましょうか――うん、美味しい!たまにはハヤシライスも悪くないわね」
曜「んー。ドミグラスソースは大好きだし、美味しいけど、ご飯にかけるならカレーの方が好きかな。子どもの頃、カレーだと思って食べて、がっかりしたことがあるよ」
鞠莉「ふふっ、ありがちね」クスクス
曜「ところでさ、ハヤシライスって、なんでハヤシライスっていうの?林の中で作られたから、とか?」
鞠莉「知りたい?」
曜「知りたい知りたい!教えて、鞠莉ちゃん先生!」
鞠莉「いいでしょう。曜は、ハッシュドビーフってわかる?」
曜「わかるよ、ドミグラスソースの料理だよね…あっ、ドミグラス!」
鞠莉「気づいたみたいね。ハッシュドビーフをご飯にかけたものが、ハヤシライスのもとになったと言われているんだけど」
鞠莉「この『ハッシュ』が訛って、ハヤシになったって言うのが一般的ね」
曜「へぇ…?ハッシュ、ハッシャ、ハヤッシャ、ハヤシ…うーん、なんかしっくりこない気もする」
鞠莉「そういうものなのよ、気にしてもしょうがないわ」
曜「ハッシュ、ハッシュァ、ハヤッシャ、ハヤッシ…うーん」ブツブツ
鞠莉「うふふっ。ちなみに、考案した人の名前がハヤシさんだから、そこに由来するって説もあるみたいね」
曜「わ、そっちの方がシンプルだね!」
鞠莉「これ以外にも諸説あるって聞いたことがあるわ。詳しくは自分で調べてみてね」
曜「うん!あーでも、カレーを思い浮かべてたらカレーが食べたくなってきた」
鞠莉「目の前にハヤシライスがあるのに?」
曜「これはこれで美味しくて好きなんだけど、どうしても比較しちゃうというかね。うーん…」モグモグ
曜「よし決めた、明日はカレーにする!鞠莉ちゃんもよければ、どう?」
鞠莉「答えは決まってるわ。ぜひご馳走になります♪」
……………………………………
渡辺家
曜「うーん…」
鞠莉「曜、どうしたの?」
曜「実は、冷凍庫からいつのものとも知れないバニラアイスを発掘したんだけど…」コレ
鞠莉「けど?」
曜「まだ食べられるのかわからないんだ。どういうわけか、賞味期限が書いてなくて」
鞠莉「ああ。アイスは賞味期限がないからね」
曜「えっ、そうなの?」
鞠莉「ええ。低温で冷凍保存することで、腐りの原因となる微生物が増えなくなるから、理論上は腐らないし、品質も劣化しない――」
鞠莉「そういうわけで、アイスには賞味期限は設定されていないのよ」
曜「へえ、知らなかった…じゃあ、食べられるのかな?」
鞠莉「んー…賞味期限が無いとはいえ、古いものだったら食べるのは考えものね…ん?」
曜「どうかした?」
鞠莉「これ、きっとそんなに古くないわ。ほらここ、プレゼントキャンペーンの締切日が今年になってる」
曜「あっ、本当だ!よかったぁ、これで安心だね!」
鞠莉「ふふっ、心配が無くなったところだし、このアイスはマリーが美味しくご馳走になるわね♪」
曜「あっ、ずるいよ!私が見つけたのに!ねぇ、半分こしようよー!」
……………………………………
曜「鞠莉ちゃん鞠莉ちゃん」
鞠莉「どうしたの?」
曜「よくさ、面積を表すときに『東京ドーム何個分の広大な土地』とか言うでしょ」
鞠莉「言うわね。でも、正直わかりづらいわよね」
曜「そうだよね!そもそも東京ドームがどれだけ広いかもよくわからないって話だよ」
鞠莉「えっと…調べたところ、東京ドーム1個分は、46,755平方メートルを指すみたい」スマホ スッスッ
曜「うーん、ますますわからないや…」
鞠莉「横浜アリーナで言うと、大体2倍くらいの広さってことになるみたい」
曜「わ、あんなに広い横浜アリーナの倍もあるんだ」
鞠莉「1stLiveの頃が懐かしいわ。ついに、ここまで来たのね」
曜「ん、そうだね…」
鞠莉「…緊張してる?」
曜「さすがにね。でも…今はそれ以上にワクワクしてるよ!何と言っても、あのμ'sも歌った東京ドームだからね!」
鞠莉「うふふっ、私もよ。2日間、全速前進で楽しみましょう!」
曜「うん!めいっぱいシャイニーしちゃおうね!」
終わり
凛ちゃんがンミチャと絵里ちゃんに教えて貰ってどんどん賢くなってくスレに似ててほっこりした