鞠莉「それじゃ、行くわね」
曜「いってらっしゃい!鞠莉ちゃん!とっておきのサラダ、作っておくからね!」
鞠莉「愛してるわ」
曜「…ふえっ!?」
鞠莉「ふふっ、いってきまーす♪」
曜「い、いってらっしゃい…じゃなくて、待って!今なんて言ったの、鞠莉ちゃーん!」
……………………………………
鞠莉「あつい…」
曜「梅雨明けはまだだっていうのに…いきなり暑いよね」
鞠莉「こう暑いと、食欲なくなっちゃうわ」
曜「ふっふっふっ」
鞠莉「ん?」
曜「そう言うと思って、今日のお昼は冷たいものを用意したよ」
鞠莉「なになに、そうめん?」
曜「さあねー」
鞠莉「お蕎麦?冷奴?冷やしパスタ??」
曜「内緒!食べてからのお楽しみ、ってね!」
鞠莉「ええー、いいじゃない。教えてくれても」
曜「まあまあ。楽しみはとっておくものだよー」
鞠莉「むー…」
曜(んー、もしかしてハードルあげちゃったかな)
――――――――
曜「はい、お待ちどうさまー」
鞠莉「わぁ…!」
曜「トマトが美味しそうだったから、冷やしてカプレーゼにしてみたよ。夏らしく、爽やかにね!」
鞠莉「素敵だわ。見た目にも涼しげで、とっても美味しそう」
曜「味もそうならいいけど。さ、召し上がれ」
鞠莉「いただきます…んっ、美味しい!」
曜「本当?」
鞠莉「ええ!カプレーゼはシンプルだけど、故に難しく奥深い料理…それをこんなに美味しく作れるなんて。また腕を上げたわね?」
曜「あははっ、鞠莉ちゃんにそう言ってもらえると説得力があるよ」
鞠莉「このカプレーゼには及ばないわ。食べればわかるこの美味しさ、ってね」
曜「えへへっ、よかったぁ!」
鞠莉「ふふっ、今度パパやママにも作ってもらえる?」
曜「えっ!?」
鞠莉「きっと気にいると思うわ、曜の作った美味しいカプレーゼを…なんてね?」
曜「な、なんだジョークか。もう、いきなりびっくりするじゃん」
鞠莉「うふふっ」
鞠莉(さあ、果たしてこの場のジョークで済むかしら、ね?)
……………………………………
曜「今日はサラダにグリルしたチキンを乗せてみたんだ、バジルソースをかけて」
鞠莉「わお、随分とボリューミーね」
曜「これ自体がメインって感じでもあるかな。食べ応えもあるし、ご飯にも合うと思うよ!」
鞠莉「まさに『食べる』サラダって感じね」
曜「えへへっ。暑いからスタミナつけないとね!」
鞠莉「そうね。では、いただきましょうか」
曜「うんっ!」
ようまり「いただきまーす」
鞠莉「んっ、カリッと焼いたチキンが、美味しっ」
曜「バジルソースとよく合うよね!」
鞠莉「野菜もご飯も、どんどん食べれそう。これも夏にぴったりのサラダね」
曜「えへへっ、チキンもサラダもまだまだあるから、いっぱい食べてね!」
――――――――
鞠莉「ご馳走さまでした」
曜「お粗末さまでした」
鞠莉「お粗末なものですか。美味しくてお代わりまでしたのに」
曜「えへへっ。お野菜いっぱいって大事だよね」
鞠莉「ええ。美容と健康の基礎だもの」
曜「この前知ったんだけどさ、栄養的には、一食あたり手のひら山盛りの野菜を食べるのがいいんだって」
鞠莉「へぇ、となると結構な量ね。今回はそれより多く食べたと思うけど、毎食だとすると…」
曜「美味しく工夫しないと、とても食べられないよね」
鞠莉「だからサラダって凄いわよね。ただ生野菜をお皿に盛ったものじゃなくて、立派なお料理なんだから…いつもありがとうね」
曜「いえいえ。美味しく食べてもらえて、何よりだよ!」
……………………………………
ようまり「いただきまーす」
鞠莉「今日のご飯も美味しそうね。ん、この味は…」
曜「あ、気付いた?」
鞠莉「こないだ食べに行ったお店のサラダと同じ味だわ」
曜「気に入ってたみたいだったから、真似してみたんだ。どうかな?」
鞠莉「美味しいわ。でもどうやって?レシピなんてわからないでしょう」
曜「なんとなく、これはこの味かなって」
鞠莉「本当に?」
曜「うん!耳コピならぬ舌コピってやつかな」
鞠莉「へぇ…!凄いのね、一度食べただけの味を再現出来ちゃうなんて」
曜「えへへっ、細かいところまでは難しいから、なんちゃってだけどね」
鞠莉「謙遜しないの。本当に美味しいわ、お店で出てきても遜色ないくらい。いっそ沢山作って商品化してみない?」
曜「あははっ、お上手なんだから」
鞠莉「本気で言ってるのに…マリーの舌を信じなさい」
曜「ふふっ、私は鞠莉ちゃんが美味しいって食べてくれるのが、一番嬉しいから」
鞠莉「まあ、可愛いこと言ってくれちゃって」
曜「えっへへ!」
……………………………………
曜「鞠莉ちゃん、ちょっと遅くなっちゃったけど、おやつにしない?」
鞠莉「いいわね。ちょうど一息入れようと思ってたの」
曜「へへ、そうかと思ってお湯を沸かしておいたよ」
鞠莉「さすが、準備が良いわね」
曜「今日はお煎餅なんだけど、いい?」
鞠莉「いいわね、ぜひいただくわ」
鞠莉「あら。お煎餅って、これのことだったの」
曜「イメージと違った?」
鞠莉「オーソドックスなのを想像してたから。サラダ味なのね」
曜「軽くて好きなんだよね。今日は遅いおやつになっちゃったし、ちょうどいいかなって」
鞠莉「なるほどね」
曜「コーヒーにする?合うかどうかわからないけど」
鞠莉「ふふ、大人しく緑茶にしておくわ」
曜「りょーかい!」
鞠莉「ふふっ」
曜「ん?」
鞠莉「いえ、コーヒーを我慢して正解だったかもって」
曜「ああ、お茶のこと?」
鞠莉「ええ。この控えめなしょっぱさには、お茶がよくマッチするわ」
曜「美味しいよね!」
鞠莉「曜の言うとおり、軽いからつい手が止まらなくなるわ」
曜「あんまり食べすぎると、これを選んだ意味が薄れちゃうよ?」
鞠莉「はーいっ。これで最後にする」
曜「よろしい…でもさ」
鞠莉「ん?」
曜「美味しいし、好きなんだけど。サラダ味って言うわりには、別に野菜の味はしないよね」
鞠莉「そりゃそうよ。野菜味のお煎餅があったらびっくりしちゃうわ。このご時世だから、そういうものもあるかもしれないけどね」
曜「少なくともメジャーではなさそうだよね。そもそもこのお煎餅は塩味って感じだし…うーん、どうしてサラダ味って言うのかなぁ」
鞠莉「知りたい?」
曜「知ってるの?知りたい!教えて、鞠莉ちゃん先生!」
鞠莉「このやりとりも久々ね。では、こほん」
鞠莉「ここで言うサラダ味って言うのは、実はサラダオイルのことを指しているの」
曜「サラダオイル…お料理で使う、サラダオイルのこと?」
鞠莉「ええ。サラダオイルがまだ貴重で高価なものだった頃、時代の先端や洋風なおしゃれの象徴としてサラダオイルを使ったことから、サラダ味と名付けられたそうなよ」
鞠莉「サラダオイル自体にほとんど味はないから、塩をまぶして味付けしてるの。だから塩味のお煎餅なのね」
曜「へえー!お煎餅にサラダオイル…なかなかのひねり技だね」
鞠莉「これもまた、和と洋のハイブリッドってわけね」
曜「なるほどね、勉強になったよ…って、何もう一枚食べてるの!これで終わりってさっき言ったでしょ!」
鞠莉「うふふっ、講演料デース!」
……………………………………
鞠莉「ただいまー…」
曜「お疲れ様!ありゃ、本当にお疲れ様?」
鞠莉「ちょっと、ね」
曜「大変でした。お風呂もあるけど、先にご飯にする?」
鞠莉「ん、シャワーだけ浴びてくる」
曜「ゆっくり入っちゃってもいいよ?」
鞠莉「ご飯食べた後にそうするから、まずシャワーだけ」
曜「わかった。ゆっくり、ね」
鞠莉「ふふっ、ありがと」
――――――――
鞠莉「ふぅ…」
曜「お疲れ様。ソファーで待ってて、いま準備しちゃうから」
鞠莉「んー…手伝わなくてごめんね」
曜「いいからいいから。とっておきのサラダを作っちゃうから、ゆっくりしててよ」
鞠莉「ありがとう…」
曜「よしっと。最後の仕上げ、頑張っちゃおうかな!」
曜「今日のはちょっと変わり種なんだ。ネットで見てさ、面白そうだったから」
鞠莉「んー…」
曜「くり抜いたパイナップルの皮を器にして、中にカットしたフルーツを混ぜ込んで、と」
曜「でもこれ、サラダって名前の割には完全にデザートだよね。見た目も内容も…」
曜「ま、いっか!これで完成っと!」
曜「できたよ!曜ちゃん特製パインサラダ!…って、あれ?」
鞠莉「すー…くー…」
曜「ありゃ、おやすみモードか…頑張ってたもんね」
鞠莉「ん、んー…」
曜「うーむ。サラダくん、悪いけど君の出番は回ってこないみたい。今日のところは冷蔵庫でお休みしててね」バタン
鞠莉「くー…」
曜「さて、と。ごめんね、ベッドまで運んじゃうよ。よっ、と…」
鞠莉「んっ…すー…」ギュ
曜「ふふっ。おつかれさま。大好きだよ、鞠莉ちゃん」
終わり
乙
まさかの鞠莉ちゃん先生再登場でちょいと嬉しいサプライズだわ
まりちゃんがリガズィに乗ってアクシズに凸するスレかと思った