廊下
〜お昼休み〜
歩夢(お弁当、いつもより多く食べ過ぎちゃったかな…まぶたが重いや)
歩夢(外は小雨だし、ちょっとだけ部室でお昼寝を…)
ガチャ
愛「…」
歩夢「あれ、愛ちゃん、部室にいたん───」
愛「!」クルッ
歩夢「…愛ちゃん?」
愛「…」シーッ
愛「…」ユビサシ
歩夢(なんだろう?とりあえず足音は立てないように…)ヌキアシサシアシ
歩夢(あの辺りは確か彼方さんの仮眠用ベッドがあったはずだけど…)シノビアシ
ヒョコッ
歩夢「!」
璃奈「…」スヤスヤ
あなた「…」スピー
愛「昼練しようとして来たらもうこの状態だったんだよね」コゴエ
歩夢「そうなんだ…ふふっ、ふたりとも幸せそうに寝てるね」コゴエ
愛「これ見ちゃったら起こせないじゃん?でも寝過ごしちゃったら問題だし、予鈴までいようかと思って」
歩夢「そうだね…私も、ここにいようかな。隣良い?」
愛「どーぞどーぞっ」
愛「ぶちょーはいつも忙しいし、りなりーもこのところ根詰めてたみたいだからね〜」
歩夢「璃奈ちゃんも?」
愛「情報処理学科、結構課題がシビアな時期があるんだよね」
愛「2年になると慣れてくるけど、練習しつつあの量を短期でこなすのはしんどいと思うよ」
歩夢「愛ちゃんでもきついって思うんだ…」
愛「こうやって眠れてるってことは、一段落したんだろうけどね」
愛「ホントにヤバい時とかもうマジ寝てらんないから」アハハ
歩夢「大変だった分、気持ちよく眠れてるのかもしれないね」
愛「ね。解放された〜!って感じかな」
璃奈「…んぅ…」スゥ…スゥ…
あなた「……」スピースピー
歩夢「ふふっ、2人ともかわいい…♪」
愛「癒されるよねぇ」
歩夢「…あっ、この子ちょっとよだれ垂れちゃってる。ティッシュ、っと…」
愛「そーっとだよ、そーっと」
歩夢「うん。慣れてるから大丈夫だよ」ソローッ…フキフキ
歩夢「…よし、オッケー」
愛「おおっ、これは熟練の技を感じますなぁ」
歩夢「もう、愛ちゃんったら」
歩夢「この子、ご飯食べると時々口元についちゃったり、眠るとよだれが垂れちゃったり…」
歩夢「急にスイッチが切れて眠っちゃったり、ところどころ小さい子みたいなの」クスッ
愛「あははっ、確かに!そういやランチ会のときもやっちゃってたよね」
歩夢「い、一応この子も気をつけてはいるんだよ?1年生の前ではなるべくやっちゃわないようにって…」
愛「分かってるって〜。ただ、今は1年のりなりーと仲良くお昼寝しちゃってるけど♪」
愛「そういや、愛さんは昼練目的でここに来たけど、歩夢もそうだった?」
歩夢「あっ、ううん。違うの、えっと…」
愛「?」
歩夢「少し食べ過ぎて、お腹いっぱいになったら眠くなっちゃって…」
歩夢「ちょーっとだけお昼寝に…」カァッ
愛「そういうことか〜。じゃあ、この2人と目的は一緒だったわけだ」
歩夢「じ、自分で言ってみると結構恥ずかしいね、この理由…」
愛「いやぁ、抗えない眠気ってあるっしょ」
愛「歩夢がっていうにはちょい意外だけど、別に恥ずかしいことじゃないって」ワシャワシャ
歩夢「わっ…!も、もう…でも、ありがとう」
愛「あっ、そうだ。歩夢ここに横になる?」
愛「このソファー結構おっきいし、アタシが移動すれば…」
歩夢「ううん、大丈夫。愛ちゃんが最初に座ってたんだし」
愛「別に気にしなくて良いのに〜」
愛「…それなら、逆にそっちに寝ちゃうとか?」
歩夢「え…っ!?」
愛「りなりーもぶちょーもちっちゃいし、歩夢も細いし頑張ればいける説あるよ」
歩夢「い、いや…流石に厳しいんじゃない?」ジッ
愛(とはいえ見はするんだ)
仮眠用ベッド
[ あ璃 ]<zzz…
歩夢「……」
歩夢「…………」
愛(想像の倍以上ガッツリ考え込んでる…)
歩夢「…………いや、やっぱり良いよ」
歩夢「私が落っこちる分には良いけど、どっちかを落としちゃたらかわいそうだもん」
愛「…ちなみに、どっち側に入ろうと思ってた?」
歩夢「っ!?」
歩夢「え、あ、ぜ、全然、全然考えてなかったよ?ほ、ほら、どっちも同じくらいスペースあるし」アタフタオロオロアセアセ
愛「歩夢、愛さんが悪かったから落ち着こ?」
歩夢「もう、からかうなんてひどいよっ」フグポム
愛「ごめんごめん、まさかあんな慌てるなんて思わなくてさ」
愛「でも、ああいう質問にも考え込んじゃうのが真面目な歩夢っぽいのかも」
歩夢「そ、そうなの…?」
愛「うんうん!」
歩夢「…ちなみに愛ちゃんは?」
愛「ん?」
歩夢「愛ちゃんだったらどっちに入る?」
愛「アタシだったらりなりーの方に入るかなー」
歩夢「やっぱり仲良しだから?」
愛「それもあるし、狭いスペースに入る訳だから、せめて小さい方に入った方が収まりがいいと思って」
歩夢「あぁ、そういう…」
歩夢(〜〜〜っ!)
歩夢(じ、自分の思考が恥ずかしい…っ!)
ガチャ
あいぽむ「!」
彼方「…あれー…愛ちゃんと歩夢ちゃんだぁー…」ウトウト
愛「カナちゃん?」
歩夢「彼方さん、いつにも増して眠そうですけど大丈夫ですか?」
彼方「んー…保健室のベッド…埋まっちゃっててねぇー…」コックリコックリ
愛「わわわっ、待って待ってカナちゃん!そんな赤べこみたいになってたら危ない!」
歩夢「か、肩貸しますね、掴まってください」
彼方「ありがとー歩夢ちゃん…それでねぇー…」ユラユラ
彼方「彼方ちゃんはもう、お布団の気持ちになっててねぇー…部室にやって来た訳なのさぁ〜…」
愛「そっかー…でも今そこ埋まっちゃってるんだよね…ソファー使う?」
彼方「埋まってるー…?」ヒョコ
彼方「おぉー…こういうことか〜」ウトウト
彼方「……」ジーッ
彼方「これなら大丈夫そうだね〜」
愛「えっ、大丈夫って…」
トコトコ
彼方「よいしょー」ヒョイ
ゴロン
ポスッ
あいぽむ「!?」
彼方「それじゃあ、おやすみぃ〜…」
歩夢「璃奈ちゃんを持ち上げて…」
愛「寝っ転がって、自分の上にりなりーを乗っけた…」
あなた「…すぅ…ぐぅ…」
璃奈on彼方「…?…ん……すぅー……」スヤスヤ
彼方「むにゃ…むにゃ…」スヤピ
歩夢「璃奈ちゃんもこの子も全然気付いてないみたい」
愛「流石はお昼寝のプロ、アタシたちの予想をよそにあっさりと超えてくる」
歩夢「彼方さんももう眠ってるね…」
愛「こんだけ気持ち良さそーに寝てるの見ると、こっちまで幸せな気分になってくるよね」
歩夢「うん、本当に…」ウト…
愛「…歩夢、眠い?」
歩夢「あ、ううん、私は大丈夫っ」
愛「半分目が閉じちゃってるのに説得力無いって。もともと寝に来たんでしょ」
愛「愛さんがソファー移動すんのが気になるなら、肩か膝か貸したげるよ」
歩夢「え、えっ?」
愛「ほらほら、遠慮せずに〜♪」
歩夢(愛ちゃんに迷惑かけちゃうけど…とにかく眠いのは事実だし、断れないや…)
歩夢「ありがとう。なら…お願いするね」ウトウト…
愛「はいよっ!膝と肩のどっちが良ーい?愛さん的には、横になれる膝がおすすめだよ〜」
歩夢「ひ、膝はちょっと恥ずかしいから、肩で…!」
愛「気にしなくて良いのに。はい、どーぞ!全部体重かけちゃって良いからね」
歩夢「ええと…お邪魔します?」ポスン
愛「あははっ、何それー?お邪魔されまーす!」
歩夢「……すぅ…」
愛「……」
愛(…歩夢、カナちゃんにも負けず劣らずすぐ寝たなあ。食後ってのもあるけど、普通に疲れてたんじゃない?)
愛(ひとまずこれで多少は休めてれば良いけど…)
愛(アタシ以外全員寝てるこの状況、つられて寝ちゃいそうだけど、そしたら多分この場の全員授業遅刻するよね)アハハ
愛(テーブルに置いてあるのは…ぶちょーの練習ノートか)
愛(昼練はやらなかったし、部活に向けて読んでよっと)
愛(部室にいるのに静かなのって変な感じだな〜)
愛(…おー、相変わらずびっちり書いてる)ペラッ
愛「……」ジーッ…
廊下
タッタッタ!
かすみ「予鈴前に気づいて良かったー!6限に体育なのに体操着部室に置きっぱなし!」
かすみ「授業前に部室まで走って着替えて体育館までまたダッシュする羽目になるところだった〜」
ガチャ
歩夢「…」スヤスヤ
愛「…」ペラッ…ジーッ……ペラッ…
あなた「…むにゃ…ぐぅ…」
彼方「…」スヤピ
璃奈on彼方「すぅ…すぅ…」…zzz
かすみ「……」
かすみ「どういう状況!?(超小声)」
おわり