絵里「ねぇ…なんでこんな事するの?」
花陽「そうだよぉ。やめようよぉ」
穂乃果「え〜だってせっかくのお泊まり会だし?」
凛「そうにゃそうにゃ!お泊まり会と言えば怖い話大会だよね!」
絵里「そんなの聞いた事ないわよ!海未…」
海未「こう言うのもたまにはいいじゃないですか。あまり遅くならなければ」
絵里「ええ…海未まで」
にこ「なによ?もしかして怖いの?」
絵里「ま、ま、まさか。だって…花陽が怖がってるし」
凛「かよちん大丈夫だよ!凛がついてるから」
花陽「本当!じゃあ…」
絵里「ちょ…花陽…」
希「えりち!大丈夫だよ!ウチがついてるから」
絵里「あっそ」
希「つめたいなぁ」
穂乃果「じゃあ!まずは私からいいかな?」
絵里「え?本当にやるの?」
にこ「もう諦めなさいよ」
穂乃果「うん。あの日は…蒸し暑い夜だったな…」
あの日は蒸し暑い夜だった。
穂乃果「は〜疲れたぁ…もうすっかりこんな時間だ…」
私は夏休みの一週間補習を受ける為に学校に通ってたの。
いつもは夕方には終わるんだけどその日ちょっと終わるのが遅くなってしまっで外はすっかり暗くなってたの。
穂乃果「お腹空いたな〜。ただいまー」
穂乃果母「おかえり。遅かったじゃない」
穂乃果「うん。ちょっとね。今日のご飯何〜?」
穂乃果母「ハンバーグだけど…あんた…海未ちゃん来てるわよ?部屋で待ってるけど…」
穂乃果「へ?あっ!?」
私は海未ちゃんと約束してるのをすっかり忘れていた。
どうしよう…海未ちゃん怒ってるかな…。
そんな事を思いながら海未ちゃんの待つ部屋に向かい、けど…いきなり部屋の襖を開ける勇気がなくて…ほら…怒ってるかもしれないし。
だから…すこし…ちょっとだけ部屋の襖を開けて中の様子を覗いてみたの。
中には襖に背を向けて正座をした海未ちゃんがじっと鏡を眺めているの。
私は息を殺してどうにか鏡の中を覗き込もうとしたら足が襖にあたってしまって
ドカッって…
やばい。海未ちゃんに見つかった。
けど、海未ちゃんは振り向くでもなくジッと鏡を見つめてる。
穂乃果「ふぅ…バレなかったみたい」
と思ってふと前を見たら…
鏡に写る海未ちゃんと目があって
「気がづいていますよ」って…。
絵里「いや…なんの話!?」
海未「本当です!!」
希「あれやろ?幽霊より海未ちゃんの方が怖いって話やろ?」
穂乃果「海未ちゃんが人の部屋で笑顔の練習をしてたんだよ」
にこ「人の家でなにしてるのよ…あんたは…」
海未「くっ…変な話をしないで下さい!!!」
穂乃果「いや…事実怖かったし…」
海未「だとしても!!!」
穂乃果「さ〜次は誰の番かな?」
凛「じゃあ凛!」
希「おっ!凛ちゃん!怖いの頼むよ!」
凛「ガッテンにゃ!!!」
にこ「既に怖くない」
絵里「助かるけど…」
凛「あれは…いつだったかな…遠い昔の様な気もするし…ついこの間だった様な気もする…」
あの日、凛と穂乃果ちゃんはにこちゃんにドッキリを仕掛けようとしてたんだ…。
凛「よ〜し。にこちゃんがドアを開けたらこの黒板消しが頭に落ちる作戦にゃ〜」
穂乃果「多分上手くいかないと思うよ。見た事ないもん。上手くいってる所…」
部室の扉に黒板消しを挟んで扉を開けたら頭の上に落下する。そんなドッキリを仕掛けてにこちゃんを待ってた。
けど、いくら待ってもにこちゃんは部室に来ない。
考えてみれば当たり前なんだよね。にこちゃん風邪を引いて休んでたんだから。でも、凛達はそんな事を知らないからずっとにこちゃんを待ってたんだ。
凛「にこちゃん来ないね〜」
穂乃果「うん」
その時…
今年の夏は怪談SSを書こう
そう思うようになってはや4年
俺の代わりに頑張ってくれ
ガララって。
にこちゃんが来た!!!
そう思ったけど…違った。
海未「なんですか…これは…?」
声が出なかった。
気がついたら凛も穂乃果ちゃんも走り出していた。
ひたすら廊下を走ってすれ違う先生に怒られても止まらなかった。
逃げてる途中今は使われてないはずの宿直室の扉が開いてるのに気がついて急いで中に逃げ込んだんだ。
宿直室の中には押し入れがあって…そこの中なら見つからないだろうって二人で中に隠れたの。
押し入れの中には布団が入ってるからギュウギュウで凄い暑かった。
そんな事を思ってると
ガチャ…ギィィィィィって扉がゆっくりと開く音が部屋に響いて…。
あれ…鍵…閉めなかったっけ。
穂乃果ちゃんに確認したかったけど声を出したらきっと見つかってしまうから息を殺した。
そしたら
バタン!!!
って音がしたから出て行ったのかな?
なんて安心してたら
「ここに居るんですか〜?」
って冷たい声で。心臓が止まりそうだった。
実際には止まるどころかバクバクって凄い…耳の隣にあるのかな〜ってくらい心臓の音が煩くって…それでバレちゃうんじゃないかって思ったくらい。
押し入れの中からは海未ちゃんが何をしてるのか分からないし隙間からどうにか見えないかな〜なんて思ってたら
サーーーーッ
って凛達が居るのと反対側の襖が開いたの。
ヤバイ!バレる!って声を必死に押し殺して目を瞑って丸くなるしか出来なかった。
しばらくして
「居ない…」
って海未ちゃんが呟いて
サッと
襖を閉めて…ガチャっと部屋から出て行く音がしたの。
凛「助かったーーー」
穂乃果「怖かったね〜」
本当に怖かった。凛も穂乃果ちゃんも汗でびしょびしょで…けどもう助かったんだって安心してたら。
サッと勢いよく襖が開いて
「見つけた」
絵里「また海未の話!!?」
凛「その後の事は何も覚えてないにゃ…」
穂乃果「あったね…私も覚えてない」
海未「私ははっきり覚えてますよ。思い出しますか?」
凛「あの…すいません」
にこ「って言うかなに私にドッキリ仕掛けようとしてるのよ!!!」
穂乃果「あっ!そうだ!そもそもにこちゃんが学校に来ればあんな怖い思いは…うぅ…」
にこ「な、何があったのよ…」
希「まさに生きてる人間が一番怖いって事やな」
絵里「それはちょっと違うと思うけど…」
希「さあ、次誰が行く?」
ことり「あっ!じゃあ私が行こうかな!」
穂乃果「ことりちゃん!」
凛「怖いの頼むにゃ〜」
絵里「いえ。程々で!」
海未「まあ、ことりなら大丈夫でしょう」
ことり「あの…これは怖い話って言っていいのかなぁ…。実は…穂乃果ちゃんと海未ちゃんにも一度聞いてみようと思ってたんだけどね」
穂乃果「え?」
海未「私と穂乃果に?」
ことり「うん。もしかしたら他の皆んなも知ってるかな…」
これは子供の頃の話なんだ。
小学校低学年の頃かな?もしかしたら幼稚園生の頃かも。
とにかく私が小さい頃、ピエロが月に一度だけ私の家の近所に来るの…覚えてるかな?
毎月、毎月来てくれてジャグリングを披露してくれたり風船アートを披露したりしてて。
よく子供達を集めて最後にはお菓子を配ってたの。
私はそれが楽しみで毎月欠かさず見に行ってたんだ。
ある日、いつも通りピエロさんが芸を披露してお菓子を配ってて。その日は私は列の最後尾に並んでたの。
私の番になってお菓子を受け取っていつもありがとうって伝えたら
「一緒に来るかい?」
って言われて…。私は不思議と嫌じゃなくてついて行こうとした時にお母さんが凄い形相で飛んできて
「来なさい」
って私の手を引っ張って連れ帰ったの。
その時のピエロさんの悲しそうな表情が今でも頭の中に残ってるの。
穂乃果「……え……何その話」
にこ「こわ…」
絵里「って言うか…事件?」
ことり「あっ、まだ話の続きがあってね」
穂乃果「え…」
ずっとこの話はしちゃいけないってなんとなく思ってたんだけど…。
前に勇気を出してお母さんに聞いてみたの。
前にピエロが近所に来てたの覚えてる…?
って。
けど、
理事長「ピエロ?なんの話?」
って惚けてる風でもなくて。本当に知らない感じで。
もしかして私に隠してるのかなぁって思って色々調べてみたけど…全然分からなくて…。
もしかして…私の勘違い?妄想だったのかなぁ…?
ことり「結局何も分からないんだけど。穂乃果ちゃんと海未ちゃんは覚えてない?」
穂乃果「いや…全然…そんな話知らない…」
海未「ピエロなんて…記憶にありませんよ…」
ことり「そうだよね。でも…私の記憶にはハッキリあるんだよね…」
穂乃果「えぇ…なんか…ちょっとトリハダが…」
にこ「なにマジの怖い話してるのよ…」
ことり「だ、ダメだった?」
絵里「ダメよ…。本当に怖い話は…ダメよ…もうピエロ見れない…」
花陽「私も…」
ことり「ご、ごめんね」
希「しかし気味の悪い話しやね」
にこ「ことりだと思って完全に油断してたわ」
穂乃果「え…どうする?この後誰行く?にこちゃん?」
にこ「え?」
希「じゃあにこっちやね!今いい感じやからね!期待してるよ!」
にこ「あっ…えっと…じゃあ…」
えっと…これは人から聞いた話なんだけど…。
ある男が山で遭難したんだって。
どうしようって悩んでたら民家を見つけたの。
トントン
「すいません」
「どうしました?」
民家にはお婆さんが住んでいました。
「あの…実は遭難してしまって。一晩泊めて頂けないでしょうか」
「そうなんですか。分かりました。どうぞ。お入り下さい」
お婆さんは快く泊めてくれました。
ご飯をご馳走になり温かいお風呂も頂きフカフカの布団まで用意してくれました。
なんて親切なお婆さんなんだ。
男は安心して眠りに着きました。
夜中、男が尿意を催しトイレに行くと途中
スゥー スゥー
と台所の方から音がするではないですか。
男はそーっと台所の方を覗くと
お婆さんが包丁をゆっくり…ゆーっくりと研いでいました。
男は思わず
ぎゃああああああ
と悲鳴をあげてしまいお婆さんはこちらに気がついてしまいました。
お婆さんはゆっくりとこちらへ向かい男の方へ包丁を突き立て…
スーパー悪の十字架…
スーパーあくのじゅうじか
スーパー開くの十時か?
にこ「男はそうですとゆっくりと頷きました」
穂乃果「へ〜…」
真姫「何その話…どこが怖いのよ」
花陽「わ、私はこう言う話の方が…」
にこ「仕方ないじゃない!にこ、霊感とか全然ないんだから!恐怖体験とかないのよ!幽霊なんかより光熱費の方が怖いわ!!!」
真姫「知らないけど…」
希「まあでも。にこっちのお陰で雰囲気がリセットされた感じやね」
絵里「そうね。このまま終わりでも…」
希「次行ってみよう!」
穂乃果「次は真姫ちゃん?」
真姫「私?」
希「頼むよ真姫ちゃん!凄い怖いやつ!」
絵里「凄い怖いのはやめてね」
真姫「私も霊感とかないから…。人から聞いた話だけど」
私のパパ…お父さんは医者だから色んな人と話すと機会があって。やっぱり色んな話を聞くんですって。
これもパパが患者さんから聞いた話しなんだけど。
その患者が入院していた理由は交通事故だったらしいの。貰い事故で車なんかは大破しちゃったらしいけど不幸中の幸い命に別状はなくて足の骨折ですんだって。
とは言っても足の骨折も結構な事なんだけど。
車もぐちゃぐちゃになっちゃうくらいの事故だからその時持っていた携帯電話も壊れちゃったんだって。
まだ当時はスマートフォンとかじゃなくて折り畳み式のいわゆるガラケーと言われてたものね。
画面にヒビが入っている程度で済んだからって新しいのを買うのはやめて修理に出して使おうと思ったんだって。
携帯は一週間程度で直るらしいから当然自分の足よりも先に直って帰って来たみたい。
帰って来た携帯の電源を入れてメールを受信したら何十件も入ってて…友達から心配のメールだったり、仕事のメールだったり。
その中の一通に見覚えのないアドレスからのメールが入ってて、題名も無題で中身をみたら動画ファイルが一つ添付されてるだけのものだったの。
なんだろうって不思議に思ったのと同時に気味が悪いなって思ったのと同時に好奇心が湧いて来ちゃってその動画ファイルを開いてみたんだって。
ガラケーだからファイルを開くのにも結構時間が掛かるみたいでイライラしながら途中でやめようかななんて思ってると処理が終わって。
じゃあ、動画を再生しようかって…再生してみて…その患者さん驚きのあまり言葉を失ったって。
動画を再生したら自分の横顔が写されててよく見ると車を運転してるんですって。
こんなのいつ誰が撮った動画だろうって…友達のイタズラかなって。けど、しばらく見てたら。
あれ?この服装…事故当時着ていた服と一緒だって。
えっ…もしかして…
キィィィィ ガシャーン
どうやら事故の直前に助手席から撮った動画だったみたい。けど、事故した時車にはその患者さん一人しか乗ってなかったんだって。
じゃあ、この動画は誰が撮影して誰が送って来たんだろうって。
動画の最後ね…事故の衝撃で携帯が放り出された先から助手席で項垂れる女性が映し出されていたって。
絵里「ちゃんと怖いやつじゃない!」
真姫「だって怖い話をしろっていったじゃない!」
穂乃果「うん。怖かったよ。意味わからなかったもん」
にこ「意味は分かったでしょ…」
支援
ことりの話がぶっちぎりで怖い
穂乃果のは笑える話だけどこういうふうに書くと普通に怪談っぽくていいね
なんか人志松本のゾッとする話でちゃんとしてるのとそうでないのが交互に来る感じに似てて面白い
希「いや〜真姫ちゃんもなかなか良かったよ〜」
真姫「そっ」
にこ「あれ心の中でガッツポーズしてるわよ」
花陽「そ、そうなの?」
にこ「そうなの。絶対してる」
真姫「してないわよ!」
希「じゃあ…次はえりちの番かな」
絵里「私!!?私は怖い話なんてないわよ」
にこ「一つくらいあるでしょ」
凛「そうだ〜。ロシアの怖い話とかないの〜?」
絵里「ロシアの?それじゃあ…」
怖い話と言うか…私が昔住んでいた街でこんな歌が流行ってて
Спешите, поторопитесь, Камаото придет.
Спешите, поторопитесь, закройте дверь рано.
Видите, зажечь камин в ближайшее время.
Серп смотрит в окно.
って歌なんだけど。
簡単に和訳すると…
急げ、急げ、鎌男が来るよ。
急げ、急げ、早く戸を閉めて。
ほら、早く暖炉に火を付けて。
窓から鎌男が覗いているよ。
昔、日が暮れる時間になると大鎌を持った男が現れて襲う事件があったって言われてるの。
子供達があまり遅くまで出歩かないようにって大人達が流行らせたみたいなんだけどね。
目撃談が絶えないのよ。誰々の友達が見たとか、隣町にも現れたとか。
存在しないはずの鎌男の目撃談が。
それに当時幼かった私から見て大人達は何かを隠してる感じだった。
それに怯えてる様にも見えた。
作り話の鎌男の存在に。
絵里「あーもう嫌…」
にこ「なんで自分で話して自分でビビってるの?」
絵里「そんな事言われても…」
穂乃果「へ〜でもそんな話があったんだね。って言うか絵里ちゃん本当にロシア語喋れたんだね〜」
海未「日本で言う所の童歌みたいなものでしょうか?」
絵里「分からないけど。子供の頃ずっと怖かったのよ。も〜思い出しちゃったじゃない」
にこ「だから…自分で話したんじゃない」
凛「じゃあ次はかよちんの番かな?」
花陽「わ、私?あの…私の話は全然怖くないと思うけど…」
小学校の運動会での話なんだけど…。
私は小さい頃から運動が苦手で…体育とかもあまり好きじゃなかったんだけど…そんな私でも運動会は大好きだったの。
お父さんもお母さんも来てくれるお昼のお弁当が楽しみで楽しみで!
運動会の時のお弁当はね重箱に入った豪華なお弁当で。お母さんが早起きして作ってくれてたの。
私、お母さんの使ってくれる甘い卵焼きとおばあちゃんのスッパイ梅干しが入ったおにぎりが本当に本当に大好きでそれの為だけに運動会も頑張れたんだ〜!
午後はちょっとお腹いっぱいになっちゃうとねむくなっちゃって困っちゃうんだけど。えへへ
なんか…話してたらお腹が空いて来ちゃったな〜。
ちょっと話が脱線しちゃいました。
あの…三年生の時だったかな?あの年の運動会はお父さんが新しいビデオを買ったからって凄い張り切っててずーっとカメラを回してくれてたの。
私もそれが嬉しくって張り切っちゃったな〜。走るのも嫌いだったけど凄く頑張ったのを覚えてる。
うちに帰ってから家族皆んなで録画したのを見たんだけど…お父さんったら興奮しちゃって手ブレが凄かった。
で、リレーのシーンなんだけどね。私はアウトコースでバトンを待ってて…もちろんアウトコースなんで私より外側に人は居ない筈なんだけど…カメラには映ってたの。
私の隣で私よりちょっと背の高い男の子がずっとピョンピョンって跳ねてる姿が。
あの時あそこには誰も居なかったはずなのに。無表情でピョンピョンって。手ブレが酷いからかな〜って思ったけど…そんなんじゃなくて。確かにピョンピョンと跳ねてるの。
ずっとピョンピョンって。私がバトンを受け取って走り出してもずっとその場でピョンピョンって跳ねてるの。
その後もずっとリレーの間中…ずっとピョンピョンって跳ねてるの。
いつからあそこに居たのか分からないけど…無表情でただ…ピョンピョンって…跳ねるだけ。
穂乃果「半分くらいがお弁当の話!?」
花陽「どうしてもそこは外せなくて…」
にこ「どんだけ好きなのよ。おかげで怖さ半減よ」
花陽「ご、ごめんなさい」
絵里「いや、ちょうどいい塩梅だったわ。いえ、正直あれでもまだ怖かったわ」
真姫「絵里って本当に怖がりなのね」
海未「普段のキリッとした姿が嘘みたいですね」
希「ふふん。ええもん見れたやろ〜。さ〜残す所ウチと海未ちゃんだけやね」
海未「じゃあ…私いいですか?トリは荷が重いので…」
私が実際に体験した話ではないのですが。
私の祖母の体験談です。
まだ幼い頃友人と山で隠れんぼをして遊んでいるとどこからか雅楽の音色が聴こえて来たそうで。
祖母は友人を探す事をやめその音の出所を探す事にしたんです。
道を外れ草を掻き分け音の方へズンズンと進むとそこ
では人が集まりなにやら儀式を行なっている様でした。
祖母はしばらく覗き見ているとどうやら婚礼が執り行われていた様で雅楽の音色の正体もその儀式の為のものだとわかりました。
ただ、そこに居た人々の顔はどこか狐の様な…そんな感じがしたそうです。
いわゆる狐の嫁入り。本来、伝承では天気雨の日に行われるとの事でしたが真夏の昼下がり。それは行われていました。
祖母は気づかれない様にゆっくりと音を立てずその場を離れようとしたのですが
「おーい」
と友人が祖母に向かって叫ぶではないですか。
すると嫁入り中の参列者が一斉に祖母の方へ振り向き牙を剥き出し
「みたな」
と祖母に近づいて来るではないですか。
祖母は友人の手を引いて夢中で家まで走ったそうです。
穂乃果「なんで穂乃果のパンツがことりちゃんの部屋にあるんだろ?」
穂乃果「え…終わり?」
海未「はい」
凛「海未ちゃんのおばあさんは狐さんの結婚式をみたんだ」
海未「と聞いています」
凛「へ〜羨ましいなぁ」
海未「羨ましい?」
凛「羨ましいよね?」
穂乃果「うん。私も狐の結婚式みたい!可愛いだろうね〜」
凛「ね〜」
海未「いや…そんな事は…」
穂乃果「海未ちゃん狐見た事ないの?可愛いよ〜」
海未「見た事ありますけど…」
真姫「説明するだけ時間の無駄よ」
海未「…そうですね」
希「さ〜残るはウチだけかなぁ」
穂乃果「よっ!待ってました大本命!」
にこ「スピリチュアルガール!」
凛「巨乳!」
ことり「それは関係ないんじゃ」
絵里「希…お手柔らかに頼むわよ…」
希「ふふっ…じゃあ、とっておきのやつを!」
絵里「とっておきのやつ!?」
ウチ、一人暮らししてるやろ?
だからって訳じゃ無いんだけど一応部屋に固定電話があるんよ。
まあ、携帯電話もあるから殆ど使った事はないんやけどな。
ある日、夜遅く家に帰って来たら留守電が入ってて。
誰からやろうと思って再生してみたら。
「もしもし。僕、ゆういち。今から遊びに行ってもいい?」
って小さい男の子の声が録音されてたの。
ウチの知り合いにゆういちなんて子は居ないし掛け間違えやろうと。
次の日、学校から帰って来るとまた留守電が入って居た。
「もしもし。僕ゆういち。今日も遊びに行ってもいい?」
内容は昨日と同じだった。
また次の日もその次の日も
「もしもし。僕ゆういち。今日も遊びに行ってもいい?」
同じ内容の留守電が入っている。
流石に気味が悪いと感じたので電話線を外して電話が掛かって来る事のない様にした。
他に掛かって来る事もないし問題は無かった。
それから…当たり前ではあるけれど電話が鳴る事はなかった。
その週の土曜日。学校も休みで特に用事もなかったのでウチは一日中家にいた。
夕方になってこれからご飯を作るのも面倒だし何か買いに行こうかなって思って居たら
プルルル プルルル
鳴るはずのない電話が鳴った。
おかしいなと思いながら受話器を手に取り耳にやると
「もしもし。僕ゆういち。やっと出た。これから遊びに行くね」
えっ…と思ったけどもしかしたらこの子は間違えている事に気が付いていないのかもしれない。
希「もしもし。あの…うちは東條だけど…間違えて掛けてないかな?」
「ううん。大丈夫。これから行くね」
ガチャ
とだけ言って電話は切れた。
電話線を確認するとやっぱり確かに外されている。
どう言う事?なんて思っていると…
ピンボーン ピンポーン
ドンドンドン
「遊びに来たよ」
ドンドンドン ガチャガチャガチャ
「遊びに来たよ」
声が出なかった。どうしてここが。
ウチは家の中に居る事を知られたくなかったので
ゆっくり音を立てず玄関に近付き扉の向こう側を確認すると8歳くらいの男の子が立っていて。
嘘でしょ。
絶対に音を立てない様に息を殺してジッとしていると。
「あーあー。今日も居ないのかなぁ」
と言って帰っていった。
ウチは安堵し部屋に戻ろうと振り返ったその時
「なんだ。やっぱりいた」
希「それからの記憶がなくて気がつくとベットの上だったんだけど…腕には子供の手の後がくっきりとついていました」
穂乃果「おお…え…どうなったなの?無事だったの?」
にこ「無事じゃなかったら今この場に居ないでしょ」
穂乃果「あー確かに」
希「ご心配なく。ウチは無事よ。その後ゆういち君から電話が掛かって来る事もなくなったし。結局あれがなんだったのかも分からないままだけど」
穂乃果「へ〜そうなんだ」
希「うん」
海未「いや…無事ではないですね」
希「へ?いやいや無事だって」
海未「そうではなく…絵里が…恐怖のあまり倒れちゃいました」
希「えぇ…そこまで…」
穂乃果「絵里ちゃん…」
にこ「倒れたのが一番怖いわ!」
全員分終わったな!
これにて完結!
話の傾向が似てるなんてスゴイグウゼンダナー