ももいろクローバーZの“緑”こと、有安杏果の突然の引退発表には驚いた。
以前からアイドル活動を続けるか悩んでいるという噂はあった。だが、「このタイミングで!?」というのが正直な感想だ。よくある“節目だから”とか“目標だった●●を成功させたから”というものではなかったからだ。
有安が語った引退理由は「普通の女の子の生活を送りたい」。ネット上では“引退の真相”についてさまざまな憶測が流れているが、ある意味この言葉に、すべてが表れている気がする。
赤ちゃんモデルとして0歳から芸能活動を開始。ずっと芸能界に身を置いてきた。周りの女の子の浮き沈みも見てきたことだろう。自分はどうするのか−。葛藤を繰り返す中で、可能性を広げるために日本大学芸術学部写真学科に進学。ももクロの活動と並行させながら、一度も単位を落とすことなく昨年3月に卒業した。
このことからも分かるように、彼女の性格はいたってまじめ。ももクロの現場は何度も取材しているが、いま振り返ってみれば、“仲良し5人組”のワーワー、キャーキャーした雰囲気の中、有安からはどこか一歩引いて自分を見ている雰囲気を感じた。
自分はこのままで良いのか。だが、苦楽をともにしてきたメンバーとの関係を壊したくはない。まじめすぎるがゆえに悩みまくった結果が引退。昨年12月にメンバーに思いを伝えた際には、本音で3、4時間話し合ったという。5人で続けたい思い。有安の思い。怒り出すほかのメンバーや泣きじゃくるメンバーの姿が容易に想像できる。きっと、がむしゃらに走ってきた5人にとって、今までを振り返る濃密な時間になったことだろう。
http://www.sanspo.com/geino/news/20180119/geo18011914150022-n1.html
http://www.sanspo.com/geino/news/20180119/geo18011914150022-n2.html
そもそも、ももクロの大きな魅力は5人のバランスだ。歌唱力やダンスに定評のある有安、妹キャラの玉井詩織、最年少ながらしっかりものの佐々木彩夏、最年長なのに天然の高城れに、そしておバカキャラながら圧倒的なリーダーシップでメンバーをまとめる百田夏菜子。その一角を担う有安が抜けることは、ももクロにとって相当大きな痛手だろう。
それでも、ももクロなら、この“逆境”を力に変えて、より成長してくれるという期待がある。今までもメンバーの増減を繰り返しながら、ここまで上り詰めた実績があるからだ。
所属するスターダストプロモーションには、柔軟なアイデアを量産し、ももクロをトップアイドルまで育てた敏腕マネジャーもいる。もともとももクロは、辛い下積み経験を経てはい上がってきた。サブリーダーの早見あかりが抜けたときがそうだったように、残されたメンバーは自分たちがより活躍することで、有安にエールを送りたいと思うはず。きっと、これからもファンをアッと驚かせるような活躍を見せてくれることだろう。
5人でのライブは21日の千葉・幕張メッセ公演で最後となる。一時代を築いた5人でのももクロがどんなフィナーレを迎えるのか、見届けたい。(まろ)