氷雪の世界で数々の熱戦を繰り広げた平昌五輪は25日、閉幕する。
冬季で史上最多となる13個のメダルを獲得するなど日本勢の活躍がひと際輝いた。4年に1度の五輪に照準を合わせて鍛錬を積んできたオリンピアンの言葉は重い。今大会も数々の名言が生まれた。
けがからの復活
「僕は五輪を知っている」
今大会で世界からも注目されたのは、フィギュアスケート男子の羽生結弦(23)だ。16日のショートプログラム(SP)で完璧な演技を披露し、けがからの復活をアピールした。
続く17日のフリーを終えた後は「本当に(昨年11月に痛めた)右足が頑張ってくれた」。金メダルをもらって「自分の人生史上、一番幸せな瞬間」と感涙。1992年バルセロナ五輪競泳女子200メートル平泳ぎを制覇した岩崎恭子さん(39)が「今まで生きていた中で、一番幸せ」と涙した場面を思い起こさせた。
羽生と一緒に表彰台に並んだ銀メダルの宇野昌磨(20)は同日の記者会見で「日本一になることが世界で一番難しい。(羽生を)いつまでも追いかけたい」と王者への尊敬の念を表した。
同じく感動的な場面は、前回ソチ五輪は4位で悔し涙を流し、今大会で銅メダルを獲得した高梨沙羅(21)。12日のインタビューでは「この4年間、悔しさをばねにしてきたが、自分は金メダルを取るような器ではないと分かった」との殊勝な言葉で涙を誘った。
女子スケート躍進
今大会で金銀銅のフルメダルをもぎ取ったスピードスケートの高木美帆(23)。14日、銅メダルとなった1000メートル後の記者会見では「終わった後に歓声を受けて、心にジーンと感じるものがあった」と感無量。姉の菜那(25)も24日に新種目、マススタートで初代女王に。「最高の舞台で一番高いところに立ててうれしい」と喜んだ。
同じく500メートルで期待通りの金メダルだった小平奈緒(31)は18日の記者会見で、「多くの種目を見ていて、メダルに届かなくても、みんなの色で咲き乱れてくれていた」と日本選手団の主将らしい言葉を発した。
スノーボードハーフパイプ男子で銀メダルに輝いたにもかかわらず、クールな表情が印象的だった平野歩夢(あゆむ)(19)。14日、メディアがその理由を問うと、「笑えるところにまではたどり着けていない」。さらに「一発で『あれがあいつだ』と思われるような、一つの自分のスタイルとして高さを追求している」と求道者の側面を垣間見せた。
流行語大賞へ
早くも流行語大賞の候補に挙がっているのは、「そだねー(そうだね)」。快進撃を見せたカーリング女子「LS北見」の北海道なまりの言葉が広がっている。試合中の休憩時間「もぐもぐタイム」ではイチゴなどをほおばっている姿が世間の注目を集めた。24日、銅メダルが決まった後、メンバーの吉田知那美(ちなみ)(26)は「氷の神様が味方してくれた」と感謝した。
ノルディックスキー・ジャンプ界のレジェンド(伝説)、葛西紀明(45)にとっては悔しさが残る大会だった。16日のラージヒル予選では全く振るわず、「ゴミですね、ゴミ。思い切りがない」と自らを鼓舞。19日、団体戦終了後メダルなしで終えると、「4年後(の北京五輪)も絶対出ます」。葛西の伝説はまだまだ続く。(五輪取材班)
2018年2月25日 18時42分 産経新聞
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