俳優・「創作あーちすと」ののん。1993年生まれ。
朝の連続テレビ小説(朝ドラ)で日本中に鮮烈な印象を与え、声優に初挑戦した『この世界の片隅に』で新境地を開拓した俳優、のん。
ここ数年は歌や絵といった演技にとどまらない活動にも挑戦し、その存在感からCAMPFIRE、LINEモバイル、ラクスルなど、大手ITベンチャーを中心にCMのオファーも相次いでいる。
そんなのんの活動の原点には、「怒り」という感情があるという。その言葉の真意を探った。
■岩手のことを想って書いた曲
のんのキャリアを語る上で外せない2作品が、その存在を世に知らしめた朝ドラと、声優初挑戦にして日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した『この世界の片隅に』だ。
「『これだ』っていう作品にまさにめぐりあえた気持ちでした。製作者の想いと、見てくださる方の思いが同じ気持ちで広がっていったのが、その2作品だったと思います」
2019年6月に発売されるセカンドアルバムにも、朝ドラの舞台でもある岩手の曲が入っている。
岩手銀行のCM曲として書き下ろされた『この街は』は、まさに「岩手のことを想って書いた(曲)」。アルバム収録の際には岩手まで出向き、岩手の子どもたちと一緒にコーラスを録り下ろした。
2019年にはJA全農いわての「宣伝本部長」に就任、そして東北の田舎町が舞台で岩手県久慈市でロケを行なっている映画『星屑(ほしくず)の町』に出演するなど、岩手とのつながりは今でも強い。
■根底には“怒り”がある
一方で、2016年頃からは「創作あーちすと」を名乗り、歌や絵といった活動にも積極的に取り組む。2017年からは毎年アルバムを出しており「ずっと続けていきたい活動」だと話す。
「私は自分の思いを言葉にするのがつたないところがあって……。でも、曲に込めてだと素直に躊躇なく、自分を表現できるんです」
演技とは異なり、歌や絵といった表現は「自分自身の想いをそのままぶちまけられる手段」(のん)。伝えたいことは時々によって変わるが、その根底にあるものはいつも同じだ。その感情こそが、“怒り”だという。
「(怒りは)抗っても抗えない気持ち。詞にしても、最初はがんばってつくっている形式があるんですけれど、完成してみると怒っている。それしかないのかよって、つまんないやつかもしれないんですけど(笑)」
そんな怒りの感情は、のんが手がける作品たちに、ストレートに現れている。2018年、作詞作曲に初めて挑戦した『へーんなのっ』の歌詞は、こうだ。
「きっぱりした物言い 飾り気のない言葉 混じりけのない心
変なものは変だ 嫌なものは嫌だ 変なものは変だ」
■怒りをおもしろおかしく放出する
なぜ彼女にとって、怒りがそんなにも大切な感情なのだろうか?
「喜怒哀楽の中で、喜び、楽しさ、泣くことでさえ、良い感情のひとつとして受け止められているのに、怒るという感情だけが“のけもの”みたいになっていると思うんです。怒ることも必要なんだよって誰かが言ってあげなきゃいけないぐらい、怒りの感情だけがうとまれている」
「うとまれていたり面倒臭がられるからといって、自分の怒りにフタをして、ないものにするのって、時には必要だと思うんですけど……なんかヘンだなって」
やわらかく微笑みながらも、その言葉はまっすぐに突き刺さる。
自らの怒りを表現していくのんの原点は、家族にあるという。
>>2以降に続きます
6/9(日) 8:10配信 BUSINESS INSIDER JAPAN
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