新型コロナウイルス感染の拡大を受け、安倍政権は「3月2日から全国の小中高校で一斉休校を要請する」と発表した。
それに対し、批判の声が相次いでいる。2009年に大阪府で一斉休校を実施した橋下徹
■責任を負わない学者、結果責任を求められる政治家
学者などは、「明確な根拠を出せ!」と批判し続けるだろう。
彼ら彼女らは、「気配」で踏み切らなければならない状況を経験したことがないからだ。
今、国会においては、野党は安倍さんに「根拠を出せ!」と追及している。
今回、根拠を出せ!と言っている者はおよそ政治家ではない。
「気配」で判断することを全く理解できない者は、危機時において国家を運営する能力がないことの証だ。
確かに平常時は明確な根拠に基づいた判断が重視される。
しかし、危機時においては、明確な根拠なく判断しなければならないことの連続だ。
だからこそ、選挙で選ばれた政治家に、その判断を行う役割が与えられる。
明確な根拠がなくても、選挙で選ばれたということの自信をもって、有権者に理解を求めることができる立場。
間違った場合には、有権者から猛批判を食らい、ある意味社会的に抹殺される立場。
その上で、そのような者を選挙で選んだことに責任があると最終的に有権者を納得させる立場。
一方、学者たちはそこまでの責任を負っていない。
明確な根拠を求めている間に、感染が爆発的に広がり医療体制が崩壊したとしても、彼ら彼女らは特段、責任を負わない。
だからこそ、政治家が結果責任を負った上で判断しなければならない。
安倍首相は、新型コロナウイルスの感染拡大という危機時において「ピークカット」「ピークずらし」のための施策を打つには、
明確な根拠を求めている時間的猶予がなかったことを積極的に発信していくべきだ。
時間稼ぎをしているうちに、ウイルスの実体が徐々に明らかになってくるだろう。
そのときには、「ピークカット」「ピークずらし」の施策は、実体に合わせて修正していくべきだ。
そして、未知の危機に対処する大原則は、
「初動で大胆に強い施策を打ち、実体が明らかになるにつれてその施策を縮小、解除していく」というものであることを
国民も理解すべきだ。
「休校しても満員電車がそのままなら意味がない」と言う人もいるが
企業活動を止めることは日本経済全体をまひさせることになり、それは不可能だ。
政治とは、どちらを選んでも痛みが伴うような状況で、それでも決断をすることだ。