■サンドウィッチマンも笑うしか…
東京五輪の聖火がギリシャから日本に到着した20日、記念式典で大会組織委員会の森喜朗会長(82)が失態のオンパレード。新型コロナウイルスの世界的流行で開催が危ぶまれる中、こんな調子で難局を乗り切る適切な判断を下せるのか。
東日本大震災の被災地、石巻南浜津波復興祈念公園(宮城県石巻市)で行われた式典であいさつに立った森会長は、空輸された聖火の到着式が行われた航空自衛隊松島基地(同県東松島市)を「空軍基地」と話すこと2度。さらに、感染症対策でこの日のイベントの一部が中止になったことに、「“宮崎県”とイシマキ…、石巻市にとっても苦渋のご判断だったと思います」と言及した。
これには地元出身で聖火リレー公式アンバサダーのお笑いコンビ、サンドウィッチマンも顔を見合わせて苦笑い。実は前日19日にギリシャで行われた聖火の引き継ぎ式でも、森会長はビデオメッセージで宮城県を「宮崎県」と言い間違い。一夜明けた到着式で、サンドはこのミスをネタに笑いを取っていた。それからわずか数時間後に失態を繰り返されては、2人も笑うしかあるまい。
震災からの復興を世界にアピールするため、聖火の到着地に選ばれた宮城を、なぜ何度も九州の県と言い間違えてしまうのか。被災者たちの思いは複雑だろう。ビデオメッセージは事前に収録されたもので、英訳のテロップでは「Miyagi」と表示されたが、周囲がその場でミスを指摘して言い直しを頼めない状況からして異様だ。
コロナ禍でも五輪の通常開催に突き進む森会長だが、事態は風雲急を告げている。国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は通常開催を基本路線としながらも、「違うシナリオは検討している」と重大発言。身内の日本オリンピック委員会(JOC)でも、山口香理事が「私の中では延期しないで開催するという根拠が見つからない」と反旗を翻した。
森会長がどう受け止めるのか、この日の発言に注目が集まったが、式典後に予定されていたぶら下がり取材はまさかのキャンセルに。宮城県の関係者は「VIPの方の取材対応準備はしていた。組織委員会からも森さんは受けると聞いていたのに…」と困惑。迫りくる重大な決断のデッドラインに向けて、先が思いやられる。(山戸英州)
3/21(土) 16:56配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200321-00000001-ykf-spo
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