新型コロナウイルスに感染し、4月7日に退院した阪神・藤浪晋太郎の去就が騒がしくなっている。
高卒イヤーから3年連続2桁勝利とエースへの階段を駆け上がっていたが、近年は制球難で輝きを失っていた。昨季の1軍登板はわずか1試合。今年は復活を期していただけに、感染に至った行動は球団やファンの信頼を大きく損ねる形になった。
藤浪は先輩の伊藤隼太、同学年の長坂拳弥と共に3月14日に大阪府内で開かれた食事会に参加。その後に嗅覚(きゅうかく)の異常を訴え、26日にPCR検査を受けた結果、伊藤隼、長坂と共に陽性反応が確認された。日本野球機構(NPB)の選手で初めての感染者となっただけに球界に与えた衝撃は大きかった。
その後に複数の女性も交えた大人数での会食であることが判明したことで、ネット上では藤浪への批判が殺到した。阪神ファンからは、
「地元出身のドラ1(ドラフト1位)。特別な存在だったけど今回の愚行はかばいようがない。球団もトレードを考えても仕方ない」
という声が上がる一方で、期待する意見も少なくない。
「藤浪ばかり叩(たた)かれて伊藤隼太とか同席した他の選手があまり批判されないのはおかしい。もう一度ここから信頼を取り戻して甲子園のマウンドで復活する姿を見たい。やっぱり阪神の藤浪として復活してほしい」
在阪スポーツ紙のデスクはこう分析する。
「藤浪は近年結果を出していなかったけど、エースになってもらわなければいけない投手として首脳陣も我慢強く復活を信じてきた。でも、今回のグラウンド外の軽はずみな行動で擁護できなくなる。今年も結果が出なければトレードという話は当然出てくるでしょう」
藤浪の制球難については、イップス(精神的な原因などによりスポーツの動作に支障をきたし、突然自分の思い通りのプレーなどができなくなる症状)、技術的な問題など様々な指摘がされている。パ・リーグのある球団首脳は、藤浪をこう高く評価する。
「あれだけ身長(197センチ)が高くて直球が速くて変化球も鋭い。投手として持っている潜在能力の高さは球界でも希少価値だし、他球団はどこも欲しいでしょう。制球難ばかりやり玉に挙げられるけど荒れ球は武器になる。もちろん死球を与えてはいけないけどね。環境を変えても藤浪は変わらないという人がいるけど、それは違う。投手はデリケートな生き物。投球がガラッと変わる可能性は十分ある」
退院した藤浪は7日、球団を通じて、
「この度は多くの方々に多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを深く反省し、おわび申し上げます。より一層野球に精進してまいります」
などとコメントを発表した。当面は自宅待機となる。
藤浪は今後も阪神でプレーできるのか、それとも来年は他球団のユニホームを着るのか。野球人生の岐路を迎えている。(牧忠則)
※週刊朝日オンライン限定記事
4/8(水) 11:30配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200407-00000070-sasahi-base