クラブハウスが閉鎖され、グラウンドは使えず、利用していたジムも1カ月近く休止している。
自分で所有している器具で最低限の運動をする日々が続く。
屋外を走りたくなっても、感染するかもと控えてしまう。ほんの3分ほどでもいったん家の外に出たら、
何に触れていなくても手をゴシゴシと洗う癖がついてしまった。
うちの息子たちは街で遊びたい年ごろだけど、家族にも同レベルの緊張をしいてもらっている。
いつ電話しても満席だったなじみの繁盛店は、店の維持さえ難しい状況に追い込まれた。
我慢は、先が見えてこそ我慢できるもの。娯楽や明るい話題も楽しめず、それどころでない人々がたくさんいる。
そんな状況で、僕らが「何か希望を」などとはいえない。
すべての行動が制限されるわけでない緊急事態宣言は「緩い」という声がある。
でもそれは、日本人の力を信じているからだと僕は信じたい。
きつく強制しなくても、一人ひとりのモラルで動いてくれると信頼されたのだと受け止めたい。
戦争や災害で苦しいとき、隣の人へ手を差し伸べ助け合ってきた。暴動ではなく協調があった。
日本にはそんな例がたくさんある。世界でも有数の生真面目さ、規律の高さ。
それをサッカーの代表でも日常のピッチでもみてきた。僕らは自分たちの力をもう少し信じていい。日本人はこういうとき、「やれるんだ」と。
「都市封鎖をしなくたって、被害を小さく食い止められた。やはり日本人は素晴らしい」。
そう記憶されるように。力を発揮するなら今、そうとらえて僕はできることをする。ロックダウンでなく『セルフ・ロックダウン』でいくよ。
自分たちを信じる。僕たちのモラル、秩序と連帯、日本のアイデンティティーで乗り切ってみせる。そんな見本を示せたらいいね。
元日本代表、横浜FC日「サッカー人として」2020年4月10日
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200411-00037184-bunshun-soci