● 30、40代が抱える “それぞれの木村拓哉”
昨年末までTBS系で放送されていた木村拓哉の主演ドラマ『グランメゾン東京』は、平均視聴率12.9%、最終回では本作最高の16.4%をたたき出した。また、年明けにフジテレビ系で放送された二夜連続ドラマ『教場』もそれぞれ高視聴率をマーク。SMAP解散騒動の際には、裏切り者と大バッシングを受けた木村拓哉だが、トップスターという看板が外れることがなかったことを、これらの数字が示している。
ところが、どれだけドラマの視聴率が良かろうが、なぜか木村拓哉の作品はすべてが批判の対象になる。『グランメゾン東京』では「若作りが痛々しい」、『教場』では「白髪が似合っていない」という声が上がった。なぜ、ここまで木村拓哉はアンチを強烈に集めるのだろうか。
「木村拓哉は、ある世代以上の人々にとって、よく知らなくても語れる数少ない存在といえます」というのは、社会学者の新雅史氏。木村拓哉は、ジャニーズ黄金時代を築き上げたアイドル。そして、90年代〜00年台までのテレビドラマ全盛期を牽引してきた俳優でもある。
テレビと共に育ってきた30、40代以上の人々は、皆、バックグラウンドに“それぞれの木村拓哉”を抱えているのだと新氏は言う。
「木村拓哉の最新作を見ていないし、現在の活動もそんなに知らないけれど、過去作品は見たことがある、SMAP時代はよく知っているという人は多い。そうして過去の知識を手繰り寄せたときに出てくるのが、『キムタクは何を演じてもキムタク』という言葉です。何がすごいかというと、この言葉で大抵の人がコミュニケーションを取れてしまうことです」
一挙手一投足がメディアや雑誌で取り上げられ、もてはやされたり、落とされたりするのは、木村拓哉が人々のコミュニケーションツールになっているからにほかならない。
「メディア環境が変化したなかで人々の興味や関心は拡散しています。こうしたなかで、人々の注目を集めるためには、過激な発言をする必要がある。それが木村拓哉になると、CMのハンバーガーの持ち方が独特なだけで話題になり、批判する人も出てくる。過激なことをやっていないのに話題になるという点では、ほかに類を見ない芸能人といえるでしょう」
─中略─
● 本音を話さない 最後の芸能人
芸能人がSNSで自分の考えを口にできるようになったことも、社会的な変化の一つだ。
「芸能人と人々の距離はどんどん縮まっています。AKBをはじめとする2000年代以降のアイドルが、CDそのものを握手券化したのがわかりやすいですね。最近では田中みな実の写真集が爆発的に売れていますが、あれも2万冊以上は本人が手渡し会で販売しています。芸能人から歩み寄ってくれるから、好きになるという構造です」
ネットでの露出を、かたくなに拒んでいたジャニーズ事務所も、近年ようやく所属タレントをYouTubeなどで活動させるようになった。
ところが、木村拓哉に関しては、中国最大のSNS・Weibo(ウェイボー)でアカウントを開設したものの、長らく国内でのSNSは解禁されてこなかった。この5月8日に開設されたインスタグラムの公式アカウントも、今のところ情報量は極めて限られている。これは木村拓哉と大衆が近づきすぎないようにしておきたいというジャニーズ事務所の配慮だろう。
「木村拓哉はSMAP時代から今までずっと、孤高の存在なんですよね。本音を話しているようで、話していない。遠い存在だからこそ価値がある、最後の芸能人ではないでしょうか。今後、彼の活動が激変する可能性はもちろんありますが、現段階でいえば、木村拓哉のようなアイドル・俳優は今後二度と現れないでしょう」
SMAP時代から今に至るまで、約30年にわたって自分のイメージ戦略を崩さずに来たことは、それ自体がドラマチックだと新氏。日本人と木村拓哉との関係はこれからも続いていくだろう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200524-00238129-diamond-soci
昨年末までTBS系で放送されていた木村拓哉の主演ドラマ『グランメゾン東京』は、平均視聴率12.9%、最終回では本作最高の16.4%をたたき出した。また、年明けにフジテレビ系で放送された二夜連続ドラマ『教場』もそれぞれ高視聴率をマーク。SMAP解散騒動の際には、裏切り者と大バッシングを受けた木村拓哉だが、トップスターという看板が外れることがなかったことを、これらの数字が示している。
ところが、どれだけドラマの視聴率が良かろうが、なぜか木村拓哉の作品はすべてが批判の対象になる。『グランメゾン東京』では「若作りが痛々しい」、『教場』では「白髪が似合っていない」という声が上がった。なぜ、ここまで木村拓哉はアンチを強烈に集めるのだろうか。
「木村拓哉は、ある世代以上の人々にとって、よく知らなくても語れる数少ない存在といえます」というのは、社会学者の新雅史氏。木村拓哉は、ジャニーズ黄金時代を築き上げたアイドル。そして、90年代〜00年台までのテレビドラマ全盛期を牽引してきた俳優でもある。
テレビと共に育ってきた30、40代以上の人々は、皆、バックグラウンドに“それぞれの木村拓哉”を抱えているのだと新氏は言う。
「木村拓哉の最新作を見ていないし、現在の活動もそんなに知らないけれど、過去作品は見たことがある、SMAP時代はよく知っているという人は多い。そうして過去の知識を手繰り寄せたときに出てくるのが、『キムタクは何を演じてもキムタク』という言葉です。何がすごいかというと、この言葉で大抵の人がコミュニケーションを取れてしまうことです」
一挙手一投足がメディアや雑誌で取り上げられ、もてはやされたり、落とされたりするのは、木村拓哉が人々のコミュニケーションツールになっているからにほかならない。
「メディア環境が変化したなかで人々の興味や関心は拡散しています。こうしたなかで、人々の注目を集めるためには、過激な発言をする必要がある。それが木村拓哉になると、CMのハンバーガーの持ち方が独特なだけで話題になり、批判する人も出てくる。過激なことをやっていないのに話題になるという点では、ほかに類を見ない芸能人といえるでしょう」
─中略─
● 本音を話さない 最後の芸能人
芸能人がSNSで自分の考えを口にできるようになったことも、社会的な変化の一つだ。
「芸能人と人々の距離はどんどん縮まっています。AKBをはじめとする2000年代以降のアイドルが、CDそのものを握手券化したのがわかりやすいですね。最近では田中みな実の写真集が爆発的に売れていますが、あれも2万冊以上は本人が手渡し会で販売しています。芸能人から歩み寄ってくれるから、好きになるという構造です」
ネットでの露出を、かたくなに拒んでいたジャニーズ事務所も、近年ようやく所属タレントをYouTubeなどで活動させるようになった。
ところが、木村拓哉に関しては、中国最大のSNS・Weibo(ウェイボー)でアカウントを開設したものの、長らく国内でのSNSは解禁されてこなかった。この5月8日に開設されたインスタグラムの公式アカウントも、今のところ情報量は極めて限られている。これは木村拓哉と大衆が近づきすぎないようにしておきたいというジャニーズ事務所の配慮だろう。
「木村拓哉はSMAP時代から今までずっと、孤高の存在なんですよね。本音を話しているようで、話していない。遠い存在だからこそ価値がある、最後の芸能人ではないでしょうか。今後、彼の活動が激変する可能性はもちろんありますが、現段階でいえば、木村拓哉のようなアイドル・俳優は今後二度と現れないでしょう」
SMAP時代から今に至るまで、約30年にわたって自分のイメージ戦略を崩さずに来たことは、それ自体がドラマチックだと新氏。日本人と木村拓哉との関係はこれからも続いていくだろう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200524-00238129-diamond-soci