競艇での八百長を巡る贈収賄事件で、モーターボート競走法違反(贈収賄など)に問われた住所不定、元競艇選手西川昌希(30)、親戚で会社員の増川遵じゅん(53)(津市)両被告の公判が16日、名古屋地裁であり、西川被告の被告人質問が行われた。
西川被告は捜査段階で黙秘するなどしていたが、初めて八百長の手口などを明かした。
2016年2月から八百長を始めた理由は「選手として気持ちが下がり、借金も重なったため」と語った。
インターネット上で八百長疑惑が出てからは携帯電話を2台用意し、1台を検査時に預け、もう1台をトートバッグのポーチに入れて持ち込んだ。
レース直前でもトイレや控室の死角から増川被告にLINEで連絡していた。
また、西川被告は八百長で得た報酬を競馬や競輪などのギャンブルにつぎ込み、増川被告からも借金していた。
「ほかの選手が『不正をする代わりに金を貸してほしい』と言っている」と増川被告に告げ、虚偽の借用書や偽のLINE画像を用意して金を借りていた。
起訴状では、西川被告は昨年1〜9月に全国11の競艇場で行われた計20レースで八百長をし、見返りに増川被告から総額3725万円の賄賂を受け取ったとしている。
増川被告は2018年までの3年間で、競艇の払戻金を他人名義の預金口座に入金させて所得計約1憶1300万円を隠し、所得税を脱税したとして、所得税法違反でも起訴されている。
競走会説明と供述食い違い
被告人質問で西川被告は、名古屋国税局の強制調査(査察)直後の昨年9月、日本モーターボート競走会に引退報告した際、自身が不正に関わっていたと伝えた、と述べた。
西川被告逮捕後の2月に記者会見した同会は、西川被告が「腰が痛いから」と理由を説明したとし、「事件が元になって辞めたとは、まったく分からなかった」としていた。
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